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【ネタバレ】丹下左膳餘話 百萬両の壺

1935年 日本

 

あらすじ

28歳で夭逝した天才監督・山中貞雄の現存する1本にして日本映画屈指の名作。百万両の隠し場所が塗り込められた「こけ猿の壺」をめぐる丹下左膳と柳生一門との争奪戦に、左膳が居候をしている矢場の女主人櫛巻きお藤と孤児ちょび安とのエピソードを絡めたホームコメディ。伊賀の柳生家では、有事に備え百万両を密かに持っていた。その隠し場所を記した地図をコケ猿の壺に入れていた。柳生家の当主は、そうとは知らず、たいそう貧相なコケ猿の壺を弟の婿入り道具にする。これにへそを曲げた弟は、これまたそうとは知らずクズ屋に払い下げてしまい・・・のんきな左膳とお藤がひょんなことから育てることになった、チョビ安が金魚入れにしていつも持ち歩いている壺が実は、百萬両の謎を秘めたそれであった。

2021.08.17 日本映画専門チャンネル録画。なかなか戦前の日本映画を観る機会も少ないので録画してみました。

 

大河内傳次郎主演。源三郎役の沢村国太郎さんが長門裕之さん、津川雅彦さんの父。

 

こけ猿の壺をもらったのが源三郎。声は長門裕之さんに似てる気もするが、顔は弟の加東大介さんと似てる気がするなあ。

 

百万両の隠し場所が塗り込められているこけ猿の壺をうっかり源三郎に渡してしまい、返してもらおうとするが、三文にもならない汚い茶壺を返せと言われるのを不審に思い、突っぱねた。今度は100万両で返してもらおうとするが、妻がくず屋に売ってしまった後だった。

 

茶壺は町人の子供の金魚入れになった。

 

丹下左膳は片腕で顔に大きな刀傷のある男で矢場に居候をしている。矢場…射的場というか、座ったまま的に矢を放つ。左膳は矢場でイチャモンをつける客を追い払う。

 

左膳が助けた七兵衛という男が「安(やす)を頼む」と言って亡くなってしまった。安とは何のことか分からない。

 

源三郎は江戸中のくず屋で茶壺を探し、家人たちに送り出された源三郎は矢場に入る(なぜ?)。何十本矢を放っても1本しか的に当たらなかった。

 

左膳とお藤で七兵衛の家を捜す。大きな店の旦那と思っていたが、長屋の小さな家で安吉という息子がいた。七兵衛が死んだと言い出せない左膳。安吉が茶壺を持ってたのか! 安吉に話を聞き、安吉が母親も兄弟もいない独りぼっちと聞いてますます七兵衛のことを言い出せなくなった。

 

お藤はあんな汚い子家に入れたくない! 七兵衛が死んだこと言って泣かせてやる!とひどいこと言ってたけど、結局、ご飯を食べさせ、七兵衛のことは言わなかった。お藤がお店に戻ると源三郎がいた。

 

結局、左膳が一度も泣いたことがないという安吉についに真実を話す。茶壺を傍に置いてしょんぼりする安吉の後ろ姿。

 

左膳は居候のくせに「あのおばさんが面倒見てくれる」と適当なこと言った。お藤はツンデレなのか子供が大嫌いだからあんな汚い子供を1日も置いておきたくないと言いながら、綺麗な着物を着せ、矢場の手伝いをさせ、安吉がやりたいと言っていた竹馬にも付き合った。

 

矢場ですっかり顔馴染みになった源三郎は左膳に壺のことを話した。壺で飼っていた金魚が死んじゃった!って安吉が来たのに、源三郎は気付かず、一緒に金魚を釣りに行こうと左膳、安吉と出かけた。

 

源三郎はくず屋を探り当て、壺の持ち主が安吉と分かり、帰って行った。

 

妻の萩野に源三郎が壺探しをせず、金魚釣りをしているのがバレて外出禁止令を出されてしまった。源三郎はこけ猿の壺は見つかっているとして外へ出して欲しいとお願いしたが、萩野に信じてもらえなかった。

 

左膳は安吉に明日から道場に通わせると言うが、「これから学問が必要だ」とお藤は寺子屋に通わせると言い合いになる。その寸前まで「あ〜あ、子供の好きな人にあげちゃおうかしら」とか言ってるのに、お藤ったら。

 

結局、寺子屋に通っている安吉。お藤といい萩野といい勝ち気な女性と言うこと聞いちゃう男性という組み合わせなんだな〜。強気なこと言ってぶん殴られるかと思っちゃうよ。

 

萩野は庭の鯉に餌をやり、源三郎はじいの監視のもと釣り。源三郎は萩野にまた頼むが断られた。

 

壺を贈った源三郎の兄の家では「壺を求む」の貼り紙を江戸中に貼り出した。左膳は貼り紙を貼った男に一両やると言われ、安吉の壺を売ろうとするが、お藤は安吉の金魚がいるからかわいそうだと止められた。

 

左膳は安吉にメンコが欲しいと言われ、小判をそのまま渡した。小判でメンコをした安吉は両替屋の息子から大きな六十両の大判をもらってきたので、お藤が返すようにいい、返しに行く途中、男に盗られた。

 

両替屋から明日までにお金を返すように言われ、何の当てもなく明日返すと言って追い返した左膳。両替屋が帰った後、左膳とお藤は言い合いになり、それを聞いていた安吉が「けんかしないでください」と置き手紙を残して家出した。

 

橋の上で安吉を見つけ、左膳と安吉で博打に行ったが負け。帰り道、以前、矢場でイチャモンをつけた健太に出くわし(七兵衛殺しの犯人?)、安吉に目をつぶっとけと言って斬り殺した。

 

夜、源三郎は屋敷から抜け出そうとして門弟たちに叩きのめされた。翌日、左膳が源三郎の道場に道場破りに現れた。源三郎は頭が痛い、横腹が痛いとじいやに言い、お金を包んでやれと言うが、一両、二両のはした金!と左膳が怒り、とうとう源三郎は道場に顔を出した。

 

源三郎と左膳は顔を合わせ、六十両やるから負けてくれという源三郎の言葉に従った。大内傳次郎の跳躍力すげえよ! 

 

左膳は源三郎から安吉の持っている壺こそ100万両の壺だと知り、家に帰るが、安吉が壺を売れば一両になると知り、売りに行ってしまったが、なんとか壺を売る前に間に合った。

 

源三郎は道場破りから勝ったことで堂々と外に出られるようになり、矢場に行った。矢場の女(お藤じゃない女性)と浮気するためにしばらく壺は左前に預けると言って笑った。(終)

 

な〜んだ、矢場の女と浮気したくて壺を探すふりしてブラブラしてたのか! 左膳もいざとなれば強いのかもしれないけど、行き当たりばったりの人。お藤役の喜代三さんは芸者から女優、歌手になった人。すごいなあ。