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【ネタバレ】日曜劇場#53 ガラスの向う側(脚本/早坂久子)

1979年1月28日 TBS

 

あらすじ

一人息子を交通事故で失った夫婦の立ち直りを札幌の冬の中に描く。アイスホッケーチームの選手だった小学生の息子。学校の成績が上がったごほうびに父親(藤岡弘)は自転車を買い与えるが、息子はその自転車によって事故死してしまう。残された母(日色ともゑ)は息子の姿を追い求め苦悩し、夫婦仲は崩壊寸前にまで至るが…。脚本は劇作家として知られ昨年亡くなった早坂久子。

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この枠で橋田壽賀子さん以来の女性脚本家かな。

 

外で雪かきをする夫(藤岡弘さん)と家で洗い物をしている妻。電話がかかって来てママ友に子供のアイスホッケーの道具を貸してほしいと言われた。しかし、夫が子供部屋に鍵をかけてしまったと断った。口実じゃなく本当に南京錠がかかる子供部屋。

 

外へ出かけた妻は、親子連れや子供の集団を寂しそうに眺め、アイスアリーナの少年ホッケーの練習を遠目に眺めていた。

 

夏。少年ホッケー選手の息子・ミチオの東京旅行を諦めて遅れた勉強をすることになった。夫がかなり教育熱心みたいで、塾にも行っていて、その上、自らミチオの勉強に付き合った。勉強の理解が高まったので、ご褒美に自転車を買った。その自転車に乗っていたミチオは交通事故に遭って亡くなった。

 

妻の元にカニ寿司をお土産にやってきたママ友の相手をしていた。死んだミチオのホッケーの道具を貸してほしいと言ってきたちょっとデリカシーのない人? 励まそうとしてるんだろうけど、お寿司をパクパク食べて、一人泣き出す。妻は結婚前に夫から泣いちゃいけないと言われているせいもあって冷静。 

 

夫は大学で研究職をしていたが、仕事の合間にミチオに背格好の似た少年を見かけて、一瞬亡くなった息子に見えて戸惑っていた。

 

夕食時、テレビで少年ホッケーの試合が映る。夫が妻を見ると気まずそうにしている。テレビにイヤホンをしてそのまま見ていると、妻が突然テレビに近づいて来て「ミチオがこっちを見て笑っている!」と騒ぎ出した。

 

外に気持ちを向けろと言っていた夫が外に出るなと言ってきた。買い物は全部出前、透き通ったものを見つめたらダメ、ガラス、氷、水面、雪の塊、夕方など薄闇の中、透明のものを凝視すると場合によっては幻覚が起きるから。なんかオカルト方向の話?

 

職場で夫が錯覚の域を超えてると友人?の専門家に相談。電話をしながら自殺とメモした文字を自ら消す。

 

妻は家でグラスを並べて眺めたり、夕方の街へ出て雪道を歩きながら、ミチオに心の声で話しかけていた。夫にやっちゃいけないことと言われたやりまくってる。鹿の銅像?に「遠いのねえ、あなたの出かけて行った国でもやっぱり寒いの?」

 

植物の研究をしている夫は同僚からやっと発芽した植物を見せられて、自分の子供すら守れなかったとミチオのことを考えていた。帰りに宝飾店でペンダントを選ぶ。

 

帰ってくると家は真っ暗。妻はお風呂に溜めたお湯を眺めていた。夫はリビングに連れて行って、このまま発狂するぞ!とたしなめた。ミチオが死んでもうすぐ5ヶ月。いい加減甘えるのはやめろという夫に妻は猛反論。ミチオに自転車を買ったのはあなたじゃないの!と夫を責めた。出て行こうと荷物をまとめた妻に夫がペンダントを渡した。

 

翌日、荷物を持った妻は真駒内リンクの少年ホッケーの試合に立ち寄った。ふとコンパクトを見ると鏡にホッケーの試合をするミチオが映り、ニッコリ笑う。

 

夫の元に妻が倒れたという連絡が入った。病院に駆けつけた夫。妻は自分の足で歩いて処置室から出て来た。「あのね、三月らしいの」妻に子供ができていた。安心して涙を流した夫。

 

病院のベンチにトランクを忘れて置いて行った妻。 夫に鹿の銅像を見せて、「あれかわいいでしょ」と言いながら帰って行った。(終)

 

んん? 不思議な味わいの話だった。ミチオのいる世界に行きそうになった妻だけど、子供ができて現実に引き戻されたということかな。

 

夫が屯田兵の子孫で父親がものすごく厳しくて泣いてはいけないという教育を受けていて、妻子にも強要してた。愛情のある人なんだろうけどいちいち妻に指図する夫が怖いな。