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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(83)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)と正道(鹿賀丈史)は、宗俊(津川雅彦)とトシ江(宮本信子)を松江見物に連れ出す。大原家のもてなしと気遣いに宗俊と正道は遅くまで杯を酌み交わし、互いの消息を埋めあい、元子とトシ江は大介(橘慎之介)と赤ん坊を寝かしつけながらの四方山話。そこで元子は、千鶴子が生きていて、桂木家を訪ねてきたことを知る。戦死した兄・正大のことを思い続けてくれた千鶴子だったが、結婚したということだった。

大介を抱いて寝て、一夜明ければ何でも見たがり屋の宗俊、早々に元子を促して松江見物に繰り出します。まず、ご近所にあるラフカディオ・ハーンの旧居を振り出しに、やはり松江城です。

www.matsue-castle.jp

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正道を先頭に道子をおんぶした元子(多分道子は人形)、宗俊、トシ江が歩く。鹿賀丈史さん、スタイルいいなあ。大介役の子は松江ロケには来てないんだろうな。

 

宗俊「あ~…なかなか結構なお城じゃねえか、え」

正道「ええ、この松江のお城は千鳥城とも呼ばれてるんです」

トシ江「あ~、千鳥城…。わぁ、本当に優しくてきれいな名前だこと」

元子「だれけど、お父さんたちは運がいいのよ」

宗俊「え? 何がだよ」

元子「修復工事があってね、お城が見られるのは5年ぶりなの」

トシ江「5年ぶり…」

正道「ええ、すっかり解体してしまったもんですからね、天守閣は、すっぽりと覆いで隠されてて、ついこの間までは見られなかったんですよ」

宗俊「あ~、なるほどね。へへへ…。俺はやっぱりどこまでいってもついてる男だよ。なあ」

トシ江「まあ…。いい気なもんだわ」

正道「フフ…」

宗俊「ハハハハハ…」

 

正道「しかし、紅葉の頃は、こちらどうしてもこういう気候でしてね」

宗俊「そこが風情があるってもんだ。なあ。やっぱり山陰だい。なかなかしっとりしてていいじゃねえか」

元子「でも、宍道湖に真っ赤な夕日が沈むのが、またすばらしいの」

宗俊「ハハハハ…。いっぱしに松江の人間みたいな口ききやがって」

元子「まあ…」

正道「フフ…。それじゃあ、中へ入ってみましょうか」

 

松江・大原家

子供たち「さようなら!」

波津「さようなら。気を付けてね」

 

元子「ただいま帰りました」

波津「あらら、元子さん一人で、どげなさったね?」

元子「はい、いろいろ用事もありますし、あちらは正道さんに任せてまいりました」

波津「そげかね。そりゃ、ご苦労さんでしたね」

元子「ちょうど、お祭りもあることですし、出雲大社さんの方へ行ってると思います」

波津「そげかね。そりゃあ、よかったねえ」

元子「すぐに片づけに参りますから」

波津「いやいや、私一人で大丈夫ですけんね」

 

出雲大社

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宗俊「おい、俺たちがこうして一緒になれたのもな、ここの神様のおかげなんだ。よくお礼を申し上げておきなよ」

トシ江「まあ、何ででしょう?」

宗俊「バカ。生まれてくる赤ん坊のな、足の指に目に見えねえ赤い糸をちゃんとつけてくださるのが、この神様なんだ。本人たちには分かんなくてもな、年頃になると同じ糸をくっつけた者同士が出会って、それでちゃんと一(しと)つの糸に結ばれることになってるんだい」

トシ江「じゃあ、おとうさんと私は同じ糸つけてたんですか?」

宗俊「あったりめえじゃねえか。だからこうやって夫婦になって、え、一緒にお参りに来てるんじゃねえか。そうだろ? 正道っつぁん」

正道「あ…はい」

 

芋たこなんきん」の時は、町子が健次郎の兄や父を呼ぶ時も字幕は”お兄さん””お父さん”だったけど、「マー姉ちゃん」「本日も晴天なり」はトシ江が宗俊を呼ぶ時は”おとうさん”で、元子が宗俊を呼ぶ時は”お父さん”で、正道が宗俊を呼ぶ時は”お義父さん”と読みは同じなのに書き分けられていた。脚本にそう書かれてるからなのかな? その細かさが好きなんだよね。

 

宗俊「おい」

トシ江「ちょっと待ってください」

宗俊「早くしろ」

トシ江「はい、分かりました」

正道「ありますか?」

トシ江「あっ、あります」

おさい銭を入れる3人。宗俊、トシ江は二拍手。正道は四拍手だった。

 

これはこの11月、全国会議で日本全土から集まってこられる神様たちのホテルとでも申しましょうか。さすが八雲たつ出雲の国、神々しさの中にも趣がございます。

 

ヒロインなしで観光というのも新鮮…ってほかの朝ドラの観光シーン知らないけどさ。冒頭5分強を使って松江観光。

 

夜、大原家

笑い声

宗俊「いやぁね、電車の中からね、景色見ながら、どうも変だなと思ってたんですよ。お参りの帰りに分かりました」

波津「何がですかいね?」

宗俊「こちらの方のうちの屋根はね、みんな、こう、反っくり返(けえ)ってるんですな」

正道「あ~、あれはやっぱりこちら独特のもんですね」

宗俊「あ~、なるほどねえ」

 

元子「失礼いたします」

宗俊「おう、大介! こっちおいで! おい、おじいちゃんの膝おいで」

元子「でも、もう寝る時間なんです」

宗俊「何だい、寝ちまうのか?」

大介「うん。だから、おやすみなさい」

宗俊「そうか…。そいじゃ、また明日遊ぼうな」

大介「はい」

宗俊「はい」

大介「おやすみなさい」

一同「おやすみ」

トシ江「まあまあ、すっかりお行儀よくなって…」

 

元子「そいじゃ、お義父(とう)様も、お医者様のご注意もあることですし、もう、そろそろ…」

宗俊「ええ。もう、あっしたちには、どうぞお構いなく。お体に障ったらいけませんやな、え」

泰光「そげですかいね。それでは、お言葉に甘えて、私はここでご無礼させてもらいますけん」

宗俊「おやすみなさいまし」

泰光「おやすみなさい」

邦世「失礼して…。あっ、はいはい」

正道「あっ、大丈夫ですか?」

泰光「大丈夫です」

 

台所

陽子が片づけをしている。

トシ江「まあまあ、遅くまで申し訳ありません」

陽子「いいえ。あっ、いいですわね、これだけですけん」

トシ江「でもまあ、いつまでつきあっててもきりがありませんしね」

陽子「いいえ。うちでは兄がお酒を飲むなんてこと、めったにああませんし」

トシ江「あ…」

陽子「お話が弾んじょうみたいですしね」

トシ江「まあ…」

 

邦世「ああ、おかあさん…」

トシ江「まあ、貧乏性っていうんでしょうか、上げ膳据え膳、手ぇぬらさずで、ごちそう頂きますと気が落ち着きません」

邦世「フフ、そげなこと…」

トシ江「あの、すいません、しまうところが分かりませんので、私が拭きますから、あとお願いいたします」

邦世「あ…そげですか。ほんなら一緒に」

トシ江「えぇえぇ」

笑い声

 

スマートな手伝い方だな~。

 

客間

宗俊「まあ、そういうわけだ。おう? トシ江のやつは?」

正道「あ…まあ、いいじゃないですか。さあさあ、どうぞ」お酒を注ぐ。

宗俊「あ~、そいじゃな、おめえさんもだ。はい。ん」お酒を注ぐ。

正道「はい」

 

宗俊「まあな、藤井のやつも広告屋にうまいこと食らいつきやがってな、まあ、客が来るったらねえんだ。来りゃお前、客がわいわい飯食ってくから、巳代子のやつは、また例によっていろいろ作るだろ。この間もよ、え、お料理何とかってラジオの番組でな、えれえ気取った声でしゃべりやがって俺はたまげた! へへへへ…」

正道「あ~、それは初耳ですね」

宗俊「そうかい? するとな、巳代子のやつも、その…姉貴のお株奪ってよ、放送局へ出入りしてるもんだから遠慮して知らせなかったのかもしれねえな」

正道「あ~、そうですか…。まあ、みんな、それぞれ頑張ってんですね」

 

宗俊「あ~、あたぼうよ。俺のところもお前、善吉に一切任せてあるからな、こうやって出てこられたってわけだ」

正道「あっ、そういえば銀太郎さん、どうしてますか? まだ子供の知らせ聞いてませんね」

宗俊「おう。まあな、不足を言えば、やつのところもそれだけだ。おキンがな、ピンシャンしてるから、女がお前、2人な、顔突き合わせても、ろくなことねえってんでよ、それでまあ、銀太郎のやつは、いまだにお座敷へ出てるが、いい年増芸者になりやがった」

正道「あ~、懐かしいですねえ」

宗俊「まあな。松江も遠いところが玉にきずだが、いいところじゃねえか。え?」

 

別の部屋

寝ている道子の顔を見ているトシ江。移動して大介の布団をかけ直す。

元子「男どもは、まだまだ話し込んでるみたい」

トシ江「いいかげんにしないとご迷惑なのにさ」

元子「ううん、そんなことないわ。正道さんだって久しぶりなんだし」

 

トシ江「けど、お前」

元子「うん?」

トシ江「つらいことは、ないんだろうね?」

元子「フッ…全然」

トシ江「ふ~ん。おかあさんもおばあさんも妹さんもみんないい人(しと)たちだけど、けどまあ、相談の一つもしたい時にそばに誰もいないと思うとね、夜、ふっと目が覚めた時なんてね、気になって、気になってさ」

元子「フフ、苦労性なんだから。でも、本当に来てくれてありがとう」

 

トシ江「けど、おかしなもんだねえ」

元子「何が?」

トシ江「会ったら、あれも話そう、これも話そうって、それこそ10日も前からいろんなこと考えてたのに、いざ、顔見たら特別話をすることなんて何にもないんだもん」話しながらじんわり涙が浮かんでくるのがすごい。

元子「私もよ」

 

トシ江「うん。そうそう、あの人が訪ねてきたんだよ。来る前の晩の日(し)に」

元子「あの人?」

トシ江「ほら、正大(まさしろ)の…空襲で焼け出された」

元子「千鶴子さん!?」

トシ江「ああ。あの人、千鶴子さん」

元子「今どこにいるの? どこで何してるの?」

トシ江「あ…それ、あんまり詳しくは聞かなかったよ」

元子「どうして?」

トシ江「随分ご苦労なすったらしい。あれから間もなくお父さんがお亡くなりになってね、お母さんも体が弱くて。あの人、女手一つで働きに出なくちゃならなかったんだって」

元子「そう…」

トシ江「まあ、そのお母さんも1年前にお亡くなりになって、その時、力になってくれた人からね、一緒になってくれって望まれたんだって」

 

元子「じゃあ…結婚なさったの?」

トシ江「うん。いつまでも正大のことを思っててくれたらしいんだけど、けどまあ、あんないいお嬢さんだもの、幸せになってくれなくちゃ、私たちだって寝覚めが悪いしさ。もう、おいでにならない方がようござんすよって、そう言ったらね…そうしますって…そう言って、お別れにね、お仏壇にお線香あげてってくれた」

元子「そう…。じゃあ、元気だったのね。元気で生きててくれたのね」

トシ江「ああ…。正大もね、お線香あげてもらって安心したと思う」

元子「そうね…。あんちゃんなら、きっとそうね」

トシ江「ああ。お前もね、松江で元気に暮らしてるって、そう言ったらね『くれぐれもよろしく』ってさ」

元子「はい」

トシ江も元子もハンカチで涙を拭く。

 

意外な千鶴子の消息でしたが、やはり千鶴子の幸せを願わずにはいられない元子でした。

 

元子「肩、もむわ」

トシ江「あっ…いいんだよ」

元子「いいから。白髪が増えたんじゃない? お母さん」

トシ江「だって、もう年だもの」

元子「少し瘦せたみたい」

トシ江「まあ、バカだねえ…。はあ…いい気持だこと」

 

つづく

 

トシ江の自然さもすごいけど、元子もトシ江に引っ張られるようにいい演技するな~。松江を観光しながらも東京の人たちの近況、巳代子のラジオデビューなど盛りだくさん。15分にエピソードをギチギチ入れ込むのがうまい。

 

千鶴子さんも律儀な人だねえ~。元子と直接会ってたら質問攻めにされてただろうから、ちょうどよかったのかもしれない。