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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(105)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

身をけずる思いで書いた応募手記「私の八月十五日」を締め切りギリギリに出した元子(原日出子)は、書ききった満足感に満たされ、結果についてはいつの間にか忘れてしまい、主婦業の毎日に戻っていた。しかしある夜、大原家に週刊誌の社員がやってきて、なんと、元子の書いた手記が、2200通に上る応募作の中から特選の候補になったという。正道(鹿賀丈史)も仰天し子供たちも興奮する中、元子は虚脱したように座り込み…。

土曜日なのに珍しくゆっくりオープニング。

 

今日の回想メンバー

立花…渥美国泰

本多…山本紀彦

芦田…平沢公太郎

川西…富田浩史

沢野…森田順平

田中少佐…江角英

喜美代…鳴海和世

和代…菊地かおり

房江…沢田知子

 

(回想)の表記なく、のぼる、恭子、悦子だったのは何でだ。

 

茶の間

原稿を書く元子。

 

元子は書きました。制限枚数に関係なく思い出すままに放送員室のこと全てを書いていったのです。

 

回想

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軍人「止まれ! 誰か!」

軍人「誰か!」

元子たち一団に銃剣を突きつける。

のぼる「私たちは女子放送員です!」

回想ここまで

 

原稿を書き続ける元子。

 

回想

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放送員室で元子が差し出したコップの水を飲む本多。

回想ここまで

 

原稿を書き続ける元子。

道子「ただいま」

元子「あっ、お帰り。ごめんね、気が付かなくて」

道子「ねえ、どんぐりも食べたんだって?」

元子「えっ?」

道子「学校でね、お母さんのこと言ったら先生が教えてくれたの。私たち小学生は、みんな、お母さんたちと別れて田舎の学校へ行ってたんだって」

元子「そうよ。大人も子供も赤ちゃんもそれは大変な時代だったの。ふ~ん、先生がお話ししてくれたの」

道子「うん。すいとんなんかごちそうの方だったって」

元子「まあ。フフ…だから言ったでしょ」

 

朝もやかかる大原家

 

いよいよ明日が締め切り日ですが、元子には書くだけ書いたものの清書が残っておりました。

 

ダイニングテーブルで書き続ける元子は目覚まし時計の音に気付く。時計が止まり、隣の部屋で寝ていた正道が起きてきた。

元子「あっ」

正道「おっ、何だ、徹夜か?」

元子「ごめんなさい。目覚まし時計、あなたのでした?」

正道「うん。あっ、出来たかい?」

元子「ええ、出来たわ。あと、書くべきものは封筒の表書きと私の名前だけです」

正道「よくやったな。じゃあ、郵便局出したら、あとはぐっすり寝ることだ」

元子「大丈夫よ、一晩そこらの徹夜ぐらい」

 

大介「それ、僕が出してやる」

元子「大介」

大介「大丈夫だよ。学校へ行きながらちゃんと出してくるから」

元子「じゃあ、お願いするわ。お母さんの八月十五日を」

大介「はい」

 

セミの声

 

7月中旬

 

身を削る思いで書いた応募手記「私の八月十五日」を締め切りギリギリに投かんした元子さん。書き切ったという満足感で結果については忘れるともなく忘れてしまい、主婦業の毎日を忙しく過ごしておりました。

 

玄関

大介「ただいま」

 

⚟元子「お帰り」

 

台所

大介「何、作ってるの?」

元子「うん? 受験生に最高、消化のよいスタミナ料理よ。巳代子おばさんに教わったの」

大介「すぐその気になるんだから。僕はまだ受験生じゃないよ」

元子「分かってるわよ。だけど、中学校の期末試験は、もう一日あるんでしょう。消化がよくて栄養のたっぷりあるものを作るに越したことないじゃないの」

大介「それから、もう一つ大事なことを忘れていませんか?」

元子「それも分かってますよ。お味が悪ければ何にもならない」

大介「へ~え、さえてますね、今日のお母さんは」

 

元子「フフ…。で、今日はどうするの? 先に寝てしまってからやる? それともこのままやって早めに寝ますか?」

大介「うん、明日の分はサ~ッと復習すればいいだけだから、このまま寝る。道子が帰ってくれば、どうせ目が覚めちゃうんだろうから」

元子「うん、じゃあ、おやつに作っといてあげるからね。おやすみなさい」

大介「おやすみなさい」弁当箱を渡して台所を出ていく。

元子「はい。あの様子だと今日の試験はなかなかいい線いったのかな」

 

⚟郵便配達「郵便! 大原さ~ん、郵便ですよ!」

 

元子「は~い!」

 

玄関

元子「あっ、どうもご苦労さまです」

郵便配達「どうも。あの~、これ、切手貼ってないんですよね」

元子「どうもすいません」

郵便配達「10円頂きます」

元子「はい…。はい」10円渡す。

郵便配達「はい、じゃ、確かに」

元子「どうも」

郵便配達「どうも」

元子「ご苦労さまでした」

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ここんとこ同じ帽子の郵便配達夫だね。

 

もらった絵ハガキを読む元子。「あ~、順平のやつ、またではないか。『前略、その後、お変わりなきことと思いますが、小生も相変わらずの毎日を過ごしております。驚くことに体重が2キロも増えました。右、お知らせまで』。変な子。魚と空気のいいとこにいるんだもの、別に驚くことないじゃない。ねえ」

大介「お母さん、何か臭いよ!」

元子「鍋よ、鍋! 大介、お鍋!」

 

夜、茶の間

正道「ハハハ…それで初めから作り直しか」

元子「そうなの。全く順平って子は昔っから人(しと)の迷惑考えないんだから」

正道「えっ、そりゃないだろう」

元子「フフ…」

正道「けど、元気そうな便りで何よりだな」

元子「それにしたって」

 

正道「しかし、いい匂いだね」

元子「ええ、もうすぐ出来上がりなんですよ」

正道「見ててやるからね、お風呂入ってきなさい。君が最後だろ」

元子「ええ」

正道「大丈夫だよ。ちょっと大介のぞいたら、ここでずっと番してるから」

元子「そうですか? それじゃあ、ザッと浴びるだけなんですけどね10分ほどしたら火をほんのトロトロに弱めてくださる?」

正道「分かった分かった」

元子「じゃあ、お願いしますね」

正道「うん」

 

台所の奥のお風呂場に行く元子。

 

正道「よいしょ…」と立ち上がり、茶の間を出ていく。

 

⚟男「こんばんは。もしもし、こんばんは」

 

⚟元子「は~い!」

 

⚟男「こんばんは、大原さん。大原さん、いらっしゃいませんか?」

 

風呂場から出てきた元子。「は~い! おりますよ!」シャワーキャップにバスタオルを巻いた元子が顔を出す。「あなた~! あなた~! 大介!」

 

子供部屋

大介の勉強を見ている正道。鍋は?

 

⚟元子「表に誰かお見えになったみたいなの! 誰でもいいから早く出てちょうだい!」

 

正道「あ~、いけない、いけない。お母さん、お風呂だよ」

大介「けど、今頃誰だろう?」

 

⚟元子「あなた~!」

 

正道「おう、はいはい!」

同じ部屋で寝ていた道子も目を覚まし、3人で部屋を出ていく。

 

玄関

正道「はいはい、はいはい…。どちら様ですか?」

三宅「え~、夜分すいません。週刊毎朝の三宅と申しますが」

正道「はあ」

三宅「遅くに申し訳ありません。大原元子さんとおっしゃるのは?」

正道「はい、家内ですけども」

三宅「そうですか。実はあの、うちで募集しました手記のことで伺ったんですけれども奥様の書かれたものが今日の時点で最有力候補になってるものですから、こうして」

正道「ああ…ああ、そうですか」

 

三宅記者…綾田俊樹さん。いろいろ見かける人ですね。

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カメラマン…市川芳治さん

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階段で様子をうかがっていた大介と道子は台所に入ってきて、茶の間との間のガラス戸を閉める。

 

ダイニング

大介「お母さん、週刊毎朝の人がね…」

元子「うん、聞こえた。お父さんにね、上がっていただいて、それでちょっと待っててちょうだいって、ねっ…」

道子「はい」

元子「あっ、駄目よ! 道子…道子、あんた、パジャマじゃないの」

 

大介「じゃ、僕がいってくるから、お母さんはその間に」

元子「うん、分かった」

道子「お茶を出すんでしょ? お母さん」

元子「うん、そうそう、お茶ね…」

大介「僕がやるから、ボタン、ボタン」

元子「えっ? あっ! ボタン…」慌てて着替えたのでボタン掛け違え。

 

大介「いいから、頭をなんとかしなよ」

元子「頭?」

大介「道子、くし!」

道子「はい!」

 

何だか今日の元子はセクシー。

 

茶の間

正道「さあ…さあ、どうぞ」

三宅「どうも…本当にもうお構いなく」

正道「いやぁ、こんな時間までなかなか大変なお仕事なんですねえ」

三宅「ええ…終戦記念の特集号ということで特に今度の応募作は私たちにしても力入れましてね。およそ2,200通の中から、これはというのを選出するもんですから選考委員の先生方ももうそれは大変だったようですよ」

正道「2,200通? そんなに来ましたんですか」

三宅「ええ。やはり戦後はまだ終わってないとこういうことですかね。あまりの生々しさにね、私たちにしても、もうタジタジとなるものが随分ございました」

正道「はあ…」

三宅「で、入選作は5人なんですけれども、奥様の書かれた『あの瞬間の放送員室』、これはですね、特選の候補になってるものですから」

 

ダイニング

お盆を持って聞いていた元子。「特選!?」

大介「深呼吸! ほら、大きく息を吸って」

元子、深呼吸する。

大介「じゃあ、開けますからね。おなかにグッと力入れる」

元子「うん…」

 

茶の間

元子「あっ、どうも…。いらっしゃいませ」

正道「あっ…あっ、あの家内です。週刊毎朝の三宅さんだ」

元子「あっ、どうも…」

三宅「初めまして。実はですね…」

元子「ええ、あの、ちょっと手ぇ放せないことやってたんですけど、このとおり狭いうちですから大体のお話は」

三宅「そうですか。とにかくおめでとうございます」

 

元子「ありがとうございます。でもまだ候補なんでございましょう?」

三宅「はあ、でも、入選には間違いありませんので一応ですね、お顔の写真を撮らせていただきたいんですが」

元子「写真を!?」

三宅「はあ。で、明日の夜までには決定いたしますんで、決まり次第、連絡差し上げます。ですから、あの~特選入賞の感想をですね、400字ぐらいでまとめていただきたいんです。それと、あの、簡単で結構ですから略歴の方もお願いします」

元子「はい…」

 

カメラマン「え~っと、でしたら…この辺にお願いできますか」

元子「あっ、はいはい…」

三宅「じゃあ、テーブルこっちに寄せるか」

カメラマン「あっ、そうですね」

正道「あ~…はいはい」

三宅「あっ、そうですか。どうもすいません」

 

元子「あの~…着替えた方がよろしいでしょうか」

三宅「はっ? いやいや…構いません、そのままで」

元子「でも、これじゃあ、あんまり…」

カメラマン「大丈夫ですよ。顔だけですから」

元子「それでも、あの…ねっ? ねえ?」

正道「大介、ちょっと鏡…鏡持ってらっしゃい、ねっ」

大介「はい。はい、お母さん」

元子「ありがとう」

 

三宅「お子さんですか」

正道「ああ…はい」

大介「こんばんは」

道子「こんにちは」

正道「あの、長男と長女なんです」

三宅「あ~、そうですか。すごいんだぞ、君たちのお母さん。来月早々のね、『週刊毎朝』にお母さんの書いた手記とこの写真が載るんだからね」

大介「はい」

 

カメラマン「じゃあ、こちらへ」

元子「はい」

正道「あ~、こっち…」

 

部屋の隅に立って撮影。

カメラマン「じゃあ、いいですか」

シャッター音

 

玄関

三宅「じゃあ、どうも失礼いたしました」

正道「どうもごめんください」

三宅「おめでとうございました。それじゃあ」

元子「どうもわざわざ本当にありがとうございました。お気を付けて」

 

茶の間

正道「ハハハ…」

元子「はあ~」

 

大介「よかったね、お母さん!」

道子「きれいだったから大丈夫よ」

元子「まあ、道子ったら」

 

正道「ハハ。よし、それじゃあの電話だ。人形町とモンパリと六根と…」

元子「待って! お願いだから待って」

大介「どうして?」

元子「だって、まだまだ候補なのよ。決まったわけじゃないって言ってたじゃない」

大介「けど、それは特選の話で入選は間違いないって言ったでしょ」

元子「それにしても待って」

大介「どうして?」

 

元子「ごめんね。うまく言えないんだけど、お母さん…決して見えっ張りで言ってるわけじゃないのよ。だけど、あの手記のこと忘れてたのよ、本当に。それであの人たち、急に来て…確かに慌ててたってこともあるんだけど特選だなんてピンと来なかったし…。とにかく書けたっていうことだけでよかったし…。分かんないかしら、この気持ち」

正道「うん、分かる分かる。今はバタバタ騒ぎたくないっていうことなんだろ」

元子「今、騒ぐってことはね…誰に対してだか、よく分かんないんだけど、申し訳ないような、そんな気がして…」

正道「うん…よし、そういうことだ。大介、明日試験もあるんだし、決定の連絡入ったらな、お父さん、リストを作っておくから片っ端から電話してくれ。な」

 

大介「分かりました。じゃあ僕は最後の追い込みに入るけど、その前にもう一度だけ。おめでとう、お母さん」

元子「ありがとう。おやすみなさい」

大介「じゃ、おやすみ」

正道「おやすみ」

道子「私もおめでとう!」

元子「ありがとう…」

 

正道「よく頑張ったな。おめでとう」

元子「あなた…」

 

やりましたね、元子さん。しかし、特選かどうかは来週のお楽しみです。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

今日はいい子に描かれていた大介だけど、まー、思えば「おしん」の兄の庄治みたいな卑屈な長男がすごく嫌いだし、そういう長男をのさばらせるような甘い態度の親も許せないという個人的恨みがあるので、親にああいう物言いをして、許されるのが信じられない。道子みたいに母の喜ぶようなこと言っても結局、女親は息子可愛いだからね。

 

でも、今の世の中でも専業主婦が何者かになろうとして、子供に手抜き(?と私は思ってないけど)する母親を糾弾する人が多いんだね。当時もやっぱり、大介の怒りはごもっとも、元子が原稿に夢中になってるのが悪いが多数派だったのかなあ? これが女子中学生が同じこと言ったら、同じふうに元子が悪いになるのかな?とも思ってしまう。

 

急に取材…困る。でも、昔ってあんな感じだったんだろうな。