徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】深夜にようこそ

あらすじ

大学生の矢崎省一(松田洋治)がアルバイトをしている、24時間営業のコンビニエンス・ストアに中年の男が訪ねて来た。客だとばかり思っていた省一の予想に反し、村田耕三(千葉真一)と名乗るその男は今日から働くことになっているアルバイトだと挨拶してくる。店長からは何も聞いていないし、そんなはずはないと反論する省一だったが、耕三は本部からの紹介状を持っていた。省一は渋々認めたものの、いきなりやって来た耕三のことを簡単に受け入れるつもりはない。そして店員の心得や店のルールなど、とても一度では覚えきれないようなことを矢継早にまくし立てた。省一は、働き盛りのいい年の男がやるような仕事ではないということを耕三に思い知らせたいのだった。そんなやり取りの最中、一人の美女が店に入って来る。すると、省一は一瞬のうちに表情を変え、視線はその女・絹代(名取裕子)に釘づけになった。そうかと思うと、急に腹痛を訴え出し事務所に引っ込んでしまう。耕三が理由を聞いても、何も言おうとしない省一。ところが、夜も更けた頃やって来た万引きグループを耕三がねじ伏せたのを機に、省一の態度は軟化していく。やがて、絹代のことや同級生のマドンナ・由子(松本伊代)に失恋したことなどを話し始めた。すると、耕三はそんな省一の恋を応援すると言い出し、絶対に諦めるなと励ますのだった。

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日本映画専門チャンネル山田太一特集をやってたので、手あたり次第録画してます。「夕陽をあびて」も面白かったし、と思って「時にはいっしょに」も録画してたんだけど、オープニングの80年代の若者が出てきてガチャガチャした感じがうわぁと思って全話削除してしまいました。キャスト見たら源じいがいたのに~。86年フジの木曜劇場だったそうで。また機会があったら挑戦しようかな?

 

今回見たのは、86年夏にTBSで放送された「深夜にようこそ」です。86年6月~7月という中途半端な時期に放送された全4話の金曜ドラマです。気になって前クールを調べたら、86年3~5月「となりの女」(全13話)、その前が85年12~86年2月「華やかな誤算」(全11話)、85年8~12月「金曜日の妻たちへIII 恋におちて」(全14話)とこの頃って自由な枠取りなのね。

 

主演・千葉真一となってますが、千葉真一さんと松田洋治さんのW主演みたいなドラマに見えました。

 

松田洋治さん演じる大学生・矢崎はコンビニで深夜バイトをしていた。そこに中年男性・村田(千葉真一さん)が今日からバイトをすると来た。この時代だと働き盛りの40代男性がする仕事じゃないと矢崎は思っていて、本部からの人間かと訝しく思うが、そんなこともなく普通に働き始める。

 

この頃の松田洋治さんがちょうど今の「おしん」の出征する雄くらいの年齢なのかな。でもやっぱりすごく若く見える。しょっぱなから村田に対して、コンビニの仕事を長台詞でまくしたてるのですが、声がいいのでずっと聞いていたくなる。

 

80年代のコンビニ人情噺みたいな、夜中にコンビニに来る人間とのふれあいやかかわりあいを描いた話でした。

 

矢崎は母子家庭で高校生の頃からバイトをしている。母は冨士真奈美さん、仕事の話もよくしてるし、コミュニケーション取れてる家。村田は夜中のバイトを終え、スーツを着て会社に行ってそうな感じで、脱サラしてコンビニを開きたいとは言ってるんだけど、細かい事情は話そうとしない。

 

毎回のちょっとだけ出てくるゲストも楽しいです。1話は、明け方まで飲んでそのまま出勤しようとコンビニで牛乳を買って飲むけどそのまま眠り込んでしまうサラリーマンに小林克也さん、2話は、嘘で10万人目の客となった柳沢慎吾さん、3話は、矢崎の高校時代の先輩の坂上忍さん。

 

松田洋治さんと坂上忍さんは同じ歳だそうで、どちらも天才子役と呼ばれた人たちでした。この方々より年下で、あまり幼いころに出たドラマを知らないので、共演したことあるのかなと思ってました。この役だと坂上さんの方が一つ年上の先輩で、高校時代、矢崎がバイトしたお金を巻き上げる結構嫌な奴の役でした。

 

時代だなぁ~と思うのは、矢崎は高校の同級生(演じるのは松本伊代さん)にフラれて、いつも夜中にやって来る美女(名取裕子さん)に声をかけて征服してやろうと思ってると言ってるのを村田が応援しようとして、「10万人目のお客様です」と適当なことを言って住所を聞き出そうとしたり、近所の一人暮らしのおじいさんが話し相手が欲しいと、同じく一人暮らしのおばあさんにうまく声を掛けられなくて、あとをつけたり結構強引なことしてるのに、矢崎も村田も”おじいさんに付き合ってあげて欲しい”とおばあさんを説得したり…いや、いくらおばあさんでもね、あれは怖いよ! ドラマの中ではうまくまとまってたけど、今はないなぁ。

 

それと、1話ではチャラい若者たちがやってきて集団万引きするのを村田が見抜いて、商品置いていったら許してやると言ったり、3話でも矢崎に包丁を突き付けた若者も許したりしてる。

 

3話の包丁を突き付けた若者は、ちらっと東北訛りが見られると思ったら、村田が落ち着いたころに話を聞くと岩手出身の若者で中華料理店で皿洗いをしてるけど、一日中誰とも話をしてなくて誰かと話をしたかったなんて、怖いよ。東北人のイメージってそんななの?! 

 

最終話は、種明かしというか村田の正体がわかりました。村田は、このコンビニの親会社の人事部長で、社員を辞めさせるために向こうから辞めるように仕向けたりしていて精神的に参ってしまい、別の人間になりたくて、素朴な店だと思っていた深夜のコンビニでバイトを始めた。

 

しかし、コンビニでも細かい規則がたくさんあり、常にビデオに監視されていて、客としゃべることすらない。

 

店長(角野卓造さん)に正体を明かされた村田は、迎えに来た妻(加藤登紀子さん)と帰って行きますが、また一人のバイトに戻った矢崎の元には、村田がきっかけで話をするようになった、おじいさん、おばあさん、美女、青年が集まるようになった、という当時ですら結構ファンタジーなお話でした…けど、ドラマなんだからこれくらいファンタジーでいい!

 

面白かったおねがい