公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
純子(山口智子)は西宮の旅館の下見に行く。ぬひ(西岡慶子)は、ありのままの旅館を見るなら、身分は明かさず見に行くように勧めるが、正太夫(笑福亭鶴瓶)が、旅館を引き受けてくれるかもしれない人が見に行く、と先に連絡していて、至れり尽くせりで案内されてしまう。純子が食堂に戻って、旅館のことをぬひたちに説明していると、正太夫が来て、メキシコから届いたつやからの手紙を見せ、あらためて旅館を純子に頼み…。
1週間ぶりの放送です。
純ちゃん食堂
ももさんが調理をし、ぬひさんが片づけをする。
ぬひ「あら、嬢さんこれからお出かけだっか?」
純子「そうや。すんませんな、忙しい時に留守して」
ぬひ「かましまへんて。今日はな、うちのがドデーッとしてますさかいな、食堂の方はわてが手伝わしてもらいます」
純子「すんません」
小平治「何やねん。そのドデーッとしてるて、わしのことかいな」
ぬひ「そうや」
小平治さんて、純ちゃん食堂にももさんを入れるかどうか以来の出演!? そのあと純ちゃんの結婚式の司会をする予定だったけど、帰ってこれなくて駄目になった。長く不在だったのは役者さん都合だったのだろうか。
小平治「嬢さん、今日はまたえらい服が違いまんな」
もも「今日はな、西宮の旅館へ下見に行かはんのや」
小平治「ああ、ああ、ああ、あの旅館。正太夫さんが言うてはった」
純子「そうですねん。どっちにしても一遍見とかんことには話にならしませんやろ」
もも「純ちゃん、どうせ行くんやったらな何も言わんとこっそり行く方がええわよ」
純子「何でやの?」
もも「そらそうや。ありのままを見よう思うんやったら、ただのお客さんで行くのが一番やな」
ぬひ「そうそう、そらそうだっせ。ひょっとしてな、新しい女将さんになる人や思たら扱いかて自然に丁寧になりまんがな。なあ、旅館の方にはまだ行くいうこと言うてはらしまへんのやろ?」
純子「うん、それはまだ言うてないねんけど…」
小平治「なるほどな。お忍びちゅうやっちゃ。そらええわ。ちょっとした水戸黄門や。最後の最後で身分を明かすちゅうやっちゃ。下郎、控えい! こちらにおわすお方をどなたと心得よる。前(さき)の副将軍、水戸光圀公様なるぞ!」
ぬひ「はは~っ!」
小平治「うむ!」
ぬひ「アホ。何をしょうもないことやってんのや。嬢さん、こんなんに構わんとはよ行っといで」
純子「ほなちょっと行ってきます」
あらすじだと身分を明かさないのは、ぬひさんの提案のように書かれてたけど、ももさんだったんだね。純子は出かけていき、ぬひたちが見送る。小平治さんのズボン、「マー姉ちゃん」のマドカさんが戦時中にはいてた乗馬ズボンみたい。
ぬひ「嬢さんな…。旅館、やる気になってはるのやろか」
小平治「何もお前がごちゃごちゃ言うことあらへんがな」
ぬひ「分かってる。分かってるけど…なあ」
速水家
秀平「すいません、寝坊しました」
清原「おはよう。君の朝飯の支度できているよ」
秀平「ゆうべ、ネガの整理してたら3時ごろまでかかってしまって」
清原「純子さん、西宮の旅館を見てくるとか言って出かけていったけど」
秀平「あ、知ってます。僕もできるなら、その方がいいかなと思ってるんですよ。そうなれば僕たちもおかあさんや雄太君と一緒に暮らせますしね」
清原「そうだねえ。このままでは僕もつらい。純子さんも明るくしているけれども胸の内を思うと言葉がなくてね 」
秀平「しかし、旅館の経営というのは難しいんでしょうね」
清原「ああ…。いや、僕に聞かれても答えようもないが…。まあ、人を使う仕事だし純ちゃん食堂のようなわけにはいかんだろうなあ」
秀平「顔洗ってきます」
旅館 浜風荘へ
玄関先を掃き掃除している人に声をかけた純子。
ヨシ子「おいでやす」
純子「あの、お部屋空いてます?」
ヨシ子「お一人でっか?」
純子「そうです」
ヨシ子「お泊りで?」
純子「いえ、あのお昼を食べさしてもらお思て」
ヨシ子「ああ、お昼でっか。ちょっと待っておくれやす。(旅館の中に入って行く)すんまへん、あの、お昼食べさしてもらいたい言わはって」
キク「ああ! お越しやす。速水さんでっしゃろ?」
純子「いや、いえ、あの、私は…」
キク「何言うてはるんですか。先ほど興園寺林業の支店長さんから電話がおましたんやがな。旅館引き受けてくれるかも分からんお人がそっち行く言うて。背の高いきれいな女の人や言うてはったさかい、私、すぐにぴんと来たんでっせ。さ、どうぞ」
純子「いや、あの私まだ…お引き受けするかどうかは…」
キク「分かってま、分かってま。とにかくどうぞ上がっとくなはれ。お部屋も厨房も隅から隅までご案内しますよってな。さ、どうぞ」
純子「すんません、失礼します」
純ちゃん食堂
うどんをすする秀平。
ぬひ「なあ、嬢さん、ほんまに旅館やらはるおつもりでっしゃろか」
秀平「多分、そうなりますよ」
ぬひ「容易やおまへんで。なあ」
純子が帰ってきた。
ぬひ「あの、嬢さん、どないだしたん?」
純子「思てたよりもずっときれいな旅館やったわ」
ぬひ「いや~」
純子「部屋数が11でな。仲居さんたちも板場さんもみんなええ人やねん。親切に案内してもろてな」
もも「もちろんお忍びで行ったんやろ」
純子「それがな、正太夫さんがいらん電話を入れてはって、着いた途端に『あ、速水さんでっしゃろ』って、もうみんなバレてしもてん」
もも「何や~」
純子「お昼いただいたけどお料理もおいしかったわ」
ぬひ「ところでな、お客さんはどないだした?」
純子「お客さんはな、近くの会社の人が2組ほど入ってたんや。常連さんいう感じでな」
秀平「やっていけそうな所か?」
純子「それは分からへんけど、心配してたほどではないと思うわ。お客さんさえついてくれはったら、なんとかなるのんと違うやろか」
もも「ほやけどな、純ちゃんの身元が分かったあったるんやったら、これ分からんで。あがな人の中にはな人を見て態度変える人あるからな」
純子「そんなふうにも見えへんかったけど…」
秀平「1回2回会ったぐらいじゃ分からんよ。ももさんの言うとおり、よそ行きの顔を見せたかもしれないし」
純子「そない言われたら自信のうなってしまうわ」
小平治「大丈夫、大丈夫。嬢さんやったらちゃんとやっていかはりますて」
純子「とにかく感じのええとこやったんや」
小平治「あのね、旅館ちゅうのはやり方次第でもうかりまっせ。まして純ちゃんみたいな若い女将さんやったら、これは最高や。旅館ちゅうものは女将さんしだいですさかいな。下関にええ旅館があってなあ。そこの女将さんが30前後で飛びっきりの美人でな。皆、またここに来よや言うて、そら大評判でしたんやで」
ぬひ「あんた! いらんこと言うてんと向こう行き」
小平治「はいはい」
ぬひ「しょうもない」
正太夫「純ちゃん、西宮行ったんやて?」
純子「ちょっと正太夫さん、いらんことせんといてえな」
正太夫「いらんことて何にもしてないで」
純子「これからこういう人が行く言うて電話しはったやろ」
もも「純ちゃんな、身元分からんように水戸黄門で行ってんねん、水戸黄門で」
正太夫「そんなことかまんがな。それよりな、向こうにいてはる仲居頭のキクさんいう人、純ちゃんいう人は感じええ人やわいうて言うてはったで」
純子「ほんまに?」
正太夫「うん。そんなことはともかくとしてこれちょっと見て。参ってしまうわ。お母ちゃん、何考えてんのやろな」
純子「どないしたん?」
正太夫「どないもこないもないわらよ」
純子「どこから? あっ、アメリカ?」
ぬひ「あの…アカプルコてどこだんねん?」
正太夫「メキシコ」
同封された絵ハガキ?をぬひやももに見せる。正太夫はつやの手紙を純子に見せた。
つやの手紙
「前略。お元気のことと思います。こちらはつい1週間ほど前に北川さんの裁判が終わりました。弁護士さんの努力のおかげもあって北川さんに対する損害賠償は、そっくり絵を持ち逃げした男に請求するのが正しいということになって、ホッとしました。
私は今、北川さんの案内でメキシコのアカプルコという所に来ています。木々の緑の鮮やかさは、とても日本では想像できないぐらいです」
純子「いや~、北川さん、よかったやないの」
ぬひ「外国旅行なんて羨ましおまんなあ」
もも「なあ」
正太夫「最後まで読んでえな」
手紙の続き
「せっかく来たのですから、しばらくこのまま旅行と続けるつもりです。お店のことは清彦と2人で頑張ってください。西宮の旅館の始末も正太夫に任せます。ではまた」
正太夫「なっ?」
純子「ほな、当分帰らへんつもりでいてはんのやろか」
正太夫「ほんまにあのお母ちゃんが店ほったらかして外国旅行にうつつ抜かすやなんて困ってしまうわらよ」
純子「ほんまやなあ」
正太夫「西宮の旅館かてやで、うちでいつまでも管理でけへんし転売するいうたって惜しいしなあ。純ちゃん。純ちゃんさえよかったら、ほんまに引き受けてくれへんやろか。秀平君、あかんか?」
秀平「僕は構いませんよ」
正太夫「ほら」
純子「ちょ…ちょっと待ってえな。私かて今見てきたばっかりやし、考えがまとまってないねん」
もも「純ちゃん。やったらええわらよ」
純子「そやけど食堂はどないすんの?」
もも「店はうちが引き受けるさかい」
純子「そんな…」
小平治「わしはええ話やと思うけどな」
ぬひ「あんたはもういらんこと言いな!」
正太夫「僕が旅館するいうたって僕が旦那さんするわけにはいかんしな」
純子「そない言われたかてなあ…」
正太夫「純ちゃんが嫌やったら売るしかないけどもったいないやろ」
純子「気持ちは傾いてんのやけどな、ほんまにやるとなったら、お母ちゃんにも納得してもらわなあかんしな」
正太夫「ほんまにとにかく頼むわ」
秀平は突然立ち上がり、仕事に行ってくる、もしかしたら泊まりになるかもしれないと食堂を出て行った。
正太夫「純ちゃん。秀平君、大丈夫か? 何かソワソワして泊まりやて…」
純子「何でやの」
正太夫「ハハハハ、冗談や」
夜、小野家
純子「お母ちゃんのためにも気分が変わってええやろて思うし、私かてもしうまいこといったら秀平さんにお金の心配させんと好きな仕事だけしてもらえるやろて思うし。私は乗り気になってるのやけどな」
純子も恭子もマインドは同じだな。
あき「今更新しいこと始めんの正直言うてしんどいと思てるんや」
純子「何で?」
あき「何でや言うても困るけど。お金かてかかるんやろ」
純子「それは正太夫さんとこで都合してくれる言うてくれてはるし」
あき「今はそんな気になられへんのやけどな…」
秀平、当たり前のように小野家の玄関を開けて帰ってきた。「純子。今、西宮の旅館に行ってきたんだけどね」
純子「いや…なんや仕事やなかったん?」
秀平「僕も一遍見といた方がいいと思って行ってみたんだけど何か君の話とはだいぶん違うんだなあ、僕の印象は」
純子「いや、ちっとも知らんかったわ」
秀平「いきなり布団部屋みたいな所に通されたんですよ。飯はいつまでたっても出てこないし、お茶頼んでも中年の仲居さんに嫌な顔されるし、出てきた食事は冷めてるし。ちょっと心配になっちゃってね」
純子「そやったん?」
秀平「人を見てるのかなあ。僕はいい感じしなかった」
純子「ほんま?」
秀平「しばらく経営者がいなかったから、みんないいかげんに仕事してるのかもしれない。本当は泊まってみるつもりだったんだけどね。もういいなと思って帰ってきちゃった」
純子「汚い格好して行ったからやないの?」
秀平「そうかなあ」
あき「どないすんの? 純子」
秀平「僕は旅館やること自体は賛成なんだけどね。ただ従業員がねえ…」
純子「どういうことやろ…」
連続テレビ小説が不連続になると、正直、ちょっとテンションが下がり始めてます。やっぱり毎日15分しっかり見たい。