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【ネタバレ】東京暮色 4Kデジタル修復版

1957年 日本

 

あらすじ

小津安二郎、48作目にして最後のモノクロ作品。定年を過ぎた父と、嫁いだ長女、父と同居している次女、そして出奔した母。そんな家族の姿を、原節子有馬稲子の姉妹と、見守る父・笠智衆で描く。

銀行の監査役・杉山周吉は、次女の明子と暮らしている。しかし、近ごろ明子の帰りが遅い上に、嫁いでいた長女の孝子が子どもを連れて戻ってきてしまうなど心配事が尽きない。明子には年下の恋人がいたのだが……。

2023.12.15 BS松竹東急録画。このパッケージ写真?おしゃれ。

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小津版「エデンの東」といえる作品らしい。読み返してもあまり思い出せないということは、あまり好きな話ではなかったんだろう。

 

杉山周吉:笠智衆…字幕黄色

 

周吉は「小松」という飲み屋に入った。女主人のお常(浦辺粂子)とも顔なじみ。周吉は銀行員。居合わせた関西弁の男と飲む。

 

家に帰ると娘の孝子が出迎えた。

 

沼田孝子:原節子…字幕緑

 

さっき、お常が話題に出した沼田さんは孝子の夫か。周吉は沼田が仕事の調子がいいことを話すが、孝子はそっけない。明子がお姉さんの床をとったと奥から出てきた。

 

杉山明子:有馬稲子…周吉の娘、孝子の妹。

 

孝子が泊まると聞き、周吉が話すと夫婦仲がうまくいっていないことが分かった。

 

周吉の働く銀行に重子が来た。杉村春子さん〜!

 

お昼は鰻屋。重子は中串、肝吸いを注文。お銚子もつける。父の十三回忌はどうしようかと相談。1000円くらいお寺に送ろうという話になる。そして、重子が4~5日前、明子から5000円の借金を申し込まれたという話をした。わけを言わないので貸さなかった。早くしっかりした人と結婚させた方がいいという結論になる。

 

相生荘

明子は男が3人いるアパートを訪れた。憲ちゃん知らない?と聞くが、誰も知らなかった。男たちがやってるのは花札? 

 

周吉は沼田の家を訪れた。沼田(信欣三)は翻訳家なのね。小難しいことを話し始めるインテリ。孝子のことはあまりはっきりしたことを言わない。

 

杉山家

周吉を孝子が出迎えた。娘の道子を寝かしつけた孝子は、周吉が沼田の話を持ち出すと急に部屋を出て行った。部屋に戻ってきた孝子は「気持ち悪くなかった?」と聞いた。沼田は昔はもっと明るかったらしい。周吉は孝子の相手を佐藤にすればよかったと言う。

 

明子が帰宅。周吉が借金のことを聞くと、友達のためでもういいのと部屋を出て行った。

 

壽荘という麻雀屋

明子は中年男性などと麻雀していた。菅原通済さん、またいる。

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壽荘の女将・喜久子が明子に話しかけてきた。おお、山田五十鈴先生。喜久子は昔、東五軒町に住んでいた頃、明子の近所に住んでおり、他の家族が元気にしているか聞いてきた。兄・一雄が26年に谷川岳で死んだと話すと驚いていた。明子は勤めには出ておらず、英語速記を習っている。ステノグラファーってやつかな!? 喜久子はあんまりこういうところに来ないほうがいいわねと言う。

 

明子が帰ると孝子が寝ないで待っていた。明子は速記は難しく、友達のところで練習しているのだから遅くなるのだと言う。そして、壽荘で会った女性がお母さんではないかと言う。

 

珍々軒に入った明子は憲ちゃんのことを聞くが、ここでも知らないと言われる。珍々軒の主人・義平は藤原釜足さん。

 

明子がバーテンに憲ちゃんのことを聞いていると、ちょうど木村憲二が入ってきた。田浦正巳さん、今っぽいイケメン。しかし、妊娠した明子に本当に僕の子かなあ?と最低なことを言う。まだ学生? あたりは柔らかいが子供っぽい感じ。

 

エトアールという深夜喫茶店。男女が待ち合わせるような店? 明子が一人でいると和田という男が話しかけてきた。マスクをしていて、うちどこ?と何度も聞いてきた。和田は刑事で明子は警察署に連れて行かれた。

 

腰巻きを盗んだとかいう男の声は何!? クロちゃんみたいだった。

 

孝子が明子を引き取りに行った。明子は帰りたがらない。孝子と明子が帰ると周吉が帰っていて、なぜ警察に呼ばれたのか問い詰めた。孝子もマスクして帰ってきた。

 

何も話さない明子。孝子は明子に早く寝るように言い、周吉にはもう少し優しくするように言う。明子が3歳の時に母が出て行った。周吉はずいぶんかわいがってきたつもりだったと語る。

 

明子は部屋でコートも脱がずに座っていた。私は余計な子、生まれてこないほうがよかったと孝子に言った。

 

杉山家を重子が訪ねた。重子は孝子に新製品のクリームを渡し、明子へのお見合い写真を持ってきた。顔の長いほうがどうのこうのとプレゼンし始める。

 

重子は大丸へ行き、偶然、喜久子に会った。やっぱり孝子と明子の母なんだ。重子は無理に食堂に連れて行き、話を聞いた。喜久子は一昨年の暮れ、引き揚げてきた。一緒に逃げた山崎はアムールに抑留されてる間に亡くなり、ブラゴエチェンスクで聞いた喜久子はナホトカへ。今は五反田で麻雀屋をやっている。今はナホトカで知り合った新しいご亭主がいる。

 

孝子は喜久子に会いに行った。外を歩く時、孝子はまたマスクしてる。喜久子は笑顔で歓迎し、孝子の娘や夫のことを聞く。孝子は明子に母と名乗らないで欲しいとお願いした。なぜ?と聞く喜久子。お父さんがかわいそうと言い残し、孝子は帰った。帰るときに孝子とすれ違ったのが今の夫の相島(中村伸郎)。相島は喜久子に室蘭へ行こうと誘う。

 

笠原産婦人科医院

待合室でタバコ吸ってる女性がいる。笠原医師(三好栄子)は、どこの店の人?と明子に聞く。中絶費用は3000円。麻酔が切れて2〜3時間安静にしていれば入院の必要なしと説明した。

 

杉山家 

道子の面倒を見ていた孝子。明子がフラフラで帰ってきて顔色が悪く、頭が痛いと言う。床を敷きに行った高子。玄関に掛けていた明子は、ヨチヨチ歩きの道子が目に入り、手で顔を覆う。

 

布団に横になった明子。孝子は重子が明子に縁談を持ってきたことを話す。お嫁にいきたくないと拒絶する明子。

 

周吉は暇つぶしでパチンコ屋へ。旧友の関口と会った。山村聰さん、今度は友達役!? 「東京物語」では親子だったじゃないか。明子が関口の家に金を借りに行ったと言う。動揺を見せずに、ああ、5000円な、すぐ返すよと応じる周吉。クラス会のときでいいよと関口は言う。

 

壽荘に行った明子。相島から姉さんが探しにきたよと言われ、すぐ帰った。麻雀仲間は悪い仲間にそそのかされて純粋無垢だった明子がラージポンポン(妊娠!?)してしまったことを面白おかしく語る。その話を相島も聞いてた。

 

明子は家に帰り、孝子を問い詰めた。周吉が京城に単身でいた頃、山崎という下役の人がよく東五軒町の家に来ていて、孝子や明子にもよくしてくれていた。ある日、周吉と子供達が帰ると、喜久子は消えていた。明子は自分が周吉の子であることも疑わしい、お母さんの汚い血だけが流れてると言い、周吉に聞くと言うが、いざ周吉が帰ってくると聞けなかった。

 

明子は壽荘に行き、喜久子を呼び出した。飲み屋の一室を貸してもらい、明子は私は誰の子なの?と問い詰めた。喜久子は明子はお父さんの子だとはっきり言えると言う。喜久子が赤ちゃんができたんじゃないの?と聞くと、私は一生赤ちゃんは産まない!と言い捨て帰った。

 

麻雀仲間の富田がバーテンしている店に行った明子。富田は泣いている明子を慰めたが、明子が帰ると、他の客にあの女はズベ公だと言う。

 

珍々軒に寄った明子。酒を頼み、憲二が新しいアパートを探していることを聞かされた。店に入ってきた憲二は君こんなとこにいたの?と冷たい。探してたんだよと言う憲二に往復ビンタを浴びせて店を出て行った明子。

 

外で警笛が鳴り、店主が出て行った。

 

明子は電車に飛び込んでいた。店主は病室まで付き合い、周吉、孝子も駆けつけた。周吉は店主に名前を聞いた。チャンソバ屋の下村義平と名乗り、帰って行った。

 

明子は周吉、孝子に「死にたくない、一から出直したい」と言い残し、亡くなった。孝子は喪服で喜久子に会い「明ちゃん死にました。お母さんのせいです」と言って出て行った。

 

その足で飲み屋に行った喜久子。店に来た相島に東京が嫌になったと言い、室蘭行きの話を受けることにした。

 

喜久子は花を持って杉山家を訪れた。今晩の夜行で北海道へ発つ。孝子は家に上げずに玄関で花束を受け取り、喜久子が帰ると泣いた。

 

青森行きの汽車に乗る喜久子と相島。福島→山形→秋田を通るルートなんだ! 東北新幹線とは違う。喜久子は見送りの者はいないか窓の外を見ている。午後9時半に出発して翌日の昼過ぎに着く。

明治大学校歌

明治大学校歌

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東京駅で流れているのは明治大学の校歌らしい。

 

杉山家

周吉は孝子に見送りに行くように言うが、孝子は夫とやり直すために沼田の元に帰ると言う。道子が明子みたいにならないように、やっぱり両親が揃ってないと、なんて周吉に言うことないのにね。

 

一人になった周吉は家政婦の富沢(長岡輝子)を呼び、暮らし始めた。(終)

 

く、暗い、重い…有馬稲子さん、今っぽい感じ。

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いつもキネマ旬報では上位だった小津監督だったけど、この作品は当時19位で、今再評価されてるという話をしている。まあ、でもあんまり気持ちのいい話じゃないからな。