TBS 1973年11月8日
あらすじ
入院した清一(小林桂樹)の検査が始まる。麗子(久我美子)が清一に付き添う間、稔(小倉一郎)は新島家を守ろうとよく働いた。 ※脳腫瘍による様々な症状が表現されていますが作品上の演出です。ご了承ください。
2024.12.27 BS-TBS録画
稔<急に親父が倒れると、世界が変わったような気持ちだ。これほど親父におんぶしていたのかと、まあ、主として経済問題だけど身に染みて僕は分かった。病名はまだ分からない。先生は脳外科の先生だ。親父は数日ですっかり病人の顔になった。アンギオグラフィーとかブレインスキャニングとかミエログラフィーとかものすごく痛かったりする検査を親父は毎日受けていたのだ>
ブレインスキャニングは検索しても出てこないってことは聞き取れてないんだな。
企画:木下恵介
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脚本:山田太一
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音楽:木下忠司
主題歌作詞:山田太一
歌:中新井節子
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清一:小林桂樹
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稔:小倉一郎
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茂:林隆三
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陽子:高沢順子
信子:海野まさみ
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唐木:火野正平
津田:桃井かおり
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看護婦吉村:土井かつえ
中年の看護婦:大坪日出代
医者:相原巨典
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病院の待合室の母親:遠藤暁子
長男:竹内喬
次男:白石斉
妹:遠藤妙子
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掃除婦のおばさん:飯田テル子
エースプロ
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麗子:久我美子
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プロデューサー:飯島敏宏
酒巻武彦
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演出:阿部祐三
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制作:木下恵介プロダクション
TBS
新島家
口笛を吹きながら洗い物をする稔は日曜日の11時に茂と陽子を起こした。稔は8時に起きて家事をしていたと言うが、茂も陽子もうざがる。おみおつけを作ったと何度も言う稔に洗面所にいた陽子はパンでいいのにね、と茂に言う。
出かけた稔は唐木と合流してデパートへ。唐木は彼女のことをどう思う?と聞いてきた。稔は信子のことは今にして思えば壊れてよかったと思うと言うが、唐木は電車で偶然、信子に会い、稔のことを話そうと食事に誘った。ステーキをおごり、彼女を好きになったと言う。彼女にはすごい兄貴がいるとかアラン・ドロンやピーター・フォンダみたいな二枚目が好きだと稔は言うが、キスをしちまったと唐木は告白した。
立ち去った稔は男子トイレへ。個室はどこも開いてなく、掃除用具入れに閉じこもって、掃除のおばちゃんにドアをたたかれながら、泣いた。
またテロップ
脳腫瘍による様々な症状が表現されていますが
作品上の演出です。ご了承ください。
新島家
麗子が帰ってくると、家は暗く、稔だけがいた。陽子は映画を見に、茂は仕事ではなく、あの人のところに行ってるらしい。部屋が片づいていることに驚く。稔は麗子にお茶をいれ、天ぷらそばとカツ丼を1つずつ注文した。
陽子が帰り、麗子は疲れを見せ、清一は、できたら子供たち一人一人と話がしたいと言っていると伝えた。検査は終わっていないが、脳腫瘍は確かで手術で治る。麗子は自分の胸に止めておこうと思ったが話した。
稔はすぐに病院へ行くと言うが、麗子は薬で眠っているから起きないかもと注意したものの、失恋で打ちのめされていた稔は打ちのめされた父のもとへ行きたいと病院へ。待合室で他の家族が泣いたり気落ちしているところを見ていた。
朝、清一が目を覚ますと稔がいた。まだ6時30分。美人看護婦が清一に体温計を渡し、脈を診た。36度8分。ポーっと看護婦に見惚れる稔は、お母さんは焼きもちをやいて、ずっと付き添っていたんだと冗談を言う。
清一は稔に脳腫瘍だと言う。稔は、まだ検査中、考えすぎだと言うが、清一は手術してそれっきりの場合があるから、今のうちに何か言っておきたい。稔は家族でいちばん優しい。しかし、人に優しいということは甘い、優しいことと甘いことを混同してないか? 信子の兄や陽子のことも正面からぶつからないで中途半端だと指摘した。お父さんが映画みたいに教訓的なこと言うの初めてじゃない? うまいこと考えたよと冗談めかして稔は言う。
帰り道、清一の言葉が身に染みる稔。
新島家
帰ってきた稔は「誰もいない?」と声をかけたが、返事はなかった。ダイニングで陽子がぼんやりしていた。稔が話しかけると、うなずいたり首を振ったり反応はする。陽子は何を言ったか教えてあげましょうか?と戦後の経済政策を話した、お父さん気が狂ったのよと泣き崩れた。
病室
清一はベッドの上であぐらをかき、茂と麗子の前でご機嫌で戦後の経済政策を話していた。検査の痛さはジャンボかコンコルドだと話す。
ナースステーション
精神障害じゃないんですね?と中年の看護師に確かめた茂。どの程度分かっているのか聞くと、全然意識はないのだと言う。これから何をしようと腫瘍のせい、手術が成功すればウソのように元気になると励ました。
ナースコールが鳴り、病室へ行くと、病気の夫をほったらかしにして!と清一が怒っていた。
新島家
3きょうだいは誰が見舞いをするか相談した。茂が陽子が行ってもいいが明日だけだと言い、お母さんがいないとお父さんが寂しがると言う。林隆三の長男っぽい感じ好きだな~。「あしたからの恋」の修一っぽい。
稔はコーヒーを淹れ、タバコを吸い始めた茂に陽子は灰皿を持ってきて、協力し合う。この状態が長く続けばいいと思う稔。
病室
清一に付き添う麗子。
翌日、清一に付き添う陽子が人が変わったようにかわいく見えた稔。3時に稔も病院に行ったが、稔に見向きもしないで陽子の言うことをよく聞いていた。病院に唐木、信子、津田が見舞いに来た。信子は見舞いに箱を渡した。ケーキ? 津田は花束。
清一は検査に行ったので、下のロビーに行こうと誘った。唐木に父親に言われたことなど話そうとしたが、信子を連れてきたから気に話す気になれず、津田にも話を聞かれたくなかった。津田は何か手伝えることはないか聞いたが、断った。唐木は退院のときはタクシーなんて呼ばないで、俺が仕入れの車で迎えに行くと言う。
唐木は信子のこととなるとケロリとしていて、生きていくためにはこういう強さが必要なのかもしれない。父が言いたいのはこういう稔の弱さだろうなと思い当たった。
津田はスケバンとか言うけど、かわいいのにな~! 黒髪で素朴な感じで制服のスカートが長いくらいで何が気に入らないんだよ。
陽子に突然呼ばれた稔。清一は診察室で美人看護師に無理やりキスを迫り、ほっぺたにキスをした。次第に別の人格になったようだと感じる稔。(つづく)
嫌だなー、力の強い男に無理やり…腫瘍だから仕方ないとはなかなか思えないよ。あと5話なんだよな。始まるとあっという間だな。来週は休み!
