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ドラマの感想など

【ネタバレ】アルバート氏の人生

2014年にWOWOWで録画した映画を観ています。これは観たけど、一度見て消すには惜しい、私の好きな映画です。

2011年/アイルランド

 

あらすじ 

19世紀のアイルランド。上流階級の人々に人気の一流ホテルで、謹厳実直なウェイターとして働くアルバート。しかし実は彼には、人知れぬ重大な秘密があった。十代の時、貧困生活から逃れるため、男装してようやく職を得て以来、アルバートはずっと、男性として偽りの人生を送ってきたのだった。ある日、相部屋で一夜を過ごすはめとなったことから、ペンキ屋のヒューバートに自らの素性がバレ、アルバートは慌てふためくのだが…。

www.wowow.co.jp 


映画『アルバート氏の人生』予告編

テルマンとしてまじめに働くアルバートは、床下に毎日もらったチップを貯めていた。

 

ある日、ペンキ職人のヒューバートがアルバートの部屋に相部屋で泊まることとなり、アルバートの秘密が知られてしまう。今までの実直な男のアルバートとは違い、おどおどした女性に戻るのがすごい。それからはもう女性にしか見えない。生きていくために男性として生きてきた、誰にも言わないでほしいと懇願するが、ヒューバートはベッドにそのまま寝てしまう。

 

翌日も気になって何度もヒューバートの仕事の様子を見に行くと、二人きりになったところでヒューバートが胸をはだける。なんと女性だった(巨乳)! 初見で見たときは、ずーっと普通の男性だと思っていたのでとにかく驚いた。アルバートは、他の男性に比べると小柄だけど、ヒューバートは体も大きい。女性だと思って見ると、やけに上半身もこもこに見えるけど。

 

ヒューバートはかつて結婚していたが、ペンキ職人の夫にDVを受けていた。その暴力に耐えかねて蹴飛ばして、夫の服を持ち出して男性として生きることにした。今は帽子づくりをしている”妻”がいると聞き、アルバートは気になるが、ヒューバートは仕事を終え、ホテルを出て行った。

 

アルバートは、お金を貯めて小さな店を始めようと考えたが、ヒューバートが妻と暮らしていると知ってからは、まだ見ぬ妻と二人の生活を考えるようになった。

 

ヒューバートの妻が帽子づくりをしていると聞き、裁縫の店を見つけ、行ってみると、そこには、女性とヒューバートがいた。アルバートがヒューバートに自らの出生を語る。私生児として生まれたアルバートは、実母も養母も早くに亡くし、14歳でスラム街の5人の男に押さえつけられ乱暴された。

 

それから中古の紳士服を買い、ウェイターの募集に思い切って受けてみた。人手不足で合格し、それからはホテルマンとして働いてきた。ヒューバートと妻のキャスリーンは仲が良く、とても雰囲気が良くて、アルバートも笑っていた。

 

アルバートは同僚のメイドであるヘレンを妻にしたいと思い、思い切って散歩に行こうと声をかけるが、最近、ホテルのボイラー技士として働いているジョーと付き合っていると断られる。

 

ヘレンはベッドでジョーに笑いながらアルバートに告白されたことを言う。ジョーは、アルバートが金をため込んでいることを知っていて、カモにしてお金を巻き上げろという。

 

アルバートとヘレンがデートに出かけると、高級なチョコレートを買わされた。自室でこの調子で毎回チョコレートを買わされたらどうしようと焦るアルバート。ジョーは次はウイスキーを買ってもらえと言う。

 

アルバートはヘレンを連れて、空き店舗を見せる。ここをタバコ屋にするのが夢だと語るが、ヘレンはスラムに住むのは嫌だとデートを切り上げる。帽子とウイスキーを買ってもらったことで、今度は金をせびれと要求がエスカレートする。

 

ある時、チフスにより一人の若いメイドが亡くなる。ホテルは閉鎖になり、アルバートも倒れる。妊娠したヘレンにジョーは逆切れ。

 

チフスから復活したアルバートは店先に黒い大きなリボンがかかったヒューバートの家を訪ねる。街でもたくさんの人がチフスで亡くなった。キャスリーンを亡くしたヒューバートにここで二人で暮らしたいと提案する。

 

キャスリーンが仕立ててくれた女性用のドレスに着替えて海へ行く二人。本来の二人は美しい女性なのに歩き方のせいか女装している男性みたい。ドレスで走り出すアルバート。男性の姿に戻ったヒューバートは自分に正直に生きるべきだとアルバートに言う。

 

ジョーとヘレンが大声で喧嘩するのを聞く。アルバートに同僚があんな女はやめとけと周りにはバレバレ。ヘレンが妊娠していることを知り、店の手付金を払い、子供を一緒に育てようと言った。しかしヘレンは去って行った。

 

ヘレンの部屋でまたジョーと喧嘩を始める。アルバートは部屋を訪ねて、ヘレンにプロポーズするが、ジョーに思い切り突き飛ばされて頭を壁に強打する。ふらふらで部屋に戻り、鍵もかけられず横たわるアルバート

 

ジョーとヘレンは喧嘩別れする。ヘレンがドア越しに声をかけるが、アルバートは応えない。

 

翌朝、起きてこないアルバートの元にヘレンがノックする。返事がないため、ドアを開け、異変を感じたヘレンがドクターを呼ぶ。ドクターは初めてアルバートが女性であることを知った。

 

イカー夫人は、アルバートの遺品からアルバートがつけていたチップメモを見つけた。

 

ホテルは改築工事中。ヒューバートは再び仕事の依頼をされる。夫人は、運よくお金が少し手に入ったという。そのお金がどこから来たのかヒューバートには分かっていた。

 

ホテル専属だったドクターはメイドのメアリーと店を去り、ジョーはアメリカへ。ヘレンは乳飲み子を抱えながらホテルで働いていた。ヒューバートが声をかけ、ヘレンは子供にアルバート=ジョーと名付けたと答える。しかし、ヘレンがタダ働きさせられ、いずれ子どもを取り上げられると知ることになった。

 

アルバートに救いがなくてかわいそうすぎる。ヒューバートと出会ったことにより、孤独だった自分が生きる道を見つけたような気がしたのに、あのくそ男のせいで!!

 

しかし、6年ぶりにみたら細かいことを忘れてるわ、ラストを忘れてるわで自分の記憶力にも驚いた。アルバートもヒューバートも女性なのは知ってたけど、ラストはベイカー夫人がアルバートがお金を持ってることに気付くところで終わったと思っていた。その後、ヘレンが赤ちゃん抱えてるところにヒューバートが出てくるとか忘れてんのね。

 

W座からの招待状なのでエピローグトークによると、アルバート役のグレン・クローズが30年温めてきた企画だそうです。貧富の差を感じたというのも今回、改めて観て思いました。アルバートもヘレンもジョーもスラムの育ちで、ジョーがアメリカに行きたいというのも金持ちになりたいからです。ジョーは鞄を落としただけでクビにされ、アルバートの働くホテルに紛れ込み、ヘレンをたぶらかすというサイテー男ですが、字の読み書きもできないDV親父に育てられました。かと言って同情できませんがね。

 

この映画を観た数年後、「世界まる見え」でブルネシャというのを知りました。こちらは男性の相続人を失った家族が財産や土地を守るために男性として生きるということでした。バラエティ番組とはいえ、「好きになるのは男性? 女性?」とかふざけたこと言ってるのが嫌だった。VTRでは小さな体で普通の男性並みに力仕事ができず惨めだったとか語っていた後に言うことか? 好き好んで男性になるわけでもないのに。

 

しかし、男尊女卑の世界のため、自由を手に入れるため望んで男性になる人もいるみたいです。

 

アルバートもブルネシャみたいに男性として生きなければならなかったというだけで、女性が好きだというわけではなかったように思う。しかしヒューバートとの出会いにより、女性と暮らすのもいいなと思ってしまったのかも。ヘレンというメイドは確かにかわいい女性だけど、それだってヒューバートが妻がいなければ声をかけたかったと言っていて、なんとなく意識してしまっただけかもしれないし。

 

アルバートを想うとすごく悲しくなるけど、すごく好きな映画です。久々に観てよかった。