徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】思い橋 #21

TBS 1973年8月21日

 

あらすじ

桂(松坂慶子)は北(藤岡弘)に好意を抱いていたが、「織庄」の息子・伸(荒谷公之)から愛されている。しかし桂は、伸を友達としか思えない。「二上」では、団体客を世話してくれた北に慰労会を開いていた。

夢は流れて

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2024.3.8 BS松竹東急録画。

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二上彩子(ふたがみ・さいこ):淡島千景…「二上」の女将。

*

北晴彦:藤岡弘…トラベルチェーン開発課の社員。

*

二上桂(かつら):松坂慶子二上家の次女。字幕緑。

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中西良男:仲雅美…板前・鶴吉の息子。

*

二上多美:上村香子…二上家の長女。字幕黄色。

*

大須賀伸(しん):荒谷公之…織庄の一人息子。

山下幸子:望月真理子…自殺未遂後、「二上」で働きだす。

 

監督は前回同様、山田高道さん。

 

物干し場で洗濯物を取り込む幸子。

 

帳場

隠れるように本を読んでいる良男。「妊娠4か月目の注意。妊娠4か月目に入り、気をつけることは…」

 

突然、桂に声をかけられて驚き、本を後ろ手に隠す良男。「これから先の人生計画を練ってたんだ」

 

桂「はあ~、なんだかよっちゃんらしくないこと考えてんのね」

良男「何言ってんだ。あんたもそろそろね、人生に目標ってものを持たなくちゃダメだよ。この有意義な日々をだな、ただボヤッとぬくぬくと過ごしてたらもったいねえよ。人生を哲学する。かのソクラテスはいみじくも言ったなあ」幸子が洗濯物を持ってくると「ダメですよ。そんな重い物、持っちゃ」と取り上げようとし、2人のやり取りをほほ笑ましく見ている桂。「相当な重症だわ」

 

桂は鶴吉がどこへ行ったか聞くと、組合の寄り合いでさっき出かけたと良男が答えた。桂は今晩、織庄とうちで北さんを招待するから宴会4人前をお願いした。板さんがいないのにいきなり4人前!? 鶴吉が出てこない回は「思い橋」初だよね!?

 

4人と聞き、正紀が入っているのか気にする良男。桂は正紀が帰ること、幸子に話し合いができてよかったと話す。

 

厨房に彩子が来て、(ドラマではみんな”あの人”と呼んでるけど)正紀が帰るので、良男に駅まで送るよう命じ、幸子にももう会うこともないでしょうから後腐れのないようにちゃんと挨拶するように言う。

 

走っていくレッドアロー号が見える所でマイクロバスに乗った良男と幸子が見ている。また正紀と幸子の顔アップのパカパカ。好きだねえ~。

 

良男「さあ、これで今までのことは何もかも終わり。これから新しく出発だよ。帰ろうか」

幸子「ええ」

 

帳場

多美「私はいいわ。あなたと伸ちゃんでご接待したら?」

桂「そんな固いこと言わないで。うちだって北さんには随分、団体さんお世話してもらったんだもん。お礼の意味を込めて」

多美「だったらお母さんじゃなきゃ。私じゃダメよ」その場を去る。

 

彩子「多美さん、どうしたの?」

桂「姉ちゃん、北さんの招待に出ないっていうのよ」

彩子「そう。本人がイヤっていうならしかたがないわ」

 

桂「姉ちゃん、近頃なんだか変だと思わない? この間はこの間で突然、北さん追い出しちゃうし。姉ちゃん、ホントに北さんのこと嫌いなんだと思う?」

彩子「そうねえ。好きなのかなと思って見ると、そうでもなさそうだし、なんでもないと思って見てみると、全く関心がないってわけでもなさそうだし」

桂「北さんは姉ちゃんのこと好きなのよ。それは間違いないの。問題は姉ちゃんなのよ。後悔すると思うけどな。大きな魚、釣り落としたって」

彩子「確かに体は大きいけど」

 

せせらぎの間

北にお礼を言いに言う幸子。

北「ところで新しい恋人が出来たって聞いたけど、その人、おなかの赤ちゃんのこと知ってるの?」

うなずく幸子。

 

北はその子の父親になりたいと思うお人よしは板場のよっちゃんだろうと見抜く。「今の世の中じゃね、きっとバカっていうんだよ、そういうのは。ハッ、しかし、俺はそういうバカは大好きだよ」

 

今日は笠をかぶって釣りをしている良男。

♪私がささげた その人に

あなただけよと…

女のみち

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宮史郎とぴんからトリオ「女のみち」1972年5月10日発売

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以前、伸ちゃんもお風呂に入って歌ってます。

 

せせらぎの間

桂と向き合って座る北。「ん~、退屈しのぎもいいけど挟み将棋じゃな」

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桂「たまにはいいじゃない」

北「子供の相手はつらいよ」

 

伸は会社から電話があったが、すぐ戻るという桂。

北「君と大須賀君のことさ。大須賀君の親父さんに反対されてるんだって?」

桂「社長が?」

北「うん。彼、悩んで相談しに来たんだ。別に桂君としては織庄の次期社長夫人になるっていうのは目的じゃないんだろ?」

桂「もちろん。そんな気、全然ないわ」

北「2人で飛び出せばいいって言ったんだ」

 

桂「私と伸ちゃんが?」

北「うん」

桂「私、伸ちゃんと一緒になるなんて一度も言ったことないわよ。誰が飛び出したりするもんですか。私と伸ちゃんが駆け落ちするなんて、おかしくって」挟み将棋を始める。

 

北「君も姉さんと一緒だな。強情っ張りで強がりで。そんな強情張ってると幸せを逃しちゃうぞ」

桂「強情なんかじゃないわ。本心よ。私と姉ちゃんとは違うの」

北「それでやっと分かったよ。東京での君の行動が。そんなことでムシャクシャしてたから、俺のアパートであんなこと言ったんだな? 図星だろ? 何が姉さんの身代わりだ」

桂「はっきり言っときます。私、伸ちゃんとは結婚したりしません。絶対に」

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北「まだ言ってる。そのぐらいのことでくさるなんて君らしくないぞ。反対されたらされたで、どうしてもっと強くならないんだ。好きなら好きで素直に、どうしたら目的が達せられるか考えるべきじゃないか」

桂「だから言ったでしょ。私の中では好きと愛してるとは違うんだって。伸ちゃんは好きよ。好きは好き。でもただそれだけ」

北「それが素直じゃないっていうんだよ」

 

桂「じゃ、素直に言います。伸ちゃんは好き。私の愛してるのは北さんです」

 

北「桂君…」

 

部屋を飛び出した桂はオレンジジュースとコーラ?を運んできた多美とぶつかりそうになる。ここで派手にジュースをこぼさない展開だからいいんだよ。

 

ボイラー室前

釣りから帰ってきた良男。「なんだい? この暑いのにこんな所で」

桂「うん。ちょっと…釣れた?」

良男「釣れたよ。さっちゃんみたいにスラッとしたのがな」

桂「なんでもさっちゃんね」

良男「まあまあ、そうやくなって。どうした? 深刻な顔して」

桂「ううん。なんでもない」

 

良男「まあまあ、いいさ。お前さんもたまにそうやって悩むのも。そうじゃないとますますこんなんなっちゃって(横幅を広げるようなしぐさ)男にも相手にされなくなるからな。へへヘヘッ」

桂は良男を投げ飛ばす。きれいにとんだ良男は顔の上に魚が…


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このトークの後半だったと思うけど、魚が顔の上に飛んできたみたいな話はここのシーンのことだったのかな。

 

それにしてもさ、当時の松坂慶子さんは決して太ってるわけじゃないのに、ちょいポチャ扱い?を度々されるのなんで? あれで太い扱いされたら…(涙) 伸ちゃんもよっちゃんも当時の若者って感じでやせてるし。だから、外見だけで言うと長身でがっしりした北とお似合いではあるんだけど。

 

北は下駄ばきで歩きながら、桂の「私が愛してるのは北さんです」という言葉を思い出していた。「ハァ…どうすりゃいいんだ」

 

北が引き返すと、二上から多美が出てきた。

北「お出かけですか?」

多美「ええ、ちょっとそこまで」

北「あした、東京へ帰ろうと思ってます」

多美「そうですか。それじゃ、私…」

 

せせらぎの間

伸「ねえ、北さん。あした帰るなんて言わないで、もう少しゆっくりしてってくださいよ。団体のことのご相談もあるし」

北は伸にお酒を注ぐ。「いや、そうもいかないんだよ。仕事のこともあるしね。それに、伸ちゃん一人でも十分やれるよ」

伸「ああ、でも北さんがいないとなんとなく心細くって。なあ?」

桂「うん」お猪口の酒を一気飲み。

伸「おい、そんなに飲んでいいのか? 女の酔っ払いなんて、みっともないぞ」

桂「いいのよ。今夜は私、酔っ払いたいの」

ハッと桂を見る北。

 

お酒がなくなり、幸子が取りに行こうとすると、「さっちゃんもお客様なんだから」と桂が空のお銚子を運ぶ。

伸「おい、大丈夫かよ?」

桂「大丈夫。全然飲んじゃいませんって」部屋から出ていく。

 

伸「北さん、話したんですか?」

北「うん? う…うん、まあ…」

伸「そっか。それで彼女、怒ってんだな」

北「いや、違うんだよ。違うんだ、うん」

伸「何が違うんです?」

北「いや…あっ、つまり…あっ、つまり彼女、混乱してるんだよ」

伸「そうでしょう。当然ですよ。僕だって混乱してんだから。あれだけね、彼女のことをかわいがってるくせに結婚になると別だなんて、まったく親父はどうかしてるよ。ちくしょう」

 

ドギマギしてる北さん、なんかかわいいな。

 

厨房

頭に手ぬぐい、おでこにガーゼを貼り付けてる良男。

桂「よっちゃん、お酒お願いします」

良男「ほい、きた」

 

さっきはすいませんでしたと謝る桂。良男は幸子を気にし、鮎の唐揚げを食べてるか聞く。

桂「よっちゃん、さっちゃんが食べるとなると精が出るのね」

良男「だって今、赤ん坊にカルシウムがいくらあっても足りねえときだ」

桂「さっちゃん、幸せね」

良男「そりゃそうだよ。だって名前が幸子ってんだもん」

 

帳場からお酒なら私が運ぶから、お客様のお相手をしてなさいと多美が出てくると、桂は多美の言葉に甘えることにした。

桂「よっちゃん、よろしくね」

良男「はいよ! ああ、さっちゃんには飲ますんじゃないよ」

桂「分かってるわよ」

 

せせらぎの間

多美「お待たせしました」

幸子「すいません」

伸「あっ、どうもお手数かけます」

桂「姉ちゃんも一緒にどう?」

伸「あっ、どうぞどうぞ」

多美「いえ、私、まだあちらに仕事が残っとりますから」←”残っておりますから”だと思うなあ。”残っとります”時代劇のじいさんっぽくない?

伸「まあ、いいじゃないっすか。今日の主賓にお酌してやってくださいよ、さあ」

 

多美「どうぞ」

北「はあ」

多美「ありがとうございました」

北「こちらこそ」

多美「短い間でしたけど、とても楽しゅうございました」

 

伸「そんな、今生の別れみたいな挨拶しなくっても、北さん、また来ますよ、ねっ?」

北「さあ…(多美のほうを向いて)僕も楽しかったです。感謝してます」

多美「では、私…」

じっと見ていた桂は「姉ちゃん」と呼び止める。

 

多美「桂ちゃん、あんまり飲むんじゃないわよ」部屋を出ていく。

 

お酒を飲む北を見て、桂も一気飲み。ドジョウすくいでも踊りたくなっちゃったと言い、伸に一緒に踊ろうと誘う。

伸「お前さん、ホントに酔っ払っちゃったのか? やだぜ、介抱させられるのは」

桂「いいわよ。伸ちゃんなんかに頼まないわよ」

伸「イヤですね、女の酔っ払いって」

桂「酔ってなんかいませんって」

 

太鼓の音が聞こえてきた。

桂「あら? 太鼓の稽古が始まったわ」

伸「ホントだ。もうすぐ川瀬祭があるもんですからね。この時季になると子供たちが屋台囃子の稽古を始めるんです」

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北「秩父の屋台囃子っていうのは、これ?」

伸「真冬の夜祭は大人たちがたたくんですけどね。夏の川瀬祭は子供達が中心になるんですよ」

幸子「いいもんですね」

桂「まだまだこれからよ。今に笛が入ってくるわよ」

 

笛の音

 

桂「ほらね。秩父の人間はこれを聴くと体の中で血が騒ぎだすの」

 

太鼓をたたく子供たちの映像。

 

厨房

良男「ああ、始まりましたねえ」

多美「そうね」

良男「今年の夜祭にはなんとしてでも屋台に乗り込まなくちゃ」

 

泣きだしそうな多美。

 

祭りばやしをバックに思い悩む?北と桂の顔が交互に映る。

 

割烹旅館二上の看板の明かりが消える。仏壇の前にいた彩子に挨拶に来た幸子を呼び止めた。「さっちゃん、今日、私がなぜあの人を見送らせたか分かってくれてるわね?」

幸子「はい」

彩子「一つバスに乗せて送り出すのは残酷だったかもしれないけど、あの人のことを金輪際吹っ切るためにも、さっちゃんにはそれだけの苦しみが必要だと思ったの。そのバスを運転するよっちゃんだって決して楽しくなかったと思うのよ。よっちゃんには電車が見えなくなるまで、よく見送らせてあげなさいって頼んどいたけど見せてくれた?」

幸子「はい」

彩子「それからもう一つ。これはもう言わなくても、さっちゃんには分かってると思うけれど、なにも今日帰ったあの正紀さんって人だけが悪かったわけじゃないもんね。私もあの人にはそういうふうに言ったけれど、本当は責任の半分はさっちゃんにもあるってこと忘れちゃダメよ。男と女の間のことは、どっちが良くてどっちが悪いってことはないはず。なんでも相手に責任をなすりつけるような生き方しちゃ、一生、不幸に終わってしまうわ。結局は自分が損することになってしまうものね」

幸子「はい」

彩子「じゃ、あしたっからまた頑張ってちょうだい」

幸子「はい」

 

まあねえ、正紀に無理やり暴行されたわけでもないからね。

 

庭のベンチに座る伸と桂。

伸「北さんから親父のこと聞いたんだろ? それで怒ってんだろ?」

桂「ううん。私が怒ったってしょうがないじゃない」

伸「そうだな。俺が一番に怒らなきゃいけないんだよな。よし、俺はやるぞ。太鼓の音を聴いてるうちに勇気が湧いてきたんだ、うん」

桂「伸ちゃん、そんなに無理しなくたっていいのよ」

伸「無理だって?」

桂「うん。だって私にその気がなければしょうがないでしょ?」

伸「その気がないっていうのかよ?」

桂「そんな大きな声出さないでよ。ただいま考慮中なの」

伸「こ…考慮中って。それはどういうことなんだよ? 一体」

 

立ち上がった桂は「本日は当館をご利用いただきまして誠にありがとうございました。またのご来館をお待ち申し上げております。じゃ、おやすみ」と伸のもとを去った。いつも滑舌のよさに感心する。

 

部屋に戻った桂はソファに座ったり、机に突っ伏したり、床に寝転んだり、鏡台の前に座ったり…パッパッと瞬間移動したみたいな、これまた独特の演出。

 

トンネルを抜けて首都高?を走る北の車。「買い物ってなんだい?」

桂「いろいろ。男の人も買っちゃおうかな」

北「何言ってんだ。今日は会社があるからあんまりつきあえないぞ」

桂「いいわ、どうぞ」

 

レストラン

桂「北さんのアパート、留守に行って掃除しちゃいけない?」

北「あんな部屋いくら掃除したってどうにもなりゃしないよ」

桂「でもどうしてもしたいの」

 

渋谷のスクランブル交差点

 

桂「私、伸ちゃんと結婚しようかと思ってるの」

北「えっ?」

桂「伸ちゃんと結婚するわ。いつまでも無駄なことしててもしかたないもんね。いろいろご迷惑をおかけしました。じゃ、さようなら」

 

首に青いスカーフ、青いチェックに黄色いバラの模様が入ったワンピースを着た桂が北と別れて走り出す。最後、桂の顔がアップになって涙の絵文字がついてつづく。

 

また独特な演出だ…。そういえば、仲雅美さんの動画の中で、前半は松竹、後半はTBSの社員が監督をやってたと話されていたな。今までこんなにも変な演出だと思った話はなかったので悪目立ちだよ。「思い橋」以前に人間の歌シリーズでいくつか演出もしてるのにね。そっちでもこんな感じだったんだろうか?

 

多美は桂が北を好きだと知ったら余計気持ちを明かすことないだろうね。あと5回どんな決着をつけるのか。