公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
結婚式まであと数日、雄太(唐沢寿明)と昭(西川弘志)は純子(山口智子)に、真珠のネックレスのプレゼントを用意していた。秀平(髙嶋政宏)は清原(浜村純)に、掃除のしかたを教えられている。アメリカにいる北川から手紙が届き、開けるとつや(白川由美)宛てのラブレターだった。つやがプレゼントのウエディングドレスを持って現れ、間違って届いた純子宛ての手紙と交換すると、純子にプレゼントを贈ったと書いてあり…。
昭と雄太の部屋
昭「気ぃ付けや。破れたらワヤやからな」
雄太「大丈夫やて」包み紙をはがそうとしている。
足音が聞こえて
昭「お姉ちゃんや、お姉ちゃん!」
純子が入ってきて「はい、おぶ」。昭と雄太は何となくごまかす。純子に何か変、おかしいなどと言われると勉強、勉強と机に向かった。純子が出ていくとさっきの作業を続行。
昭「気ぃ付けや」
雄太「金庫破りしてるような気持ちやで」
包み紙をそーっと開けると、真珠の首飾りが入っていた。
雄太「どや? ええやろ?」
昭「ええな」
雄太「3,000円やもんな」
昭「雄太、1,500円はよ返せよ」
雄太「待ってえな。月給もらうまで金ないのやから。今、一番苦しいとこや」
秀平の働く「ザ・ワールド」は基本給が7,200円。
昭和29(1954)年 大卒初任給(公務員)8,700円 高卒初任給(公務員)5,900円
だから今でいう10万円くらいの真珠の首飾りかなー!?
昭「でも、これやったらええな」
雄太「お姉ちゃん、喜ぶで~」
昭「喜ぶ喜ぶ。だって僕らがこんな豪華なもんプレゼントするとは思てないやろからな」
雄太「真っ白なウェディングドレスに真珠の首飾りや!」
昭「映るやろなあ」
雄太「3,000円やもんな」
朝。純子が家の前を掃き、秀平が家の中を掃き掃除していた。
清原「そうそう」
純子が家に入って、その様子を見てびっくり。
純子「秀平さん、お掃除やったら私がやりますさかい」
清原「いかんいかん。男にもこれくらいのことはやらせるべきなんだ。ハハハ、純子さん、結婚式まであと幾日もないけど、それまでに多少のことは秀平君に仕込んどくから心配しないように」
純子「あっ、はい」
あー、清原先生が来てくれてよかったー!
小野家から「When You're Smiling」が聴こえる。恭子と一緒に純子も歌っていた。
そこに北川からの手紙が届いた。
あき「ああ、慌てんとはさみで切らんとあかんで」
恭子「何と言うてきたん?」
純子「待ってえな」手でちぎる。
北川からの手紙
「拝啓 お変わりなくお過ごしの事と存じます。はるかなるニューオリンズから愛をこめて。…なんて言うと一寸キザですね。しかし、胸いっぱいのなつかしさでこの手紙をしたためているのは本当です。来年あたり日本に帰れるかもしれません。ぼくも少しずつ実業家の顔になりつつあります。それにしてもこちらに来て思い出すのは奥様のことばかりです。」
純子「奥様?」
恭子「お母ちゃんのことやろか」
あき「何でやの」
北川からの手紙
「いつもお若くてお美しい奥様。遠く離れて僕は初めて恋をしていると知りました。」
ちょっと嬉しそうなあき。
恭子「北川さん、お母ちゃんが好きやったんやろか」
あき「えっ、いや、どないしよ」照れ。
北川からの手紙
「八百年の旧家にふさわしい奥様の気品はぼくを捉えて…」
ここまで読んで慌てて手紙を閉じる純子。「興園寺の奥さんのことやわ」
あき「そやけど…」
恭子「間違うて入れてはったんやわ、きっと」
純子「そやね、絶対そうやわ」
あき「どないすんの、あんた、封切ってしもて」
純子「封をそっと剝がしとけばよかったわ」
あき「そやから手でちぎったりしたらあかん言うたやんか」
純子「そやかて私に来た手紙やて思たんやもん」
恭子「もめてどないすんの。封筒が元どおりになるわけないやないの」
そしてこういう時に限って一番来てほしくない人が来てしまうものなんですねえ。
つや「ごめんください」
つやは純子のためにウェディングドレス持参で訪れた。
あき「いや~! すてきなドレスやわ!」
つや「うちからのほんまにささやかなプレゼントです。どうぞお納めください」
あき「どうもありがとうございます」
純子「ほんまにありがとうございます」
つや「いいえ。なあ、純ちゃん、ちょっとこれ当ててみてくれるか?」
純子「はい」立ち上がってドレスを当てる。
つや「いや~、きれいやわ。女のうちが見てももうほんまにほれぼれすらよ」
恭子「よう、似合うてるよ、お姉ちゃん」
純子「ほんま?」
あき「ほんまにええもん頂いて」頭を下げる。
つや「何を言うてはりますのん。もう喜んでいただければそれでうちもうれしいです」
純子「ほんまに…ほんまにありがとうございました」
つや「いいえ。あっ、そうやわ。あのな、純ちゃん。北川さんからな、うちに手紙が届いたんよ」
顔を見合わせるあきと純子。
つや「そんでな何を慌てたんか知らんけど、何か手紙の中身を入れ間違えてな、うちの方に純ちゃん宛ての手紙が入っとったんやけど中身を見てしまったんや。ほんま堪忍な」
純子「いいえ」
つや「悪いことしたわ」
つやから受け取った手紙を読む。
「純ちゃん、お元気ですか。秀平君から君たちが結婚するということを聞きました。おめでとう。僕はね、君たちがお互いに愛し合っていることを君たちよりも早く気が付いていましたよ。結婚のお祝いにささやかなプレゼントを送りました。多分、この手紙と同じくらいに着くはずです。」
純子「プレゼント送ったって書いてある。うれしいわ」
つや「でな、純ちゃん。あのこちらにうちの手紙が届いてへんやろか」
あき「はあ、あの…」
純子「来てます。あの、でも…私がうっかり開けてしもて」
つや「あっ、そう。うわ~、よかった」
あき「すんません」
つや「そうですか」
手紙を読んだつやは照れて笑った。
つや「あの、これ読みはりました?」
あき「いえ、あの…ちょっとだけ。なあ?」
純子「あの…すんません」
つや「恥ずかしい」恥ずかし紛れにドレスを当てたりしてかわいい。
北川からのプレゼントが届いたのは翌日の午後であります。
純子「カードが入ってる」
あき「ほんまやわ」
恭子「何て? 何て書いてあんの?」
純子「待って」
北川からのカード
「純子さん、おめでとう。ぼくからの素敵なプレゼントを用意しました。気に入って貰えるかな。グレン・ミラーの”真珠の首飾り”という曲を聞いていて、純子さんへのお祝いはこれだと思いました。」
純子「真珠の首飾りなんやろか」
あき「えっ?」
純子「いや~」
恭子「立派やわ」
あきと恭子の前で当ててみる純子。
昭と雄太が自分たちの部屋に入ってきた。
雄太「どないしたんや?」
昭「あのな…。僕らが買うた真珠の首飾りな」
雄太「あ~? お前、お姉ちゃんに見つかったんか」
昭「あかんねや」
雄太「何でや?」
昭「アメリカからな、北川さんがえらい立派な首飾り送ってきはったんや」
雄太「え~?」
昭「6~7万はするてお母ちゃん言うてたわ。僕らの3,000円の安物では勝負にならんわ」
雄太「どないする?」
純子が下からご飯にしようと声をかけてきた。
純子がまた真珠の首飾りを首に当て、恭子が「When You're Smiling」を歌う。そこに昭と雄太が下りてきた。
あき「どないしたんや? 元気ないやないか」
昭「別に」
雄太「北川さんからお祝い届いたんやて?」
純子「うん、そうなんや。なあなあ、これこれ。これなんやけど。見て。ほら、こんな大粒の真珠、見たことないわ」
雄太「(昭に向かって)あかんわ」
あき「おかしいな。どないしたんや? 2人とも」
昭「どないする?」
純子「何やの?」
昭「実はな、僕と雄太でお姉ちゃんにプレゼントがあんねん」
純子「2人で? うれしい」
雄太「いやでも…あかんのや」
純子「何で?」
昭「これやねんけど…」
純子「何やろな」包みを開けると真珠の首飾りだった。
雄太「そんな立派なもんが届くとは思てもみいひんかったわ」
昭「ともかくもうて。僕らが持っててもしゃあないし」
純子はじっと首飾りを見つめる。
恭子「ほな、これうちがも~ろた」
しかし、恭子の手を純子が制した。
純子「おおきに。ほんまにおおきに。お姉ちゃん、結婚式にはこれをつけさしてもらうさかいな」
昭「何でや。北川さんの方が立派やんか」
純子「ううん、これにする。一生の宝物やさかい、これつける。北川さんのは新婚旅行の時につけさしてもらうわ」
雄太「そやけど北川さん、せっかく…」
純子「ううん、これにする」
あき「そやな」
恭子が昭たちのプレゼントの首飾りを純子の首につけた。
純子「おおきに」
照れる昭と雄太。
いい話だなー。ま、北川さんは結婚式には来ないだろうし、昭たちのでいいよ。手紙の取り違え、プレゼントかぶりは他の朝ドラならそこで勘違いのひと騒動が起こりそうなもののそういうのがないのが純ちゃんらしさ。昭たちがこんなのだしてもしゃあないと贈り物が無駄にならなくてよかった。