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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #5

TBS  1968年2月13日

 

あらすじ

秋子の恋人・神尾が秋子のお見舞いにやって来た。しかし、間が悪いことに秋子に新しい縁談を持ってきた正子と一緒になってしまい、二人は言い争いに。さらに、帰ってきた亀次郎が家族へカミナリを落とす様子を目の当たりにし、神尾は眉をひそめるのだった。

2023.7.18 BS松竹東急録画。11話までモノクロ。

peachredrum.hateblo.jp

鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社の社長秘書。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。27~28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月に成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。

*

正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。

*

神尾光:竹脇無我…秋子の恋人。テレビ局勤務。

 

インターホンの呼び出し音が鳴る。お敏が出ると、神尾が秋子のお見舞いに来たと要件を話した。

お敏「カメオさんとおっしゃるんですか?」

神尾「『カミオです』」

 

お敏は初子に秋子に神尾が来たことを伝えるように言う。隣の家に行かなければならないのでめんどくさそうな初子。

 

家の中はセットなんだろうけど、鶴家の外観が映る。初回の最初のシーンが外だっけ。正面玄関前に立つのが神尾。そこに来たのが高円寺の伯母さん・正子。神尾が名乗ると、やっぱりカメオと間違える。

 

「おやじ太鼓」のロケ地は田園調布らしいと知りました。正子がしゃべる場面で後ろに「吉田歯科」という看板があります。

 

正面玄関の大きな門扉をお敏が開け、正子と神尾が家に入っていく。ほんとに大きな家。田園調布で隣の家も買ったってとんでもない大金持ちだな!

 

たまには正面玄関から入るのもいいわねと正子。しかし、愛子はお葬式で横浜に出向いており不在。秋子に縁談を持ってきたと正子がお敏に話しているのを聞いた神尾の顔色が変わる。正子は玄関に置かれたスリッパがビニールで冷たいとさっそく文句を言う。

 

神尾はピアノのある広間に通され、お敏に正子のことを尋ねた。縁談がなかなかまとまらないと聞くと、そりゃそうでしょうと納得し、うんと苦いお茶を所望する。

神尾「ちきしょう、あのばばあ縁談なんか持ってきやがって」←「3人家族」の雄一や「二人の世界」の二郎と違ってかなり口が悪い。

 

今度は初子が広間に入ってきて秋子は間もなく来ると言うと、神尾は秋子の部屋に行ってもいいという。旦那様が男女の仲にやかましいと初子から聞いた神尾は、初子がいなくなると「おやじにばばあか」とさらに毒舌を吐く。

 

茶の間

正子がこたつにあたりながらタバコを吸っている。「いこい」かな? 若い人が苦いお茶なんてしゃれてると正子が言うと、「苦み走ったいい顔の人ですね」とお敏が返し、神尾について噂しあう。正子は神尾と会ってみると言い、お敏に正子の分のお茶も広間へ運ぶように指示する。

 

部屋を出るときはすかさず、こたつの中にほこりがたまっていたと指摘。お敏はいつの間にこんなところまでのぞくのかしらとあきれる。部屋に戻ってきた正子は今日は中トロのいいところのお寿司を頼むと言ってきた。

 

茶の間を出た正子は広間に行く前に台所を通り、おいしそうなかのこね、と初子に声をかけ、水道の水がポタポタ落ちてると指摘。

 

広間

イライラして秋子を待っていた神尾のもとへ来たのは正子。このうちの主人が亀次郎だからどうしてもカメオに聞こえるとまた言う。神尾は正子に親戚の方ですってねと聞くと、正子は「亀次郎さんの兄があたくしの主人なんです。5年前に亡くなりましたけどね」と答えた。

 

初登場時、亀次郎が「おばちゃん」、愛子が「義姉(ねえ)さん」と呼ぶから混乱した。兄嫁を「おばちゃん」はないだろ~。そんな年変わらないだろうに。

 

高円寺に住んでいることも知っている神尾にお敏さんはおしゃべりで50を出てるのにとっても寝坊助だと教える。年だから長いことはないんだと言うが、このうちの奥さんの方が4つも上だし、あの人が長いことないなら、奥さんの方が今日かあしただ、お敏さんという人は人を食ってる、さっぱり訳の分からない人などという話をお茶を持ってきたお敏にばっちり聞かれていた。

 

お茶菓子がかのこじゃないことに気付く正子。お敏は初子が落っことしたと答えた。秋子のことをお敏に聞く神尾。「すぐ飛び出してくればいいのに何気取ってるんだ」とつぶやくと、正子とお敏で秋子との仲を探ろうとする。

 

お敏と入れ違いに秋子登場。秋子は風邪をひいて会社を休んでいて、神尾は会社に電話して気付いた。秋子はもうすっかり元気になっている。

 

神尾のお土産はチョコレート。袋に入ったチョコレートをひったくるようにして見る正子からまた取り返す神尾。チョコレートって恋人だけに贈るんですってねと嬉しそうな秋子にだから持って来たんだよと神尾。

 

神尾は正子に(秋子に)つまらない縁談なんか持ってきても無駄なんですよと言う。「あなたは高円寺のおばさんでしょ。僕はもっと近いところにいるんですからね。秋子さんの心の中の」と言い、正子と言い合いになる。

 

初子からお寿司が来たと言われると、秋子は私の部屋を見てもらいたいと神尾を誘う。中トロたっぷりのお寿司は神尾が食べることになり、神尾が正子にチョコレートを「恋人の味ですよ」と1つ置いて出て行った。

 

怒った正子は初子に中トロばっかりのお寿司をもう一度頼むように言い、チョコレートも初子にそのまま渡した。

 

階段を下りてきた洋二は正子においしいものでも食べてと言うが、神尾とかいう生意気な男に横取りされたと正子は怒っていた。通りかかった初子はチョコレートがとってもおいしかったとほめる。洋二は神尾のことを知っていて、仲がいいのはかまわないでしょうという感じ。洋二はいいものを見せると部屋に誘い、お寿司が届いたら部屋に持ってくるようにお敏に言う。洋二には「はい、かしこまりました」とにっこり。正子には真顔になるお敏さんが面白い。

 

台所

お敏「神尾さんってなかなかの二枚目ね、ハンサムでさ」

初子「面白かったわよ、おばさんとやり合っちゃって」

ちゃっかりかのこは私たちでいただきましょうと食べている。

 

洋二の部屋

ウサギと鬼の絵を正子に見せている。遊んでていてもつまらないからこれからは絵本の勉強をしようと思うんですよと話す洋二。音楽学校卒業後は今でいうニートみたいなものなのかな?

 

洋二「今、子供に必要なのは夢ですからね。いや、子供ばっかりじゃない。大人だってそうですよ。今ほど夢のない時代はありませんからね」

 

おばちゃんの夢は何か問う洋二。子供があるわけじゃなし、アパート代を値上げして団体旅行で北海道か九州に行ってみたいぐらいのもんでしょという決めつけ。しかし、正子の夢は外国旅行。

 

洋二は人がよかったらお金なんかたまらない、部屋代を上げたり、敷金を上げたり、今月払えない人には嫌なこといって催促したり…金の事ばかり言ってないで、たまにはこういう絵を見て心を洗われるといい、おばちゃんはいい人、善人だと機嫌を取る。かわいらしいウサギをおばちゃんを思い出して描いたというが、映し出されたのは鬼の絵。

 

秋子の部屋

寿司を食べている神尾に秋子は正子だって一人きりで寂しいのだと話す。成人式の日にほんとに結婚してほしいと言ったのにひどいと言い、借りた1000円を返そうとするが、財布には600円のみ。チョコレート400円もしたんだ! 神尾が秋子に財布の中からお札を取り出して見せるシーンで神尾はお札を2枚持っている。500円札と100円札。100円札は1974年まで流通してたらしい。

 

テレビ局は景気がいいし、月給だって悪い方じゃないのに金のない神尾。おばあちゃんが強制的に貯金させている。そうじゃなくちゃ~。恋愛してれば金がかかると、着ているジャケットをいい色だろ?と聞いてるけど、これカラーならなあ。秋子は「私の好きな色」と答えてるけどね。まだ三月も残ってるってローン? お高いのね。

 

秋子は母にマンションをねだったけどダメだったと話すと、神尾も同様。神尾的には住むところなんかで苦労するよりも僕たちには闘わなきゃならない精神的な闘いがあると話す。まー、東京生まれ東京育ちのお坊ちゃんお嬢ちゃんなんだなあ。

 

秋子の部屋に三郎がやってきて、鼻紙をねだる。神尾の顔を見に来たんだね。「3人家族」「兄弟」でそれぞれあおい輝彦さんの兄役だったので不思議な感じ。

 

帰って来た愛子の着物の着替えを手伝うお敏が手馴れてるな~。亡くなったのは愛子の友達で横浜でお花の先生をしていた人。正子と同じ歳だが、夕方まではとても元気だったのに急に亡くなったという話をしていると、「もう夕方ですね」とお敏が茶々を入れる。

 

茶の間のこたつには洋二と正子と愛子。正子は神尾のことを話す。洋二は神尾に会いに行き、正子は神尾のことを全然知らなかったと愛子に文句を言う。愛子も話だけで神尾に直接会ったことはない。

 

機嫌の悪い正子。さらにお寿司の注文を間違え、きゅうり巻きばかり持ってきた。しかし、おなかがすいてる正子は食べるという。

 

秋子が神尾の歓迎会をするからお母さんもおばさまも来てと誘う。正子が洋二の描いた絵を見たというと笑いだす愛子は鬼の絵が正子の怒った顔だとばらす。なぜか愛子さん結構辛辣なのに嫌味くさくもないし、かわいいんだよね。

 

広間

洋二がピアノ、三郎と敬四郎のギター演奏。

昭和42(1967)年10月発売。

 

秋子と神尾が踊る。腕組みして見ている幸子は少し難しい顔。いろんな青春があんのよと幸子が愛子に言う。

 

茶の間では一人正子がきゅうり巻きをつまむ。

 

楽しいダンスタイムを打ち破る銅鑼の音。愛子をはじめ子供たちも玄関に集まる。今日の亀次郎は声だけの出演。いちいち出迎えるより勉強してなさい、おばちゃん口の先へご飯粒なんかつけてと早速カミナリを落とす。広間に残された神尾は難しい顔で亀次郎の声を聞いている。(つづく)

 

みんないいキャラで楽しい。おやじなしで1話ってのもありなんだね~って初回もおやじが出てきたのは最後の最後だったね、そういえば。