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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #56

TBS  1969年8月12日

 

あらすじ

 

鶴 亀次郎は裸一貫からたたき上げ、一代で築いた建設会社の社長である。ワンマンで頑固一徹な亀次郎は子どもたちに"おやじ太鼓"とあだ名を付けられている。この"おやじ太鼓"、朝は5時に起き、夜は8時になるともう寝てしまうが、起きている間は鳴り通し。そんな亀次郎をさらりとかわす7人の子どもたちに比べて、損な役回りはお手伝いさんたち。ひと言多いばっかりに、毎日カミナリを落とされる。

2023.9.27 BS松竹東急録画。12話からカラー。DVDは第1部の39話まで収録。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。62歳。

妻・愛子:風見章子…良妻賢母。57歳。

*

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。31歳。

妻・待子:春川ますみ…正子の紹介で結婚。

*

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。29歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。27歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して今は大学4年生。

次女・幸子:高梨木聖…大学4年生。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…高校2年生。

*

正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。59歳。

*

お敏:菅井きん…お手伝いさん。愛子の4つ下。53歳。

 

台所で前掛けをあてた敬四郎が作業しているところにインターホンが鳴った。裏玄関の扉は開けっ放しで敬四郎が外へ出て出迎えていると、今度は電話が鳴る。すぐ家に戻って電話に出る敬四郎。あとから入ってきたのは高円寺のおばちゃん。

 

敬四郎が電話に出ると、幸子あて。幸子姉さんはまだ旅行から帰ってこない。あしたかあさってに帰る予定だと敬四郎が応対した。

 

正子は茶の間に移動。お敏もいないので、敬四郎が扇風機を回し、お茶の準備もする。正子は「誰もいないんじゃガッカリね」と亀次郎たちがいつ帰ってくるか聞く。敬四郎によるとあしたまでが会社がお休み。これは前回の5日間の夏休みの続きかな? 亀次郎が急に思い立ち、箱根に二晩。

 

敬四郎は正子のために玉露をいれる。

正子「そう。そんないいお茶なら何よりのごちそうだわ」

 

正子の手土産はいつもの五目寿司。この間はお重一つだったけど、今回は二段。

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この前も持ってきたばかりと思ったけど、ちょっと前だった。

 

今日の五目寿司は鯛のそぼろ入り。

敬四郎「じゃあ、高くついちゃったね」

正子「いいのよ。どうせ独りもんでしょ。生きてるうちにおいしいものを食べなきゃ損よ」

敬四郎「ヘヘッ。それもそうですね」

正子「すぐ食べてみる?」とお重を差し出したものの、敬四郎は「焦げついちゃったかな」と台所へ。

 

敬四郎はハヤシライスを作っていた。台所からお湯をついでから1分半ぐらい置いとかなきゃダメですよと玉露の飲み方を指示。

 

ハヤシライスの味見をした敬四郎は「こりゃうまく出来たぞ」とにっこり笑うが、電話が鳴り、すぐ電話に出る。正子に鍋をかき混ぜるように言い、電話応対。

 

男子生徒「いえ、すいません、お忙しいのに」

敬四郎「いえ、それでどなたですか?」

男子生徒「あの…かおるさんはいますか?」

敬四郎「いませんよ、かおるは」

男子生徒「じゃあまだ帰ってこないんですか。残念だな」

敬四郎「何か用なんですか?」

男子生徒「いえ、いいんです。カコちゃんって言ってくれりゃ分かるんです」

敬四郎「えっ? もう一遍言ってよ」

男子生徒「カコちゃん。かっこいいの『カ』と困ったの『コ』ですよ」

敬四郎「はい、分かりましたよ」ガチャ切り。

 

何なんだ、カコちゃん。自分で言うなよ。

 

正子に「あんなフーテンでもいちいち出なきゃならないんだから」と愚痴る敬四郎。敬四郎はお茶を取りに行き、正子は扇風機を止めるように頼む。

正子「このごろの若い子は何を考えてんだか。危なくてしかたがない。なまじか1人が気楽でいいのかしら」

 

台所に戻ってきた敬四郎は「あんな電話のおかげで出すぎちゃいましたよ」とお茶を運んできた。

正子「いいのよ。敬四郎さんの真心だもの」

 

敬四郎が鍋のかき混ぜを代わる。

正子「おいしそうね、これ」

敬四郎「特製ですからね。トマトは生から煮て」

正子「じゃあ、特製ばっかりじゃないの」

 

お茶菓子があるといいんだけどなという敬四郎に、正子はこのごろ甘いものをやめた、コーヒーも飲まないと言った。

 

やっぱり玉露ねと味を褒める正子にお茶菓子の代わりにとハヤシのタレを小さなお皿に出した。

敬四郎「和洋折衷、日本の近代化ですよ」

 

また電話。ハヤシライスの火を止めて電話に出る敬四郎。今度は台所で電話に出ている。電話の目の前には小さな黒板があり、タマネギ、ジャガイモ、肉、にんにく、にんじんなどと書かれている。あとは丸八百屋って書いてるのかな?

 

今度は三郎あての電話。正子に演劇部の打ち合わせだと言って昨日出ていったきりだと聞いて、そう言うと電話主が演劇部の人で、怒ってると伝えてくれと言っていたのは大手という女性だった。

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話にはよく出るけど、実際に出たのは1回だけ。

 

正子「あんな女ならこっちが怒ってますよ」

敬四郎「だけどあれですよね。かおるのとこへはカコちゃんでしょ。幸子姉さんとこへは誰だか知らないけど男の声でしょ。三郎兄さんとこには大きい手でしょ」

正子「あんたのところはかかってこないじゃないの」

敬四郎「それなんですよ。それが腹が立つんですよ」

 

再び電話が鳴る。正子が出て、女性ですよと敬四郎に代わる。よそ行きの声からすぐムッとした声に代わる。

正子「彼女なんだって電話かけてきたの?」

敬四郎「あれが彼女ならハヤシライスが天丼に化けちゃいますよ」

正子「だけど未婚の女性ですからね」

敬四郎「おばちゃん。僕は腹が立ってんですよ」

 

正子はハヤシをおかわりしてお世辞じゃなくおいしいわよと褒める。電話の内容はもう少ししたら帰るから、夕飯は隣で食べたらどうですかというお敏から。留守を狙って寿司屋の女の子と映画を観に行っていた。

 

正子はああ…と頭をトントンと指さすジェスチャー

敬四郎「うん、だから気が合うんでしょ」

 

どういうこと?

 

正子はお茶をもう1杯飲むというと、敬四郎も飲むと言って茶の間に移動。敬四郎はお湯を冷まさなきゃと言うのだが、正子は熱いお茶のほうが好きなのよとお湯を入れる。

敬四郎「せっかくの玉露が台なしだな」

正子「だってハヤシライスをなめたあとだもの。甘みも味もありゃしないわよ」

敬四郎「それもそうだね」

正子「五目寿司に玉露も変よ」

敬四郎「でも、もう熱湯玉露だからね」

 

また電話が鳴る。正子が電話に出るとうなぎ屋から「今日は丑の日だからいかがですか」というお敏あての電話だった。

 

今年の土用は2度ある。

1969年の夏の土用の丑の日

7月25日(金)

8月6日(水)

 

前回、明日から5日間休みだというおやじの言葉にお盆の8/12あたりを描いてるんだと思ったけど、明日まで休みで今日が8月6日なら前回が8月2日(土)で半ドンで帰ってきて、洋二の店に行ったってことか。

 

8月3日(日)~8月7日(木)の夏季休業ってすごく中途半端な時期だと思うのだけど、東京は7月にお盆をやるからまた違うのかな~?

 

正子が敬四郎に聞くと、ハヤシライスも五目寿司もあるということでうなぎ屋には断りの返事をした。

 

田園調布のうなぎにはひどい目に遭ったものと正子は言うけど、それはこの前仲直りしたんじゃないの?

敬四郎「地震ナマズで雷がうなぎか」

正子「もうこのうちでうなぎをごちそうになるのは真っ平だわ」

敬四郎「僕のハヤシのほうがおいしいよ」

正子「そのお寿司のほうだっておいしいでしょ」

敬四郎「うん、やっぱり鯛だからね」

 

隣に秋子や武男がいるなら呼んできたらどう?と提案する正子に、敬四郎は待子義姉さんのお母さんが隣に来てると知らせる。正子は顔出ししてくると隣へ行こうと裏玄関へ行くと、待子と鉢合わせた。

 

待子は敬四郎にうなぎを食べるか聞きに来た。別宅にもうなぎ屋から「丑の日だからいかがですか」という電話が来ていた。正子は2度目の丑の日だから売れ残ったのだと推測。正子は待子の母にあいさつに行った。敬四郎は待子にうなぎはいらないと言い、ハヤシライスが出来たからご飯を炊いといてほしいと頼んだ。

 

またしても電話。

 

別宅にも神尾から秋子あてに電話。武男は頼むものは頼まなくちゃと言うと、待子の母は「ほんとにあたくしは遠慮いたしませんから、どうぞ皆さんで」。

 

遠慮いたしません=いりませんの意味なんだ?? 遠慮せずいただきますの意味にとらえちゃった。

 

武男は待子の母にうなぎを勧める。待子の母の隣に座った正子も遠慮なんかしないほうがいいですよと勧める。武男はおばちゃんも食べたら?と言い、独断でうなぎを注文しようとするが、待子の母はかたくなに遠慮する。

 

待子の母:初井言栄さん。若い頃から老け役で菅井きんさんより年下の1929年生まれ(当時40歳!?)。待子役の春川ますみさんが1935年生まれだから姉妹くらいの年の差しかない。春川ますみさんは当時34歳だけど、待子は何歳の設定だったんだろう。

 

同じくおばあちゃん女優として有名な北林谷栄さんと混同しちゃうけど、初井さんは61歳でお亡くなりになっており、北林さんは98歳までご存命だった。

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そうそう、この映画の初井さんは何の関わりもないヒロインに逆恨みして攻撃的な女性役で怖かった。そういえば、この映画、ヒロインに優しい同室の患者として北林さんも出ていたな。

 

待子の母「だって、まるでお父様やお母様のお留守を狙って遊びに来たみたいですもの」

武男「そんなことかまうもんですか。大体、この休みはどこへも行かないはずだったのに急に昨日思い立って出かけちゃったんですからね」

正子「そうでしょ。私だってまさか留守だとは思わなかったわ」

待子の母「お電話してからお伺いすればよかったんですけれど」

武男「そんな堅いことを言わないでくださいよ」

 

電話を終えた秋子が戻ってきて、うなぎを何人前頼もうかという話になる。敬四郎を除いた5人(武男、秋子、待子、正子、待子の母)だと武男が言うが、やっぱり待子の母は遠慮する。正子はそんなに遠慮するなら五目寿司にしましょう、武男はうなぎを注文すればいいという。秋子もうなぎが食べたい。

 

待子も正子の五目寿司がいいというが、秋子は正子の五目寿司には待子の嫌いなシイタケが入っていると指摘する。待子が好き嫌いが多いという話から、待子の母は恐縮し、みんなあたくしが悪かったんですと頭を下げた。正子も空気を読んで、私もそうしようかしらとうなぎを食べることに同調する。

 

待子「ねえ、お母さん。私もいただくからお母さんもごちそうになったら?」

待子の母「バカなこと言うんじゃありませんよ。お留守中に入り込んでしまっただけでも気が引けているのに」

正子「そんなに気を遣わなくたっていいんですよ、このうちは」

待子の母「はあ、そうおっしゃってくださるのはありがたいんですけれど」

正子「もっとも私もよく怒鳴られますけどね」

待子の母「怒鳴られるとか叱られるとか、そういうことではないんです。この子にもこのことだけは、よく言い聞かせてあるんですけれど。まあ、こんなこと申し上げるのはよしましょう。あたくしが古い人間だからかもしれないんです」

 

1人だけ橋田ドラマの世界みたい。しかし、待子母は昭和44年でも自分は古い人間だと言ってるけど、橋田ドラマは昭和50年代でも待子母みたいな人しかいない。

 

武男「あのことですか。ちょっと待子から聞いたことがあるんですけど」

待子の母「そうですね。何もかもご存じでしょうね」

 

正子も秋子もさっぱり意味が分からない。

秋子「私だっていずれは鹿児島の士族のおばあちゃまがいるうちへお嫁に行くんですもの。なんかためになるようなお話なら伺っておきたいわ」

待子の母「とんでもない。そんな大それたお話じゃないんです」

武男「つまりこうなんだよ。娘を一旦お嫁にやったら、その実家はあんまりちょこちょこ顔を出さないほうがいいっていうんだよ。ねえ、お義母さん、そうなんでしょ」

秋子「あら、それはどういうわけ?」

待子の母「はあ、古くさい人間だもんですから」

武男「僕にも分かるような分からないような。難しいもんだな、世間って」

正子「つまり、ひと口に言えばこうなんでしょ? お嫁さんの実家はあんまり出っ張らないほうがいいっていう」

秋子「あら、顔を見せることがどうして出っ張ることになんのかしら」

武男「僕もそう思うんだよ」

正子「私にはちょっと分かりますけどね」

武男「そうかな」

 

待子の母「まあまあ、こんな恥ずかしいお話はもうやめにいたしましょう。それより、秋子様はやっぱり神尾さんとかおっしゃる方の所へいらっしゃるんですね」

武男「そうだ。何だ、お前は口ではゴチャゴチャ言っておきながら」

秋子「だって言いたくもなるのよ」

正子「つい口が滑ったんでしょ?」

秋子「まあ、そんなとこね」

武男「バカ、気を揉ますなよ」ガラス容器に入ったゼリー?を食べ始める。

待子「私はじゃないかなと思ってました」

秋子「そう? どうもありがとう」

武男「冗談じゃないよ。みんなをハラハラさせて」

 

さっきの電話は今夜からテレビが始まるから見てくれという内容。正子も待子の母も見るという。「3人家族」かな。「恥ずかしいわ、私」と照れている秋子。

 

敬四郎がお父さんとお母さんが帰ってきたと武男たちの部屋に入ってきた。しかも機嫌が悪い。待子の母は早くお出迎えにいらっしゃいよと待子に言う。正子はどうしようかしらとオロオロ。待子の母はご挨拶に伺いたいと立ち上がる。

 

武男は正子に様子を見てくるように言い、正子はいったん部屋を出ようとするが振り向いて、うなぎを食べてる最中でなくてよかったわよ、ああ、おっかないとドアを閉めた。

 

別宅の電話が鳴り、正子が出て、うなぎ屋からの電話で注文を断った。部屋に戻った正子は「よっぽど仕入れたうなぎが残っちゃったのよ。あんまり押しつけがましいから、みんな断っちゃったわ」と話す。

秋子「食べたかったのに、私は」

敬四郎「すぐそういうふうに裏切るんだから。ハヤシライスを食べたいって言いだしたのは姉さんじゃないか」

秋子「おいしく出来たの?」

正子「そうそう。なかなかいい腕前よ」

武男「五目寿司もあるしね」

正子「そうよ。今日のは特別に鯛を使っちゃったんだから」と様子を見に行った。

 

敬四郎「お母さんと2人だけなら一番機嫌がいいはずなんだけどね」

 

裏玄関を入ると、待子がコップを2つ茶の間から運んでいた。亀次郎はシャワーを浴びていて、愛子は浴衣?に着替えていた。

 

愛子によると、亀次郎が急に怒りだしてすぐ帰ると言いだした。原因は天丼。うな丼でなくてよかったと胸をなでおろす正子。

愛子「うな丼だって、このごろ、ごはんの真ん中へもうなぎを入れるでしょ」

正子「そうよ、うなぎだらけよ。あんなのはいくら私だって嫌よ」

愛子「少しでもお金を高く取ろうと思って、あんなことをするんですよ」

正子「関西風かもしれないけど、えげつないことするわよね」

愛子「あれなんですよ、宿屋の天丼が」

正子「あら、どんな天丼なの?」

 

待子が正子に冷たい麦茶を持ってきた。お砂糖は入れませんでしたけど…って遠足の定番だったんだよな~、甘い麦茶。

 

愛子は待子にお父さんが出てきたら私のほうからあいさつに行くと伝えたが、待子が呼んでくるという。

 

正子「ねえねえ、それで宿屋の天丼がどうしたのよ」

愛子は動かないからそんなに食べたくはなかったけど、区切りがつかないから天丼を2つ頼んだ。おそばはまずいので頼まなかった。

 

天丼には大きな大正エビが4匹ものっていた。

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こんな感じ?

 

亀次郎はものを粗末にすることが嫌いで残すことができない人だが、意地になって残した。そんなもの、みんな食べられるバカはいないんだから、お前も好きなだけ食べて残しなさい…?? よく分からない理論。

 

正子「非常識な天丼ね」

待子「思いやりがないんですね」

愛子「不親切ですよ」

正子「ガツガツ儲けりゃいいってもんじゃないもの。誰が無駄にお金を使いたい人がいるもんですか」

 

今だとメガ盛りとかありがたがる人もいるけど、私も大盛りとか好きじゃないんだよな。当時は値段もそれなりにとってたから、不親切だとかブーブー言ってるのかな? あと、昔の人ってごはん好きだよね! だからご飯の量が少ないのも不満なのかも。

 

亀次郎が「愛子!」と大声で叫ぶ。今回のキャストクレジットのトップは進藤英太郎さんだったものの、「声」と書いてた。声だけの出演。

 

武男たちの部屋

待子の母「商売というものは難しいものでございますよ。欲をかきすぎれば、お客様が離れますし、欲もかかなければ店が成り立ちません。殊にあたくしみたいに女手一つで慣れないパン屋を始めたものですから、それはもう難しいことばっかりでした。ですから、あたくしは今でもそうですけれど、お客様も得をする、だから、あたくしのほうも商売繁盛で得をする、そういうふうに思っているんです」

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新婚旅行の折、武男が「君のお父さん、もっと生きていればよかったのにね」と言っていたので亡くなったのは割と最近の話だと勝手に思っていたけど、そうでもないみたい。橋田ドラマで散々家格の違いみたいな話を見せられてるけど、亀次郎は自分もたたき上げのせいか、そういう家のこだわりはないんだろうね。

 

待子の母の商売理論を真剣に聞いている武男、秋子、敬四郎。

待子の母「欲に目がくらんではダメなんですね。やっぱりお客様に親切でなければ、その店は栄えません」

武男「このごろはえげつない商売が多いですけどね」

秋子「商売だけじゃないわ。官吏は汚職をするし、天下り人事で退職金を稼ぐし」

敬四郎「脱税のうわさなんかすごいよね」

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園井啓介さんは母も知ってた有名な俳優さんなんだろうけど、私は全く知らなくて調べたら脱税で引退となってたので、勝手にどっきりしたセリフ。

 

待子の母「ほんとに。誰の言ってることが正しいんだか分からなくなってきますよ」

武男「だから、弱い人間がまともに生きようと思っても生きられないから曲がっちゃうんですね」

秋子「お母さんは随分、強かったんですわ。お話を聞いていて、とても感心しちゃうもの」

待子の母「いいえ、弱いから人一倍頑張っただけですよ」

武男「それができないんですよ。普通の人間には」

敬四郎「ちょっと秋子姉さんとは違うよね」

秋子「当たり前よ」

待子の母「でもそのかわり待子のように、とても好き嫌いが激しい娘が出来てしまったんですよ。子供に構ってる暇がなかったもんですからね。かわいそうでした。あれの小さいころは」

 

愛子が武男たちの部屋に来た。「いらっしゃい。ちょうど留守をしておりまして」

待子の母「すいません、お留守中に」

愛子「いいえ。こっちはさっぱりご無沙汰ばっかりしておりまして」

待子の母「こちらこそ失礼しております」

 

亀次郎はお風呂から上がって一服している。機嫌は直り、おなかが減ったとガツガツしている。敬四郎は僕のハヤシライス!と走り出ていった。待子さんにぶつかって危ない!

 

愛子に呼ばれて、待子の母も待子も出ていった。

 

武男「さてと僕もおなかが減ったし」

秋子「とうとううなぎ食べ損なっちゃったわね」

武男「敬四郎の顔を立ててやるかな」と出ていき、秋子はもう少し一人でいると残った。武男がドアを開けるとお敏が帰ってきた。お~、お敏さん、着物!

 

お敏は亀次郎も愛子も帰っていて焦っていた。お敏は寿司金の若い衆に誘われて映画に行っていたことを自ら話し、武男に女の子じゃなかったの?とツッコまれた。

 

秋子に呼ばれて部屋に入ったお敏はスウェーデン映画のすごさを語る。映画館に入ったら女はお敏一人。早口(音声カット)でジェスチャー付き。(つづく)

 

1969年 日本で公開されたスウェーデン映画

2月1日 早熟

3月21日 恍惚の泉

8月16日 慕情の人

これくらいしか見つけられなかったけど、どれもこれもまあ、おやじに「ピンクもピンク。とんだ天国ですよ!」と怒鳴られそうな内容のものばかり。

 

秋子って今シリーズは割と出てるほうだけど、意外と亀次郎とのシーンは少ないような気がする。今回は武男、秋子、敬四郎だけで、ちょっと珍しい組み合わせ。亀次郎は「愛子!」の一声のみ。待子母と亀次郎の対面はカットか。次に続く展開とは思えないもんなあ。カメオのドラマのシーンとか流れないのかな?