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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(119)「子離れ、親離れ」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

ツチノコ研究家の田村駒蔵(石橋蓮司)の息子・一郎(樋口浩二)が、駒蔵を捜しに徳永家にいる町子(藤山直美)を訪ねる。一郎は、破たんしかけている自分の会社を立て直すのに、駒蔵の退職金をあてにし、そして駒蔵のツチノコ道楽にあきれていた。駒蔵は、そんな息子に自らの力で立ち直ってもらいたいと、息子から離れていたのだ。また、和代の公団住宅との契約を知った町子は、和代に連絡を取るが…。

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昨日の振り返り

一郎「僕が来ると分かってたんだ…」

町子「え?」

振り返りここまで

 

ツチノコ研究家、田村駒蔵の息子が訪ねてきました。

 

茶の間

一郎「父に話があるので、ゆうべ、電話で今夜会う約束をしていたんですが、会うのが嫌になって逃げたんです」

町子「逃げたっていうのはどういうことなんでしょう?」

一郎「あの…ちょっと」

町子「はあ…」

 

一郎「白垣村の方に尋ねたら『こちらを訪ねるつもりだ』と言ってたそうなので、もしかしてと思ったんですが、行き先ご存じありませんでしょうか?」

町子「いや、あの、ホテルに戻るっていうことだけしか…。あ、そや『明日、奈良に行く』て言うてはりましたけど…」

一郎「ツチノコを探しに?」

町子「はい。あの、お急ぎなんですか?」

 

一郎「ええ。あっ、あの、もし明日、父から連絡がありましたら、あの、居所を聞いていただけませんか。僕がここに来たことはないしょで」メモを渡す。「ここに泊まっておりますので」

町子「いや、あの、ちょ…ちょっと…」

一郎「どうかよろしくお願いします。どうしても会って話、したいことがあるんです」

町子「分かりました。連絡ありましたら必ずお伝えさしていただきます」

一郎「ありがとうございます。よろしくお願いします。では失礼します」

町子「どうも、あの…」

一郎、部屋を出ていく。

 

町子「何があったんやろね? 息子さんから逃げるって…」

健次郎「うん」

 

しかし、翌日、駒蔵からの連絡はありませんでした。そして、その翌日は日曜日。

 

徳永医院には「本日休診」の札が出ている。

 

玄関

町子「ほな、行ってきます」

健次郎「うん、気ぃ付けて行っといで」

町子「はい」

 

由利子「おばちゃん出かけたん?」

健次郎「うん。何か打ち合わせやて」

由利子「ふ~ん」

健次郎「何や、何か用事あったんか?」

由利子「いや…」

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回想

和代「今住んでるとこね、もうすぐ取り壊しになってしまうの。そやから近くにええお部屋見つけたんやけど。由利子ちゃん、このことないしょにしといて」

回想ここまで

 

由利子「いや、何でもない」

 

その日の午後でした。

 

茶の間

健次郎「はい、どうぞ」お茶を出す。

駒蔵「あっ、どうも。そうですか、お出かけですか」

健次郎「ああ、すいませんねえ。今日お見えになるって知らなかったので夕方には戻りますから」

駒蔵「こちらこそ突然、押しかけまして…。いや、昨日の奈良の話を早速、先生にお伝えしようと思って。なかなか面白い話が聞けたもんですから。アハハハ…」

 

健次郎「ああ、そうですか。アハハハ。ああ、そりゃよかった。あっ…あの、田村さん」

駒蔵「はい」

健次郎「息子さんとは連絡取れました?」

駒蔵「息子って…あの、どうして?」

 

健次郎「あっ、ここにお見えになったんですよ」

駒蔵「そ…そうですか…。き…来たんですか? ここへ」

健次郎「ええ」

駒蔵「あ…あの、お恥ずかしい」

健次郎「あっ、いやいや。何かあのとにかく早く会いたいというようなことでした」

駒蔵「今、会いたくないです」

健次郎「はあ」

 

由利子が茶の間に顔を出し、頭を下げる。

健次郎「うん?」

由利子「お客さんやねんけど。田村さんいう人」

駒蔵「えっ、あっ…息子だ! あっ、『いない』と言ってください!」

健次郎「えっ?」

 

駒蔵「あっ、あっ、あっ、すいません! お…お願いします!」

健次郎「あっ、いや、せっかくやから…」

駒蔵「『いない』と言ってください! お願いします!」茶の間と応接間の間の襖を閉める。

健次郎「あ…」

 

健次郎「どうぞ」お茶を出す。

一郎「ああ、そうですか、来てませんか」

健次郎「ええ…」

一郎「一緒に奈良に行った仲間の方に連絡が取れて『またこちらに立ち寄る』と言っていたと聞いたんですが…」

健次郎「ああ…」

一郎、ため息。

 

健次郎「あの…立ち入ったこと聞くようですけども、何でお父さんはあなたを避けてはるんですか?」

一郎「ああ…。私の事業のことで父に相談があるんです。その、資金繰りのことで…」

健次郎「ああ…」

一郎「小さな宝石加工の会社なんですが…」

襖の向こうを伺うような健次郎。

 

一郎「家族がこんな状態だというのにツチノコだの何だのいい気なもんですよ。最後は父しか頼るところはないというのに…。冷たいと思いませんか?」

応接間で話を聞いている駒蔵。

 

一郎「もし父がここに立ち寄りましたら、なんとか引き止めて僕に連絡を下さい」

健次郎「あっ、ええ…」

 

徳永家を出た一郎だったが…。

 

茶の間

健次郎「田村さん。もう帰りはりましたよ」

襖を開けると駒蔵が背を向けて窓に向かって立っていた。手にはツチノコの模型。

 

応接間

駒蔵「どうも申し訳ありません。まことにお恥ずかしい」

健次郎「あ、いいえ。まあ、どうぞ」

応接セットのテーブルにツチノコを置く。

健次郎「だいぶ困ってはるみたいでしたね」

駒蔵「薄情な父親だとお思いでしょう」

健次郎「いいえ」

 

駒蔵「5年前に独立して始めた仕事なんですが、うまくいかないで…経営の才能がないんですな。小生の退職金をあてにしてるようですが、これは小生の第二の人生、ツチノコ研究のための大事な資金です。そのために長年、身を粉にして働いてきたんですから」

健次郎「確かに今、息子さんと会うてしまいはったら…。そこはね、やっぱり父親ですもんね」

駒蔵「友人に誘われて始めたんですが、あいつは会社経営には向いてない。そのことをそろそろ自分で見極めて人生をリセットする時期なんです。メンツにこだわって、はたに迷惑をかけてもしょうがない。潰すものは潰すと決断しなきゃならんのです」

 

徳永家を出た駒蔵。「じゃあ、失礼します」

一郎「やっぱり…。玄関に靴がありましたから。子供だましのうそは通じません!」

健次郎「子供やがな…」

一郎「なあ、おやじ頼むよ。もうどうにもならないんだよ。子供を見捨てるのか!?」

駒蔵「おい!」

 

路地で土下座する一郎。「頼む、父さん!」

駒蔵「やめんか! みっともない!」

 

健次郎「あの…中で話、しましょうか? ね? どうぞ」

 

徳永医院の待合室

一郎「今度だけだ。今回しのげば会社はまた持ち直す」

健次郎「駄目だ」

一郎「冷たいこと言うなよ! なあ、おやじ!」

診察室前の廊下で聞いている健次郎。一郎はすすり泣き。

一郎「なあ、頼むよ、父さん!」

駒蔵「諦めろ」

 

すすり泣いていた一郎は徳永医院を出ていった。追いかけようとして立ち上がった駒蔵を健次郎が「田村さん」と止めた。

 

夕方・茶の間

町子「えっ、そんな事情があったの?」

健次郎「うん。陽気なツチノコ研究家やなかったんや」

町子「ふ~ん。けど、人間ていろんなこと抱えて生きてるもんなんやねえ」

健次郎「うん…」

 

由利子「おばちゃん、お帰り」

町子「あ、ただいま」

由利子「おばちゃん、話、あんねんけど…」

 

電話している町子。「え~、契約した!? ちょっと待って。それ聞いてない。ちょっとお母ちゃん、何でそんな勝手なことを!?」

 

健次郎「お前、そんな大事なこと何ではよ言わへんねん」

由利子「そうかて…」

 

町子「いや、今までも独りやったけど、信夫が近くに住んでるさかい安心してたのよ。けど、今度、信夫は神戸…そう引っ越しして住んでしまうでしょ。それで独りぼっちになるのよ。分かってるの? それ。いや、違うって。いや、だから何でそんな勝手なことを決めてしまうの? いや、ちょっと心配やから、話…会うて話、してからにして。お母ちゃん? 会うて…。もしもし!? も…」受話器を置いてため息。

 

健次郎「何やて?」

町子「もう公団住宅と契約したって」

健次郎「ああ…」

町子「勝手にね、もう!」

 

健次郎「何で言わへんかったんや?」

由利子「ごめんなさい。そやけどな、おばちゃんに黙っといてって頼まれて…」

健次郎「あのな、なんぼ頼まれてもな…」

町子「健次郎さん、由利子ちゃんのせいやあらへんねんから…。ねえ、言わんといてって約束したんやもん、しかたがないよね。ごめんなさいね。しんどい思いさしてしもてね。それにしても、何を考えてんの、お母ちゃん!」

 

その翌朝でした。

 

玄関

信夫「お姉ちゃんからなんとか言うてえな。僕が言うてもお母ちゃん聞いてくれへんねんて」

町子「ほな『団地に住む』て言い張ってんの?」

信夫「うん。『もう契約したから』て」

町子「で、孝子は?」

 

信夫「『僕か町子姉ちゃんと一緒に住んだら?』とは言うてくれてんけど同じやねん」

町子「嫌て?」

信夫「僕かて引っ越しの準備とかせなあかんし…。ああ、もう行かな」

町子「ごめんね、出勤前に…」

 

信夫「ううん。ほな、頼んだで」

町子「うん。行ってらっしゃ~い!」

信夫「はい、はい」

 

茶の間

健次郎「お母さんのことか?」

町子「ああ、はい」

健次郎「あ、そや。あのな、昨日、亜紀の担任の先生から電話あってな」

町子「え、何て?」

 

健次郎「亜紀の成績が急に悪なったんやて、今回。いや、まあそれはええねんけども、先生いわくは何か授業ではちゃんと答えられてるところをテストで間違うてるんやて」

町子「え、何でやろ?」

健次郎「さあ?」

町子「はあ…」

 

亜紀の部屋

眼鏡を外したりかけたりしている亜紀。近視独特の目の細め方がうまい。

 

また一つ心配事が持ち上がった徳永家でした。

 

ミニ予告

亜紀「お父ちゃんには分かれへんわ!」

 

人の退職金を当てにするのはナシだよねえ。あの息子役の人、いろんなドラマでちょこちょこ見かける気がする。こわもての國村さんと石橋さんがほのぼのした日曜日のパパやってるのが何だか面白い。今日は「チ~!」が聞けなかった。