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【ネタバレ】木下惠介アワー 3人家族(全26話)#13-#14

1968/10/15~1969/04/15 TBS

 

あらすじ

TBS『木下恵介アワー』で歴代最高視聴率を記録した人気ホームドラマ。偶然の出会いから始まる大人の恋と3人家族の心あたたまる交流を描く。男ばかりの柴田家と、女ばかりの稲葉家の二つの3人家族の交流を軸に、ロマンスやユーモアあふれるエピソードを盛り込んで話は展開する。山田太一が手掛けた連続ドラマ初脚本作。1960年代、大家族ドラマものが流行る中で、シングルファザー、シングルマザーの世界がリアルに描かれたのも話題となった。

13話

 

柴田家。テープレコーダーの音声を聞きながら英語の勉強をする雄一。

 

会社が派遣する海外留学の一次試験に合格した雄一は1月末の二次試験の準備に余暇のすべてを当てていた。

 

敬子の入りこむ余地はなかった。取り残されているような気持ちで…。しかし、敬子は雄一を忘れることができなかった。

 

稲葉家。敬子が料理をしていると明子が「お姉さん」と声をかけてきた。敬子が返事をすると「60辺くらい呼んだわよ」と明子。上の空だったんだね。自室でなくダイニングにいる明子になぜここにいるのか聞くとおなかが空いたからという。

 

明子「浪人なんてね、もうちょっとこう大事にするもんよ、普通は」

ほかの家なら10時と3時と夜食が出る。寒くないかとか家がうるさくないかとか気を使って大変なのだという。家族の協力がなきゃ大学なんてのは入れやしない。去年、落ちたのも明子のせいばかりではない。浪人は外に出れば肩身が狭いので家の中ぐらい言いたい事を言わせてくれなきゃ爆発しちゃう。敬子から明子へのおやつ?はふかし芋。

 

明子は片思いなの?とズケズケ聞く。

明子「だけどさ、あの人ちょっと野心家みたいじゃない。女の人、大事にしないね、ああいうタイプは」

敬子「誰のこと?」

明子「しらばっくれて、柴田君のお兄さん」

敬子「関係ないわ」

明子「隠すとこが変だと思うんだ、私」

敬子「黙ってお上がんなさい」

明子「ダメよ、あんな人。出世したくてウズウズしてんじゃない」

敬子「当然でしょ、男なら」

明子「やだやだ、仕事の合間に愛されるなんて真っ平ごめんだね、私は」

敬子「合間なんてないのよ、あの人には。仕事以外のことは考えないんですって、当分は」

明子「ほら、語るに落ちた。それでお姉さんガッカリしてたの?」

敬子「とんでもない」

明子「でもキザね、少し。仕事仕事って言い過ぎない?」

敬子「競争が激しければしかたないでしょ」

明子「普通のお嬢さんだからな、お姉さんは」

敬子「どういうこと?」

明子「仕事1本やりとかなんとか言われて諦めちゃうんでしょ? お姉さん」

敬子「関係ないって言ってるでしょ」

明子「押しまくっちゃうけどね、私なら」

 

敬子が話を切り上げると、キクが起きてきた。年取ると昼寝も30分がいいとことお疲れモードで日曜ぐらい休みたいと愚痴った。そして、敬子たちの話を聞いていてさっきの話ほんと?と聞いてきた。男なんてほんとに当てにならない。自分の方から好きだなんて言ったら絶対バカ見るという。

 

柴田家。自室で勉強していた健が雄一のテープレコーダーの音が気になると言ってこたつに入った。耕作は夕ご飯を作ってやると言って買い物中。少し腹が減ったという雄一に新潟の笹餅をすすめる健。ハルが家政婦に行った先でもらってきたと言う。動きたくない雄一は健に持ってくるように言う。

 

稲葉家。電話がかかってきて、明子が自分あてだと思って取ると、知らない人がキクの勤め先を教えてほしいと言ってきた。敬子に替わると、敬子のことも知ってる風だったので昔の知り合いだという野口という人物に関内のレストラン「ボルガ」だと教えた。敬子は私の名前も知ってるからいいでしょっていいのか!?

 

明子は「お母さんに知らせた方がいい」というので、敬子がキクの職場に電話をした。キクは野口という名に覚えはなかったが、余計な心配をするなと言って電話を切った。

 

翌日。霞が関インフォメーションセンターで働く敬子がふと視線をやると中年の男と目が合った。敬子は慌てて外に出るが、男の姿はなくなっていた。公衆電話から自宅に電話をかけ、野口という人がレストランに来なかったか確認した。

 

敬子は父親を見たと思った。13年前、突然3人の家族を捨てて消えた無責任な父親の姿をガラスの向こうに見たような気がしたのであった。

 

レストランボルガ。キクは外国人客に英語で案内をする。その店に現れた中年男性。受付に席に案内すると言われ帽子とコートを預け、キクと目が合った。

 

「やあ。しばらくだったね」

キクは絶句してその場から離れた。

 

敬子の父である。明子の父である。13年前、突然家族を捨てて消えた男がその歳月のシワを顔に刻んで、今、キクの前に現れたのであった。

 

キクの元夫、敬子、明子の父は森幹太さん。「マー姉ちゃん」の棟梁! でもこちらの役はダンディーなおじさま風。でも「マー姉ちゃん」と10年は違うのにあまり変化がないように思う。

 

席がいっぱいだと言ってコートと帽子を返してもらい店の外に出ると、キクが現れた。13年もほったらかしてと責める。離婚届は出して、子供たちも稲葉姓を名乗っている。あなたの入る余地なんかこれっぽっちもありませんよと言うと、会いたかったと返す。キクはあなたを恨んで生きてきたというと、すまなかった。5年ぶりの日本なんだと話した。アラスカに5年いてまたすぐ帰るのだという。

 

キク「それがどうしたって言うんです? あなたのおかげで強くなりましたよ。娘になんか会わせません。私だって二度と会いたくありません。これ以上私たちにかかずらったら何をするか分かりませんよ、私」

どうしても話したいことがあったという元夫に二度と顔を見せないで下さいときっぱり拒絶して去って行った。キクは店で少し呼吸を整えて、またオーナーの顔に戻った。

 

敬子が一人何か作業をしている。機械の編み物?? 敬子はキクと話がしたくて起きて待っていた。昨日の電話から予感がしていて、昼間職場に来たのも父親だったと敬子は分かっていた。

 

なんの前触れもなく突然会社の帰りにいなくなって、1か月たって「離婚するなら自由にしてくれ、すまなかった」と手紙一通よこして、それっきり13年間。よくも顔が出せたもんだわというキク。意地でマンション買うまでになったってのもすごいなー! 勤め人の夫なら多分専業主婦だったのに、そこから女の子2人育てながらレストランの雇われオーナーになり、マンションを買う。

 

翌日。電車に乗る健。明子は料理を作っている。11時半、キクが起きてきた。敬子とは3時ごろまで話していて、敬子は寝不足で膨らんだ顔で出勤していった。明子がハンバーグを作っているというと肉は食べたくないというキクだったが、明子はこれから健が遊びに来るので2つ食べさせるという。明子と健は同じ大学を受けることになり、毎晩半徹夜している。1月も半分で勉強にも疲れてくるから一度会おうと約束していた。

 

稲葉家のマンション707号室の前に元夫が来ていた。そこにちょうど健が来て、「悪いがこれを渡してくれませんか?」と手渡すと廊下を去って行った。健がキクに渡すと、キクは悪いけど追いかけて返してくださいと健を責めるように言うので、健が慌てて外に飛び出し走り回った。

 

敬子は父の心を計りかねていた。13年の空白のあとで突然姿を現し、なぜ強引なやり方で自分たちに近づこうとするのか、いや、突然家族を捨てた父にとっては、突然また姿を現すことも自然なのかもしれない。しかし、記憶の中の父は実直なサラリーマンであった。そんな非常識が似合う人ではなかった。敬子は父の心を計りかねた。

 

港にたたずむダンディーな父。

 

14話

 

東京急行電鉄妙蓮寺駅前で明子は健と待ち合わせしていた。突然会いたくなってきたという明子は健にこの間は走って追いかけてもらった人はお父さんだと話した。13年前に蒸発した父が突然現れた。キクは明子には黙って追い返すつもりでいたが、明子が一人家にいることが多いので、知らないで開けてしまうからと話してくれた。13年前5歳だった明子は父の顔を知らない。写真も燃やしてしまった。

 

健に父の印象を聞く明子。品があってたくましくていい感じだったと話す健。お母さんが怒っていて、苦労してきたのも知っているからニコニコ会うわけにもいかないと明子は思っていた。健はコーヒーおごるよと言って明子を引っ張った。

 

この数日、敬子は絶えず緊張の中にいた。いつ目の前のドアを押して父が現れるかもしれないという懸念が敬子を疲れさせていた。そんな気持ちを誰かに話したかった。話すことで疲れを癒したかった。誰か…誰か話し相手を。いや、誰かではない。話す相手は雄一のほかにはいないのであった。しかし、今の雄一は彼女の方を向いてはいなかった。

 

茶店で話した明子と健。歩きながら近いうちにまた会いましょうと約束していると、向こうから自転車に乗った洋子が来た。配達だという洋子は「いいわね、楽しそうで」と自転車から降りて健と話をした。洋子が健の好きな人だと分かった明子は健と別れて帰ろうとするが、健が駅まで送るよと追いかけてきた。とっくにフラれてるという健だが愛想のいい洋子が気に喰わない明子。古いわよ、あんなタイプと健に言った。

 

沢野と食事している敬子。沢野に一緒に暮らしたいと思ってると言われた。ちょっとした祝い事があると言い、スナップショットという去年発表した組み写真を見たアメリカの「フォトアート」という写真雑誌が契約を申し込んできた、そしてフランスの写真家集団が会員に招待してきた。そんな夜にあなたと食事がしたかった、断られたら一人で飲むつもりだったという沢野。

 

敬子はふと父のことを沢野に話したいと思った。しかし、そうすることが沢野との関係を深め雄一から遠ざかることになるような気もした。雄一…柴田雄一。自分は本当にあの青年を愛しているのだろうか。

 

資料室でノートを作っていて遅くなった雄一。耕作は辞める人の送別会でまだ帰ってない。耕作は13話も出てこなかったな。健は敬子の父が出てきたことを知ってるか?と聞いた。刑務所にでも入ってたのか?と聞く雄一。ここんとこ会ってない。向こうからも電話がない。健は敬子のことを恋人だと言うが、「独身が条件の留学目の前にして恋人を作るバカがどこにいる」と否定するが、健が父のことでいろいろ大変らしく、そんなときには恋人にでも相談したいんじゃないのかねと言っても、ごちゃごちゃうるさいと一喝。

 

しかし、翌日の昼休み。ニッコニコで再会する雄一と敬子。今回連絡したのは雄一。健が明子経由で父のことを聞いたと言った。敬子はキクが許さないと言って会わないのでもうこの問題は終わりだという。なぜ急に会おうとしたのか分からない、アラスカに住んでいるからもう日本にはいないのかも、と言い、雄一にお礼を言った。

 

父のことを誰かに聞いてもらいたかった。人に話せば自分が父をどう思っているかはっきりするような気がした。こんなふうに気にかけてくれるなんて思ってもいなかったと話す。

雄一「そんなに冷たく見えますか?」

敬子「いいえ。仕事熱心に」

雄一「お元気で何より。お送りしましょう。オフィスまで」

敬子「いいんです、そんなこと」

雄一「送りたいんですよ」

敬子「じゃあ」

 

雄一は自分で自分のすることが分からなかった。一体自分にとって敬子とは何なのだろう。恋人? 違う…もちろん違う。今の自分にはそんな暇はないのだ。しかし、自分のしていることはまるで恋人のすることではないか、と雄一は思った。

 

敬子の職場に父が来ていた。

 

職場の前についた敬子と雄一。

敬子「ありがとうございました」

雄一「余計なことでしたけど」

敬子「いいえ、うれしかったわ」

雄一「また…多分来月かな」

敬子「しっかりね」

雄一「ありがとう。じゃ」

敬子「さようなら」

 

この甘い気持ち甘い気分は抑えようもないと雄一は思った。

 

敬子が職場に戻ると、須藤というお客様がメッセージを残していったと同僚の孝子から聞いた。

 

須藤…須藤は父の名である。11歳まで敬子も名乗っていた苗字であった。やはり、父は敬子に会いに来たのだ。

 

「六時に閉店と聞きました。六時半にこのビルのバアー『デュラ』にいますが… 父」

 

その筆跡を見ると敬子は父に会いたいと思った。いや、ずっと前から父を求めていたような気さえするのだった。ひそかに自分にも隠して。

 

父・兼一と再会した敬子。敬子はオレンジジュースを注文した。兼一から飲まないの?と聞かれると、少しなら飲めます。でも今日はイヤですと言った。

 

兼一「長い間すまなかった。お母さんに何度もわびたが許してもらえなかった。無論、それが当たり前だ。今更わびに出てきて済むことではない。弁解の余地もない。しかし、お父さんは、それを全部承知でお前たちの前に出てきたのだ。虫のいいことは分かっている。お前たちが腹を立てるのも分かる。

それでもいいからお父さんはお前たちに会いたいと思った。やみくもに会いたいと思った。あさましいほど会いたいと思ったのだ。ほかに理由はない。今度のことはまたしてもお父さんの自分勝手だ。お前たちの当惑はよく分かる。

しかし、お父さんはこうせずにはいられなかったのだ。いい年をした男が自分の気持ちを抑えることも知らない。情けないがこれがお父さんの人生のひとつの結論なのだろう。

しかし、会わないより会った方がよかった。多分、お前にとってもそうなのだ。行方不明のままよりもひとめでも現在のお父さんの姿を見ておいたほうが少なくとも余計な想像をしないで済む。お母さん、お前がここへ来たのを知ってるの?」

敬子「いいえ」

兼一「知ったら怒るだろうな。なんにも言わないんだね。なんかしゃべってほしいな。敬子の声が聞きたい。声を覚えておきたい。いい気なもんだと思うだろうね。勝手に家族を捨てたお父さんだ。いまさら何を言っても虫のいいことに変わりはない」

敬子「私(わたくし)…」

兼一「うん?」

敬子「お聞きしたいことがありました」

兼一「うん」

敬子「13年前なぜ私たちを捨てたかってことです」

兼一「うん…」

敬子「どんなことを伺ってもかまわない年齢だと思っています」

兼一「そりゃそうだ、23だね?」

敬子「はい」

兼一「いい娘になった」

敬子「なぜだったんですか?」

兼一「お母さんはなんて言ってるの?」

敬子「分からないって言ってます。多分、お母さんの知らない女の人がいたんでしょうって」

謙一「そうか。それはね、敬子。とても説明しにくいことなのだが、逃げ口上ではないのだよ。あのころ、お父さんは自分の人生がはっきり分かってしまったような気持ちだった。お母さんとお前たちとそれから勤め先。それだけの世界で自分が次第に年を取っていくということが手に取るように分かっていたんだ。37だったよ。

やれやれ、これが俺の一生か。フフ…70か80の年寄りのように自分の一生が見えていたのだ。お前たちがお嫁に行くお母さんと2人だけ残って、まあたまに旅行くらいできる生活だ。幸福な平和な生活だ。文句を言うことはないのだ。

しかし、男というものはやっかいなものだ。お父さんはね、そういう一生がイヤになったのだ。イヤになったといってもお前たちがいる。お母さんがいる。そうそう勝手なことができるはずもない。責任を持ってるかぎり生活を変えても大したことはなかった。

結局お父さんは逃げ出したのだよ。無責任に逃げ出したのだよ。自分のためだけに生きようとして。これはいくら非難されてもしかたのないことだ。確かにお父さんの生活は変わった。広がったと言ってもいい。

しかし、その罰を受けているのだ。孤独という罰をね。この年になってようやく家族というものの意味が分かったような気がする。人間は結局1人で死んでいくものだが死んだあとに自分の痕跡が全く残らないということはひどく寂しいことなのだね。

自分のためだけ生きてきた人間は結局その罰を死ぬときに受けるのだ。お父さんは弱い男なのだ。その寂しさに耐えきれずにお前たちを求めてしまったのだ。見苦しいことは承知している。

しかし、お前たちと全く他人で終わることが寂しかったのだ。今晩アラスカへたつのだよ。お前に会えてよかった。よく会ってくれた。礼を言うよ」

敬子「いいえ」

兼一「さあ、ジュースを飲みなさい。キレイだ。東京の夜は。キレイになった。車の明かりがキレイだ」

グラスを傾ける父の横顔を見つめる敬子だった。

 

勝手すぎるだろ! 13年全く送金したりもしなかったわけでしょう? キクさんがかなりガッツのある性格で人並み以上の生活が送れてるからいいようなもののかなりすさんだ暮らしをしてたら助ける気はあったのかね? 自分のことをかわいそうなようなことばっかり言ってさー! 

 

その上、雄一と敬子の会うシーンも少ないんだもん。沢野はもういい。

 

敬子は昭和20(1945)年生まれの23歳。雄一は昭和17(1942)年生まれの26歳。明子と健は昭和24(1949)年生まれの19歳。兼一は大正7(1918)年生まれの50歳かな。だから何だっていう…。