徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】激流

1952年 日本

 

あらすじ

「銀嶺の果て」で高い評価を得て以来、山もので独自のスタイルを誇る谷口監督による人間ドラマ。青年技師・小杉(三船敏郎)は、恋人(島崎雪子)を東京に残して、山深いダム建設現場に赴任。だが、立ち退きを拒む父子、共に働くリウ(久慈あさみ)、何かと問題を起こす信州(多々良純)らとの関係にもまれるうちに、ダム建設に疑問を感じだす…。久慈あさみが、奔放な野性の恋情を秘めた女を好演。東北のダムで敢行されたロケによる、迫力ある大自然が臨場感を盛り上げる。

2024.12.11 日本映画専門チャンネル録画

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岩手県花巻市田瀬ダムの建設現場が舞台になっている。

 

蔵出し名画座ということで川本三郎さんの解説付き。若き日の三船敏郎がダム建設の技師を演じる人間ドラマ。監督は登山好きで、日本映画では珍しい山岳アクション「銀嶺の果て」(’49年・三船敏郎のデビュー作)を作った谷口千吉

この映画も岩手県花巻温泉の奥にある田瀬ダムの工事現場で撮影され、迫力を生んでいる。三船敏郎の友人を演じる片桐余四郎は、のちに佐竹明夫と改名した。

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佐竹明夫さんは「赤い運命」では検事の原田役で9、13、14話に出演していた。

 

東宝株式会社

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賛助後援:建設省

     西松建設株式会社

 

ナレーター<我々の生活に絶対必要なダム。しかし、完成されたダムは人工の美しい湖水としか見えない。この遊園地を訪れる人の大部分は、どんなふうにしてこのダムが造られたか知らない>

 

ボートを漕いでいる若いカップル。

 

ナレーター<この若い男女も自分たちのことで頭がいっぱいだ。ボートの浮かんでいる水の底に何軒の家々が沈み、その人たちが今どこにどうやって暮らしているか、また、この下に何人の労働者の尊い生命がうずめられているか考えてみようともしない。さて、私どもはこの人工の湖水が出来上がる前、この辺りがどんな風景だったかを振り返ってみよう>

 

ちょっと教育映画っぽい始まり。

 

製作:田中友幸

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脚本:西亀元貞

   谷口千吉

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音樂:伊福部昭

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小杉俊介:三船敏郎…字幕黄色

リウ:久慈あさみ…字幕水色

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お初:若山セツ子

雛菊:田代百合子

陽子:島崎雪子…字幕緑

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松田所長:清水将夫

茂吉:高堂國典

権三:佐々木孝丸

小杉義男

信州:多々良純

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小林先生:沼田曜一

篠原:堺佐千夫

職長:牧壮吉

土屋博敏

加藤:片桐余四郎

女将:澤村貞子

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谷三平

廣瀬正一

山本廉

上村武夫

三田照子

シズ:出雲八重子

馬野都留子

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監督:谷口千吉

 

農村の風景。木が次々、倒された。

 

終点の宮守駅でリウに起こされた小杉。リウが西松建設株式会社のトラックの運転席に乗り込むと、事務員の男が忘れ物だと荷物を車に入れ、リウにお礼を要求。お礼って?と聞くリウに事務員は胸をツンと触る。おえーっ! リウは運転席を降りて事務員を追いかけた。見ている人も笑ってんじゃねー!

 

リウの運転で車は進む。

 

花巻温泉入口の看板の奥へ進む。

 

リウは父から車の運転を教わった。日本国中、満州、朝鮮で運転した…けど無免許? 父は土方の親方で今は水豊ダムで眠っている。リウは母も早くに亡くし両親とも既にいない。水豊ダムって中国と北朝鮮の国境付近のダムなんだね。

 

途中、信州という男に出会いながら、さらに奥へ。

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多々良純さんは「幸福相談」にも出ていた。

 

これより先

どてら姿 ご遠慮下さい 西松建設

 

この看板、どういう意味なんだろう?

 

ダムの建設現場へ到着した早々、生き埋め事故が起こり、小杉も大きな石を動かそうと奮闘する。大きな石が重機でどかされたが、3人の人がむしろをかぶせられ担架で運ばれていった。

 

朝の発破で地盤が緩んだことが起きた事故で、すぐに家族にも知らされた。事故死した男の妻に連絡がいくと、息子の安夫には知らせず、遊ばせてほしいと言われた。校庭で無邪気に野球をする安夫。

 

所長に挨拶した小杉。ランニングシャツがボロボロ。所長は東京に妻子がいるのに地元の芸者にも手を出していて、小杉がトラックに乗るときに預かった所長への手紙を渡した。所長は手紙を読み始めたが、小杉がこっちでしたと手紙を取り替えた。所長が途中まで読んでいたのは小杉が持っていた恋人からの手紙。

 

西松建設 第十二食堂

小杉が連れてきた信州はこんな小便みたいな酒飲ませるなと暴れたため、周囲にいた人たちが殴りつけた。パンチの音が重い。小杉がかばって部屋に連れ帰った。

 

朝、リウは食堂で働いている。小杉は労務者と一緒の食堂で食べていたが、リウから技師の食堂は向こうだと言う。やっぱり労務者と技師は違うのね。小杉は信州をどこかで使ってほしいとリウに頼んだ。

 

こういう現場は全国各地から集まるからか、方言要素はないんだね。西松建設だもんね。

 

リウが案内して村を歩く小杉。

 

レコードからトンコ節から流れ、怪しげな小屋があった。

トンコ節

トンコ節

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飲み屋より悪いとことリウは説明してたけど、なんの店?

 

事故死した男性の葬儀に行った小杉たち。娘は温泉宿の芸者に売り飛ばされたが、じいさんは立ち退きに反対で出て行かない。お、ここに来て、多少方言っぽい感じでしゃべってるけど、うすーい方言だね。

 

怪しげな店をやっている篠原は、村の者をたき付けて立ち退き料をふんだくってやろうとしていた。

 

穴を掘っている茂吉じいさんにダムの必要性を説く小杉やリウ。百姓が金を握るとろくなことはないと現状維持を望む。孫を芸者に売ってまで土地を守ろうとするおじいさん。

 

川で遊んでいた子供たちから助けを求められ、川に流された子供を助けに行った小杉。流されたのは子供じゃなくて若い女性か。女性は芸者に売られた女性の同級生で、ダムで働いていた人夫といい仲になり、妊娠していた。男は逃げてしまい、父親からこっぴどく叱られて身投げした。

 

父は娘が帰ってくるのは反対で信州は娘を身二つになるまで面倒を見る!と啖呵を切った。

 

診療所でリウは自分の服を持ってきて女性を着替えさせた。

 

温泉宿

小杉は所長に誘われて飲み会。小杉は今日葬式だったのにと言うが、まったく気にしていない。死人が出ると自分の成績に関わるから機嫌が悪くなるような人だからな~。お座敷には雛菊という芸者が来た。雛菊は身売りされた茂吉の孫。小杉は、うちに帰れるように頼んであげようか?と声をかけたが、雛菊は踊り出した。しかし、途中で泣き崩れた。

 

澤村貞子さんは置屋の女将かな。女将から呼ばれた雛菊は別のお座敷へ。着替えは持っていくからね…って。

 

何となくムシャクシャして部屋を飛び出した小杉。

 

所長と加藤がお座敷で小杉のことを話していた。小杉は柔道六段だがある試合で相手がかたわにしてしまい、それで弱くなった。

 

お座敷から逃げ出した雛菊と話をしていた小杉だが、篠原に女を渡してもらおうかとすごまれ、逃がした後、篠原にボコボコにされた。篠原が行ったあと、雛菊が戻ってきて小杉の顔を拭いた。

 

リウは小杉の部屋を掃除していて、写真立てに入った女性の写真を見つけた。小杉が帰ってくると、リウは写真立ての女性に「陽子さん、早く結婚しちまった方がいいわよ。遠くの婚約者より近くの他人」と話しかけ、小杉から他人とは誰かときかれ、リウはこれとこれ、と雛菊の名前の入った手拭い?と自分を指さした。モテモテだね。

 

食堂で働き始めた妊娠した女性。リウは重い物を運ぼうとした女性を注意し、男に運ばせた。

 

小杉は村人を集めて立ち退きについて話し合う。村人は立ち退き料の増額を要求する。あ、この村人は篠原のグルか。穴を掘っていた茂吉は金はいらない。あるのは百姓の魂と言い、孫は自分で働いて買い戻すという。最初から芸者に行かすな!

 

信州は妊婦のお初に所帯を持とうというが、手ひどく拒絶された。信州がイヤというより、妊娠させた男もそう言ってだましたせいなのね。リウがお酒も博打もケンカもやめて貯金でもしたらどう?と間に入った。かっこいー!

 

小杉はダムなんてできないほうがいいんじゃないかと迷いだした。所長は小杉を感傷主義だと言うが、所長は最後まで立ち退かなければ強制立ち退きすると言う。

 

ダムの建設現場に小杉の婚約者・陽子が来た。高いところで「怖いわ」と立ち眩みするような女性。山奥にワンピースで来るなよ。

 

所長たちは土方の女房としてはどうかね?と所長室で話し合っていた。

 

トンネルのようなところを案内する小杉。陽子をおぶっているが、どうも陽子さん、引き気味に見えるんだが…。

 

白黒映画だけど、篠原の着てるTシャツ、なんかおしゃれ。ラクダとヤシの木柄。

 

陽子は小杉の部屋に行き、自分の写真が飾られていることに喜ぶが、隣に並んだ鏡で自分の顔が疲れた表情になっていて、自身の写真と見比べた。

 

演芸会の日

信州がお初のためにワンピースを持ってきて、再び求婚した。俺を好きでなくても構わない、子供を籍に入れるだけでいいと言う。お初はうなずくが、やはり金がないのが気になる。お初の両親が会いに来て、立ち退き料をもらったから、一緒に暮らそうと言う。信州は今晩まで待ってくれと出て行った。

 

篠原が信州に札束を渡し、何か企んでる。ていうか、信州も金策に走るのかと思ったら飲みに来たのかよ!

 

篠原は信州に発破をかけさせて工事を妨害しようとしている?

 

村人たちは演芸会に夢中。リウは信州を捜し、小杉のもとへ行った。信州はお初に札束をお前にやると言って立ち去っていた。

 

小杉とリウで信州を捜す。

 

ダイナマイトを仕掛けた篠原たちは信州に500数えたら点火するように言う。信州を残して篠原たちは去った。酒を飲んで数えている信州。

 

小杉は篠原たちがダムにダイナマイトを仕掛けたことを知り、男たちともみ合う。銃を持ってる人がいる。

 

信州は500数え終え、火をつけた。

 

リウも銃を持っていた篠原を後ろから殴った。篠原は川に落ちた。

 

ダムが壊されるという知らせが演芸場にも入り、みんな逃げた。

 

閉じ込められた信州を助けようと奮闘した小杉とリウは、なんとか信州を助け出した。しかし、今度は小杉がトンネル内に入っていったため、信州もまた入り、どんどん火を消していくが、最後の一発が間に合わなかった。

 

退院した小杉。篠原一派が一掃され、立ち退き話が進んだ。ていうか、篠原一派の人たちはもみ合いで川に落ちたりしてたけど、あのまま…!? 雛菊も芸者をやめて村に戻った。しかし、雛菊のおじいさんはゆうべ自殺したとリウが小杉に知らせた。

 

おばあさんが茂吉の遺骨を抱き、雛菊の家族は馬車で村を出て行った。

 

冬が来る前にダムが完成した。今度は九州だと所長が小杉を誘うが迷いを見せる小杉。引っ越しの片づけをしている小杉のもとに陽子から結婚の取り消しを求める手紙が来て、ダムに来たのもそのことを話そうとしていたと書かれていた。いつもダムのこと、沈むべき村のことが書かれていて、進む道が全然違うのだと感じた。小杉は陽子からの手紙も写真も燃やした。

 

リウも九州へ向かい、小杉も九州行きを決めた。リウも西松建設の社員なのかな?

 

お初は赤ん坊をおんぶして信州の墓参りをしていて、リウや小杉と山道を歩きだした。(終)

 

三船敏郎さんは今の時代でもモテそう。スタイルもいいし、かっこいい。女性にモテモテだったけど、ここはやっぱリウみたいな女性を選んでほしいなー!