1984年12月30日 TBS
あらすじ
新聞記者の春山(平田満)が赴任した北狩支社がある町は、事件といえば燃料屋の山本(三木のり平)が絶えず起こすいさかいぐらいなもので、いたって穏やかな所だ。ある日、春山は気のいい居酒屋の女・郁子(いしだあゆみ)から、クリスマスの夜になると毎年、町はずれの漁村に馬ソリに乗ったサンタクロースがやって来るという話を聞く。人知れず現れるというこのサンタクロースに興味を抱いた春山は、正体を追って取材に当たる。しかしサンタクロースは「身元を詮索するなら子どもたちのところに来るのを止める」と告げていたらしく、誰もその正体を知らなかった。春山は郁子からもこのことを記事にしないよう口止めされるが、約束を破ってニュース記事にしてしまい…。
www.nihon-eiga.com北方新聞社の編集長は読者を明るくするニュースを!と熱く語ったが、記者たちはあまり乗り気じゃない感じ。
北狩支社に赴任したばかりの春山は札幌の編集部から北狩に戻って来た。架空の町かな? オープニングでは協力・厚田町となってました。北狩といえば、燃料屋(プロパンガス屋?)の山本というじいさんがあちこちでトラブルを起こすくらいで他には何もない町だった。
春山は居酒屋に行った。郁子という女の店で7年前からやっていると言う。夫が亡くなり、息子を美水(びすい)の祖母に預けている。郁子から美水という北狩の外れにある場所に毎年サンタクロースが来ると言う噂を聞いた。
白い馬がひく馬そりで移動していたという情報を得て、春山が調べるが、北狩一体に白い馬はいない。郁子に記事に書かないでと言われていたのに、いい話だから一人でしまっておくのはもったいないと取材して記事にした。
記事が出ると市民達はサンタクロースの正体を探り始める。8年前、海難事故で11人の男達が亡くなり、父親を亡くした子供達にプレゼントを配り始めたのが最初だから、きっと海難事故で亡くなった縁者だと噂した。
札幌のテレビ局が美水で中継をしたいと言い出し、どんどん騒ぎが大きくなった。春山は郁子に謝った。春山の知り合いはサンタクロースの写真を撮ってFOCUSに買わせるとか下衆いなあ。
美水から引き上げた春山が郁子の店に来た。そこには山本もいた。こういう事態になることも想像できず、郁子に頼まれた記事の差し止めもしなかった。記事を書いたが、サンタクロースが現れなくてホッとした。みんなの前に現れたら純粋な思いが不純になってしまうから出てこなくてよかった、と勝手な思いを言った。
山本は表彰だ、勲章だともらえるならサンタクロースは迷っていたのかもしれないと言うが、サンタクロースはそんな人じゃない!と春山は否定した。じゃ子供達はどうなる? 一番の被害者だと言い残して山本は帰って行った。
郁子は白い馬の持ち主を思い出したと言い、今は当別の農場にいるけど、持ち主は美水出身の山本だという。その日、とうとうサンタクロースは現れなかった。
事の顛末を北狩支局の前任・堂本に話した。堂本がある作家から聞いた言葉として「100万人を感動させても、たった一人を傷つけてはいけない」という考えを教わった。これ、なんか聞いたことあるな。倉本聰さんの「やすらぎの郷」か??
年末になって郁子の居酒屋は正月休みになっていた。春山は郁子が集めているというスーパーのスタンプを渡しそびれた。このスタンプ、切手みたいな感じで台帳に貼って、商品と交換するみたいなやつ懐かしい。ブルーチップスタンプとか他にもいろいろあったような。
しかし、郁子からのメモには美水にサンタクロースが来た、子供達には吹雪で遅れたという手紙が入っていたと書かれていた。馬そりを引くサンタクロースを思い浮かべる春山だった。(終)
いい話だからと郁子の思いを無視したことをちゃんと後悔するような人だからいいけど、すぐにマスコミがわっと集まるのが80年代っぽいな。三木のり平さん、いい味出してる。