徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(142)「お兄ちゃん」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭一(火野正平)の内縁の妻・平真佐美(なるみ)と兄の広明が言い争い、広明が真佐美をアンタと呼んでいたことを知った健次郎(國村隼)は、広明が真佐美の実の兄でないのではと疑う。そんなとき、昭一は真佐美からお金の用意を頼まれる。兄の広明に借金があるのだという。昭一は真佐美に貯金通帳ごと渡すのだが…。一方、徳永家に迷い込んだ文鳥が死んでしまい、健次郎はなぜか感傷的になり元気をなくす。

夜、応接間

町子「え? 真佐美さんとお兄さんが?」

健次郎「うん…。『何や言い争いしてた』いうて酒屋の貞男がそない言うねん。それがな…」窓辺に置いていた文鳥の入った鳥かごをテーブルの上に持ってくる。

町子「うん」

peachredrum.hateblo.jp

回想

真佐美「あんた…ええ加減にして! 帰って!」

広明「いやいや、もうもう、これで…これで最後やから!」

真佐美「いつもやないの! 帰ってよ!」

広明「今度こそはちゃんとするから! ちょっとちょっと待ってえな!」

台車で酒を運んできた貞男。「あの…どないかしはったんです? あれ? おたく…」

真佐美、走って去って行く。

広明「おい!」

回想ここまで

 

町子「『あんた』て言うてたて?」

健次郎「うん…」

町子「自分のお兄さんに『あんた』て言うやろか?」

健次郎「そうやな…」

町子「それから私、ちょっと気になることがあるの」

健次郎「え?」

 

町子「お兄さんが来はった時ね、真佐美さんの顔こわばってた。ほんまのお兄さんなのかな? あの人」

健次郎「いや…お兄さんやなかったら何やねん?」

町子「そんなん、分からへんよ…」

健次郎「そんな変な子には思われへんけどな…」

町子「私かてそう思いますよ」

健次郎「何か事情があんのかな?」

町子「うん…」

 

文鳥の鳴き声

町子「迷い鳥か…。おうち見つかったらええのにね」

健次郎「帰るとこなかったら、うちで飼うたったらええねや。もう診療所も気にすることないのやし」

町子「そやね」

健次郎「なっ、チビちゃん」

 

町子「え? もう名前つけたの?」

健次郎「名無しの権兵衛はかわいそやろ。徳永チビです」

2人の笑い声

町子「あんた、徳永チビやって」

健次郎「なあ。メンバーが一人でも増えんのは大歓迎や」

 

町子「さあ、仕事してこ」

健次郎「これからかいな?」

町子「明日、九州で講演会でしょ。それまでに仕上げなあかん原稿があるんですよ」

健次郎「ふ~ん。ご苦労さん。ほな僕はチビと二人酒や。なっ、新しい相棒ができました」

 

昭一と真佐美が泊まっている部屋

昭一「借金?」

真佐美「兄が困ってるみたいやの」

昭一「お金、借りてはんのか」

真佐美「勤め先、倒産して…。兄、離婚してるんやけど、その時の慰謝料や養育費のためにどこかで借りたのがまだ残ってるみたいやの」

昭一「なんぼぐらいあんねん? 言うてみや」

真佐美「200万ほど」

昭一「200万…。う~ん」

 

翌朝、玄関

町子「ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

町子「お土産、カラシレンコン買うてきますわね」

健次郎「頼むで」

町子「ほな、行ってきます」

純子「行ってまいります」

健次郎「気ぃ付けて。行っといで」

町子「はい!」

出ていく町子と純子。

 

昭一「講演か?」

健次郎「うん。九州やて」

昭一「ええな、俺も行きたいな。あれ? お前も今晩、出かけんねやろ?」

健次郎「ああ、同窓会やね」

 

茶の間

ぼんやりしている真佐美。昭一と健次郎が茶の間に入ってくる。

 

応接間

窓辺にいる文鳥を見ていた和代。「健次郎さん」

 

健次郎「はい」

和代「チビちゃんのお水、なくなってんねやけど」

健次郎「あ…。そら…。入れてきますわ。ごめんな、チビ」

 

茶の間

昭一「時間あんねや。映画、見に行かへんか?」

真佐美「う~ん…。私、ちょっとお買い物したいねやけど、ええかな?」

昭一「お~、ええよ。分かった。俺、1人で見に行くわ」

真佐美「うん」

真佐美の顔を見つめる昭一。

 

夜、茶の間

 

広明さんが連絡ほしいそうです。健次郎

 

と、書かれたメモ用紙と「ビジネス・サウナ・イン・梅田」と書かれたライターを持っている昭一。「これを置いていったんですか?」

和代「そのお人な、健次郎さんが出かける前に来はって置いていかはったって」

昭一「ふ~ん…」

無表情でごはんを食べている真佐美。

 

和代「映画、どないでした?」

昭一「あっ、面白かったですよ。ロードショー2本立て。山登る映画とね、海の底行くやつ。両方とも苦しかった」

 

1997年で山登る映画ってこれかな?

な~んて、1997年公開の映画とは限らないもんね。

 

茶の間

ひとりで酒を飲む昭一。

健次郎が鼻歌を歌いながら帰ってきた。「おう、ただいま」

昭一「お帰り」

健次郎「お土産。食べるか? うまいねんで、ここのバッテラ」

昭一「いただきます、いただきます」

 

まだ鼻歌を歌っている健次郎。

昭一「ご機嫌やな。楽しかった?」

健次郎「もうしゃべる、しゃべる。そら、楽しかったで」

昭一「こら、うまそうやな。ごちそうになります」

健次郎「どうぞ。うまいやろ?」

昭一「うまい、うまい」

 

健次郎「けどな、年々、1人減り、2人減りでな…」

昭一「そういう年なんやで」

健次郎「ああ…。帰り際の挨拶が『次まで死なんとこな』や」

昭一「『死なんとこな』か。切ないな」

健次郎「うん」

 

昭一「俺はいつどこで死ぬのかな」

健次郎「兄貴はあの子と奄美帰るんやろ?」

昭一「そや、そや。そやな」バッテラを頬張る。

健次郎「兄貴、あの子な…」

昭一「何や?」

健次郎「いや…」

昭一「何や? 言いかけといて」

健次郎「何でもないよ」

 

昭一「酔うてんのか? はよ寝なさいよ」

健次郎「はい、はい」

昭一「俺も寝るよ」

健次郎「おやすみ」

昭一「これ、もろてもええ?」

健次郎「うん、ええよ」

昭一「うまいわ、ほんまに。ほな、おやすみ」

健次郎「はい、おやすみ」

 

昭一が部屋に戻り、テーブルの上のバッテラの包装紙やビニール袋を片づけようとした健次郎がよろけて膝をつく。「あ~っ! そんな飲んでないのにな…」

 

文鳥のいる鳥かごに目をやると、文鳥の姿が見えない。健次郎が鳥かごに近づくと、文鳥がかごの下で横たわっていた。かごの中に手を入れ、安否確認。

 

町子の泊まっている旅館の電話が鳴る。「はい、もしもし…」

健次郎「あっ、もしもし、僕や」

町子「あ…健次郎さん、どうしたの?」

健次郎「うん。あのな、町子…。チビがな…。今見たら冷とうなってしもてて…」

町子「死んでしもうたん?」

健次郎「うん…」

町子「かわいそうに弱ってたんやね…」

健次郎「ああ…。(はなをすする音)」

町子「ねえ、そしたら、私が帰る…。健次郎さん? 健次郎さん、どうしたん?」

健次郎「うん? いやいや…。あの…庭に埋めたるわ。悪かったな、夜遅うに…。おやすみ」

町子「うん。そしたら、おやすみなさい」

健次郎「うん、おやすみ」

 

朝、茶の間

和代「あ…おはようさん」

健次郎・昭一・真佐美「おはようございます!」

和代「あら!? チビちゃん…」

健次郎「ああ…そうなんですわ。昨日の晩ね、もう見た時には冷とうなっとって」

和代「まあ、かわいそうに…。かわいそうになあ…」

真佐美「ほんまにかわいそうに…。せっかくええおうちに迷い込んできたのに…」無感情での言い方が何だか怖い。健次郎も昭一もあぜんとした表情。

 

泊まっている部屋の片づけをしている真佐美。

昭一「真佐美」

真佐美「はい」

通帳、印鑑、キャッシュカードを差し出す昭一。「これ」真佐美の手に持たせる。「今、俺が持ってるの、それだけや。奄美でな、ちいちゃい家でも買お思て、で、準備してた頭金や。それだけある。引き出して渡してあげ」

真佐美「昭一さん」

昭一「行っといで」

 

そして、夕方、町子たちが講演先から戻ってきました。

 

庭に作られたお墓には線香が立てられている。

 

応接間

空になった鳥かごを見ている。

町子「かわいそうに。弱ってたんやね…」

健次郎「かわいそうにな。かわいがってもろてた家族と離れて、見も知らん家で最期を迎えたんやからな」

純子「でも、冷たい道端じゃなかったんですもの。よかったですよ」

町子「お墓まで作ってもろて」

空の鳥かごに近づき、ため息をつく健次郎を心配そうに見ている町子。

 

仕事部屋

仕事部屋ののれんをくぐる町子。

純子「あ…。あの…大先生、何だかお元気ないですね」

町子「うん…。ゆうべね、『小鳥が死んだ』って電話かけてきた時、何か泣いてたような気がするの」

純子「え?」

町子「お酒も飲んでたからね、ちょっと感傷的になってたんかなと思うねんけど、いや、それでもねえ」

純子「そうですか…」

町子「うん」

 

昭一「ただいま!」

 

町子「あ…お兄さんや」

 

夕方、茶の間

昭一「うまそやろ?」

健次郎「おう」

 

町子「あら!」

昭一「あっ、帰ってたん?」

町子「お兄さん!」

昭一「お帰り! 晩ごはん、買い物してきた。鯛のアラ、ええのあったで」

町子「お兄さん、買うてきてくれはったんですか?」

昭一「そやそや。真佐美、出かけてるやろ、ほら、例の兄貴の用事で。それやったらやね、今晩は、おいらが腕によりをかけちゃおうかなと! ハハハ!」

 

純子「あっ、あの…冷蔵庫しまってきます」

昭一「あっ、お願いします」

純子「はい」

 

昭一「鯛のアラ煮を作ってやね…」

健次郎「会いに行かしたんか? 真佐美さん」

昭一「そや」

健次郎「大丈夫なんか?」

昭一「どういう意味?」

健次郎「うん…。お兄さんという人、何の用事やった?」

昭一「何かおかしいな、昨日から」

健次郎「うん…。実はな、酒屋の前でな真佐美さんとお兄さんが何か口論してたらしいねん。そのときの様子ではな、『どうもあの人はお兄さんやないんやないかというフシがある』言うねん」

昭一「え!?」

健次郎「うん…いや、まあ、だからひょっとして何かあったん違うかなと思てな」

思い当たる節があるような昭一の顔。

健次郎「やっぱり何かあったんか?」

 

昭一「借金に来よったんや」

健次郎「え?」

町子「借金?」

昭一「『きょうだいが困ってる』言うたらほっとかれへんがな。『兄貴やない』て…。ほんなら何? 通帳…」

町子「通帳ごと渡してしまいはったんですか!?」

昭一「うん…」

 

留守中に起こったいくつかの出来事に不安が膨らむ町子たちでした。

 

ミニ予告

純子「あ~っ! あ~っ!」

アムールのママが出てきた!

 

動物が死ぬ展開…嫌いなのよ…。ポパイやカクニはうまいとこそういうシーンを避けてきたのに…実際あった出来事なのかな? そうじゃなければこういうシーンわざわざいれないよね…。