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【連続テレビ小説】あぐり (107)「エイスケ死す」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

エイスケ(野村萬斎)が死んだ夜、入院中の淳之介(大根田良樹)と和子(新穂えりか)の元にエイスケが現れる。通夜の支度が進む中、エイスケからあぐり田中美里)にあてたサプライズのバースデーケーキとカードが配達される。子どもたちの元に現れたと二人から聞いたあぐりは、ずっとあぐりのそばにいると言ったエイスケの言葉を信じられる気持ちになる。エイスケの死から1週間、画家の緑川靖子(中川安奈)があぐりを訪れ…。

お座敷に来た大学病院のお医者様が淳之介にいい薬をくれたと言って鈴音が仕事帰りに望月家を訪れた。出迎えたとめが泣いていたので、てっきり淳之介が亡くなったと思った鈴音は「全くこんな時に父親は何をやってるの?」と怒りをあらわにした。

 

しかし、亡くなったのがエイスケだと分かると泣き崩れた。あぐりが言う「本当に急だったのよ…。箱根から帰ってきて『具合が悪い』って座ったまま。私…車の具合だと思って…。あの時…狭心症の発作を起こしてたのね…。私…早く気が付いてあげればよかった。本当に眠るように亡くなってたのよ」の車の具合だと思ってたのは本当で、眠るように亡くなったというのは嘘。結構苦しんだらしいです。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィでは燐太郎がひとりカウンターで飲んでいた。高山に「行かなくていいんですか?」と言われて、「おととい、あいつ、ここに来たろう…。あれ…俺に別れを言いに来たんだよ…。だから…もういいんだ。でもね…本当は別れじゃなくて助けを求めていたのかもしれないなあ…。どうして気が付いてやれなかったんだ、俺は…。17の時から一緒にやってきて結局、何も分かってやれなかったんだよ…。バカだよ俺は! バカだよ…」。

 

エイスケさんは明るいし優しい人ではあったけど、心の内を誰にも明かさない孤独な人でもあったのかもしれない…と今回の再放送で気付かされました。

 

病室で雑誌を読んでいた淳之介の前に赤いリボンが巻かれたカンカン帽をかぶって着物姿のエイスケがメロンを持って現れた。「悪いな、淳。パパ、おじいちゃんがお前にくれたメロン食べちゃったんだよ。だから、これ…おわびのメロンだ」。

 

淳之介は急に現れたエイスケに驚きつつ、「でも、ママ…メロン持ってきてくれたよ」。となると、昨日のシーンは、あのメロンは全部エイスケが食べて、あぐりはメロンを買い直したのかも?と思えてきました。

 

エイスケ「でもこれ、パパのおわびだ。食べろよ!」

淳之介「うん…。ねえパパ?」

エイスケ「ん…?」

淳之介「いつか言ってたよね。どんな便利な世の中になっても人間にしかできないことは必ずある…。どんなに優れた機械でも人間の愛には勝てないって」

エイスケ「ああ」

淳之介「小説を書くのも人間にしかできないんだよね…。なぜなら…小説には人間の愛が必要だからだよ。僕、思うんだ」

エイスケ「そうか…!」

淳之介「だから僕将来…」と夢を語りかけたところでエイスケの姿は消えていて、メロンだけが置かれていた。

 

一方、和子の病室も明かりがともった。

和子「パパ…!」

エイスケ「シッ。もう消灯時間過ぎてるからねえ…」

和子「うん」

エイスケ「和子、約束どおり、パパ…洋服着てきたからね。ほら」

和子「うん」

エイスケ「どうだ! なかなか似合うだろう?」

和子「うん」

エイスケ「和子。パパはず~っとそばにいるからねえ。早く元気になるといいね」と和子の手を握る。明かりが消え、和子の目の前からエイスケが消えた。エイスケさんの白スーツ、素敵です。脚長いなー。

 

エイスケの訃報を聞いて健太郎が岡山から駆けつけたのはエイスケが死んだ翌日のことでした。

 

健太郎はエイスケの顔を見て「どうして…そんなに…急ぐ必要があったんじゃ、エイスケ!」と語りかけた。そばにいた光代が「勝手なことばっかりして…勝手に死んでしまうんじゃから…。ほんまに親不孝な子じゃ、この子は」と涙を流す。

 

健太郎「いやあ…親孝行だったぞ、エイスケ! 一緒になあ、こいつ…わしと酒を飲んでくれたんだ…なあエイスケ?」

 

その日の夕方、あぐり宛てにエイスケから大きな箱が届いた。明けてみるとあぐり美容院をかたどった大きなケーキで「あぐり りえ おたんじょうび おめでたう」とメッセージがついていた。それにしてもエイスケさんの字がかわいい。

 

エイスケの「あさっての君の誕生日にはすてきなプレゼントがあるからね」という言葉や「どこにも行かないよ。僕はず~っとあぐりのそばにいるよ。これからもず~っとね」を思い出し、ひとり泣き崩れるあぐり

 

エイスケの野辺の送りも済み、1週間がたちました。

 

祭壇を前に、子供たちには今は黙っておいた方がいいだろうということになるが、淳之介の病院を訪れた健太郎と光代は淳之介からあぐりの誕生日の前日にエイスケが来たことを聞かされ、あぐりもまた和子から白い洋服を着たエイスケが来たことを知らされた。

 

エイスケの戒名は”文章院誠證宗和信士”

 

燐太郎は自分が書いた小説とまっさらな原稿をエイスケのために持って来た。そこに現れたのはベレー帽のおしゃれな女性。祭壇の写真を見て呆然とし、「エイスケ…本当に死んだのね」と写真を見つめた。あぐりの事は知っているらしい。

 

緑川靖子と名乗り、1か月ほど外国にいて何も知らなかったとあぐりに話した。お悔やみを言って出ていこうとするので、あぐりがエイスケとはどういう関係か聞くと、「あぐりさん…。私のおなかの中には…エイスケの子供がいるの。あなたには関係のないことだけど一応言っておくわ」と言い残し、帰っていった。

 

緑川靖子役の中川安奈さんは、私の中では「あぐり」の前は1994年の日テレドラマ「出逢った頃の君でいて」というドラマが印象深かったです。陣内孝則さんと不倫するのりP、そして陣内さんの妻が中川安奈さんでした。すごく怖い奥さん役だった気がするし、のりP頑張れと思って見ていた気がする。その中川さんも早くにお亡くなりになってしまったんだね。

 

” 大変な結婚生活でしたけれど、それでもエイスケさんは、私にとって大きな存在でした。エイスケさんが亡くなりました時は、何日も食事がのどを通りませんでした。人一倍ピンピンして、やりたい放題のことをやっていた人が、あまりに突然逝っちゃったからでしょうねえ。

(中略)

 ところが、悲しみの涙も乾ききらないうちに、借金やら、女の人やら、いろいろな問題が出てきました。”

 

” 吉行は、当時ドイツから輸入されていた新薬ズルフォン剤の錠剤を袂にしのばせていて、「この薬を服んでいれば安全ですよ」といって、にやりと笑った。吉行は予防薬として、そのズルフォン剤を常用していたので、その乱暴な服用をたびたび警(い)ましめたがききいれなかった。吉行の急死の原因は、そのズルフォン剤の濫用からであった、といまもわたくしは思っている。いえば、昨今やかましい「薬害」である。”

 

楢崎勤さんという戦前「新潮」の編集者を20年つとめた人物で、「吉行エイスケ作品集」を出す時に文章を書いてくれたものを淳之介さんが引用したものだそうです。

www.aozora.gr.jp

この作品の中に歯が痛くてズルフォン剤を三箱カラにしたという文章があるので、痛み止めのような感じ? エイスケさんも何の説明もなく薬を飲んでいたシーンがおとといだったかあったな。

japanknowledge.com

こちらによればズルフォン剤=サルファ剤となっています。

kotobank.jp

感染症の薬?? あまりに急だったものだから後から考えたらこれが原因かも?とみんながみんな考えてのことだったのかもしれないけど、原因は一つじゃなさそう。

 

亡くなった昨日より、子供たちの前に現れる幽霊のエイスケさんが泣けた。