徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(106)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

週刊誌の応募手記発表のためと写真を撮られた翌朝、落ち着かずに寝不足の元子(原日出子)は食欲もわかない。正道(鹿賀丈史)や子供たちが心配するが、動悸がして胸が苦しくて仕方がない。悦子(渡辺佐和子)が訪れると、元子は横になっていた。代わりにお茶をいれながら、悦子は週刊誌の記者が、元子が本当に放送協会にいたかどうかアリバイを確認しに来たという。カチンときた元子だが、その夜、ついに大原家の電話が鳴る…。

今回からまたオープニングのお人形が変わった。これで3回目かな。2回目は大介が生まれたタイミングか結婚したタイミングで変わったような気がする。今日のクレジット順は原日出子さんの次が赤塚真人さん、トメが鹿賀丈史さん。

 

大原家 階段が見える廊下

元子「道子、道子、早くしなさいよ」

道子「は~い」

 

週刊毎朝の記者が応募手記発表のための写真を撮っていった次の朝のことです。

 

ダイニング

正道「はい、ほら、ちゃんと早く座んなさい。はい、それじゃあ頂きます」

大介・道子「頂きま~す」

元子「頂きま~す…」

 

正道「おい、どうしたんだ?」

元子「ん? ええ…」

大介「どうかしたの?」

元子「ううん、別にどうもしないんだけど何だか食べたくなくて」

大介「ははあ、それは寝不足だよ」

正道「そういえば、ゆうべは、あんま寝てなかったな」

道子「どうして?」

大介「バカだなあ。お母さんの手記は特選入選なんだぞ」

 

元子「やめてよ。まだそうと決まったわけじゃないんだから」

大介「そんなこと言ったって、あの時間にわざわざ写真撮っていったんだもの。もう決まったようなもんなんでしょ、ねえ、お父さん」

正道「ん、いや…まだ決定っていうことじゃないからな。何となく落ち着かないもんだよ。な」

元子「そうなのよ」

大介「何だ、それで食欲がないの?」

元子「ないっていうわけじゃないけど、何となく欲しくないのよ」

大介「それじゃ、同じことじゃない」

正道「まあ、いいじゃないか。な。ゆうべから何かとバタバタしてたんだから後でゆっくり食べるといいよ。な」

元子「はい…」

 

ところが後になっても元子の食欲は一向に湧かず、おまけに激しいどうきで胸苦しさを覚えるようにさえなってまいりました。

 

窓ふきしていた雑巾をポイッと放り出し、茶の間のテーブルに広げた原稿も手につかない。

 

この状態を蛇の生殺しというのでしょうか。さしもの元子も決定を見ずして喜びの言葉は書けません。

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週刊毎朝の三宅に書いとけと言われた受賞の感想400字ね。

 

鉛筆を持ったまま、横になり目をつぶる元子。

 

⚟女「ごめんください」

 

元子「は~い」

 

⚟悦子「ごめんください。元子さん、いらっしゃる? 茜島です」

 

元子「ガラ子…」

 

縁側から顔をのぞかせる悦子。ガラ、ガラ子=旧姓五十嵐より。

元子「あ…あら、いらっしゃい」

悦子「ちょっとガンコ、どうしたの!?」

元子「ううん、別に…。ごめんなさいね、今すぐ」

悦子「ちょっと待ってよ、顔色が悪いわよ。具合でも悪いんじゃないの?」

元子「ううん、そういうわけじゃないんだけどね、動くとちょっとどうきがするのよ」

 

悦子「ちょっと待って、こんなもの私が片づけるから」

元子「あっ…すいません。じゃ、今、お茶いれるから。ね」

悦子「いいから、座ってなさいよ。大事な時なんだから」

元子「えっ?」

 

悦子「ガンコ、あなた、とうとうやったじゃないの」

元子「ええ…」

悦子「出がけにね、毎朝の三宅さんって記者の方が見えたのよ」

元子「三宅さんが? 何しに?」

悦子「そうね…さしずめガンコのアリバイを確かめに来たってとこかな」

元子「アリバイですって?」

悦子「そう。大原元子、旧姓、桂木元子さんは本当に放送協会にいたことがあるのかどうかっていう、あれよ」

 

元子「失礼だわ! 絶対に失礼よ!」

悦子「ガンコ」

元子「そうよ…だってあの人(しと)、特選の候補になったってそう言ってきたのに何よ、白々しい」

悦子「ちょっと落ち着きなさいよ。ガンコは『週刊毎朝』の応募手記にあの時のこと書いたんでしょう?」

元子「ええ」

悦子「けど、向こうとしては特選の発表をしたあとで、あの時、放送局にいた事実はないなんてことになると…」

元子「ないわけないでしょう。私はあの8月15日、放送員室にいたからこそ」

悦子「だから落ち着きなさいって言ってるでしょう」

元子「だってあんまりよ。人を疑ってかかるなんて」

悦子「しかたがないわよ。万全を期さなければならないのが三宅さんの仕事ですもの」

元子「そりゃ、そうだけど」

 

悦子「だから、私が昔、放送員だったってことを調べてガンコのこととあの日のことを聞きにきたってわけ」

元子「それで?」

悦子「おめでとう、ガンコ。私とガンコは、あのまま家庭に入ってしまったけど、私、ガンコはいつか世に出るってそう思っていたのよ」

元子「世に出るだなんて」

悦子「だって『週刊毎朝』の特選なのよ、特選」

元子「まだ決まったわけじゃないのよ」

悦子「バカね。もう写真も撮ったっていうじゃないの。決まったも同じようなもんだわ」

 

元子「そうはいかないのよ」

悦子「何が?」

元子「決まったのと、ようなものは大違いだわ」

悦子「しっかりしてよ、困った人ね」

元子「そうなのよ。体に力が入んなくて今朝から何にも手がつかないの」

悦子「何か食べたの?」

元子「ううん。朝も昼もね、ムカムカして何にも欲しくないのよ」

悦子「駄目よ、それじゃあ。お子さんたちにと思って持ってきたんだけど、はい、向島の桜餅。1つでもいいから、お上がんなさいな」

元子「ありがとう。(匂いを嗅いで)あっ…駄目だわ」

悦子「むかつくの?」

元子「うん」

 

悦子「まさか、ガンコ」

元子「えっ?」

悦子「おめでたじゃないんでしょうね?」

元子「そんな…うそ、やだ、変なこと言わないで」

悦子「どうしてよ。だっては手記は特選、子供も出来たとなれば二重のおめでたじゃないの」

元子「うそ、うそよ。子供だけは絶対当選していませんよ」

悦子「そう?」

 

元子「そうよ。だってね、現にゆうべまでは食欲モリモリだったんだもの」

悦子「だったら多分…神経性のものだわね」

元子「そうかしら」

悦子「そうよ。私だって覚えがあるもの。あの相撲茶屋のね、初めての本場所に茶屋の大事なお客様をお迎えした時なんか茜島の義母(はは)が仕切ってるのに、私、緊張しすぎてしまって食べ物が喉を通らなかったの」

元子「あら、やっぱり?」

悦子「そりゃ、そうですよ。あの大きな体の関取の中にだってね、初日の前にはそういう症状を見せる人がいるくらいなんだから」

元子「(桜餅を頬張りながら)ふ~ん」

 

悦子「『果報は寝て待て』。こうなったらデ~ンと構えることね」

元子「駄目よ、駄目。私ね、これでも心臓は弱い方なんだから」

悦子「何言ってんのよ。パクリと食べられたくせに」

元子「えっ? あら、やだ」

悦子「フッ…ハハハ…」

元子「まあ…もう、やだわ」

笑う2人。

 

元子「ありがとう。ガラが顔見せてくれたおかげだわ」

悦子「それじゃ、私、安心したところで帰るわよ」

元子「あら、もうちょっといてよ」

悦子「そうしたいんだけどね、このところ、ちょっと義母(はは)の具合が悪いのよ」

元子「知らなかったわ」

悦子「うん。今も病院で寄り合いの報告に行ってきた帰りなの」

元子「ごめんなさい。悪いことしたわね」

 

悦子「いいえ。でもね、この世界、いろいろとしきたりが多いから、まだまだ教わることが多くてね」

元子「けど、ガラ、よく頑張ってるわよ。私、本当に感心してるんだから」

悦子「ありがとう。じゃ、しっかりね」

元子「ええ」

悦子「絶対、間違いないけど改めていいニュース待ってるから」

元子「どうもありがとう。何だか元気が出てきたみたいだわ」

悦子「じゃあね」

元子「どうもありがとう。気ぃ付けて」

 

悦子のおかげで小康状態を見たものの残念ながら緊張からくる元子の神経性食欲不振は募る一方でした。

 

夜、ダイニングテーブルの上に寿司折。

正道「はあ~。とにかくだな、一つだけでも食べなきゃ駄目だよ」

元子「ええ…」

正道「腹が膨れてても、すしの入るところは違うっていうじゃないか、え」

大介「ほら、お母さん、いつも中トロ、中トロって言うくせに今日のは上等だよ」

道子「卵もおいしそう」

元子「じゃ、道子、卵食べる?」

大介「駄目。これはお父さんがお母さんにって買ってきたんだから」

元子「だって…」

正道「よし、それじゃあな、みんな、自分の好きなの1つずつ食べよう。な。それじゃあな、お父さんはな、あなごだぞ。大介、えびだろ」

大介「うん」

正道「道子、卵だろ。それでお母さんは中トロと。な?」

元子「はい…」

 

正道「うまい、うまい。どうだ?」

元子「おいしいわ」

正道「ほら見ろ。食べればちゃんと食べれるじゃないか」

大介「力をつけておかないと肝心の授賞式でひっくり返ったら大変だよ」

正道「こら! そこでまた余計なことを言うんじゃない!」

大介「ごめんなさい。コハダもおいしそうだよ、お母さん」

 

涙ぐむ元子。

道子「お母さん?」

元子「ううん、効いたのよ、わさびが。鼻の奥までツ~ンと来ちゃった」

正道「ハハ、そりゃあ、よかった」

元子「本当」

正道「あ~、よかったよかった。よし、それじゃあな、お父さん、次、カッパ巻きだぞ」

大介「僕は…シャコ」

道子「私も」

大介「お母さんは?」

元子「ん、コハダ」

 

電話が鳴る。

正道「僕が出るから。はいはい、大原でございます、はい。はっ? 大介ですか? あ~、ちょっとお待ちください。剣道部の友達だ」

大介「はい、もしもし、大原です。何だ、君か。ああ…。試験が終わったら、すぐ練習だと言ってた。うん、なるべく早めに寄るつもり。じゃあ、朝寄るから。うん…じゃあ、バイバイ」

 

受話器を置くとすぐ電話が鳴る。

大介「はい、大原です。はい…はい、おります。少々お待ちください。お母さんに電話」

元子「誰から?」

大介「さあ。出てみてよ。聞いたような声だけど、僕じゃ駄目みたい」

元子「誰かしら、一体…」

正道にOKサインをする大介。

正道「ん? あ~!」

 

元子「はい、大原でございます」

三宅「昨夜お伺いしました週刊毎朝の三宅です。おめでとうございます。大変遅くなりましたが、特選は大原さんに決定いたしましたんで」←ナビ番組で見たシーン。

元子「!!!」

三宅「もしもし? もしもし? 聞こえてますか? 大原さん。もしもし? 大原さん。もしもし?」

元子「はい…」

三宅「おめでとうございます。特選ですよ。大原さん」

元子「あ…ありがとうございます。あの、ちょっとお待ちください。あなた…」

正道「ああ…。もしもし、はい…」

 

大介「おめでとう! やったね、お母さん!」

道子「お母さん、おめでとう!」

元子「ありがとう…」

大介「やった、やった! やったぜ、やった!」

道子「早くおすし食べなくちゃ」

大介「いいんだよ、そんなのは後でも」

道子「どうして?」

大介「とにかくいいんだよ。ねえ、お父さん」

手で顔を覆う元子。

 

正道「ああ…なあ、おすしを食べてないのに、お母さん、もうわさび効いてるみたいだしな、ハハハ」

元子「いや…意地悪ね」

大介「おめでとうと言って何が意地悪なのさ」

元子「だって…」正道の胸で泣きだす。うわぁ~、この身長差!(萌)

正道「ハハハ…」

 

大介「ばんざ~い!」

大介・道子「ばんざ~い! ばんざ~い! ばんざ~い! ばんざ~い! ばんざ~い! ばんざ~い!」

子供たちの方に向き直る元子。

 

昼、大原家前

郵便配達「電報です!」

 

字幕は”郵便配達”になってたけど、クレジットは電報配達夫…津田二朗さん。舞台中心の人なのね。電報というのは今でいうNTTの職員が配達してたのね? いつもの郵便配達の人とは違う。

 

⚟巳代子「は~い」

 

路地を雑誌を抱えた藤井が帰ってくる。「はいはい…はい、ご苦労さん。こっち、頂きましょう、はい」

巳代子「はいはい」

藤井「あっ!」コケて雑誌を落とす。「あ~!」

巳代子「大丈夫?」

 

週刊毎朝誌面

当選手記

私の八月十五日

あの瞬間の放送員室

 

あの瞬間の放送員室 大原 元子

本文はぼやけて読めず…残念。

 

8月「週刊毎朝」終戦記念特集号に晴れがましくも元子の名前と写真が載りました。

 

週刊毎朝誌面 読める分だけ

応募手記当選発表

「私の八月十五日」の手記は、読者の皆さんのご支

援をえて、二千百九十五通という多数の応募があり、

厳正な審査の結果、左の十六編を選びました。

 

特選(一編)=賞金五万円

 大原 元子=東京都台東区下根岸一七五

入選(五編)=賞金各一万円

 斎藤  明=千葉県千葉市

         会社員、四十歳

 佐藤 宏之=広島県安芸郡府中町山田、出版社員、

       三十二歳

 山田 早苗=鹿児島県熊毛郡…

         地方公務員、三十五歳

 関  安光=神奈川県鎌倉市

       四十歳

 中嶋 恵子=

 

元子の顔写真

特選の喜び 八月十五日というと、私たちの年代のものには、語りつくせない思いがあります。投稿のはじめに書きました甥の死も、栄養失調だったのでしょう、消化不良によるものでした。陸士出身で戦車学校の教官をしていたいまの夫が、決起部隊に加わるのではないか…

www2.nhk.or.jp

最後の方に当時の記事をスクラップにしたものを公開しています。

 

茶の間

週刊毎朝を見ている元子。

巳代子「お姉ちゃん、また祝電よ。ほら、12通いっぺんに来たわ」

元子「うん、そこの台の上、まとめて置いといてよ」

巳代子「はい」

 

藤井「はい、あらよっと…よいしょ」雑誌をテーブルの上に置く。

トシ江「まあまあ、そんなにたくさん」

藤井「ええ、あっちこっち景気よく送りまくらないといけませんからね」

元子「どうもありがとう」

藤井「いえ」

 

トシ江「よかったね、元子。お父さんね、わざと何でもない顔をするのが大変でさ、とっても喜んでんだから」

元子「どうもありがとう。正道さん帰ってきたら一緒に夜にでも行くつもり」

トシ江「ああ、そうしてやっとくれ。喜ぶよ。ね」

元子「うん、フフフ…」

 

藤井「巳代子、ビールまだか? さあ、早く早く」←藤井のくせにえらそーだぞ!

トシ江「まあ、祐介さん」

巳代子「お待たせしました」

 

電話が鳴る。

トシ江「あっ、電話電話」

巳代子「お姉ちゃん、またお祝い電話よ」

 

元子「はい、大原でございます。まあ、どうもありがとうございます。いいえ、まぐれよ、まぐれ…。いや、そんなやだわ、そんな大げさなもんじゃないんですから」

 

藤井「さあ、いきましょう、いきましょう。さあ、乾杯! おめでとうございます!」

 

元子が通話中に飲みだす藤井。おい!

 

つづく

 

微妙な尺余りで「ただいまの出演」

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

元子、よかったねえ~とナビ番組見て知ってたけどさ。

 

主婦が体験記を書くというとこの話を思い出しました。

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これはTBSの単発ドラマで1980年放送。日色ともゑさん演じる平凡な主婦が元子と同じように体験記を書き上げ応募したら当選したという話。

 

しかし、この話、主人公は袈裟乃(けさの)という本名が嫌でペンネーム(蘭子)で書き上げた架空の話で、現代モノなのに元子みたいに裏取りもされず、夫婦そろってテレビのワイドショーに出演したりしている。テレビ局のプロデューサーが藤田弓子さん。日色さんが1967年の朝ドラヒロインで藤田さんは翌年のヒロインなんだよね。

 

結局、ヒロインは新たに原稿依頼されたものの全く書けず、夫(藤岡弘さん)に断ってもらい、賞金も寄付しようと話し合うというなんじゃこれな展開。女性の脚本家というのが信じられないくらい女ってやつは~専業主婦は~って言われそうな内容だったな。そうそう、菅井きんさんと犬塚弘さんが親子役でちょっとだけ出てました。

 

反響が大きいというのはこういうことなんだね~。今までの再放送だと、「はね駒」が再放送きっかけでDVD化されて以来かな。今は、円盤化より配信の方がいいだろうね。

 

この7時15分の枠はDVD化されてない作品をどんどんやってほしいな。=なるべく古いのやってくれ。