徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(43)「おおきに」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)の秘書兼家事手伝いをしていた矢木沢純子(いしだあゆみ)は町子とその家族が好きになり、1週間の約束だったが引き続き町子のもとで働くこととなる。そして、徳永家の仲間入りをする。そんなとき、町子は雑誌社からの取材を受け、町子がよく行く店を雑誌で紹介される。そのおかげでおでん屋「たこ芳」や工藤酒店、映画館の「みゆき館」が大繁盛することになるのだが、「たこ芳」でやっかいな事件が起きていた。

peachredrum.hateblo.jp

前回の振り返り

純子「花岡先生」

町子「はい」

純子「私、先生の所でこのまま働いてはいけませんか?」

町子「このままですか?」

振り返りここまで

 

純子、うなずく。

町子「矢木沢さん、それは本気ですか?」

純子「はい」

 

夜、茶の間

健次郎「え? そら願ってもないことやがな」

町子「そうでしょう?」

健次郎「ああ」

町子「それで…はい、お祝い」

いつもの土瓶。

 

健次郎「え? そんなもん、本人入れてやるもんやで」

町子「それは改めてでよろしいやないの。はい」

健次郎「やあ~、けど、よかったなあ、それは。あの人やったら秘書として有能やわ」

町子「う~ん、ちょっとね…言うて悪いけど、ちょっと抜けてはるとこもあるんやけどね」

健次郎「いや、その辺があんたとちょうどええねんがな」

 

町子「ああ。キチキチッとしてたら息、詰まるしね」

健次郎「あの人があんたのこと気に入ってくれはったんや。信頼してくれたんや」

町子「ううん。この家が…ここが好きみたい」

健次郎「ふ~ん。僕にほれたんかな」

町子「よう言わんわ」

 

そして翌日から秘書兼家事の手助け、純子にさまざまな仕事を任せることになった町子です。

 

町子「私で我慢してください」

健次郎「何や、それ?」

いい会話だな。

 

工藤酒店

貞男「秘書なあ。いや、俺も一生にいっぺん秘書いうの持ってみたいもんやな」

健次郎「何を言うてんねんな。社長のあんたには立派な秘書が。ほれ」

貞男の後ろにいるタエを視線を送る。

 

貞男「いや、秘書が寝てる社長の顔、またぎまっか?」

タエ「いらんこと言いなさんな!」

貞男「ほんまにすいませんでした」

きちんとタエの方を向いて頭を下げる。

 

貞男「おう、毎度!」

俊平「おう」

健次郎「どないしたん?」

俊平「え?」

貞男「また夫婦げんかか?」

 

俊平「けんかする元気もあれへんわ」

貞男「え?」

俊平「もう、暇で暇で。今月えらい赤字や。お客さん、どこ行ってしもたんやろな」

健次郎「みんな家でテレビ見てるん違うか?」

 

貞男「あっ、ごえんさんとこもカラーテレビ買うたそうやで」

タエ「うちは、もらい損ねたけどなあ。まっ、話題の3C、クーラーもカーもないから、いっそ潔いわ」

貞男「うるさいわ!」

俊平「あ~あ、潰れたらどっか雇てくれるとこあるやろかな。この年じゃ映画俳優にもなれんしな…。はあ~…」

貞男とタエは顔を見合わせ、健次郎はコップの酒?を飲む。

 

徳永醫院前

喜八郎「いらっしゃい」

 

雑誌のアップ

今が旬!!

広島産カキ 

栄養満点

 

応接間

町子「『アモアモ』私ね、毎月楽しみに読ませてもろてるんですよ」

記者「あ~、ありがとうございます。そしたら、『わが街』のページもご存じですか?」

町子「ええ、よう知って…。ねえ、そしたらそこへ私が?」

純子「失礼いたします」お茶を持ってきた。

 

記者「今やハイミス・シリーズは数ある恋愛小説の中でも大人気ですからね。その花岡町子先生が案内する『わが街』。ファンは待ってはると思います」

町子「へえ~、『アモアモ』ねえ」

純子「あら~、私も大好きです。千葉先生がいつかご紹介なさってた奈良のお店、私もすぐ行きました!」

記者「そうですか! そうしたら日程のこと、お話させていただいてよろしいですか?」

 

町子「ええ。よろしくお願いします。そしたら、日程は、え~っと…矢木沢さん」

純子「はい!」

 

みゆき館

俊平は立ちつくし、佐和子は映画館前を掃除する。

佐和子「いっこも効き目あらへんね」

 

掲示板に貼られたポスター

女性のお客様限定

手づくりクッキー

プレゼント中!!

 

俊平「うん」

 

上映中の作品は

愛は太陽より熱い

 

夕方、徳永醫院

待合室には行ってくる喜八郎は、イシと目が合うと「ハハハ!」と笑いながら待合室を出ていった。

 

帰ってきた晴子に「あ、いらっしゃい。あっ、何や、お前か。お帰り」と声をかける喜八郎。「まだな、2人ほどいてはる。今日はな、午後から20人は来てくれはった」

晴子はあきれたようにため息をつき、病院へ。

喜八郎「あ~! エイッ!」と路地で体操。

 

診察室

健次郎「お大事に」

晴子「お大事に。なんとかしてよ」

健次郎「え?」

晴子「入り口に座って、患者さんに『いらっしゃい』て」

健次郎「いつものことやがな」

 

晴子「お兄ちゃん、気にならへんの? お店やないのよ。病気の人来て、喜んでるみたいで体裁悪いやんか」

健次郎「誰もそんなこと思わへんて」

 

鯛子「先生、よろしですか?」

健次郎「うん」

 

晴子「やめるように言うてえな」

健次郎「そやけど、悪気があってやってるわけやないねやから」

晴子「そのうち、客引き始めたかて知らんからね!」

 

健次郎「アホな。そこまでするかいな」

 

夜、仕事部屋

純子「それじゃ、失礼いたします」

町子「遅くまですいませんでした。ああ、ねえ、矢木沢さん」

純子「はい」

町子「1つだけ聞かせてもらってもよろしいですか? 何でうちで働こうっていう気持ちになってくれはったんですか?」

 

純子「ああ…。私ね、会社勤めして今まで一生懸命働いてきました。『オールドミスが』『ハイミスが』なんて陰で笑われて…。やっぱり男性社会なんですよね」

町子「働く女性には厳しいですもんね」

純子「それでもね、私、女一人、社会や男性たちに立ち向かうんだって突っ張ってきました。でもね、何かよく考えたら小さな世界だったんじゃないかなって…」

町子「小さな世界? 何でですか? 大きな企業でぎょうさんの人相手にお仕事してきはったんでしょう?」

 

純子「先生のおうちってね、みんなが違いますでしょう。子供、おじいちゃん、おばあちゃん、お医者さん、小説家、患者さん、編集者、親子、夫婦、きょうだい…その人たちが一軒のうちに集まってる。スケール大きいと思いません? ワクワクしたんです。何が起こるか分からない。楽しくて…ちょっと危なっかしくて」

町子「ワクワク?」

純子「不謹慎ですか?」

 

町子「同じです。私もね、ワクワクしたいからここにいてるんです」

純子「え?」

2人の笑い声

町子「ほんとなんです」

純子「うれしい!」

 

待合室

片づけをする喜八郎。「よしっと」

お金を数えているイシ。

喜八郎「ああ、今日も繁盛やったなあ」

イシ「は~い、ほんまに」

ニコニコしながら金庫を見ている喜八郎!?

 

茶の間、夕食

晴子「お母ちゃん、あんな、お兄ちゃんにも言うたんやけど、あれ、やめるように言うてよ。表座って『いらっしゃい』て言うの」

イシ「けどなあ…」

町子「あの~、私はそんなに気にならないんですけどもね」

晴子「ここはおでん屋とかとは違うんです。病院なんです」

町子「はい」

 

ナスと揚げ出し豆腐の煮物

町子「あっ、晴子さん。それね、それ…」

晴子「アツッ!」

町子「いや、今、『それ熱いから』て、私、言お思てたとこなんですよ」

晴子「先、教えてよ!」

町子「お水、取ってまいりますのでね」

 

イシ「ほらほら、ここへ出し」

 

そして、次の週。町子の記事が雑誌に掲載されました。

 

茶の間

健次郎「そもそもこの『アモアモ』って何やねん?」

町子「関西地方だけやと思うねんけどもね、お母さんが子供にお菓子渡す時に『ほら、あもやでえ』とか『はい、アモアモやでえ』て」

健次郎「甘いもんやでいうこと?」

町子「もともとはね、あん餅のことっていう説もあるんですけどねえ」

健次郎「ふ~ん」広げた雑誌を純子に渡す。

 

純子「うわ~。すてき」

 

GO!GO!TOWNTOWN

第30回 花岡町子先生の大好き!わが街

 

たこ芳でさつま揚げをかじっている町子の写真

「好きなものには×でいたいんです」のキャプション。×のところは、よく読めなかった。

 

みゆき館前で町子が立っている写真。みゆき館の主人夫婦のインタビューと、町子が私の書いた物語が映画になって、この映画館で上映されることが夢と語っていたり、工藤酒店の夫婦がゴシップ好きであったりという話などが書かれている。工藤酒店で一升瓶を持った町子の写真。「お酒は私のエネルギーの源。いつもお世話になってます!」のキャプション。

 

しかしながら、雑誌のレイアウトが結構、放送されていた2006年風にも思える。昭和42年くらいの雑誌ってこんな感じかなあ?

 

町子「徳永医院は載せませんでしたので」

健次郎「『この雑誌をお持ちの方には1回無料で診療』とか」

町子「『レントゲン半額です』とか」

健次郎「そやけど、こんな、あんたがおでんにかぶりついてるとこ見て誰が喜びはんの?」

 

純子「何をおっしゃってるんですか? ロマンチックな恋愛小説をお書きになってる花岡町子先生が、こういう庶民的なお顔を見せる。これがもうファンの心を打つんです」

健次郎「はあ…庶民的な」

純子「はい!」

健次郎「ふ~ん」席を立つ。

 

町子「ねえ、健次郎さん。私、このね、赤のセーター思いっきりね、頑張って…。『町子、かわいらしいに写ってるやないか』。そんなひと言、言うてくれてもええのにね」

亜紀「うん」

純子「ほんとですわねえ」

町子「頑張ろう」

 

しかし、その記事が出て、しばらくすると…

 

たこ芳

店内は「アモアモ」を持った若い女性でいっぱい。

「たこ、おいしい!」

「花岡先生、食べてはったやつやね」

りん「はい、熱かん、どうぞ」

「おばちゃん、こっちもお芋さんとたこね」

「コンニャクも」

 

りん「ちょ…ちょっと待ってね。え~っとコロは、コロ…」

「はい、コロ、こっちです」

りん「こっち? はい。すんません」

 

「うわ~! また満員かいな」作業員姿の男性数人。

りん「いや~、すんません、ヒデさん。昨日も来てもろたのに」

「ちょっと一回りしてくるわ」

りん「いや~、ごめん」

 

「ねえねえ、花岡先生は今日は来はらへんのですか?」

りん「いや、まあ、お忙しいやからねえ…」

「会えたら、サインもらお思てたのに…先生てどんな人ですか?」

「お酒、強いんですか?」

りん「まあ、そう…いや…エヘヘへ…」

 

工藤酒店

こちらにも女性客が数人きている。

貞男「あの先生は、お酒とおいしいものが大好きでねえ」

「先生と仲いいんですか?」

貞男「うん。まあ、あの家族ぐるみのつきあいいうんかなあ」

「え~、うそ! すご~い!」

貞男「僕とは川柳のこと、語り合ったりするんだよ。花岡先生とは結構センスが近いのかも分からないな。ハハッ!」

後ろでにらみつけるタエ。

 

みゆき館

こちらも客であふれている。

「花岡先生も食べはったんかしら?」

「ねえ~!」

 

俊平「ありがとう」

佐和子「ありがとうございます」

 

たこ芳を出てきた男たちとアムールのママが鉢合わせ。

和田「あら、ヒデさん、まあ、お久しぶり! もう~、どこで飲んではったん? また、たこ芳?」

「それがな、たこ芳入られへんねん。若いお客いっぱいで」

和田「え? 若いお客さん?」

「うん。『アモアモ』の本見てきた花岡先生のファンなんやて」

「ここんとこずっとそや」

 

和田「へえ~。そんなにはやってんの」

「僕らの居場所あれへんがな」

和田「うちがありますやんか! ほら、さっ、どうぞどうぞどうぞ!」

 

診察室

健次郎「たこ芳が大繁盛?」

一真「うん。もう今週は、ず~っと若いもんだらけや」

健次郎「へえ」

一真「花岡町子人気っていうのは、えらいもんやなあ」

 

健次郎「物好きやな、みんな」

一真「けど、裏ではな、常連の連中が入られへんてえらい騒いどるらしいで」

健次郎「ああ…」

 

受付でお金を数えて首をかしげるイシ。

健次郎「お昼にしようか」

イシ「あ…はい」

健次郎「どないしたん?」

イシ「あ…いや、別に。片づけて、すぐ行くよって」

 

みゆき館

ピンクのスーツを着た町子が訪れる。「うわ~、面白そうなん、やってるやん。こんにちは」

俊平「あっ、町子さん!」

町子「はい」

 

俊平「町子さん、町子さん!」町子の手を取る。

町子「ちょ…ちょ…ちょ…ちょっと待って」

俊平「俺、何て言うたらええのか」

町子「私…私、困ります! 私には夫が…」

 

俊平「あの雑誌の記事のおかげで若いお客さん、どんどん来てくれはって…」

町子「え?」

俊平「今月のピンチ、切り抜けられたんですわ。町子さんのおかげですわ。おおきに! ほんまにおおきに!」

町子「よかったですね。いや、いや、ほんまに。いや、分かりました。どうぞ頭上げてください」

 

しかし、その一方で…

 

たこ芳の店の関東煮と書かれた提灯が破られていた。悲しそうなりん。

 

みゆき館

俊平「おい、佐和子! 佐和子て! ほれ、先生、先生!」

佐和子「先生! どうもありがとうございます!」

 

やっかいな出来事も起こっていることを知らない町子でした。

 

ミニ予告

隆「ウルトライダー見参!」

 

いや~、純子さんが秘書になってくれて本当にうれしい!