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ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(127)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)が企画した『古き良き変わり者』の対談のために、宗俊(津川雅彦)、幸之助(牧伸二)、友男(犬塚弘)の人形町いぶし銀三羽烏が銀太郎(日向明子)の店に集まった。元子がメモを取る中、三人はなつかしい昔話に花を咲かせ、出来上がった対談記事は好評を得る。雑誌に載せる写真を吉宗に持って行くと、宗俊は風邪をひいたと横になっている。しかし「背中が重くて…」とため息をつく宗俊が元子には気になって…。

吉宗

トシ江「どうぞ」

船田「あっ、すいません」

トシ江「本当に申し訳ありませんねえ。もういらっしゃる頃だって申したんですけど、なあに、からすの行水だって、もう」

元子「そうよ。対談だからってね、今更、磨き立てたって始まんないんだから」

船田「いや、まあまあ、まあまあ…」←現・河原さぶさん、ホント、若いな~。髪、サラサラ。

 

⚟宗俊の鼻歌

 

宗俊「あ~、いい湯だった。さっぱりしたぜ」

元子「お帰りなさい。お父さん、こちらカメラマンの船田さん」

船田「あっ、船田です」

宗俊「こりゃ、どうもわざわざご苦労さんでございやす。あっ、今ね、湯ん中で相棒と相談して場所はやっぱり銀太郎がいいんじゃねえかということになりましてね」

船田「は?」

宗俊「あ~、あんさんもひとっ風呂浴びていらしたらどうですかい?」

船田「え…いえいえいえ、私は」

宗俊「いい湯ですぜ、え。念には念を入れないといけませんやね」

トシ江「仕事にご迷惑ですよ」

宗俊「どうしてだ」

トシ江「まあ、いいからほら早く着替え出してありますから」

宗俊「ちょいと着替えてまいりますからね」

船田「どうぞ」

トシ江「相すいません」

 

銀太郎

♪~レコード「愛して愛して愛しちゃったのよ」

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ということで中の湯で念には念を入れたいぶし銀の三羽がらすがそろいました。

 

銀太郎「まあね、私から言わせてもらえば、いい時に芸者やめたと思ってますよ。だってさ、まあ、お世辞じゃなくって、ごめんなさい(カメラを構えていた船田の脇を通る)…こういういい男ってのが少なくなっちまったもの」

 

いつものカウンターではなく座敷に座っている3人。「へへへへへへ…」

宗俊「なあ、近頃の若(わけ)えもんはよ、プラットホームだとか何とか抜かしやがってな」

幸之助「何?」

宗俊「いやぁ…」

幸之助「老人ホームだろ、老人ホーム」

宗俊「違ぁ…おめえ、カタカナ弱いんだよな、何とかホーム…」

幸之助「トラホーム」

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宗俊「バカ野郎、おめえ、ふざけんじゃねえやな。あの~、ほら、マ…マイホーム」

幸之助「何を言ってんだ…」

宗俊「おお…いけねえ! おい、これ、おめえ、元へ戻した方がいいんじゃねえか?」

元子「大丈夫よ」

友男「大丈夫(でえじょうぶ)だ、大丈夫だ」

宗俊「そうか。あの~、まあ、近頃の若えもんはマイホームとか何とか抜かしやがってな、それはおめえ、てめえんちのことばかり大事(でえじ)にしやがんだ。さしずめ藤井のやつなんざな、そのいい見本だ」

元子「そこで祐介さんのこと持ち出すことないでしょう」

 

幸之助「おっと、もっちゃん。今日は何をしゃべっても構わねえってことじゃねえのか?」

元子「あっ、そうでした。どうもすいません」

幸之助「けど俺ぁ、あれはいい男だと思うよ」

宗俊「え?」

幸之助「社長さんになってよ、自分のうち、おっ立てる勢いがあるのによ、え、人形町から離れたくねえってんで、お前、かみさんの実家の前のマンションに住むなんざ、かわいいっていうか情があるっつうかな」

宗俊「おかげでな、こちとらいい迷惑だ」

友男「まあな、紺屋の干し場が陰になるってことは…」

宗俊「あ~…バカ、違うんだよ」

友男「あ?」

宗俊「風呂だよ、風呂」

友男「ん? 風呂?」

 

宗俊「おめえな、マンションの風呂に入(へえ)ったことあるか?」

友男「おい、俺ぁ湯屋だぞ。何でマンションの風呂なんかへ入んなきゃなんねえんだよ」

宗俊「な、息子の顔も見てもらいてえし、まあ、風呂にも入ってってください…あやつらな、風呂つきが自慢なんだよ。ところがお前、おけときた日にゃな、棺おけの大きさもありゃしねえやな。俺ぁな、棺おけとお前、湯だけは手足グ~ッと伸ばして入りてえんだ。それをお前、膝っ小僧抱えて入るようなふざけたまねができるかってんだ。こちとら江戸っ子だ、え」

友男「まあ、好き好きだろうけどよ」

幸之助「おいおい…湯屋がそんなものの分かったようなこと言っていいのか?」

友男「いやいや、言ってみりゃな、まあ朝湯は俺の道楽よ。朝の6時に店を開けるってことはよ、4時に起きなきゃなんねえ。正直言って、まあ冬場はだんだんときつくならあ。だから、せがれの野郎がそのうちおやじは根負けすんじゃねえかって起きてもきやがらねえ」

 

宗俊「おい、でも近頃はよ…」

友男「いや、だからよ、こちとら意地だわさ。まあな、はっきり言って客は年寄りばっかりでよ…」

宗俊「年寄りで悪かったな、おい」

友男「うるせえな、今、しゃべってんだからよ…採算の取れる商いじゃねえや。な。だけどな、だけどよ、いろんなことをくぐり抜けてきた人間がな裸で話し合える場所っていうのはなくしまっちゃいけねえよ」

幸之助「おう、そうだとも」

友男「な」

 

宗俊「けどな、近頃の子供もかわいそうだな。昔はお前、横町に路地、これがおめえ、俺たちのガキの頃の遊び場だった」

幸之助「そうだよな。めんこにベーゴマ、チャンバラごっこ。宗ちゃんのねずみ小僧ににはめえったよ。竹光で脳天ばっさりだよ。ほら、見ろ、いまだに傷痕残ってんだ」←字幕は”べいごま”だったけど”ベーゴマ”じゃない?

宗俊「これはな、おめえがお前、うちの絹子にお医者さんごっこなんか誘い込みやがるからよ…」

銀太郎「やだ、秀美堂の旦那は、そのころからそっちの方は達者だったわけ?」

幸之助「バ…バカ言うんじゃねえよ。今は…古きよきものってお前、対談中じゃねえか」

友男「幸ちゃんが脱線するからだよ」

 

子供同士の遊びで傷跡が残るほどのケガ、お医者さんごっこ…当時は、ほほ笑ましい話のエピソードだけど、今の時代だとやべー話ばっかり。

 

宗俊「いや、だからな、俺が言いてえのはよ、その、近頃はお前、路地にまで車が入り込むってのは、これ、どういうわけだ」

幸之助「だから町内に子供の遊び場を作ろうってんで俺たちが一緒になって骨折ってるんじゃねえか」

宗俊「けどな、考えてみりゃあよ、中の湯の朝湯はな、そういう今の俺たちの遊び場みてえなもんじゃねえのか、え、そう思えてきてな」

友男「分かってくれてんじゃねえかよ。うれしいね」

宗俊「バカ野郎、おめえ、何十年つきあったと思ってんだ、この野郎」

 

友男「でもな、見捨てたもんじゃねえぞ。近頃はお前、電車に乗ったりしてよ、結構遠くから来てくれる客もぼちぼちあるしな、町内の若い衆だって面白がって来たりなんかしてな。そしたらお前、せがれの野郎、最近は俺の体のことを心配してんだかしてねえんだか分からねえけどよ、ヘッ、朝、手伝ってくれてんだよ」

宗俊「お前、それはお前、俺はおめえんとこの息子がな釜場にいるのちゃんと見たよ」

友男「ハハハハハ…」

幸之助「あ~、けど、どうやら吉宗も順平ちゃんが腰を落ち着けたしな、俺んところも吾郎の野郎がよ、電気オルガンか何か並べてるがな、三味線の看板は真ん中に置いてらぁ。おまけによ、地道にやってりゃ、今にこういうものを扱うやつがいなくなるだろう、それで希少価値があるだろうってんだ、お前な。必ず珍しがって商いが廃ることがねえなんて偉そうなこと言いやがってよ」

宗俊「ああ、そうだとも」

幸之助「確かに俺たちは頑固だけどさ、この頑固さは続けていくことが大事じゃねえのかな」

友男「あたぼうよ。それをなくしちまったらな、年寄りは何のためにいるのか分かんなくなっちまうぜ」

宗俊「『憎まれっ子世に憚る』ってな、え、世の中にはな、大久保彦左衛門がな、いるんだよ。だからな、俺ぁもう、これからどんどん言いてえこと言うぞ、え、元子」

www.nhk.or.jp

元子「え? ええ…」

宗俊「だからおめえもこういうせっかく商売に就いたんだからよ、パ~ッと目ぇちゃんと開けてよ、それでおめえ、いいと思うことはどんどん書いていけ。いいか?」

友男「もっちゃん応援ならな、おじさんたちがいくらでもするからな」

元子「はい」

 

吉宗

トシ江「それで対談の方はうまくいったんですか」

 

桂木家茶の間

宗俊「ああ、あたぼうよ。相手はお前、秀美堂と中の湯だ。ツーと言えばカーよ。3人ともよ、好きなことまくしたてるもんだから、お前、写真屋さんが写すの忘れてな、一緒になってお前、笑ってやがった。ざまあ見やがれってんだ、ハハハ…。ヘックション! あ~」

トシ江「あら嫌だ、せっかく風邪治ったのにまたひいたのかしら」

宗俊「おう、そうだ。ついでによ、バス旅行の話も決まってな、おい、おめえもその気なら一緒に連れてってやるぜ」

トシ江「結構ですよ。私、バス弱いから」

宗俊「ああ、そう言うと思った」

トシ江「まあ…」

 

宗俊「熱~い茶くれ」

トシ江「はいはい」

宗俊「おう、おめえも何か言い分があるんならよ、秀美堂のかみさんたちとよ、それで集まり開(しら)いてな、元子にまたインタンビってやつをやらしてやったらどうなんだい」

トシ江「私ならいいんですよ、そんな」

宗俊「どうしてだい」

トシ江「だって、私の言い分ならあんたが聞いてくれてますもの」

宗俊「ん? そうかな」

トシ江「そうですとも。以心伝心。一体何年つきあってんですか」

 

宗俊「そりゃまあ長いつきあいだな。けど一向に飽きが来ねえってのは一体どういうことなんだ?」

トシ江「さあ…それは私も不思議でなんないんですけどね」

宗俊「つまり俺たちは…まあ、似合いの夫婦っていうことなんだな」

トシ江「まあ、そういうことにしといた方が無難かもしれませんねえ」

笑い声

宗俊「違(ちげ)えねえや」

トシ江「ハハハハ…」

お茶を飲む宗俊。「はあ~、うめえ。うめえぞ、この野郎」

トシ江も微笑みながらお茶を飲む。

 

元子がまとめた対談は好評でした。

 

女性時代編集部

福井「よくまとまってるわよ。それにこの江戸弁がいい…」

船田「大原さん。はい、写真焼いておいたから」

元子「どうもありがとうございます」

船田「いいえ」

元子「うわ~」

 

大原家前の路地

♪~テレビ「ひょっこりひょうたん島

ひょっこりひょうたん島

ひょっこりひょうたん島

  • 田中真弓, 森の木児童合唱団 & SHINES
  • チルドレン・ミュージック
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田中真弓さんバージョン初めて聞いた。

 

ひょっこりひょうたん島NHKで1964年4月6日~1969年4月4日放送。月曜~金曜 17:45-18:00。

 

ダイニング

元子「近代化と後継ぎの問題、それに頑固頑固って言ってるけど一貫とした職業意識がしっかりと打ち出されているってものすごく褒められちゃったわ」

正道「お~、それはよかった。きっとお義父(とう)さんも喜ばれるぞ」

元子「ええ」

道子「ねえ、本当にこの写真が雑誌に出るの?」

元子「ううん、使われるのはね、この中の2~3枚なの。でも、さすが専門家が撮っただけあって、みんな面白いから焼いてもらってきたのよ」

 

正道「そうだ、食事が終わったら僕がこれ届けようか」

元子「あなたが?」

正道「うん、ちょうど新しい机のことでね、祐介君にも会う用もあるし」

道子「私も行く」

大介「あっ、僕も」

元子「何言ってんの。大介は中間テストが控(しか)えてるんでしょう。あなたはね、中学3年生の2学期なんですよ」

大介「だってさ…」

 

中学3年生の2学期なんですよって金八にありそうなセリフ。金八シリーズって大体10月から始まるしね。

 

電話が鳴る。

立ってる大介じゃなく椅子に座ってた道子が電話に出る。「はい、大原です。はい、います。ちょっとお待ちください。お母さん、巳代子叔母さん」

元子「はいはい。何かしらね…。もしもし、私。うん、うん…えっ? そんなこと言ったってどうしようもないじゃないの。うん…分かった。とにかく行ってみますから。それじゃ」

 

正道「どうした? 何かあったのかい?」

元子「またお父さんなのよ。風邪ひいてんのにバス旅行行くってきかないんですって。それで、お母さんが私に来てもらいたいって言ってるらしいの」

大介「ほら、やっぱりみんなで行くことになったじゃないか」

正道「よし、じゃ、そのかわりな、おじいちゃんの風邪の様子じゃバス旅行は駄目だって、おばあちゃんの味方するんだぞ」

道子「は~い」

元子「じゃ、早くごはんにしなくちゃ。ね」

大介「はい。よし、きた」大介、道子は食器棚に向かい手伝う。

 

宗俊の部屋

布団にうつぶせになっている宗俊。

トシ江「バス旅行は今度がおしまいってわけじゃないんだし、まあ、旅先で鼻水流してたって楽しいことはないでしょうに」

宗俊「分かったよ。行かなきゃいいんだろ、行かなきゃ」ティッシュをクズかごに入れ、トシ江に背を向け、横になる。

トシ江「あんた…」

宗俊「ただしだ、おめえが言うから行かねえんじゃねえんだぞ。風邪ひいてりゃお前、それだけ世話焼きに気ぃ遣わせることになるんだ。確かにな、遊山なんてものは面倒見られながらじゃ、くそ面白くもねえやな」

トシ江「ねえ、あんた…ほかにどっか具合が悪いところあるんじゃないの?」

宗俊「ねえよ」

トシ江「だってあんまり聞き分けがいいから」

宗俊「今日は何だかお前、くたびれちまって」

トシ江「あんた…」

宗俊「少し寝るぜ」

トシ江「え、ええ…」

 

元子「あら、おとなしく寝てるじゃないの」

宗俊「おい、何だい、元子かい。どうした?」

元子「うん、この間の写真が出来上がってきたもんだから。はい。ねっ、よく撮れてるでしょう、お父さん」トシ江と顔を見合わせる。

宗俊「焼き増し頼めるのかい?」

元子「もちろんよ」

宗俊「幸ちゃんとな、友ちゃんから注文取ってやれ」

トシ江「はい」

宗俊「ほら」

トシ江「あっ、はい…。それじゃ」部屋を出ていく。

 

宗俊「はあ~」

元子「どうしたの?」

宗俊「ん…背中がやけに重くてよ」

元子「お父さん」

宗俊「おい、トシ江に言うなよ。あれはおめえ、苦労性だからな」

元子「そうね…。少しさすりましょうか」

宗俊「ああ。ありがとう」

 

宗俊の素直さが妙に気になる元子でした。

 

つづく

 

三人対談面白かった。雑談風に長くしゃべるのすごい。しかし、友男に息子がいるのは意外だった。最初の頃から友男だけは全然家族の話が出てこなくて、独身なのかな?と思ってたくらいだったけど、もしかしたら、戦後に40過ぎて結婚して順平よりもずっと若い息子がいるのかも? 

 

それにしても宗俊、顔色悪い…