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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(83)「奄美想いて」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

喜八郎(小島慶四郎)とイシ(岩本多代)のすれ違いで、わが子を亡くした悲しい思い出をイシから聞いた町子(藤山直美)は健次郎(國村隼)に相談する。だが、イシも大事なことを忘れていると健次郎はいう。それ以上のことを町子に話さない健次郎だったが、翌日、家族のふとした会話の中で健次郎が医者になった理由を知る。健次郎は喜八郎に言われて医者になったのだ。それはイシと同様に、わが子を亡くした思いからであった…。

茶の間

町子はすすり泣きしている。

健次郎「何や、こんな時間まで…。何してんの?」

すすり泣きが止まらない町子。

健次郎「どないしたん?」

まだ泣いてる町子。

 

健次郎「あ…さっきの講演会のことな、あれはちょっと僕が言い過ぎた。せっかく僕のこと思て無礼なやつ叱りつけてくれたのにな。ほんま、うれしかったんやけどな、あの…」

町子「もう…何を言うてんの? そんなことはもうどうでもええの」

健次郎「どうでもええ? ほな何で泣いてんねん?」

町子「お母さんに話聞いた。病気で亡くしはった娘さんのこと…」

健次郎「ああ…」

peachredrum.hateblo.jp

回想

イシ「男の子が続いたあとの女の子でもう産まれた時、そりゃほんまうれしいてね。あの、お父さんが真っ白い半紙に書いた『命名 正子』ていう黒々とした字が、今でも目の前に…」

回想ここまで

 

冒頭の町子のすすり泣きから一気に昨日の回のことを思い出して泣けてきたけど、イシのセリフでまた泣いた。イシさんが泣きだしそうだけど、当時を思い出して楽しそうに語るのが余計泣けるのかも。

 

健次郎「それでか…」

町子「お父さん、もう忘れてはるのかな? それやったら、お母さんかわいそう…。ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

町子「いっぺんお父さんに話、してみて。お母さんがものすごくつらい思いしたこと。それで今でも絶対に忘れられへんてこと…」

 

健次郎「いや、それは余計なことや」

町子「え?」

健次郎「なんぼ親子でもそこは夫婦の問題や。僕らが口挟むことやない。それに…おふくろかて忘れてるわ」

町子「は?」

 

健次郎「大事なこと忘れとる」

町子「どういうこと?」

健次郎「夫婦も長いことやってると周りからはよう見えてんのに本人らはそれが当たり前になってしもて…」

町子「ちょちょ…ちょっと待って。ちょっと健次郎さん。話、半分やん。最後までちゃんと言うてって。気になって、ほれ、今晩寝られへんから、私」

健次郎「何を言うてんねん。いつもあんた横になった途端2秒で寝てるで。心配しな。おふくろかてそんなアホやない」

 

翌朝になっても、当然、町子は健次郎の言う意味が分からないままで喜八郎とイシのすれ違いに気をもむばかりです。

 

朝、茶の間

電話が鳴る。

町子「ちょっとすいません。はい、もしもし徳永でございます。あっ、加代子? あ、どうもごめんね。カクニのことでいろいろとお世話になっ…。え? うん。うそ! うん。あ~、そらもうしゃあないことやね。うん。ううん、いい、いい。うん、とんでもない。ありがと、ありがと。うん。ご主人によろしゅう言うといてね。はいはい。はい、ありがとう、どうも」電話を切る。

 

登「おばちゃん、カクニがどないしたん?」

町子「預けてた加代子のとこの柴犬がね、クッキーがカクニと相性悪いんやて」

健次郎「相性?」

町子「うん。何や知らんけどクッキーがカクニのこといじめるんやて。で、けがしたらあかんからカクニこっちへ返したいて言うてきた」

 

登「帰ってくんの?」

町子「うん」

登・隆「やった~! やった~! カクニ、カクニ、カクニ、カクニ!」

町子「出戻りやね」

 

晴子「何騒いでんの?」

イシ「たまには早う起きてごはんの支度ぐらい手伝いなさい」

 

健次郎「お前ら、分かってるやろうけどな、帰ってきたとしてもうちでは飼われへんで」

登「分かってる」

健次郎「次の行き先が決まるまでや。分かったな」

登「何で医者の子に生まれたんやろ…。僕、普通の家がよかった」

健次郎「アホ」

登「お父ちゃん、何でお医者さんなんかなったん?」席を立つ。

 

晴子「今からでもお医者さんやめて映画俳優になったら? お兄ちゃんやりたかったんやろ?」

健次郎「誰がそんなこと言うたんや。しょうもないこと…」

晴子「昭一兄ちゃん。船乗り、料理人…いろいろ言うてたらしいやん」

町子「えっ、そうなんですか? ねえ。ねえ、健次郎さん、そしたら何でお医者さんになったの? ねえ」

 

健次郎「なりたいからや」

晴子「うそ。お父ちゃんに言われたからやろ」

喜八郎は黙ってご飯を食べている。

健次郎「なりたいからなったんや。ごちそうさん

イシも何か思い出した?

 

玄関

町子「晴子さん! 晴子さん!」

晴子「うん? 何?」

町子「あの、ちょっと話を…」

晴子「急いでんねけど」

 

町子「いや、ほんでお父さんが何で健次郎さんに『医者になれ』て言うた…ねえ」

晴子「そんな話、また今度」

町子「いや、ちょっとあの、今、話、聞かせて…」

晴子「急いでんの!」

 

町子、玄関に置かれた晴子の靴を取り上げる。

晴子「あっ、ちょっとちょっと返してって!」

町子「話、聞かせてくださいって!」

晴子「お父ちゃんは昭一兄ちゃん医者にしようと思たけど、医者の学校あかんかって…。そやから健兄ちゃんがなったの。分かった?」

 

町子「何で紬の仲買の仕事と違って医者にって? ねえ」

晴子「それは…。私の上にいてた赤ん坊を亡くして村に1人しかお医者さんいてへんかったから悔しい思いしたからて…。そやから息子を医者にしたかったの」

町子「そんなことがあったんですか…」

 

診察室前の廊下

町子「健次郎さん。あ…。健次郎さん」

健次郎「シッ」

 

窓の外を見ていた健次郎は指さす。そこには喜八郎とイシが向かい合って立っていて、喜八郎が何か紙を渡す。

 

健次郎「何やろ? あれ」

 

紙を見たイシは驚き、泣き出す。

 

町子「晴子さんに聞いたの。お父さんが子供をお医者さんにしたかった理由」

健次郎「まあ、僕が医者になったのは、それだけが理由やないねんけどな。ただどっかにそれがあることもほんまや。おやじが言うたんや。『医者になって正子みたいに病気の子供をようけ助けてやれ』言うて」

町子「そのことお母さんは?」

 

喜八郎の胸で泣くイシ。

 

健次郎「知ってるはずやけどな。いつの間にか忘れてしもたんやろな。僕がこうやって医者を続けているかぎり、おやじは絶対にあの子のこと忘れるはずないねんけどな。まっ、一件落着や」

 

茶の間

由利子「せ~の!」

子供たち「結婚式おめでとう!」

 

昭和43(1968)年に結婚50年ということは

大正7(1918)年、結婚

イシは昭和42年の誕生日に古希(数え年の70歳)を迎えたので、明治31(1898)年生まれ。結婚したのは20歳の時。

昭和3(1928)年 正子誕生

 

数日遅れで仕切り直しのお祝いとなりました。

 

子供たちに花束をもらって喜八郎喜ぶ。イシさん、お着物ステキです。町子、健次郎、一真、俊平、貞男、鯛子、晴子、純子も拍手を送る。

 

出戻りのカクニの行き先はまだ決まっていませんでしたが…

 

カクニも赤いリボンのついた大きな骨をもらう。

 

喜八郎が島唄を歌い、町子たちも踊る。

由利子「おばあちゃんも踊ろう!」

イシ「え~!」

由利子と清志が手を取って立たせる。イシさん、手つきがきれい。日本舞踊とか絶対やってるだろうな。

 

宴会は楽しくにぎやかに続きました。

 

町子は座っている晴子の両脇に手を入れて立たせて一緒に踊った。貞男、俊平も踊る。

 

満月の夜

カクニをだっこしている登と隆。

喜八郎「ふう~。あっ、ハハッ。あ~。ここで飼うてやれたらええのにな」

登「あかんの?」

喜八郎「あかんなあ。けどな、心配しな。じいちゃんがちゃんと行き先見つけちゃる。すぐに会えるとこをな」

登「ほんま?」

喜八郎「約束じゃ」

 

茶の間

机は宴会バージョンの縦に並んだまま。そこに健次郎だけポツンと座っている。

喜八郎「あ…。あれ? 町子さんは?」

健次郎「今、仕事の電話してる」

喜八郎「うん」

健次郎「お母ちゃん、亜紀、風呂入れてるわ」

喜八郎「うんうんうんうん…。50年じゃが…」

 

壁に貼られた「金婚式おめでとう」の紙。喜八郎、イシの似顔絵つき。

 

健次郎「長かったか?」

喜八郎「いや、あっという間。お前らもすぐじゃ」

健次郎「アッハハ。何を言うてんねんな。まだ1年ちょっとたっただけやで」

喜八郎「あ、そやったな。アハハハハハ。はあ」

 

健次郎「なあ」

喜八郎「うん?」

健次郎「今日、何見せとったん?」

喜八郎「何?」

 

健次郎「お母ちゃんに見せとったやろ、何か紙…」

喜八郎「ああ…。あれはないしょ」

健次郎「ないしょ?」

喜八郎「うん。お母さんとワシだけの秘密。ヒヒヒヒ…」

健次郎「気色悪いな…」

 

喜八郎「なあ、健次郎」

健次郎「うん?」

喜八郎「ここだけの話やけどな、おなごっちゅうのは、ほんまにやっぱりアホやな」

健次郎「は?」

 

喜八郎「いやいや、男はな、わざわざ口にして言わんかて分かってるやろなと思てること何にも分かっとらん。けどまあ、これだけかいらしいもんもないからな」

健次郎うなずく。

喜八郎「よう覚えとけよ。おなごは男とまるっきり違う」

健次郎「そんなことぐらい分かってるがな」

喜八郎「あ、そうか。エヘヘヘヘ…。よう覚えときや」

健次郎「はい」

席を立ち、障子戸を開け、振り向いて「よう覚えとけよ~」と喜八郎は出ていった。

 

健次郎「分かってるて…」

 

廊下

町子「あ…お父さん。もうおやすみですか?」

喜八郎「うん。町子さん、今日は楽しかった! おおきに!」

町子「私たちもです。おやすみなさい」

 

喜八郎「おやすみ。あっ、町子さん」

町子「はい」

喜八郎「健次郎頼むわな」

町子「何ですか? 急に」

喜八郎「おやすみ」

町子「おやすみなさい」

 

茶の間

町子「あっ、健次郎さん」

健次郎「仕事、片づいた?」

町子「ええ。おかげさんでなんとか」

健次郎「はい」お酒を注ぐ。

町子「うれしい。ありがとう」

 

健次郎「あれやなあ、カクニの行き先もはよ見つけなあかんな」

町子「近所で誰かいてはらへんやろか」

健次郎「おりんさんとこに貼り紙でもさせてもらおうか」

町子「ああ、それ…。あ~っ!」

 

たこ芳

町子「すいません!」

りん「あ~、いらっしゃい」

 

カウンターで酔っ払っている楽団員たち。

町子「ああ…」

りん「待ちくたびれてねえ」

 

楽団の男「ああ…そろそろ…そろそろ出番ですか?」ビール瓶に割りばしを当て、演奏してるふり。

 

健次郎「忘れてほったらかしにしてんで…」

町子「お兄さんの気持ちやと思てね、もっぺんお願いしたんですけれども、私、踊って忘れてしもてた…」

 

楽団の男「ちょ…ちょっと、ほら行きますよ。はいはい。ほら、行きましょう」

町子「すいません…」

楽団の男「出番ですよ。お仕事です」

ほかの楽団員たちは酔っぱらって椅子から転げ落ちる。

楽団の男「あ~あ~、すいません。すいませんね。こんな所で寝ちゃ駄目でしょ。ちょっと寝ちゃ駄目ですよ」しかし、この人まで立ったまま眠っていびきをかいている。

 

町子「健次郎さん…」

健次郎「アホ!」

 

その数日後のことでした。

 

廊下

由利子「お父ちゃん! お父ちゃん!」

 

茶の間

由利子「お父ちゃん!」

健次郎「何や?」

由利子「おじいちゃんがお風呂で!」

町子「え…」

イシ「え…」

 

すぐ立ち上がる健次郎。町子も「お母さん!」とイシの手を握り、廊下を歩いていった。

 

ミニ予告

廊下から外を見る昭一!?

 

おじいちゃん…。カクニもどうなる!?

 

↓再放送の朝ドラについて記事が出るのはうれしいけど、ネタバレしないでほしい(映画とかネタバレしまくってるくせに何を言う)。夕方の再放送「純ちゃんの応援歌」も結構いい作品だったなのに、あんまりこういう記事見なかったな。