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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(30)「すれちがい」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)は、出版社から書店でのサイン会を依頼されるが、花岡家に来て初めての健次郎(國村隼)の子どもたちの運動会を応援するのに、間に合うかどうか微妙なため、困り果てる。運動会の当日、子どもたちの豪勢な弁当を作り、サイン会の会場に向かう町子。サイン会は大盛況で、行列がとぎれる様子はない。ようやくサイン会を終え、時計をのぞき見ながら慌ただしく、運動会の会場に駆けつける町子であったが…。

今日は子供たちの運動会です。この日、町子は新刊本のサイン会で昼過ぎまで神戸にいなければなりませんでした。

 

台所

巻きずしを作っている町子。「どうかな? うん! おいしい!」

 

お重にはウインナー、エビフライ、巻きずし、おいなりさん等々並ぶ。

町子「エビフライね! よいしょ…」

隆「おはよう!」

町子「おはようさんです!」

隆「見せて、見せて!」

町子「あかんて! 見たら…お昼の楽しみやから、見たら…いやいやいやいや、もう、見たらあかんて。ねえ、それよりさ、朝ごはんにしよう。ねっ、みんな呼んできて、早う。はいはい、早う行って呼んできて。それ、行け」

 

隆「おばちゃん、今日、お仕事終わったら見に来てくれんねやろ?」

町子「お仕事終わったら飛んでいくよ」

隆「うん!」

町子「絶対に間に合うからね! うん!」

 

全てを見るのは無理でも、せめて最後の組み体操、隆の晴れ舞台には何としても間に合いたい町子でした。

 

清志・登・隆「行ってきま~す!」

町子「行ってらっしゃ~い!」

イシ「おじいちゃんとおばあちゃんは行かれへんけど頑張るんやで!」

隆「おばちゃん、絶対来てや!」

町子「約束する!」

 

イシ「うわ~、張り切って。私らも法事がなかったら応援に行くんやけど」

町子「代わりに私が3倍応援しますから。ほな、ちょっと支度を」

イシ「はい」

 

健次郎「行ったか?」

町子「あっ、健次郎さん、あのね、テーブルの上にお弁当置いてありますから、あとお願いいたします」

健次郎「中身は?」

町子「え、中身? 巻きずしとね、それから卵焼きとウインナーとにぬきとカシワの炊いたんと…」

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にぬき…ゆで卵、カシワ…鶏肉 へぇ~!

 

サイン会会場

花岡町子 最新刊

「恋の風見鶏」

サイン会 会場

 

控室

書店社長・福柳「いや~、今日はどうもありがとうございます。従業員たちも皆、今日、花岡先生にお会いできるのをそらもう楽しみにしとりますね。『ちゃんとサイン色紙持ってきとうか?』言うたら『当たり前です』言うとりましたわ! ハハハハハ…!」

町子「ありがとうございます。うれしいです」

出版社編集・滑川「ええ、何と言ってもこちら地元神戸が舞台の作品ですからね。やはり親近感をお持ちになられるお客様も多いんじゃないでしょうか」

 

福柳「そらそうですわ。神戸に住んどう人は神戸のことものすごう好きですよってにな。ハハハハハハハハハ…!」

町子「私も神戸、大好きなんです。海も山もあって異人館通り歩いていると何か外国に行っているみたいですよね」

福柳「ほんまほんま! そうそう、北野の方にね、生演奏の聴けるおしゃれなジャズクラブがありましてな!」

町子「私、ジャズ好きです」

福柳「それと南京町においしい広東料理のお店があります! 是非、お連れしたいです!」

町子「中華料理も大好きです」

 

福柳「『恋の風見鶏』第2弾は『愛の北京ダック』」

町子「神戸のトリ・シリーズですね」2人笑う。

滑川「(せきばらいして)あの~、勝手なシリーズ作られては困ります」

福柳「すいません。調子に乗りまして。あっ、そろそろ時間ですな」

町子「お客さん、来てくれはりますやろか?」

福柳「大丈夫ですて。ワシ、ちょっと見てきますわ」

 

部屋を出ていく福柳。

滑川「何が『北京ダック』や。大丈夫ですかね? この本屋さん。この貼り紙もついさっき作ったみたいですし、何だか雑な感じだ」

町子「お客さん、少なかったら恥ずかしいなあ…」

 

福柳「ああ、分かっとう、分かっとう!」

廊下から声が聞こえ、控室に戻った福柳に部下?が耳打ちする。

 

滑川「ああ、もしかして…」

 

福柳「どないしましょう…」

町子「お客さん…」

福柳「3軒隣まで行列が出来て一騒ぎになっとうて!」

町子「え!?」

 

階段までぐるっと人の列が続く。金屏風の前のテーブルに座る町子。「はい」

サインを渡して握手。

女性「私、先生の小説、大好きなんです。関西弁でこんなロマンティックな恋愛小説、初めて読みました」

町子「ありがとう。ありがとう」

 

そのころ、子供たちの運動会は…

 

大阪市立天満北小学校

 秋の大運動会

 

6年生による騎馬戦が始まっていました。

 

白組の清志は騎馬戦の上。

 

健次郎「清志、頑張れ!」

亜紀「お兄ちゃん!」

 

清志「とった~!」

 

健次郎「よし! やった!」

由利子「すごい!」

亜紀「お兄ちゃん、やった!」

 

サイン会

町子「はい、どうもありがとう」

「はい、ありがとうございます」

町子「ありがとう」

 

福柳「ありがとうございます。どうぞ今後ともごひいきに!」

滑川「ありがとうございます」腕時計を見る。

 

町子「どうもありがとうございました」

「先生、どうぞ」おしぼりを渡される。

町子「すいません」

 

まだまだ人は並んでいる。腕時計を見る町子。

 

「お願いします」

町子「あっ、はい」

 

運動会

お昼にお重を広げる。

健次郎「お~!」

清志「うわ~、すごいお弁当!」

由利子「おいしそう!」

 

隆「なあ、お父ちゃん」

健次郎「うん?」

隆「おばちゃん、まだ?」

健次郎「あ~、まだみたいやな」

 

あからさまにしょんぼりする隆。

健次郎「清志は今日、よう頑張ったな。ほな、みんなで乾杯しよか。はい、乾杯するで。はい、乾杯」

一同「乾杯!」

男の子たちは水筒、ほかは湯飲み。こういう運動会や遠足では砂糖入りの甘い麦茶を母が作ってくれたな~。↓この記事に出てくる地名には出てきてないけど。

macaro-ni.jp

健次郎「はい、さあ、そしたらいただきます」

一同「いただきま~す!」

しょんぼりして食べない隆においなりさんを渡す健次郎。「ほら、うまいぞ!」

 

サイン会

町子「はい、どうも」

「ありがとうございました」

町子「どうもありがとう」

「ありがとうございました!」

 

福柳・滑川「ありがとうございました!」

 

町子「はあ…!」ペンのキャップを閉じる。

福柳「どうもありがとうございました」

町子「いえ、とんでもないです。皆さん、いろいろお世話になりました。ありがとうございました」テーブルの下からもうハンドバッグを手にしている。

福柳「すいませんな。予定外に時間が延びて」

町子「いえ、とんでもない。ありがとう。大丈夫、大丈夫。いや、もうたくさん来ていただいたので大変喜んでおりますので」

 

福柳「あの、何かご用がおありですか?」

町子「いや、ちょっと、私用が…」

福柳「それやったら私の車でお送りしましょう」

町子「いや、結構です。電車の方が時間早いと思いますので。失礼します」

 

駅の階段を駆け上がる町子。発車のベルが鳴る。

 

運動会

登のフォークダンス

健次郎「ハハハハハ。踊っとる、踊っとる。ちゃんと踊っとるわ」

由利子「緊張してるわ」

健次郎「登、もっと楽しそうに踊らなあかん! 楽しそうに!」

由利子「そうやで! 登る、こうやで!」立ち上がって亜紀の手を取って踊り始める。「♪チャラッチャラッチャ チャラッチャラ チャラッチャラ」

笑顔で見守りながらも腕時計をチラ見する健次郎。

 

駅の階段を下る町子。「ちょっとすいません! ごめんなさい! すいません!」

 

場内アナウンス「続いてのプログラムは3年生による組み体操です」

 

辺りを気にする健次郎。清志が6年3組(白)。登が4年2組(赤)。隆が3年5組(赤)。

 

整列して行進してきた隆たち3年生。

由利子「隆、頑張れ!」

隆はマチ子が来ていないのが分かり、がっくり。

 

スーツで全力疾走する町子。学校に到着すると、すでに先生たちが校庭を片づけていた。

 

健次郎「町子」

町子「終わったん?」

健次郎「うん。登な、ちゃんと踊ってたで」

しかし、町子は悲しそうにうつむく。

 

徳永家茶の間

一同の笑い声

清志「登、こんな顔して踊ってんねん」

登「うるさい! お兄ちゃん、一番先に帽子とられたくせに」

清志「馬が崩れたからや」

由利子「お弁当もおいしかったな」

登「うん。うまかった」

隆のしょんぼり顔を見ていた町子はワンテンポ遅れて「あっ、どうも。それはありがとう」

 

喜八郎「楽しかったじゃろうなあ~。ワシも見たかった」

由利子「隆、一番上でかっこよかったよ」

隆は食事中に席を立ってしまった。思わず立ち上がろうとした町子。

健次郎「ほっとき」

 

台所

洗い物をしている町子。

健次郎「たこ芳でも行こか?」

町子「あっ、はい」

健次郎「どないした?」

町子「私、やっぱりみんなに謝らなあかん」

 

健次郎「しゃあないがな! 仕事やいうのは言うてあったんやし。なっ、また来年があるわ」

町子、ため息。

 

廊下を歩いている健次郎に階段を下りてきた由利子が声をかけてきた。

由利子「あっ、お父ちゃん」

健次郎「ん? どないした?」

由利子、健次郎に耳打ち。

健次郎「え!? 隆、そんなこと言うてんの? おやじ、腰悪いしな…」

 

晴子「ただいま!」

健次郎「晴子!」

晴子「うん?」

健次郎「お帰り」

晴子「何? 何何何…?」健次郎が晴子に耳打ち。

 

台所にいた町子。

健次郎「お~い!」

町子「は~い! どないしたん? 亜紀ちゃん」

亜紀が向こうを指さす。

町子「あっち?」

健次郎「早う…早う、来てくれ!」

亜紀が町子の手を引っ張る。「はい! はい!」

 

茶の間と応接間の間の襖を開ける。

町子「いや!?」

 

由利子、健次郎、晴子、清志、登、隆がプラミッドを作っていた。ピラミッドの下の段にいる由利子が笛を鳴らし、顔を上げたり、右を向いたり、右を向いたり…

由利子「せ~の!」

健次郎「よいしょ~」と一斉に崩れた。

拍手を送る町子。

隆「大成功!」

 

健次郎「イテテテ! 早う下り!」

晴子「何で私まで…?」

 

町子「みんな、ものすごいわ!」拍手を送る。

健次郎「おばちゃんにな、見てほしかったんやて」

町子「うれしいわ! おばちゃんね、ほんま、見たかったんよ! 初めからみ~んな見たかったんやけどもね」

 

藤山直美さんのじわ~っと涙が浮かんでくる感じがいつもうまいな~と「純ちゃんの応援歌」のももさんの時から思ってました。

 

隆「お姉ちゃん、もっぺん、やる!」

由利子「え~っ!」

町子「あっ、ほな、私が一番上! 下!」

一同の笑い声

 

切なさ、戸惑い、そして喜び。新しい家族と暮らし始めた町子にとって、その全てがいとしいものでした。

 

来週は「思いやる心」

・路地

町子「一大事! 手伝うて! ありがとう!」

 

・茶の間

健次郎「お手伝いさん、頼んどいた」

 

・仕事部屋

町子「あ~っ、何すんの?」

 

・晴子「最悪のことも想定するのが一流の医者やて私は思てます」

 

・お辞儀するいしだあゆみさん

 

・ついに登場の昭一!?

 

・健次郎「自分の悪さ、人のせいにして恥ずかしないか。ひきょうなことや」

 

・外の塀

町子が健次郎を突き飛ばす。

 

・町子「私んとこのお父ちゃんは子供に手、上げたりせえへんかった」

 

ミニ予告

仕事部屋で何かを書きかけてやめる町子。

 

今週もしみじみよかった。運動会の雰囲気も懐かしい感じ。校庭にゴザ広げて家族でお重を広げて食べたなあとか。騎馬戦やフォークダンスはやったことない。組み体操は男子が中学生の時にやってた。いしだあゆみさんはどんな役なんだろう? 楽しみ。