徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】岸辺のアルバム 第7話

1977/08/12 TBS

 

あらすじ

東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。

 

第7話

母・則子(八千草薫)がホテルに入るところを目撃してしまった繁(国広富之)。愕然とした繁は則子を待ち伏せし、相手がどんな男なのか確かめようとするが…。

2022.8.17 日本映画専門チャンネル録画。

Will You Dance?

Will You Dance?

  • provided courtesy of iTunes

国鉄渋谷駅の歩道橋を早足で歩いている則子。

 

繁の心の声「母を尾行するなどということは、やはり異常なことだった。自分では軽い気持ちだと思っていたが尾行なんてことができたのは、どこかでかなり強く母を疑っていたからだ。急ぎ足で行く母を追いながら、母が僕から家族から逃げていくというような気がした。そして母は紛れもない連れ込みホテルの中へ消えたのだった」

 

ご案内

御宿泊(洋室) ¥5,200

御宿泊(和室)  (1室)

 

御休憩    ¥2,700

       (1室)

 

横手ニモ出入口ございます

 

則子を尾行した繁は制服のままホテルの中へ。ホテルに入るとロビーは無人でスピーカーから女性の声で「いらっしゃいませ。左手にございます客室案内図をご覧ください。ランプのついている部屋が空き室でございます。そのままお部屋へ…」のアナウンス。

 

ドアが開き、短髪・髭のちょっと強面の従業員登場。繁は、40ちょっと前くらいの女の人がここに入ったから、その人を呼んでもらいたいというが、従業員は誰も来なかったとしらばっくれる。なおも食い下がる繁に出ていくよう体を押さえるが、繁は暴れ出し、さらに出てきた強面の男に腹パンチされた。

 

従業員控え室?のソファで寝かされていた繁が目を覚ました。近くで新聞を読んでいた腹パンチした男は支配人。繁は、またしても女の人を呼んでほしいというが、普通のホテルじゃないからお客さんの邪魔するわけにはいかないと突っぱねられる。支配人に女性との関係を尋ねられても答えない繁。生死に関わる用事じゃなければ呼べないと帰るよう言われる。

 

支配人役の睦五郎さんは時代劇、刑事モノいろいろ出演されてたみたいだけど、先週ドラマの中で渋谷駅前の大きな看板に「メイデイ40,000フィート」という映画があったんだけど、その映画のピート・ダグラス機長の吹替えもやっていて、へえ~と思った。

 

裏口から外に出された繁。

 

繁の心の声「まだ帰るわけにはいかなかった。母が出てくるのを待つのだ。どんな男か突き止めなければならない。突き止めてはり倒してやる。切り刻んでやる。地面に顔を押しつけて靴の底をなめさせてやる」

 

靴はまだしも?靴の底は嫌だな~。

 

ホテルの見える外階段のある建物の下で座っていると、孫を連れたおばあさんに「そんなとこでオシッコしようってんじゃないんだろうね?」話しかけられた。友達を待っているといってごまかすが、なおもやらないでよ!と念を押された。

 

おばあさんが去り、ホテルの前には支配人がタバコを吸って立っていた。電柱に隠れる繁だったが、当然すぐ見つかった。繁の立っている電柱には「桜丘15」と書かれている。

 

支配人はあのまま素直に帰るとは思えなかったと話しかけてきた。勝手じゃないですかという繁に、近所でうちのお客さんがもめるのは困ると支配人は冷静。ずっと離れてやればいいんでしょうという繁に「おふくろさんかい?」と尋ねる。

 

繁「おふくろなんかじゃありませんよ。おふくろなんかじゃないよ! おふくろは家にいて、今頃、洗濯物取り込んだり、お風呂の水入れたりしてますよ。冗談じゃないよ! おふくろなんかじゃないよ!」

支配人「そうかい」。指摘したもののズバリ当たって少し申し訳なさそう?

 

どっか行っちゃってくださいという繁にまだ20分しかたっておらず、そんな早くは出てこないという支配人。

 

支配人「余計なことだが大人にならなくちゃいけない。いきなりあんたに顔出されたら、その女の人がどんな思いするか、そういうことをよく考えなくちゃいけない。取り返しのつかないことをしちゃいけない。女の人は無理に連れ込まれたわけじゃない。約束をして自分で来たんだ。そういうこともよく考えなくちゃいけない。ハッ…あんたがあんまりムキになるんで昔の自分を思い出した。余計なせっかいだ。じゃあな」

 

去り際の支配人に今日のところはどんな男か確かめて、どんな人間か突き止めて、それだけで…と話しかける繁。なるべく頭を冷やすことだという支配人。

 

カタカナでファンタオレンジと書かれた缶ジュースを買う繁。こういう缶、覚えてる~。ああいう自動販売機も懐かしい。繁が待っている電柱のそばには柱につながれた柴系の雑種犬がいる。今なら虐待と騒がれそうな飼育環境。学校帰りの女の子たちが犬に声をかけ去って行く。

 

缶ジュースを飲み干し、車に寄りかかって待っている繁。犬も水を飲んでいる。そんな時、則子が出てきて、空き缶を蹴ってしまう繁。則子の出た少しあと、ネクタイを整えながらスーツ姿の北川が歩いている。

 

後から歩いてきた北川が則子に追いつく。やっぱりネクタイの結び目でっかいなあ。路地の分かれ目。

則子「さよなら」

北川「さよなら」

則子は北川に笑顔を見せ、立ち去る。

 

繁は北川に追いつき、近くに寄る。手をあげてタクシーを止めようとしている北川はすぐ近くに見知らぬ少年がいるのでチラッと一瞥。話しかけられない繁。北川がタクシーを止め、乗りこむと無理やり繁もタクシーに乗った。

 

北川「なんだい? 君は」

繁「あの…あの…行ってください、急いでるんです」

北川「ムチャだな、私が先に乗ってるんだよ」

繁「どこへ行くんですか?」

北川「赤坂だ」

繁「僕も赤坂です。行ってください。行ってください、運転手さん! 行ってください、ドア閉めてください」

運転手「降りなさいよ、あんたがいけないよ」

繁「でも急いでるんです。同じ赤坂ならいいじゃないか」

運転手「後からいくらでも来るよ」

繁「急いでるんだよ!」

北川「私が降りよう。運転手さん、運んであげてよ」

繁「あの…」

 

北川が降り、タクシーが走り出す。仕方なく地下鉄の辺りだと行き先を告げる繁。

 

運転手「さっきみたいなことしちゃいけないよ、あんた」

繁「え?」

運転手「公衆道徳は守らなくちゃいけないよ、やっぱり」

繁「ええ…」

 

タクシー初乗り330円。渋谷から赤坂までいくらかかったのやら。お金の心配を全然してない繁がすごいよ。あと、今回は冒頭から、繁に注意する大人が多くて、今のドラマにはない流れだなと思う。

 

腹パンチ&女性へ配慮するように言う支配人、オシッコするなというおばあさん、タクシーを譲る北川、公衆道徳を説くタクシー運転手。今の世の中、あまり知らない人に話しかけられることがまずないから、そう感じるのかな~。いきなりの腹パンチはひどいにしても総じてみんな大人だなと。

 

すっかり暗くなった頃、家へ帰った繁は家の鍵を開けようとするが、則子が気付いてドアを開けた。人が家にいても常に鍵をかけた状態で、他の家族が帰ってきたらチャイムを鳴らして則子が開けるのが定番らしい。

 

則子はステーキの肉があるというが、繁は沖田と飯食っちゃったと言って断った。新宿でいいお肉見て繁にだけ奮発したと則子は言うが、明日食べる、今日は食い過ぎた、勉強するから邪魔しないでねと部屋に入った繁。則子には熱でもあるの?と聞かれるが、何でもないといつも通り振る舞う。

 

浮気現場を見てしまい、則子にそっけない態度をとる。則子がますます孤独を感じるという負のループ。

 

繁「新宿だって。渋谷行ったくせに新宿なんて言っちゃって…」

 

真っ暗な自室にいた繁は、廊下の向かい側の律子の部屋に入ろうとするが、律子は部屋に鍵をかけていた。姉さんと小声で呼びかけたものの「今イヤ!」と拒絶された。大事なことだと言ってドアを開けさせたが、律子はしゃべりたくないという。ドアを閉めようとする律子に足を挟んでいた繁は痛がる。

 

その騒ぎに則子が階下から声をかける。繁は律子から消しゴムを借りようとしただけと言い訳。消しゴムならそういえばいいと繁に手渡す律子。律子の部屋に入った繁は則子を尾行したことを話す。渋谷の連れ込みに入ったことを話すと律子も驚く。

 

律子「あんた、なんにもしなかったわけ?」

繁「男といる所へ出ていくほど子供じゃないさ。そんなことしたらお母さんどうなる? 浮気してる所へ息子が顔出したら、お母さんどうなるよ? ショックを受けて立ち直れないかもしれないじゃないか」←支配人の受け売り。

 

男が飽きて離れたことにするのが一番いいと思うから繁は男に会って脅かすという。則子も繁や律子が浮気のことを知ってるなんて夢にも思わないし、これが一番いい。奥さんがいるなら奥さんにばらすといい、独身なら会社にばらすという。今日何も言わなかったことを責める律子。浮気くらい許してやってもいいともいう。

 

律子「あんた古いのよ。今どきセックスをそんなガチガチ厳格に考えてるなんてどうかしてるわよ」

繁「へえ~。じゃあ、姉さんは寝てるのかよ? 気楽にセックスしてるのかよ?」

な~んて会話をしてると、則子が繁を呼んだ。

 

則子は消しゴムを探していて、繁が無駄にしたものを取っておき、散らかしていたものを箱に入れて忘れていた。小学生の頃の消しゴムも出てきた。さりげなく律子の部屋を出ていく繁。律子は何か考えている?と思ったら回想。

 

アパートの廊下

敏子に紹介されたチャールズの部屋に行く律子。会話は英語。

チャールズ「Yes. 日本へ来て二月(につき)」

律子「Oh,no. You say"二月(ふたつき)"in Japanese.」

 

チャールズ「二月(ふたつき)ここにいます。1人」

お面が至る所に飾ってある部屋。

チャールズ「あなたを私の家へお迎えできてとてもうれしいです」

律子「あっ…Me too. いいお友達ができて私もうれしいわ」

チャールズ「私を利用して英語をうまくなってください」

律子「あなたも私を利用して日本語を覚えてください」

チャールズ「お互いさまね」

律子「Yes indeed.」

二人は笑い合う。

 

そしてチャールズの部屋のベッドで…

チャールズ「I can't believe it was your first time.」

律子「初めてなの」

チャールズ「Don't worry.」

律子「心配してないわ」

チャールズ「あなたのような人に会えてとてもうれしい。You're so beautiful. There's nothing to worry about. So beautiful. Nice.」

シーツを握りしめる手のアップや足先など…律子は自室でチャールズとのことを思い返している。則子も繁も律子もそれぞれいろいろあった日だったのね。

 

朝、謙作は既に起き、繁も起きた。洗面所で歯を磨こうとした繁だったが、則子が洗面所に来たので、謙作のもとへ行き、謙作と一緒に出ようかなと話しかけた。しかし、謙作は八王子の先に行かねばならず、会社から迎えが来るのだという。繁はもう少し早く家へ帰れないかと謙作へいう。

 

謙作が慌ただしく朝食をとっていると、中田が迎えに来た。今日も帰りが遅くなるという謙作に文句を言わない則子をいい奥さんだと褒める。

中田「僕もそういう人を探してるんですがねえ」

則子「いっぱいいるでしょ、中田さんなら」

中田「いや、絶望的ですね。当節、文句言わない娘なんていうのは1人もいないんじゃないですかね」

謙作と中田は出勤。繁は顔を洗う。

 

高校

職員室前の赤い公衆電話で電話をかけている繁。信彦が話しかけるが、繁は深刻な顔をして相手にしない。自宅に電話をかけるが則子がなかなかでないので早引きすると信彦に言うが、則子が出た。謙作の生年月日を聞く繁。

 

夜、繁の部屋。

 

階下から

則子「お父さん…ハァハァ…」

謙作「んんっ…」

と声がする。

 

則子「ほら、足」

えっ、ナニコレ?と思ったら、酔っぱらった謙作が玄関で寝てしまい、則子が運ぼうとしてる音でした。体の大きな謙作を運ぶのは大変そう。

 

高校

またしても自宅に電話をかける繁。繁の左腕にしている腕時計がミッキーマウスで、イメージとして↓こんな感じだけど、懐かしい。

則子に不審がられる繁。いちいち心配して繁のそばにいる信彦。なかなか電話に出ない則子を心配して家に帰る繁。

 

則子は繁が5日連続電話をかけてきたことを堀先生に相談しに学校に来ていた。3日くらいはそれらしい用事を言ったが、4日目には「電話かけちゃいけない?」とケンカ腰になり、5日目は「うちの屋根の瓦は何枚ぐらい使ってるんだろう?」だった。則子がそんなことが必要なのと問うと、繁は物理の時間に聞かれると話した。

 

ノイローゼになったのかと気になったという則子。謙作とも相談して本人に聞く前に先生なら何かお気づきじゃないか、一度相談した方がいいということになった。堀先生は妙な女の子にしつこくされているからではないかと話しだした。そのことは解決したはずだというが、則子はその女の子のことを気にする。

 

堀先生は繁が打ち明けたことが両親に筒抜けになるというのは信用問題に関わるからと繁に話して解決しなければ話をするといって詳細は言わなかった。瓦のことも物理の先生に聞いてみるという堀先生。

 

柱につながれた犬と戯れる男の子たち。繁はまた渋谷のホテル前にいた。

 

家に帰った則子は窓を開け、外を見ていた。

 

外はすっかり暗くなっている。車中で話をしている謙作と中田。

謙作「それを誰かに話したか?」

中田「まだです。しかし、悪い話じゃないと思うんですが」

謙作「俺は感傷的な人間かもしれん」

中田「兵器に関しては率直に申し上げてその気味があると思います」

謙作「うん」

中田「外国で作ったものを買うならしかたがないが作るのはいかんというのは論理としても筋が通りません」

謙作「そのことは納得してるじゃないか」

中田「なら輸出も同じことじゃないでしょうか」

謙作「そうかな?」

中田「日本の兵器工場は自衛隊のために国産のいい小銃を作ろうと開発に相当カネを使っています。事実、64式という小銃は傑作だとされてます」

ja.wikipedia.org

謙作「うん」

中田「いや、しかし自衛隊が使う量などというものは高が知れているんです。コストダウンのためにもできたら輸出したいというのは、ごく自然なことじゃないでしょうか」

謙作「その橋渡しをするわけか」

中田「うちは出遅れているんです。今の会社の状況を考えたらためらっている余地はないんじゃないでしょうか。政府も自衛隊が使ってる兵器なら原則として輸出してもいいという見解を取っています」

謙作「紛争当事国にはいかんという規制があるはずだ」

中田「紛争の可能性のある国へもいかんということになっています。しかし、それはいくらでも解釈のしようがあるわけです。スイスだって高射機関砲の輸出じゃちょっとしたもんだし、スウェーデンだって兵器産業じゃ一流です。輸出の量を自慢してるぐらいです。なぜ日本だけがこんなに武器に対してアレルギーがあるのか分かりませんね」

謙作「それが日本の良さじゃないのか?」

中田「良さでしょうか? 僕にはただ感傷的なだけだという気がしますが」

謙作「君は戦争を知らんからな」

中田「そうかもしれませんが」

謙作「空襲を知らない人間が大半を占めるようになった」

中田「部長のお気持ちも分からないではありませんが小銃の輸出ぐらいで神経を立てることはないんじゃないでしょうか。会社は乗ると思いますね」

謙作「乗るだろうな」

中田「明日、提案していただけますか?」

謙作「個人的な漠然とした恐れだが…」

中田「はい」

謙作「小銃の輸出を始めれば小銃だけでは済まなくならないか?」

中田「小銃に限ればいいじゃありませんか」

謙作「うまみがあったとき、会社がそれで済むか?」

中田「そのときはそのときです」

謙作「どう出る?」

中田「そのときの判断です」

謙作「そういう現実主義はとめどがなくなるんじゃないかね?」

中田「叱られるかもしれませんが…個人的な感情は抜きに願います」

謙作「うん」

中田「今、会社はそんなときではないはずです」

謙作「うん…」

 

中田演じる村野武範さんは1945(昭和20)年4月生まれで当時32歳。役年齢は20代後半の戦後生まれの設定かもね。兵器を作ること、輸出することに抵抗のある戦争を知った世代と知らない戦後世代の会話が興味深かった。

 

夜、繁を呼びつけた謙作は「受験ぐらい…何がノイローゼだ」と怒っている。その感覚、まさしく昭和。午後、学校をサボってどこに行っていた!と怒鳴りつける謙作。繁は授業よりはかどる気がして図書館に行っていたと言い訳。「平均点以下の成績でそんなことする資格ないよ」と冷たい。

 

謙作「お前、何も取り柄がないじゃないか。せめて学校ぐらい真面目に行かなくちゃいいとこなんかなんにもないじゃないか」ひ~! 厳しいなあ。則子への電話のことも怒る。「屋根の瓦の数をなぜ電話で聞かなきゃならないんだ!?」とぶち切れ。

 

謙作「お母さんも先生もお前がノイローゼじゃないかって心配してる。しかし、お父さんはそんな下らん心配はせんぞ」

則子「くだらないって言うけど…」

謙作「よしんばノイローゼだとしても俺はお前をいたわる気持ちなんぞない。受験ぐらいで何を言ってるんだ。んなことでノイローゼになるヤツに実社会が生きていけるもんか。んな甘ったれは生きてる資格ないよ!」

うわ~! よしんばを日常会話で聞くこともないね。

 

言いたいことがあるなら言え!となおも繁を責め立てる謙作。帰ってきた律子は「角曲がる前から聞こえてたわよ」と指摘。10時半過ぎに帰ってきた律子が酔っ払っていたことに気付き、さらに怒りが増す謙作。律子は「ビールの1~2杯くらい誰だって飲むわよ」と反論するけど、律子は大学1年で誕生日が来ていても19歳。

 

律子を殴ろうとした謙作を繁と則子で止める。繁が謙作を羽交い絞めにし、律子を背後から抱き締めてかばう則子。

 

寝室。布団で横になっていた謙作の目は開いている。則子がけんか腰で怒鳴ってしまう謙作をやんわり諭す。則子もだんだん手に負えなくなっているという。だからといって親のせいだけとは言えない、しかし、自分も悪かった、繁は男の子で何を考えているか分からないけどもう少し立ち入ればよかった、疲れているのは分かっているけど、私だけじゃどうしていいか分からなくなるときがあるのよと謙作に話した。

 

謙作は会社がだいぶ危ないんだと初めて話した。潰れるようなことはない、1か月前に知り、上がひた隠しにしていた負債が予想以上に大きいのだという。金もうけならなんでもやれという非常態勢に入っている。余計な心配はかけたくなかったが、今の俺は普通じゃない、余裕がないんだ、家族のことはなるべくお前に押しつけたいと聞かされた則子は、言ってくれてよかった、謙作には応援を頼まないと謙作に話した。

 

茶店

北川「会わない?」

則子、うなずく。

北川「それは…」

則子「ごめんなさい」

北川「誰かに知られましたか?」

 

則子「そうじゃないの。ただ、もう会わないほうがいいって思ったんです」

北川「そう…」

則子「理由はありますけど言いたくないの。そうさせてください。ごめんなさい」

北川「そういう…約束ですからね。『よそう』と一方が言ったときは、よす。しかたがありませんね。そういう約束ですから」

 

繁はまた学校から電話をかけていた。電話の呼び出し音が家じゅうに響いていた。繁は受話器を置いた。

 

リビングにいるつがい?のカナリアがインテリアみたいにただいるのが家族の誰も関心なさそうだし、かわいそうに見えてくる。

 

則子はこれで北川との関係を完全に切るのかな。こうなったらもうすっぱり関係を断ち切り、家族に向かって欲しいな。母親一人だけというのもきついけどね。