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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (54)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

棟梁(森幹太)が、乙松(吾桐芳雄)と栄一(江戸家小猫)を連れて、古びた新居の修繕にやってきた。工事の音を聞きつけた大家のウララ(楠田薫)たちは、自分の家も見てほしいと頼む。マリ子が塚田(日下武史)の元へ挿絵を持っていくと、菊池寛の作品を出来るだけたくさん読むよう言われる。細谷(下條アトム)が、菊池寛とマリ子との組み合わせを心配する中、塚田は名実ともにマリ子を新進女流挿絵家に育てることを宣言し…。

ヨウ子が学校に出かけ、マリ子が玄関で送り出す。そこへ棟梁と乙松、栄一が来た。そういえば、三宅裕司さん演じる太吉が出征した時、もう1人アップで映し出された人が誰かなーと思ってたけど、大工の一人、粂吉だったのね。

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棟梁「奥さんには一方ならねえお世話になったんだからこういう時に駆けつけなきゃいつご恩返しができますかい」

マリ子「あの、でも、引っ越しの時は栄一さんにも手伝っていただいたし…」

棟梁「だからよ、大工の手は引っ越しが済んでからいるものなんですよ」

乙松「そろそろ使い勝手の悪いとこ出てきたでしょう? 今からそいつやらせてもらいますよ」

栄一も植辰に言われて、植木の手入れをしに来た。

 

棟梁「手間賃なんぞ頂こうとは思ってもいませんよ。これはね、え~、ごひいきさんに対するしきたりというもんだ。へえ」

棟梁の森幹太さんはヤクザの親分とか悪役が多かったそうですが、ここんとこ、ダンディな父親とか防衛庁長官とか見てます。どれも「マー姉ちゃん」より古い作品です。

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結局やっぱりお母様のやることは間違いとばかり言えないような? 大造たちだってこの家にお金がなくなったと知れば力を貸すだろうし。

 

ヒュ~ドロドロ(幽霊)は出なかったと笑顔で言うマリ子はウメはどうしてるか聞いた。

栄一「だからその何がね出たかどうかよ~く聞いてくれってさ」

乙松「そうだ。出たと言っときましょうか。そうすりゃあ、あの小うるせえ口もぱったり出入りできなくなるし」

 

マリ子とマチ子は部屋で作業していたが、オルガンの音色と金づちの音が気になるマチ子「あの不協和音どうにかなんないのかしら?」

どっちも単独だったら嫌いな音じゃないんだけど、まるで競争し合ってるみたいだという。

マリ子「だからってしかたないでしょ。あなた『しばらくやめてください』って頼みに行ってくれる?」

マチ子「私が?」

マリ子「だって私、気になんないもん」

マチ子「全く神経太いんだから」

マリ子「太いんじゃなくてマチ子ほど細くないだけ」

 

夕べはよく眠れたというマリ子にやっぱり同類項だというマチ子「でもそれでいて変なところで全く違うのよね。私たち本当にきょうだいなのかしら?」

マリ子「さあ? お母様に聞いてごらんなさい」

マチ子「やれやれ」

 

オルガンの音がやみ、金づちの音だけになった。

マリ子「トンテン、トンテンか…『人間誰でも自分の幸福をつくる鍛冶屋である』」

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マチ子「やめてよ、再出発の時にオネストさんの話は」

マリ子「いいじゃないの。言葉としては感心できるんだもの」

マチ子「でも最近、お母様も神妙ね」

マリ子「そうよ、でも油断は大敵よ。あれは必ず再発する性質の病気なんだから」

マチ子「脅かさないで」

やっぱり病気と言ってしまうマリ子が面白い。

 

マリ子は仕事が終わり、届けに行く「マチ子はお母様、お願いね」。

マチ子「うん、やむをえんでしょうな」

しかし、はるにお茶にしましょうと声をかけられ、マチ子も作業中断「どうしてお母様は職人さん来たら張り切っちゃうのかしら」。

 

大工たちとお茶。

栄一「おや、ご精が出ますね、お二人とも」

マチ子「『働かざる者食うべからず』だから」

お菓子は棟梁のお持たせ草加堂のおせんべい。ただで作業してお持たせまで。芋坂の

だんごは朝早くて無理だった。

 

そこにウララ、マドカがやってきた。

ウララ「お手すきになったところで結構なんざますけど大工さんにちょっと私どものベランダを見ていただければありがたいと思いまして」

棟梁「あ、あの…ベ…ベダンダ?」

マドカ「はい。先ほどからトントントンテントントントンテンって、そりゃあ、あなた気持ちのい~い音が聞こえてまいりましたでしょう。ですから姉と相談をいたしましてね。そしてうちのベランダの壊れた所をちょっと直していただけたらななんて存じまして。いえいえ、あの、お仕事の都合で結構なんでございますのよ。何せ古いお家でございましょう。女が2人で、もう目の届かない所もございまして…」

棟梁は早速見に行くという。

ウララ「ではごめんあそばせ」

マドカ「ごきげんよう

 

乙松「何ですかい、ありゃあ一体…」

栄一「だから俺が言ったでしょ? 大家は西洋ばばあだって」

はる「まあ、お口の悪いこと」

マリ子の話によれば亡くなったご主人が元外交官で外国生活が長かったらしい?

マチ子「でもよく見るとなかなかかわいらしいのね」

マリ子「そう、西洋人形がそのまま老けたみたい」みんな笑う。

マチ子「悪いわよ、2人とも」

 

はる「構いませんよ、それくらいなら。『豆食い食い人の悪口を言う』。荻生徂徠(おぎゅうそらい)も人のうわさは娯楽の一つだとこうおっしゃってますからね」

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マチ子「また今度は漢文にくら替えなの?」

はる「いいえ。これは物の例えよ。私は天地創造なされた我らが神を信じ続けるだけです」

 

まさに再発の可能性あり。かかる事態に備えるべく仕上がりを持って出版社に出向いていきます。

 

はるの行動にイライラしないのは、ナレーションでツッコミを受けてるから分かってて描いてるというか、これぞすばらしい母の行いみたいなふうに言ってないから面白く見ていられます。人の家のことだしね♪

 

塚田に画料をもらうマリ子。

細谷「しかし早いね~、あんたは」

マリ子「はあ?」

細谷「田河先生仕込みの芸術家肌っていうか。いや、マチ子さんの方はね、こう自分が納得できないとこっちがいくらじれたって平然として原稿を渡さないとこがあるから」

マリ子「申し訳ございません」

塚田「他人のことで君が謝ることない」

マリ子「他人じゃありません。きょうだいです」

塚田「仕事のことは別だ」

マリ子「はい」

塚田「仕事ってのはね作家もそうだが決められた期日までにできるだけの水準のものを仕上げて持ってくる。こいつは基本的な職業意識ってもんだ」

マリ子「はい」

 

塚田はマリ子に菊池寛を知ってるか聞いた。マリ子は読んだのは「父帰る」「無名作家の日記」「忠直卿行状記」くらい。「藤十郎の恋」は芝居で観た。

塚田は4日後の午後3時までにできるだけ菊池寛の作品を読んでくるようにマリ子に言う。

 

マリ子がいなくなると、細谷は菊池大先生の作品に無名の経験だってないに等しいあんな若い娘に…と塚田に言うが、菊池寛の合理主義と時代の流れとそれを察知する感覚のすばらしさを学べという。

 

細谷「それとあの子とどういう関係があるんですか?」

塚田「彼女は若い。それにまあどっちかって言えば美人の類だし。しかも大衆小説には女流の挿絵家ってのは一人もいない。こいつは話題にならないわけないだろ」

細谷「話題か」

塚田「ああ、そうだ話題さ。そして話題ってのは作るもんだ。いいか? これからは編集者が世の中の先取りをしていくようにきっとなる。こいつは俺の信念だ」

細谷「僕は悲観的ですね。作家に比べてジャーナリストの地位が低すぎるってのが証拠の一つじゃないんですか?」

塚田「そんなこと言ってっとお前の敬愛する田河先生もまずい立場に立たされることになるぞ」

細谷「彼を愛しているなら徹底的に守ってみせろよ。軍部の石頭どもから」

塚田「もちろんですよ」

細谷「何てったって『のらくろ』は『少年倶楽部』の大黒柱なんですから」

塚田「よし、俺は磯野マリ子を名実ともに新進女流挿絵家に仕立ててみせる」

細谷「失敗したら塚田さんの地位はなくなりますよ。菊池寛は文壇の大御所だけじゃなく春秋文学の大社長なんですからね」

塚田「運命共同体さ。選んだ以上はいつだって心中は覚悟の上だ」

細谷「鬼の塚田か。うわさ以上だ」

塚田「ああ、そうだ。俺だって命が惜しいもんな。死にたくなければあの子をしごいてしごいてしごき抜くだけさ。『女性倶楽部』新年号は絶対にあっと言わしてみせる」

 

鬼の編集者・塚田によって果たしてどんなものに仕立てられるのか神ならぬ身のマー姉ちゃん。知るよしもありませんが…。

 

帰ってきたマリ子に声をかける年子。だからこの家の前通らないんじゃなかったの!? 夜中のすすり泣きは聞こえなかったと言って家に入って行くマリ子。年子役の女優さん、昨日、「3年B組 金八先生」の第2シリーズを見返していたら、お調子者の青木繁好の母親役をしてました。ついでに言うと編集者の細谷さんも裏口入学を持ちかける男として登場。脚本家が共通しているせいか結構いるね~。

 

マリ子は画料をはるに渡す。父の写真の前に供えて祈るはる。

マチ子「いいの? 知らないから」

マリ子「いいの。反省してるんだもの。それは認めてあげなくっちゃ」

イヤイヤ、少し抜いて渡すとかさ…。

 

マリ子は図書館や本屋に寄って、今夜から小説の猛勉強をする。お夕食の支度ははるとヨウ子。マチ子は散歩!?

 

マリ子は小説を読んでヒロインがかわいそうで気の毒で…と泣いていた。

 

塚田のもくろみも知らず哀れなヒロインに涙するマリ子こそ運命のいたずらに木の葉のようにもまれるかもしれなかったのです。

 

と、28分で終了して「手のひらは小さなシャベル」が流れました。久々~。これくらいの頻度ならまあいいかな?

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細谷と塚田の会話を聞くと昔からそういう話題作りってあったんだな~と改めて思います。マチ子だって今は10代の女の子が描く漫画というので受けてたというのもありそうだし。しかし生涯漫画家だったということはやっぱり本物なんだとも思います。