【ネタバレ】教誨師

【日本映画プロフェッショナル大賞　主演男優賞に大杉漣！】

なんと「教誨師」大杉漣さんが、日本映画プロフェッショナル大賞で主演男優賞を受賞しました！

漣さんおめでとうございます！https://t.co/861J3y5FQ7 pic.twitter.com/Dz8s4pYHvE

— 映画『教誨師』 (@kyoukaishi_1006) April 17, 2019

2018年　日本

あらすじ

プロテスタントの牧師、佐伯保。彼は教誨師として月に2 回拘置所を訪れ、一癖も二癖もある死刑囚と面会する。無言を貫き、佐伯の問いにも一切応えようとしない鈴木。気のよいヤクザの組長、吉田。年老いたホームレス、進藤。よくしゃベる関西出身の中年女性、野口。面会にも来ない我が子を思い続ける気弱な小川。そして自己中心的な若者、高宮。佐伯は、彼らが自らの罪をしっかりと見つめ、悔い改めることで残り少ない “生” を充実したものにできるよう、そして心安らかに “死” を迎えられるよう、親身になって彼らの話を聞き、聖書の言葉を伝える。しかし、意図せずして相手を怒らせてしまったり、いつまで経っても心を開いてもらえなかったり、苦難の日々が繰り返される。それでも少しずつ死刑囚の心にも変化が見られるものの、高宮だけは常に社会に対する不満をぶちまけ、佐伯に対しても一貫して攻撃的な態度をとり続ける。死刑囚たちと真剣に向き合うことで、長い間封印してきた過去に思いを馳せ、自分の人生とも向き合うようになる佐伯。そんな中、ついにある受刑者に死刑執行の命が下される……。

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教誨師 （講談社文庫） [ 堀川 惠子 ]

教誨師 [ 玉置玲央 ]

2020年6月8日 日本映画専門チャンネル録画。あまり最近の邦画は観ないけど、大杉漣さんの最後の主演作ということで録画してました。しかし1年寝かせてしまった。

佐伯(大杉漣さん)は、教誨師(きょうかいし)として拘置所を訪れて死刑囚と面会していた。佐伯が話しかけても全くしゃべらない鈴木(古舘寛治さん)、気さくな吉田(光石研さん)、耳が遠い？進藤(五頭岳夫さん)、おしゃべりな野口(烏丸せつこさん)、家族の思い出を語る小川(小川登さん)、17人殺した高宮(玉置玲央さん)という死刑囚たちと話をした。

2週間後、鈴木は相変わらずしゃべらず、進藤は字の読み書きが出来ず、自分の名前だけ書けたせいで、同僚の連帯保証人にされてしまい、いろいろあってホームレスになったことを話した。野口は自分が首謀者、主犯とされてることを不満に思い、聖書の話をするとフテ寝、しまいには怒り出した。

吉田は佐伯の収入源や年収を聞き出そうとした。献金と冠婚葬祭の謝礼だけで食べてると言うと、お金に困ったらうちの者に言ってくれと頼もしいところを見せた。さらに刑務官を外に出し社会問題になったわくわくファンドの社長を殺したのは俺だと告白した。

小川は布団屋を20年やっていたが近くにショッピングモールができて経営が苦しくなったという話。高宮は小難しいことばっかり言ってるけど、陰謀論にハマってる若者？

次の面会。進藤は字の練習。鈴木はしゃべらないので、佐伯が自分の生い立ちを語る。話を聞いていた鈴木は涙を流し、やがて声を上げて泣き出した。

高宮はあいつがあれから一晩中壁を叩いて泣いていてうるさくて眠れなかったと口にした。高宮の事件は相模原の事件がモデルかな？　俺は全ての人間に感謝されて当然と平然と語った。どんな命だって生きる権利があると佐伯が語るが、屁理屈に次ぐ屁理屈で佐伯も俺と同じ考えだと笑う。

吉田は、ヤクザの悲哀を語る。立ち上がった吉田の両手は白い包帯でぐるぐる巻きになっていた。高宮が言ってた泣いてた人は鈴木じゃなく吉田！？　佐伯と話してる時は、一番落ち着いて見えるのに。進藤はキリスト教に入れて欲しいと頭を下げてきた。

鈴木は「私なんか死んで当然です」と初めて佐伯に話した。鈴木はストーカー殺人犯で今でも被害者の鶴田と守れなかったと勝手な理屈を言い始めた。落雷で一瞬停電になり、鈴木には髪の長い女性の姿が見えていた。

高宮は常にふてぶてしい態度。佐伯は自分の兄が人を殺しているという告白した。16歳で殺人、20歳の出所直前に自殺。

回想。佐伯の兄が「きれいのくに」の誠也役の青木柚くん。wiki見たら「アノニマス」だけじゃなく「夢中さ、きみに。」にも出てたとは！　平田役？　

佐伯と兄は川で親子と出会った。男は佐伯たちの母親の再婚相手で男の子は異母弟。佐伯が異母弟とケンカになりかけたから男が佐伯を殴ろうとしたのを兄が大きな石で殴った。青木くんは若いのに難しい役ばっかりやってるね。

吉田はクリスマスに子供たちにプレゼントを与えた。進藤は次の教誨で洗礼をしましょうというと喜んで吉田の手を取ったがそのまま倒れた。野口はこの前の非礼を詫びたが、とにかく自分、自分、自分の話ばっかり。

刑務官に進藤は倒れたが意識ははっきりしていると言われた。吉田の新たな殺人は刑の先延ばしのためだと言われ、野口の話は嘘だと言われた。12月26日　刑の執行がされることになった。

鈴木は一転よくしゃべるようになり、被害者の鶴田に話しかけたら謝ってきたと言ってきた。ずーっと自分は悪くないという態度で誰も悪くないとまで言い出した。さっぱりした顔で佐伯にお礼を言って部屋を出て行った。

吉田は夕食時にケーキが出て、もうすぐ刑が執行されるのではと恐れ、大きな声を出して取り乱していた。小川はひたすら家族の思い出話。小川は子供の友達の父親に集金しに行ったら「もう払った」とキレられ、さらに自分の子供を悪く言われ、そこからの記憶はない。常に淡々として声の小さい小川が一番こわい。子供が借りたバットを凶器に3人を撲殺した。

小川が出て行った後、一人になった佐伯の前に兄の幻？が現れて、フツーに会話してる。その部屋に入ってきたのは高宮。佐伯は高宮を知りたいと言った。知らないから怖いと思うのではないか、生きることや死ぬことも同じ。高宮は自分の計画をやり遂げれば世の中が変わるんじゃないかと思ったのに1ミリも変わらなくて虚しさを感じていた。

12月26日 刑が執行されるのは高宮！　佐伯も立ち会い、聖書の一節を読み上げようとしたが、高宮は椅子に座るのもやっとで立ち上がれない…でも立ち上がって佐伯に抱きついた。慌てて引き離され、頭に布を被せられ刑が執行された。

車椅子の進藤に洗礼をする佐伯。進藤は無表情のままでしゃべれなかったが、佐伯に大事にしていた水着グラビアの切り抜きを渡した。

「ああ〜もう春やな」野口がため息。またいもしない刑務官の話を始めた。野口との面会を終え、拘置所の長い廊下を歩いて、妻の運転する車で自宅へ向かう。ずーっと面会室だけ出てきたのに、ここにきて初めて外のシーン。妻が近所の植木屋に挨拶に行ったので、佐伯も車の外に出て、進藤にもらったグラビアの切り抜きを広げると進藤の字で「あなたがたのうち、だれがわたしにつみがあるとせめうるのか」と書かれていた。じーっと今来た道を見つめ、歩き出した。(終)

回想は佐伯の子供の頃のみで死刑囚たちの事件は死刑囚の口からなんとなく知るだけだった。野口役の烏丸せつこさんはこの映画以前にNHKの「未解決事件」で尼崎殺人遺体遺棄事件の角田美代子役をやってて、それに近い役なのかなと勝手に思った。野口は美容師だったみたいだけど。

結局、自分の罪に向き合うこともなく人生を終えるだけなんだなと思うと虚しい。それぞれみんな演技がうますぎて腹立ってきた(褒めてます)。 

改めて公式ホームページのキャスト欄を見たら、ホームレスおじいさんの進藤正一役の五頭岳夫さんは「澪つくし」の漁師役で準レギュラーとあった。漁師役でも目立つ役ではなさそうだな…演技うまかった。

寝具屋の小川一役の小川登さんは役者ではなく監督の友達で普段は会社員だそうです。でも、この人もまた気弱で声が小さくてかみしめるようなしゃべり方とかすんごいリアルだなーと思って見てたんだよね。面会室で佐伯とそれぞれの死刑囚が話をするだけなのに全く退屈しない映画でした。

大杉漣さん最後の主演作『教誨師（きょうかいし）』予告編