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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (26)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

ハイソな画学生たちがいる塾へいくため、バッチリ朝支度を決めるマリ子(熊谷真実)。そこへ大造(河原崎長一郎)がやってきて、アトリエを作ってくれると言う。しかし、ひょんなことから、職人は一流の寺院や庭を見るべきだとはる(藤田弓子)が言い出し、職人たちの旅費を持つと約束する。一方、マリ子はもう喫茶店に寄り道しないと決めたのに、信彦(森田順平)に誘われて行ってしまう。そこへ茜(島本須美)もやってきて…。

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マリ子「ちょっとお待ちなさい、マリ子さん。貴婦人や貴公子たちと一緒にお勉強するんですからね」

鏡の前でめかし込むマリ子。

 

うめがやいのやいのとうるさくてと大造が棟梁を連れて、磯野家にアトリエを造る話になっていた。

棟梁「な~に、そういう大将だって今日は日がいいから土台だけでもいいから据えろとこわ談判だったじゃねえですか」

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思えば「あぐり」でそういう今は使わない独特の言い回しみたいなのってなかったよなー。ドラマ上、全て満年齢で進行してたし。大正末期や昭和初期の時代を直に知ってる人が多いか少ないかなんだろうな。「あぐり」は1990年代の描き方ということであれはあれでいいんだけどね。それで見やすいってのもあるしね。

 

はるもアトリエのことは知らなかったが、棟梁がアトリエという横文字の造作もの初めてだというと、マリ子は油絵でお座敷を汚さない場所があればアトリエだと説明した。

 

棟梁「楽しみがおあんなさっていいですね」

はる「さあ、まだ海のものとも山のものとも分からないんですけど、もし才能があるのならその才能を伸ばしてやるのが親の役目ですから」

大造「いや~しかしそのために東京へ出てくるなんざ勇気があるとさすがのうちのいじわるばばあが感心してた」

はる「未知への戦いを恐れてはいけません」

大造「へえ」

はる「一度みんなで横浜へ参りましょうか」

大造「えっ横浜?」

 

横浜には本物の西洋館がたくさんあるから本物をこそ見ておくべき、ちょっと足をのばして京都、奈良も勉強になるとはるが言いだした。

はる「暇の方はどうぞあなた方でご算段くだされば費用は全て私に持たせていただきます」

大造「いえ、奥さん!」

はる「いいんですのよ。これはアトリエを造っていただくということと引っ越してまいりましてからの皆様のご親切に対する私の感謝の気持ちなんですの」

棟梁「いやいや、と…とは言いましてもですな…」

はる「お手本は全て本物でなくてはなりません。国宝級の建物やお庭を見ずして何でひとかどの職人と言えましょうか。ものを学ぶのに遅すぎるということはありません。ものを創造する人間こそ一番勇気を持つべきなのです」

 

はるが棟梁たちにとんでもない約束をしているとはつゆ知らず、マリ子は一心不乱に画学生と共に真剣にデッサンの勉強をしていました。

 

マリ子心の声「酒田のおじ様にアトリエまで造っていただいたんだもの。頑張らなくっちゃ! そうよ、喫茶店に誘われても今日は断固遠慮しよう。だってうちは絵の勉強に上京したんだもの」

 

酒田燃料店に植辰親子がやって来て、はるが植辰たちまで京都へ連れて行ってくれると聞きはしゃいでいた。

大造「そんな話を真に受けるやつがどこにいるんだ!」

栄一「へっ?」

大造「『へっ?』じゃないよ」

植辰「だけどさ…」

大造「大体おめえはあの人たちのこと何だと思ってんだ!」

植辰「さあ?」

大造「後家さんだぞ。そりゃあ娘に絵を習わせるぐらいだから小金は持ってるだろうよ。けどな、一家の働き手に死なれてこれから先、あの小せえヨウ子ちゃんを嫁にやるまでその小金を食い潰していく身の上なんだぞ。その財布に寄ってたかって京都へ連れていってくれますかなんてよくも聞けたな。近頃の江戸っ子は随分と情けなくなったもんだな。ええ? おい!」

植辰「そらそうだよな」

栄一「考えてみりゃ話がうますぎだよ」

大造「てやんでえ! 奥さんの方は本気なんだぞ」

栄一「だったらなにも大将…」

大造「ああ『本物を見ずしてひとかどの職人になれるか』と奥さんはおっしゃったんだ。ひとかどの職人になりたかったらてめえで行きゃあいい。てめえで自前でよ」

植辰「だけどさ、俺たちは何もそんな無理してまで行くことねえんだよ」

大造「カッ、情けねえやつらだな」

大造さん、かなりまともな人だな。そしてうちのご意見番を意見させにやったという。

 

磯野家。

ウメ「まあそういうわけでね、今度の話はなかったことにしていただきたいんですよ」

はる「まあ困りましたわね。私もう約束してしまったんですのよ」

金庫の中身が持たないというウメにお金はなくなる時にはなくなる、同じ使うのでも有意義に使いたいというはる。

はる「まあそんなふうに物事を決めつけてはいけませんですよ。私は人の可能性を信じたいと思っておりますの。あの方たちがもし本当の職人さんでしたらきっと一流のお寺やお庭を見て何かものを感じないわけがないんですもの」

 

この女性、我が子と他人の区別なく隠れた才能を世に引き出すことを使命のごとく考えているムキがありました。だから、使命のためなら金は惜しくないという論法なのです。

 

学校の帰り、信彦に声をかけられたマリ子。金八先生ではクールな乾先生だったので、ニコニコしてるのが不思議な感じ。2階の連中から福岡新聞主催の展覧会で金賞を取ったことを聞き、その話を聞きたいと言われたマリ子は結局喫茶店へ。

 

信彦「鉢巻き?」

マリ子「芸術か風紀かの問題で論争がありまして」

信彦「それは失敬だよ。作者に対する最大の侮辱だ」

マリ子「はい」

信彦「しかし、すばらしいな。君のような若さで伝統ある福岡新聞の金賞を取るなんて」

マリ子「いえ、あれは本当のまぐれです」

信彦「いや、絵の世界にまぐれなどありません。あれは君の本当の実力ですよ」

などと話していると、茜が来店し、慌ててマリ子が立ち上がったので、ソーダ水が信彦の服にかかってしまった。マリ子の「ブチになっちゃった」という言い回しも昭和。

 

ヨウ子はまた写真館に遊びに来ていた。迎えに来たマチ子が何事か智正に耳打ちする。

智正「お安いご用です」なんだろー?

 

夕食、マリ子は元気がない。

はる「人と争う必要はありませんよ。自分のために自分が努力すればいいんですからね」

一足先に夕食を終えたマリ子は部屋の机に突っ伏していた。アトリエまで造ってもらえるのに喫茶店に行ってしまった。

 

マチ子「よっぽど誘惑的だったんね、ロシア民謡の誘い方が」ロシア民謡(笑)。

 

マリ子は信彦だけが福岡新聞の金賞のことに関心を示してくれたのが嬉しかった。しかし、あの入選でみんながしなくてもいいいろんな思いをしてるのに画塾の人たちはあの金賞を鼻にもかけない。

マチ子「だったらマー姉ちゃんは正直すぎる人なんだもん。喫茶店行くぐらい当然だと思うけどな。だって東京だもん。よそ見したってへっちゃらだよ!」

 

マリ子は信彦のルパシカにソーダ水をかけたことも気にしていたが、マチ子は華族さんならそんな服の1枚や2枚と気にしないように言う。

マチ子「だったら何も気に病むことはなかじゃなかね。アトリエだって出来ることだし。頑張れ頑張れ」

マリ子「頑張る頑張る!」

 

マリ子は頑張りました。とはいえ、身近で暇を持て余している人物となればこの「モナ・リザ」のほかにモデルはおりませんでした。

 

ウメをデッサンするマリ子で続く。思った以上にWヒロインって感じなんだなあ。