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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(27)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)は折り鶴を折り、正大の写真の前に置き、千鶴子が見つかるまで鶴を毎日折ると誓う。金太郎の姿も、ついに見つけ出すことができない。宗俊(津川雅彦)は、手作りした白木の位牌に手を合わせた。命を守る情報を聞くための大切なラジオをどうやって守ればよいか?ラジオの使用法についての放送を終えて放送員室に戻る途中、元子は階段で沈うつな面持ちの海軍青年将校(千島清)とすれ違い、正大のことを考える。

元子たちの部屋

赤い折り紙で折り鶴を折る元子。

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初めて会った千鶴子に折り鶴が描かれた封筒を渡された回想。

 

元子「あんちゃん、私、毎日、この鶴折る。千鶴子さんが見つかるまで折り続ける。あんちゃんのためにもきっと折る」

 

茶の間に置かれた位牌

 

芳町金太郎こと

俗名池田鞠子之霊

 

木の実ナナさんの本名って”マリコ”だった気がした…と思ったら、池田鞠子そのままだった。位牌に手を合わせる桂木家の人々。

 

金太郎ねえさんは宗俊たちの懸命な捜索にもかかわらず、ついに見つかりませんでした。

 

宗俊「けどまあ、その方がおめえさんらしくていいや。焼け焦げてつっぱらかってる姿見せられるよりは、いつものあだっぽい様子でよ、きれいにいっちまってくれた方が、いかにもおめえさんらしくていいや。けどなあ、俺、おめえ、勇の字に合わせる顔がねえよ。それによ、こういうご時世だ。墓ぁ造ってやることもできず、本当にすまねえ。けどな、こうして毎朝、水と線香をやるからさ安心して成仏してくんな」

 

かくいう宗俊も染め物工場を焼かれ、今日からは慣れない軍需工場の方へご出勤という次第です。

 

手を合わせていた宗俊が家族に向き直る。「いいか、これから先、どこで空襲に遭おうが、まず逃げるこった」

トシ江「はい」

宗俊「バケツで水かけたって防空演習とは、わけが違うんだってことは、この前の空襲で身にしみて教えられたはずだ。地下室はいけねえぞ。地下室はおめえ、サナダビルは運よく、こりゃ火(し)が入らなかったから助かったようなものの、あそこは蒸し焼きの棺おけだと思え」

元子「はい」

 

大きな荷物を担いでモンパリに入っていく絹子とトシ江。

絹子「はあ、はあ、はあ…。はあ、疲れた」

トシ江「はあ、やれやれ」

絹子「重かったでしょう」

トシ江「よいしょ…」

絹子「ああ、ほら、こんなに肩に食い込んじゃって」

トシ江「でも、肩に食い込むほど持ってこられれば大助かりよ。こないだみたいに一斉で取り上げられてごらんなさいよ。それこそもうくたびれもうけの骨折り損で『泣きっ面に蜂』だわ。よいしょ」

 

絹子「ちょっと待ってね」

トシ江「えっ」

絹子「今、お茶いれるから」

トシ江「いいわよ、そんな、わざわざ」

絹子「魔法瓶がね、まだ無事なのよ。ちょっとぬるくなってるかも分かんないけど、朝、熱いのをちゃんと入れといたから」

トシ江「あら、そりゃすごいわ」

 

絹子「あ~、だけど助かったわ。配給米がひとつきたったの5日分じゃどうしようかと思ってたのよ。これでのぼるさんにももう少しましなお雑炊食べさせてあげられるし」

トシ江「本当よねえ。うちじゃ、お砂糖は困らないんだけど、おとうさんと彦さんが塩辛(しょっから)いもの好きだから」

絹子「あら、お塩だったらありますよ。岩塩なら少しぐらい」

トシ江「岩塩?」

絹子「うん。昔、お料理に使ってたあちらもんの岩塩だけど」

トシ江「本当? ねえ、そいじゃちょいと何かと取っ替えてよ」

絹子「嫌ですよ、私は闇屋じゃないんだから」

トシ江「でも、それじゃ悪いわよ」

絹子「あっ、それじゃ取っ替えてあげないから」

トシ江「あら大変」

笑い声

 

ちょっとでも笑えるポイントがあるのがいいなあ。

 

放送員室

ラジオを聞いている立花と沢野。

ラジオから聞こえる元子の声「すると弱った真空管は火で暖めて真空度を上げるとよろしいのでしょうか」

 

放送室

専門家「そうですね。それと四球式受信機を三球式にする方法もありますから、指定のラジオ相談所の所員にご相談なさるとよろしいと思います」

元子「では、空襲の際、この貴重なラジオを守るにはどうしたら一番よろしいのでしょうか」

専門家「そうですね、ラジオは最後の瞬間まで情報を聞いてほしいんですが、先日の大空襲の時のように、その前に停電を起こすことが多いですね」

元子「はい」

専門家「その時には取り外して、ごうの中へ入れてください」

元子「防空ごうの中に、でございますね」

専門家「そうです。防空ごう、または素掘りの穴でも構いません」

元子「分かりました」

 

放送室に入って来た桃絵。「(小声で)あと10分延ばしてください。次の出演者がまだ来てないんです」

 

喜代が両手を広げて引き伸ばし、その後に両手を開いて10分のジェスチャー

 

元子「そういうわけで…今日は本当に勉強させていただきましたけれど、もう一つ、現在残っているラジオは大切に使わなければなりませんけれど、寿命を長くもたせるためには取り扱い上、どんな注意をしたら…」

 

この3月までラジオの聴取契約数は全国で747万台を超えていました。しかし、空襲、寿命などによる故障、疎開などによって激しい勢いで減り始めましたが、それでも命より大事なラジオだったのです。

 

放送を終え、階段を下りてきた元子は軍人とすれ違う。

 

放送室

元子「受信機使用についての放送終わりました。いかがでございましたでしょうか?」

立花「うん、あれは延ばしの合図が出たのかい?」

元子「はい、10分延ばすようにとの指令を頂きましたので」

立花「うん、そのつなぎのところがちょっとよれたが、あとは落ち着いてなかなかもたせたよ。今後の注意としては慌てないこと。以上」

元子「ありがとうございます」

部屋を出ていった立花。

 

のぼる「ガンコ」

元子「何かあったの?」

のぼる「今ね、黒川さんを訪ねてきた人があったの」

元子「黒川さんを?」

恭子「亡くなったのご存じなかったらしいのね。はるばる三重海軍航空隊からいらっしゃったとおっしゃってたけど」

 

元子「じゃあ、今、廊下で擦れ違った…」

のぼる「海軍中尉さんよ」

元子「ええ、とってもさみしそうな感じの人(しと)」

のぼる「つらかったのは立花先生よ。『お気の毒に10日の空襲で亡くなられました』って言ったら、中尉さん、顔色がさっと変わったの」

恭子「私は訪ねて見えた時、ピンと来たからもう見ていられなかった」

 

元子「それで?」

のぼる「『分かりました』それだけ言って敬礼して出ていかれただけよ」

元子「そうだったんですか…」

のぼる「多分、あの中尉さん、戦死なさる気ね。多分、黒川さんのためにも突っ込む気じゃないかしら」

恭子「やめて!」

 

のぼる「どうして? 特攻隊なんでしょう、あの人。必ず黒川さんの敵を討つ気で突っ込んでいくって、私は思うわ。だって愛し合っていたんでしょう? 黒川さん、あの人にもしものことがあったら二度と恋はしない、そう言ってらしたじゃないの」

恭子「それにしても出撃する前に黒川さんが死んだことを知らされるなんて」

のぼる「あの人にとっては知らないよりは知った方がきっとよかったわ」

 

恭子「六根、私、あなたのこと好きよ。でもそんなふうにはっきり口に出して言うあなたは嫌だわ」

のぼる「私のことなんかどうだっていいのよ。でもね、もし私だったら安心して恋人のところに行く気になる…って思うだけ。黒川さんだってきっと待ってるって思うもの」

恭子「やめてったら!」

のぼる「悲しんだってしかたがないものなら、私は祝福してあげたいのよ。せめてそんな形でもお二人が一緒になれることを」

恭子「私は嫌よ。生きていてこそ人間は結ばれるんですもの」

 

のぼる「でも、どうして黒川さんが死ななきゃいけなかったの? あんな若くてきれいで、あんなすてきな人がいたのに…!」

元子「もしかしたら、あんちゃんも…」

恭子「え?」

元子「いえ…」

 

もしかしたら、あんちゃんも千鶴子が死んでいたら、あの中尉さんのように思い残すことなく死んでゆくのだろうか…。元子はふと、黒川由美の恋に重ね合わせて正大のことを考えたのです。

 

ちょっとのぼるの考え方、分かるなー。

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これ、八千草薫さんは美しいんだけど、昭和31年の映画にしては結構トンデモ戦争映画だった。舞台はこのドラマと同じ昭和20年早春から8月にかけて。特攻隊で出撃することが決まっている夫と同じ出撃時間の8時に死のうと思った妻はひそかに毒薬を飲み、妻の顔を見に帰った夫は妻の亡骸を見て自ら銃を持ち…でもこれ、実際あった話というのがまたびっくり。この時代に青春時代を過ごした世代はまた独特なのかもね。

 

元子の机の上の正大の写真の前には色とりどりの折り鶴が5羽。

 

そして、その夜の日本放送協会は番組表にない放送を硫黄島に向けて放送しました。

 

放送室

のぼる「硫黄島で戦っている将兵の皆様、私ども国民は一体となって皆様のご健闘をお祈りしております。これから硫黄島で作られ、硫黄島で歌われた皆様の歌を東京からお送りいたします。『硫黄島防備の歌』どうぞお聴きくださいませ」

元子も脇につき、サポート。

 

男声合唱団の生歌。

♪太平洋の波の上

帝都の南千余キロ

浮かぶ眇たる一孤島

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ラジオ

♪今皇国の興廃を

決する要衝

 

ブチっと音声が途切れ、画面に字幕が出る。

 

昭和二十年三月十七日

 硫黄島玉砕

 

BGMがなくて、資料映像のミサイルが飛ぶ音だけ。

 

続いて3月23日、沖縄本島に艦載機が襲撃。沖縄放送局はロケット弾を受け、放送を停止。

 

そして、4月1日。

 

灯火管制下の茶の間

食べてるお茶わんの中身が黄色いのはカボチャ入り雑炊?

トシ江「これから先、一体どうなるのかしら」

宗俊「ケッ、どうもこうもねえや。いきなり50銭から1円たあ、お前、どういうこった、え、元子」

トシ江「何がですか?」

宗俊「ラジオ代だよ、ラジオ代! 何もかも闇闇闇で公定価格も何もあったもんじゃない。こういう時にだな、いっぺんに倍も値上がりするたぁ、どういう了見だ、え?」

トシ江「そんなこと元子に言ってみたって、しょうがないじゃないですか」

 

宗俊「だけどお前こいつ放送局の人間じゃないか。放送局の台所がな、どういう具合になってるか俺は知らねえよ。だけどお前、いっぺんにこういう時に倍も値上げをしてみろ。右に倣えの手本、見してるようなもんじゃねえか。目ぇつっぱらってねえで、あ? 言い訳できるもの言ってみろ、このバカ」←箸で指さすな。

元子「私は放送局を代表して言い訳なんてことはできないわ」

宗俊「な…何だとぉ?」

元子「だから、ラジオ聴くのやめんのよ」

 

宗俊「てめえ、親を脅迫する気か」

元子「どうして?」

宗俊「今、ラジオやめてみろ。その人間にお前、死ねっていうのと同じことじゃねえか」

元子「だから、どっちかを選ぶのはお父さんでしょう」

トシ江「元子」

 

元子「だって、私は一放送員にすぎないのよ。そうとしか言うことできないわ」

宗俊「たとえそうであってもだな、おめえ、親に向かって言っていいことと悪いことがあるぞ。お前、いつから親をやり込めていい気になること覚えやがった!」

元子「そんな…私はいつだって、お父さんはお父さんであってほしいから」

宗俊「しゃらくせえやってんだ」

 

元子「うちが焼ければラジオだって焼けるのよ」

宗俊「そんなこたぁ分かってら」

元子「そしたら、新しいラジオを売ってるお店がどこにあるの?」

宗俊「あるわけねえだろ、そんなもんは」

 

元子「だからよ。放送局だってただで電波は出せないのよ。だけど、集金に行けば焼け跡だったり防空ごう暮らしだったりして、とてもラジオ代なんて集まるありさまじゃないんです。けど、ラジオのない人だって警報は聴かなきゃならないでしょう。当然、まだ無事に持ってる人たちのを聴かせてもらってるわけよ。としたら、焼けてない私たちなんか、その人たちの分も払ったってバチ当たらないんじゃないんですか? 一升40円も50円もする闇米食べてるんでしょう? 15円もするおしょうゆ使ってるご時世にみんな命懸けでマイク握ってんのよ。放送局の人間だから言うわけじゃないけど倍になったところで命の綱がひとつき1円でつながるなら、こんな結構なことないじゃないですか?」←NHK職員の本音!?

 

宗俊「うるせえな、おめえは!」

元子「分からず屋!」

宗俊「バカ、ニュースの時間だって言ってるんだ。巳代子。ペラペラペラペラと…」

 

巳代子がラジオをつける。

ラジオ「ただいま7時をお知らせしました。大本営発表沖縄本島周辺の敵は昨31日朝、その一部をもって神山島ならびに前島に本4月1日来襲。その主力をもって本島南部地区に上陸を開始せり」

 

巳代子「いよいよ沖縄に上陸したって!」

宗俊「とうとう足元に食らいつきやがったな」

トシ江「あんた」

宗俊「次は九州だ。そうなりゃいよいよ本土決戦だ。くそぉ! 上からバカバカ爆弾落とされてるかぎりはお前、逃げ回るよりしかたねえがな、上がってきてみやがれ。ただ死んでたまるかってんだ。竹やりしごいてよ、一人でもアメ公をぶっ殺してやる! お代わり!」

トシ江「はい」

 

つづく

 

アメ公をぶっ殺す宣言エンド。

 

そういえば、地元も震災後にコミュニティFMができた。開局当初は平日昼間の一部の時間くらいだったのが最近は平日は朝から夜8時ごろまで、土日は午前中だけなど結構独自の放送をやっている。あとの時間はJ-WAVEが流れるという特殊なスタイル。戦争とは違うけど、災害時もラジオなんだよね~。