徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】あぐり (55)「父の背中」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

あぐり田中美里)がチェリー(名取裕子)の内弟子になって3か月、あぐりが家で鏝を冷ます練習をしていると、燐太郎(野村宏伸)がエイスケ(野村萬斎)の使いでやってくる。燐太郎にドキドキする真知子(吉野紗香)を見て、燐太郎の所に連れて行く、と約束するあぐり。約束の時間になってもあぐりが迎えに来ず、真知子は一人で会いに行く。燐太郎があぐりの話ばかりするので、面白くない真知子が帰ろうとすると、エイスケが…。

大正14年(1925)7月

岡山から上京したあぐりがチェリー山岡の内弟子になって3か月が過ぎました。うだるような暑さの中で熱い鏝を冷ます練習は大変です。それでもあぐりは持ち前のやる気と根性で毎晩他人の3倍練習をしていたのでした。

 

真知子は裏庭で燐太郎の詩の暗唱。

満天に輝く星たちよ…

君たちはわたしの愛

君たちはわたしの夢…

君たちはわたしの悲しみ

君たちはわたしの涙…

そしてわたしの人生

 

夜なのにシーツが干されたままで、そのシーツの間から燐太郎登場。「こんばんは。それ…僕の詩だよね」。

 

真知子は家に入ると、あぐりに「お客さん…」とそっけなく言い、誰?と聞いても「知らない…」と去って行った。本人の前で詩の暗唱は恥ずかしいって!! 燐太郎に今度真知子に詩の話をしてほしいとお願いするあぐり

 

世津子の雑誌は9月創刊に向けて追い込み中。燐太郎は忙しい?エイスケに代わって贈りものを持って来た。それを台所から覗き見している辰子たち。

和代「あの2人怪しいわ」

千代子「まさか…。だって燐太郎さんってあぐりさんの旦那さんの友達ですよ」

辰子「そんな常識あぐりさんには通用しないもの」

しっかし、こんなに毎度分かりやすく描写されてたのに、リアルタイムでは燐太郎からあぐりへの好意を全く気付かず見ていた私…(^-^; どんだけ燐太郎に興味ないんだ。

 

あぐりはエイスケからプレゼントされた白いノースリーブのワンピースを着て真知子に見せた。燐太郎の趣味ではなくエイスケからのプレゼントと知ると「最悪の趣味ね」。明日の昼に新宿に行く用事があるから燐太郎に会いに行こうと提案するあぐり。この日があぐりの誕生日なら大正14年7月10日は金曜日だったみたいです。あぐり18歳。

 

エイスケにプレゼントされたワンピースを着てチェリーに頼まれた新宿へ出かけていくあぐり。真知子は口ではそっけなかったが、おめかしをして燐太郎の詩集を持ってウキウキ。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィではエイスケたちが編集作業に追われていた。森は墓石屋が広告を出してくれたので、自身も「女性の肌は墓石のごとし」という文章を書いて世津子にダメ出しをされていた。「美人のお肌は御影石 お肌の見かけは分からない」。ダジャレも没。「墓石抱えて3キロ歩けば3キロ痩せる」…「とりあえず墓石から離れたらどうですか?」さすがのエイスケもツッコミに回った。

 

淳之介の手を引いて光代がカフェ・セ・ラ・ヴィに差し入れを持って来た。光代さん元々すごい家事能力高い人!? 光代はエイスケが一生懸命仕事していることを感謝していた。うーん、確かにエイスケのこんな姿は貴重だ。

 

世津子と光代がベランダに出て談笑している姿を見て森は感動していた。「美しい…。実に美しいとは思わんかね」「かつては一人の男を愛した女同士…。それが今や微塵の嫉妬も飛び交う火花もなくあらゆるものを超越した純粋な女の友情という輝きだ。今や男は跡形もなく消え去り、そこにはただ互いを認め許し合う2人の女だけが残されていた。美しい…。何という美しさだ」。

エイスケ「じぃじ…まだ生きてるんですけどね」

澪つくし」の千代とるいみたいに男の人って一人の男を取り合った女同士が仲良くしてる図が好きなんだろうか…とふと思う。

 

一方、岡山では、照という新しい女中が健太郎に昼ごはんに梅干しが入っていないと指摘されても「じゃ、きらしとんですわ」とそっけない。しかし磯辺は光代が東京、しおも郷里に帰っていて細かいことを分かる者がいない。奥様に頭を下げて帰ってきてもろうたら…と言った。「勝手に出ていったのはむこうなんじゃ。何でわしが謝らんならんのじゃ!」と怒った。

 

あぐりを待っていた真知子だが、なかなかあぐりが来ないので一人でカフェ・セ・ラ・ヴィに行った。燐太郎は真知子にランボーの詩を語る。

rimbaud.kuniomonji.com

↑結構長い詩だった。燐太郎の訳とは結構違う。「酔っぱらいの舟」という詩の「蒼茫たる海上は 見ているうちに アルコールよりも強烈に 竪琴の音よりも おおらかに 金紅色に染め出され その拍節と熱狂とが 愛執の苦い焦げ色を醸し出す」。

poesie.hix05.com

燐太郎曰くボードレールの「旅」という詩と比較されるらしい。しかし、真知子は燐太郎の顔にポーっと見とれていた。

 

あぐりがなかなか来ないので、燐太郎が心配していると「道に迷ったんじゃないですか?」と真知子。「でも、あぐりさんならありえるかもしれないな…。不思議な人だからねえ。まさかと思うことが平気でできちゃうんだ、彼女…。まあそこが彼女の魅力なんだけどね。いくら奇想天外な事しても誰も怒らない。いやむしろ不思議とそれがみんなの心を和ませたりするんだよ…」とあぐりのことになると饒舌になり、初めて会った時の洗濯物の干し方の話をする。

 

真知子はそんな話が面白いはずもなく席を立った。「あぐりさんの事好きなんですか? 友達の奥さん好きになるなんて不潔です!」燐太郎キョトーン。この時点では燐太郎自身も自覚なし?

 

そこに赤いスカーフをカンカン帽に巻いたエイスケ登場。野村萬斎さんは着物も洋装も似合う! 「燐太郎、レディーに対して失礼だぞ! 他の女の話ばかりしたら…」。真知子はエイスケがあぐりの夫と知る。

 

エイスケ「君の瞳、美しく輝いてる。今の君にはいかなる宝石も色あせて見える。君の内なる原石が輝きはじめた。その石の名は『ジェラシー』…」帰ろうとした真知子の詩集を取り上げたエイスケの身の軽さ! 「カモン。レッツダンス」と真知子をダンスに誘った。最初はムッとしていた真知子だが、いざダンスを始めると笑顔になった。燐太郎「さすが女の扱いは天下一品だな…」

 

あぐりはなんと道に迷っていた。あぐりをチェリーの元に連れてきた警官は、おしんの見合い相手で池ポチャされた津村鷹志さん! あぐりのノースリーブワンピースを下着姿と言って聞かなかった。真知子を待たせたことをチェリーに謝った。

 

ポエムってバカにされがちでもあるけど、私は金子みすゞさんの詩が好きだし、燐太郎の詩も何度も聞いてるうちに好きになってきた。