公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
皆出払った磯野家で、新八郎(田中健)がマリ子(熊谷真実)に結婚の話を切り出す。突然のことで歯切れの悪いマリ子に、焦った新八郎は激昂しながら無茶な求婚をする。勢いに押されて承諾しながら、優しいが気短な亡き父を思い出すマリ子。熱も冷めぬうちに、新八郎が鹿児島の父・隆太郎(戸浦六宏)と母・貴美(三木弘子)を連れて挨拶にきた。だが、嫁入り後の磯野家を心配するマリ子は求婚の承諾を言い出せずにいて…。
[rakuten:book:10973793:detail]
すごい急展開の日。
はるが出かけていき、なぜか家にいる新八郎とマリ子。マリ子は家に上がるように言うが、新八郎は庭の方からいいですか?と庭で話をした。
新八郎は2年ぶり(!)の休暇中で、今夜の夜行で故郷に帰る前に、マリ子に聞きたいことがあると言い、縁側に座る。
新八郎「マリ子さんは24ですよね」
マリ子「失礼だわ。知ってるんだったら改めて女に年は聞かないものよ」
新八郎「結婚する気がないんですか?」
マリ子「えっ?」
新八郎「いや、結構美人だし、あちこちから随分縁談が来てるってお母様から聞いてます。でも、どうも当人のあなたがその結婚そのものにあんまり乗り気じゃないらしいってことも伺ってるんでね」
マリ子「乗り気も何も私が結婚出来るわけがないじゃありませんか」
新八郎「どうしてですか?」
マリ子「どうしてって…」
新八郎「あなたが一家の大黒柱だからですか?」
マリ子「ええ、それもあります」
新八郎「それもってほかに何があるんですか?」
マリ子「それは…」
新八郎「遠慮なく僕に言ってくれませんか?」
マリ子「私、別に東郷さんに遠慮しなければならない筋合いはありませんけど」
新八郎「いや、それは…それもそうですね」
マリ子「そうよ。それにそれだけだって十分すぎる理由だわ。ヨウ子はまだ女学校があと1年あるし、今、私がお嫁に行ったら、このうちはどうなると思いますの?」
新八郎「別にどうにもならんでしょう」
マリ子「まあ、無責任な!」
新八郎「だってここの家族をみんな込みで嫁にもらったら解決がつかない話でもないんだし」
マリ子「東郷さん…」
新八郎「ええ、つまりですね、今度帰ったらおやじとおふくろに話をつけてきたいんです。返事をくれますか?」
マリ子「何の返事をですか?」
新八郎「何のって君! 僕が結婚を申し込んでいるのが君には分からんのですか!?」
マリ子「そんなこと言ったって…」
新八郎「いいから、落ち着きなさいよ」
マリ子「む…無理です…」
新八郎「無理でも落ち着くんです! 僕だって一生懸命落ち着け落ち着けと自分に言ってるんですから」
マリ子「本当に?」
新八郎「ええ。できることなら耳をつけて聞いてもらいたいです。僕のこのぶち割れそうな心臓の音をね」
マリ子「ああ、よかった」
新八郎「ああ…聞こえるでしょう?」
マリ子「(笑い出し)ええ」
新八郎「あっ、それそれ」
マリ子「どれどれ?」
新八郎「それです。今笑った、その顔」
マリ子「もう、からかわないでください!」
新八郎「冗談じゃないよ! 僕は真剣だよ? 僕は初めて君に会った時から真剣にほれてるんだよ」
マリ子「ほれてるですって?」
新八郎「そうだ。結婚しないならしないでもいい。そのかわりに一生どんな男とも結婚しないでもらいたい!」
マリ子「そんなこと約束できません」
新八郎「約束できないんだったら僕と約束するんです。結婚するって」
マリ子「むちゃ言わないで」
新八郎「何がむちゃですか。(立ち上がり)僕を身震いするほど嫌いなら僕は身を引くが、僕はねこのうちの家族をみんな込みで嫁にもらうって言ってるんだよ! だったら君の悩みは一挙に解決するじゃないか。それでも君は不足があるっていうのかね! ええっ!?」
マリ子「あります」
新八郎「何が!」
マリ子「身を引くなんて失礼よ。つまりあなたはそれほど私に熱心じゃないっていう証拠じゃありませんか」
マリ子は立ち上がって家の中に入る。
新八郎「いちいち人の揚げ足を取るな!」
マリ子の視線は父の遺影に。
新八郎「聞いとるのかね、こら!」
遺影のアップ。
新八郎「一体どっちを向いとるんだ、こら!」
マリ子「は…はい」
マリ子は優しいくせに気短でこれとそっくりにどなった父を思い出していたのです。
新八郎「とぼけても駄目だ! イエスかノーかはっきり答えなさい!」
マリ子「はい」
新八郎「うん、それじゃあイエスなんだね?」
マリ子「(父の遺影をチラ見して)はい…」
へたり込んだマリ子の手を取る新八郎。
新八郎「マリ子さん、ありがとう! 本当にありがとう!」
マリ子「あ、あ…」
新八郎「大丈夫だよ。僕は君を裏切ったり不幸にするわけないじゃないか。マリ子さん、子供は何人がいいですか?」
マリ子「子供!?」
新八郎「ええ。マリ子さん! どうしたんだ? 大丈夫か? あ~、よかった。とにかく落ち着きなさい。あっ、マリ子さん」
マリ子、失神。
逆切れみたいなプロポーズ。「はね駒」の源造さんもそうだけど、声を荒げるような人が男らしくて素敵という時代があったのかねえ…。源造も新八郎もインテリっぽい感じだけど、怒鳴り散らすタイプは苦手。
この時のマリ子はまるで金縛りにあったようなものでした。
汽車で故郷に向かう新八郎。
熱血の九州男児、東郷新八郎。数年来、抑え続けた純情を一気に爆発させたとなると、その後の打つ手の早かったこと、まさに電光石火と申せましょう。
初登場が60話。昭和13年だから出会ってそれなりに年月はたっていたのね。
新八郎が両親を連れて磯野家訪問。父は戸浦六宏さん、母は三木弘子さん。戸浦さんは悪役っぽい感じとか結構いろいろ出てた人で、三木さんは「3年B組金八先生」の川村用務主任! また金八ファミリーだ。
玄関で靴磨きしていたマチ子をマリ子と勘違いする新八郎の両親。
隆太郎「九州からでんどっからでん、せがれが欲しいっち言う嫁ならば、一目、見参せんとはるばる参上したもんでごわす」
マチ子も恐縮して挨拶をする。しかし、マチ子はマリ子から何も話を聞いておらず驚く。
かくして事の成り行きは…
国民服を着た伯父の透一郎と花江が駆けつけた。東郷家と磯野家が向き合い、真ん中に岩村夫婦。マリ子は新八郎からの求婚を承諾したことを家族の誰にも話していなかった。わけを聞かれたマリ子はまさかと思ってと答えた。
隆太郎「我が鹿児島県人にはざれ言でおなごに結婚ば言い寄る男は一人(いちにん)たりとおりもはん」
透一郎「は…」
隆太郎「まして、我が東郷家は旧薩摩士族の出。せがれがそげな中身の男と思われたこと、まっこて家の恥。こんままでのめのめと引き下がることだけはできもはん!」
はる「ごもっともでございます。我が磯野家も同じように島津のお殿様にお仕え申し上げた家柄。決して殿方のお気持ちを弄ぶような娘に育てた覚えはございまっしぇん」
透一郎「お前は黙ってなさい」
はる「でもございましょうが、お兄様…」
透一郎「いやいや、問題はマリ子だ。なあマリ子。一体どうしてこれほどの大事を母親やこの私にひと言報告してくれなかったんだね?」
マリ子「申し訳ありません。でも私…」
マチ子はマリ子が妹たちやうちのことを考えたのだと察した。マリ子が内心、新八郎に好意を持っていることを知っていた。
マリ子「私、あの時、あなたに結婚しようって言っていただいて本当にうれしかったんだと思います。でも、私はこの家の長女ですし、もし、今、私がこの家からいなくなったら…」
そのことは新八郎の両親も了承済みで、一家込みでお嫁に来てもらって構わないと言う。
隆太郎「ご一家込みで嫁にもらうっちいうせがれの壮挙に親として、こん私も思わず快さいを叫んだでごわんでな」
ありがたい話だと透一郎もはるも言う。透一郎はマリ子が嫁に行っても一家を引き連れていくことはない、そのための伯父だと言う。マチ子も妹たちのために幸せを逃したとしたら妹たちの立場はどうなる?と同調する。
マチ子「お願いします。東郷さん。あなたがお義兄さんになってくださるんだったら、私もヨウ子も大歓迎なんです」
はる「そうですとも。たとえ、マリ子がどうあろうと失礼ながら私が気に入っております。こちらからお願いしてでも、マリ子をお嫁さんにしていただきたいと思っておりますのよ」
はる「これより話を白紙に戻しまして、改めて、兄・岩村透一郎を立てまして、お話を進めさせていただきたいと思います。いかがでしょうか? お兄様」
透一郎「ああ。お前とマリ子がそのつもりなら、この場は私が橋渡しの役を務めさせていただこう。では、東郷さん。どうぞよろしくお願いいたします」
隆太郎「よしゅごわんそ」
隆太郎に言われてプロポーズのやり直し。
新八郎「マリ子さん、僕と結婚してください!」
マリ子「東郷さん…」
新八郎「もう一度言います。結婚してください。僕はあなた以外の女性を妻にと考えたことは一度もありません!」
マリ子「はい」
マチ子「マー姉ちゃん」
マリ子「ふつつか者ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします」
ウラマド姉妹がやって来て結婚式の話をする。しかし、マリ子は婚約だけで式は当分先だと言う。まだ心の整理がついていない。
吹っ切りなさい、マー姉ちゃん。長女が幸せになってはならないという法律は、いくらこの時代にだってなかったんですから。
マリ子もマチ子も異常なほどの実家好きだから、家を出る事に抵抗があるのかな。しかし、おしんみたいに身分差みたいなこともなさそうだし、結婚そのものは順調そう。