徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】晩春 4Kデジタル修復版

1949年 日本

 

あらすじ

名匠・小津安二郎が、広津和郎の「父と娘」をベースにして父と娘の絆を描いた名作。小津監督が、娘の結婚をめぐる父娘の心模様を描いた初の作品で、その後の作品の方向性を決定づけたとも言える。

母を亡くし、父・周吉とふたり暮らしの紀子が27歳の今日まで結婚しなかったのは、周吉をひとりにしたくなかったからだが、周吉は紀子に嫁いでほしいと願っていた。そんなとき、叔母・まさが見合い話を持ってくる。

2023.12.12 BS松竹東急録画。昨年末に録画した小津映画を古い順から観ていきます。

 

北鎌倉駅

 

しかし、デジタル修復版とはいえ音声は少々聞き取りにくい。字幕に感謝。

 

お茶教室?に集まる女性たち

 

紀子:原節子…字幕黄色

 

紀子の隣に座るのが叔母のまさは杉村春子さん。

 

自宅で服部と清書している紀子の父の周吉。

 

周吉:笠智衆…字幕緑

 

紀子が帰ってくるなり、周吉は「お茶!」と声をかける。清書が終わらぬうちに麻雀をやろうと言い出し、紀子を誘うが断られ、不機嫌な顔して「おい、おい!」と怒鳴りつけ「お茶、お茶!」

 

周吉と紀子は一緒の電車で出かけた。紀子が銀座を一人で歩いていると、小野寺と出会い美術展を見に行く。小野寺譲は三島雅夫さん! 若い、髪もいっぱい。紀子は再婚した小野寺に不潔、汚らしいと笑顔で言う。「そうか、参ったな〜」と小野寺も笑う。シュールな会話。紀子は小野寺を連れて帰宅。

 

んー、BS松竹東急はCMが入るんだな〜。

 

小野寺の娘の美佐子は結婚は墓場なりと24まで結婚しない宣言していて、紀子もまた27で独身。

 

自転車をこいでいる紀子。男性とサイクリングデート。

 

周吉の妹であるまさが周吉と紀子の結婚について語る。

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笠智衆さんと杉村春子さんは「今朝の秋」では元夫婦役。

 

紀子は戦後、無理がたたってしばらく体調を崩していたが、今は元気になった。まさは紀子の結婚相手に助手の服部(宇佐美淳)はどうかと言い、紀子に聞いてみるように言う。

 

宇佐美淳さん、岩手出身なんだね。大学進学で上京して俳優へ。1980年に亡くなってるから、ちょっと分からなかったな~。意外といるもんだね。

 

ああ、サイクリングデートしてたのは服部か。周吉が不在の昼過ぎに服部が来て、七里ヶ浜まで自転車で行ったと周吉に報告する紀子。

 

周吉は、ご飯を食べながら「服部はどうだろう」と聞いてみると、紀子は、ああいう方、好きよと言うが、結婚相手にどうだろうと聞くと、紀子は笑い出し、紀子の3つ下の女性との結婚が決まっていると言う。

 

結婚祝いは何がいいか服部に聞きに行った紀子。先生に頂けるなら記念に残るものがいいと言い、紀子はせいぜい2000~3000円にしてねと笑う。服部はこれから巌本真理のバイオリンを聴きに行きませんか?と誘う。え!? 紀子は恨まれるからよすわと断る。結婚相手がいるのに紀子のために切符をとるとか、どういうこと!?

紀子の友達・アヤ(月丘夢路)が訪ねてきた。

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ひろしま」の米原先生。この映画にも三島雅夫さんが出ていた。

 

まだ紀子は帰っていない。アヤは出戻り。今はタイピストではなく、ステノグラファーをしている。速記者。英語の速記もしている。元夫とはもう会っておらず、会いたくもない。結婚はもうこりごりと周吉に語る。

 

それにしても小津映画の合間に生涯現役みたいなCMやめてくれない!?(怒)

 

紀子が帰ってきて、アヤを2階の自室に誘う。周吉はパンと紅茶を運んできて、先に寝るからごゆっくりと出ていく。アヤは結婚してないのは広川さんと紀子だけだと言い、早くいっちゃいなさいよと急かす。自分が失敗してるのに勧めなくてもいいのにねえ。

 

紀子がまさの家に行く。ブーちゃんと呼ばれる少年は、まさの息子かな? 青木放屁ってすごい芸名。生没年不詳ってすごい。子供のころに数本の映画に出演。しかし、あの程度で太っている扱いなの!? 普通体型にしか見えない。

 

まさは佐竹という東大の理科を出た男と見合いしないかと言う。伊予の松山の旧家出身、勤めは丸の内の日東化成。戦争前は父が日東化成の重役だった。34歳。勤め先でも評判がいい。野球映画に出ていたゲーリー・クーパーに口元はそっくり。上半分は違うらしい。

ゲーリー・クーパーの野球映画はこれか。アメリカでは1942年公開、日本は1949年公開のルー・ゲーリックの生涯を描いた作品。面白そう。

 

紀子は父が心配で嫁に行きたくない。一生お嫁に行けなくてもいいとまさに言う。

 

まさは三輪という女性を周吉の相手にどうかと言う。夫を亡くして、子供はいない。あからさまに不機嫌になる紀子。お父様がよければいいと怒ったように言う。

 

帰ってきた紀子は不機嫌なまま。

 

しげ(高橋豊子)という女性のいる家を訪ねた服部。どなたさんもお能で出かけてる…周吉の家の近所の家ってこと? お礼に伺ったという服部は結婚写真を預けて帰って行った。夫の清造(谷崎純)と写真を見ているしげ。勝手に見るなよ。この人が紀子と結婚すると思っていたと話し合ってた。

 

能を見ている周吉と紀子。能を見ている周吉の横顔を見つめる紀子。帰りに多喜川でご飯でも食べようかと誘う周吉だったが、紀子は寄るところがあると歩いて行った。

 

アヤの家に行った紀子。アヤはバニラたっぷりのショートケーキをこさえたと言う。ケーキは切るからショートケーキになるんじゃないのかい?

 

紀子は今からでもステノグラファーになれるか聞く。アヤは私でもなれるんだからと言うが、それより早くお嫁にいっちゃいなさいよと言う。機嫌を損ねた紀子は出されたショートケーキを食べずに帰った。勝手な人だね。

 

帰宅した紀子は周吉から見合い相手に会うよう言われて、断ることはできないの?と言う。周吉は既に会っていて、いい青年だと太鼓判を押す。周吉は重宝に使ってしまったが、そろそろいってもらわないと困ると言う。紀子は、いなくなったら困るでしょと言うが、周吉は世話をしてもらう人に来てもらうと言い、紀子はショックで部屋を飛び出した。

 

部屋で泣いてる紀子のところへ来た周吉は、あさって、佐竹に会うように念を押す。周吉がいってしまうと顔を覆って泣き出す紀子。

 

見合いを終えて一週間。紀子は何も言わない。まさは周吉に返事を急かす。まさは神社でがま口を拾い、これは縁起がいきわよと懐にしまう。届けないのかい?と慌てる周吉だったが、まさは届けるけどさと懐をたたく。

 

アヤの家に行った紀子。見合い相手は学生時分、バスケットボールをしていてゲーリー・クーパーに似ていると話した。アヤは紀子が見合いでもしなければ結婚できないんだから、見合いしてよかったと言う。

 

まさは今日中に返事が聞きたいと周吉と紀子を待っていた。まさは佐竹の名前が熊太郎であることを気にしてるのではないかと言い出す。周吉は強そうでいいと言うが、まさはなんて呼んだらいいのか分からない。だから、クーちゃんと呼ぼうと思っていると謎の宣言。

 

紀子帰宅。まさは2階へ行き、返事を聞く。なかなか返事をしない紀子だったが、いいのね?というまさの問いに「ええ」とだけ答えた。まさは承諾ととり、急いで帰っていった。まだがま口を懐に入れてんのかい!

 

1階に降りてきた周吉は、本当にいいんだね?と紀子に聞く。お茶を片付けながら「ええ」と短く返事をする紀子。

 

周吉と紀子は、小野寺のいる京都まで出かけた。

 

笠智衆さんと三島雅夫さんは2学年差の同世代だけど、三島雅夫さんは早くに亡くなったので、木下恵介アワーを見るまで知らなかったな。

 

小野寺の再婚した妻・きく(坪内美子)、娘の美佐子(桂木洋子)と観光する周吉と紀子。以前、汚らしい、不潔と言われた小野寺は、汚らしいのと一緒だよと紀子をからかう。まあ、ああまで言われたら言い返したくなるのも分かる。

 

夜、周吉におじさまに酷いこと言っちゃった。おじさまの奥さんはとてもいい人だったと周吉に語る紀子。

 

翌日、竜安寺の方丈庭園を見ながら、紀子の結婚についてしみじみ語り合う周吉と小野寺。

 

その夜、荷造りをする紀子は、これ以上楽しいことはない。お父さんが好き、一緒にいたいと言う。周吉は自身は56歳で人生の終わりが近い、紀子はこれからの人間で、結婚することが幸せなんじゃなく、新しい生活を築いていって幸せになると語る。うつむいたまま話を聞いていた紀子は、わがまま言ってすいませんでしたと言い、幸せになるんだよと繰り返す周吉に涙を流してうなずいた。

 

結婚式の朝。佐竹は映らないのね。1階で服部と支度を待つ周吉。服部も紀子も新婚旅行は湯河原。

 

花嫁衣装の紀子。まさは亡くなったお母さんに見せてあげたかったと涙を拭く。紀子は手をついて「長い間いろいろお世話になりました」の挨拶。結婚式なのに音楽が悲しげ。

 

お嫁さんが家から出てくるのを近所の人が大勢家の前に押しかけて待っていた。

 

多喜川

アヤと飲む周吉。アヤは周吉が奥さんをもらうのか聞く。しかし、紀子を嫁に行かせるための一生一代のウソだった。アヤは寂しかったら時々遊びにくるわと言う。

 

自宅に帰る周吉。しげが出迎えたが周吉が帰るとすぐ帰った。身の回りの世話をさせてるのかな? そうだよ、世話になるなら金払ってやってもらえばいいさ。

 

リンゴの皮をむいていた周吉はガックリとうなだれる。皮むき上手。(終)

 

正直、昭和の父と娘というテーマは、おっさんドリーム成分が高くて、どうしても嫌悪感がある。擬似夫婦みたいな感じがとても苦手。紀子が小野寺と仲良いのも、周吉がアヤと仲良いのも正直そんなことあるわけないだろ〜って思っちゃう。

 

お父さんを好き、愛してるという娘が出てくる作品は総じて苦手。昭和のドラマや映画には割とある。いっそ笠智衆さんと原節子さんの年齢差のある夫婦ならまだ見れる。実年齢16歳差だし。父娘と思うととにかくイヤ。

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同じ小津映画の「秋日和」では娘を嫁がせる母の話だった。その母が原節子さん。ここでもおっさんドリーム的なものを感じたから、ちょっと合わないのかも!?