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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(125)「春のあらし」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)や健次郎(國村隼)が亜紀(鍋本帆乃香)の誕生会をしていると、純子(いしだあゆみ)の父・久米夫が行方不明と連絡が。捜しに行った純子から、久米夫が心筋こうそくで倒れて病院に運ばれたという連絡が町子らに入る。町子は病院に向かったあと、出版パーティーに遅れて出席。純子が一人で病院にいると、北野(RIKIYA)が様子を見に訪ねてくる。町子が出版パーティーに遅れたことが、週刊誌のネタになり…。

茶の間

テーブルを拭いている町子。

健次郎「あのな、今、町会長さん来てはってな、何や今日、商店街にテレビ局が取材に来るいうて」

町子「へえ、そうなん」

健次郎「そんでな、あの、向こうの人はあんたがこの商店街に住んでんの知らんかったらしいんやけど、ちょうど、あんたの話が出て、それやったら、もし、今日いてはったら通り歩いてるとことかを、午後から撮影させてくれへんかなて言うてはんねんて」

町子「午後から?」

健次郎「うん」

町子「う~ん…お誕生会あるし、そのあと出かけなあかんし…。今日はちょっと無理かも分からへんわ」

 

工藤酒店

一升瓶を磨いている貞男。タエが鼻歌を歌いながら登場。

タエ「これでいいかな?」淡いピンクのスーツ。

貞男「何をしてんね?」

タエ「え? そうかてテレビやよ! 取材やよ!」

貞男「いつもの格好でええね! 酒屋の店先に見えへんやろが」

タエ「そうかて全国に映んねんもん! いらっしゃいませ!」

貞男「大阪ローカルや…」

 

茶の間

折り紙のわっかでかわいく飾り付けられている。

一同「♪ハッピー バースデー トゥ ユー ハッピー バースデー トゥ ユー ハッピー バースデー ディア 亜紀ちゃん ハッピー バースデー トゥ ユー」

亜紀がろうそくの灯を消す。この間の高橋君が来てないなと思ったけど、女の子の友達3人だけだし、あとはきょうだいと健次郎、町子、純子だからねえ。

町子「うわ~! おめでとう!」

亜紀「ありがとう!」

由利子「よし、じゃあ、ケーキ切ろうか! じゃあ、どうやって切ろうかな」

町子「先、ろうそく取って」

 

健次郎「しかし、あれですな、純子さんのお父さん、元海軍いう感じやね。やっぱり威厳があるもん。若い時怖かったでしょ?」

純子「はい、もう。もう頑固で融通がきかなくて…」

 

またしても外で待ってる井村。出てきた貞男に声をかける。

井村「あっ、何かお祝い事ですか?」

貞男「子供さんのお誕生日や。おたく、こないだも…。一体、何だすね?」

質問には答えず立ち去る井村。

貞男「ちょちょ…ちょっとコラおい」

 

応接間

亜紀たちに交じってトランプ遊びをする町子と純子。亜紀が町子のトランプをひく。

町子「やった~!」

一同の笑い声

町子「やった! やった!」

 

健次郎「ちょっと往診行ってくるわ。福田のおばあちゃんから電話あってな」

町子「あの、私らもそろそろ行かなあかんの」

健次郎「あの、すぐに戻ってくるから。ほな」

純子「行ってらっしゃいませ」

町子「ほな、これ、純子さんお願いします。私、着替えてきますから」

純子「はい」

 

町子「えらいこっちゃ! 持っていくお花、お花屋さんに頼んだまんまや!」

純子「いけない! 急いで取りに行ってきます」

町子「お願いします。よっしゃ」一旦純子に渡したトランプを元に戻す。真剣な顔が面白い。

 

徳永家前

花を持って戻ってきた純子。

男「あの…」

純子「はい」

男「花岡先生のお宅はこちらでしょうか?」

純子「さようでございます」

男「取材お願いしてました新大阪テレビの者ですが…」

純子「取材…ですか?」

男「はい」

純子「えっ!?」

 

玄関

家に入り、オロオロしてスケジュール帳を確認する純子。「取材? 取材? え~っと…」

町子「どうしはったんですか?」

純子「あ、先生。あの…取材、テレビの取材が来てるんですけど、私、まさか…」

町子「いや、今日、商店街に来たからて急に…」

純子「え?」

 

町子「純子さん」

純子「ああ…私、また忘れてたのかと…。ひょっとしてうっかり…」

町子「純子さんがそんな失敗しはるわけないでしょう。どうしはったんですか?」

純子「いや、また、ご迷惑おかけしたのかと…」

 

町子「あっ、北野さん」

北野「こんにちは」

町子「すぐに支度しますから、ちょっと待っててくれはりますか?」

 

由利子「純子さん」

純子「はい」

由利子「電話ですけど」

純子「あ、はい」

 

茶の間

純子「矢木沢です。おじ様! 純子です。父が? ホテルに? いえ、あの~『お昼に野々村さんと会う』って言って出かけて…で、あの『夕方にはおじ様と会う』って申してましたけど…。申し訳ありません。分かりました。はい。ありがとうございます」受話器を置く。「え~…」

 

町子「お父さん、どないかしはったんですか?」

純子「あ…あの父の友人です。『待ち合わせの時間に来ない』って」

町子「え?」

純子「あの『別の友人とお昼に会って、そのままホテルに行く』って言ってたんです。チェックインもまだなんですって…」

 

町子「純子さん。すぐホテル行ってあげてください」

純子「ああ…でも…」

町子「私、ここに残ってます。何か連絡あるかも分かりませんので…」

純子「あ、でも、パーティー…」

 

町子「何を言うてはるんですか? すぐホテルへ行ってください!」

純子「はい」廊下に立っていた北野に頭を下げて出ていった。

 

夕方、茶の間

北野「何かあったんでしょうか。大丈夫かな、矢木沢さん」

町子「はい…」

北野「先生。そろそろパーティーの時間ですよ」

町子「けど…」

 

電話が鳴る。

町子「あ、ちょっとすいません」電話に出る。「もしもし、徳永で…。あ、私…うん。え? 病院!?」

 

玄関

北野「僕、車つかまえます!」

町子「お願いします。由利子ちゃん」

由利子「はい」

町子「健次郎さん帰ってきたら『長尾救急病院にすぐ来て』って伝えてね」

由利子「分かった」

町子「頼んだよ」

 

門を出たところで井村と鉢合わせ。

町子「あ、あ…すいません」

 

女「花岡町子先生ですね」

町子「え?」

女「ちょっとインタビューさせてください」

町子「すいません、時間がありませんので…」

女「ほんの少しでいいんです」

町子「あの、ごめんなさい。急いでますので」

女「2~3分ですから」

町子「私ね、急いでるんですよ!」

 

女「何やの? 偉そうに!」

ちょっと笑顔になりながら一部始終を見ていた井村。

 

夜、玄関

白衣のまま帰ってきた健次郎。

晴子「お帰り。心筋梗塞やて?」

健次郎「ああ。手術せんでもなんとかな。昼に友達とお酒飲んだんやて。それで発作が…」

晴子「そう。町子さんは?」

健次郎「うん。『パーティーの最後には間に合うやろ』言うて。『2次会にちょっと顔出してすぐ病院戻る』て」

 

病院の待合室

純子「北野さんにまでご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません」

北野「気にしないでください」

純子「あの、どうぞ、もう…」

北野「こんな所、一人でいたら気がめいるばかりですよ。ご迷惑でしたらなんですけど…。僕は病院苦手なもんですから、何かこのにおいがどうも…」

純子「私は先生のお宅で慣れちゃったみたいです」

 

北野「あ…。『4年と少し』っておっしゃってましたけど、先生と矢木沢さん10年来の仲みたいですよね。あのうちに…何て言うか、う~ん…なじんでおられます」

純子「そうなんでしょうか…」

北野「しばらくいますから何でも申しつけてください」

純子「担当作家の秘書の面倒まで見なくちゃいけないなんて編集の方も大変ですね」

北野「別に仕事だからというわけじゃありません。この間は失礼なことを言ってしまいました。よくご事情も知らずに…。すいません」

純子「あの…私の方こそついあんなこと…」

peachredrum.hateblo.jp

回想

純子「弱くてけなげなのは男性の方じゃございません?」

北野「そんなことないですよ」

純子「それじゃ…」

北野「え?」

回想ここまで。ちょっとずつセリフが略されてる。

 

純子「お恥ずかしいです。ウフフ…」

北野「原稿のこと、まだ責任感じてらっしゃるんですね。あれは矢木沢さんのせいではありませんよ」

純子「今日もこんなにご迷惑かけてしまいましたし…北野さんにまで…。あの…病室に戻ります。北野さんも本当にもう…」

北野「僕は帰りません。僕…しばらくここにいますから」

笑顔になる純子。

 

青空のカットから玄関

町子「けど、よかったですね。お父さんの容体が安定しはって」

純子「本当にご迷惑おかけいたしました」

町子「何を言うてはるんですか。池内さんに事情説明したら、ちゃんと分かってくれはりました。あの、しばらくの間、こっちよろしいですからね、病院にちゃんとついといてあげてくださいよ」

 

入院した父のもとに向かう純子です。

 

門を出ると井村! またか!

井村「昨日、花岡先生、池内幸三さんのパーティーすっぽかされたそうじゃないですか」

純子「いいえ、出席なさいました」

井村「何か発起人なのに最後にちょっと顔を出されただけだって。いや、何か不仲説もあるって、ねえ、いろいろ話聞くんですけれども。何…どうしたんですか?」

純子「そちらには関係ございません」

 

歩き出す純子をなおも追う。

井村「ちょっと…どうしてなんですか? ねえ、何やってらしたんですか?」純子の腕をつかむ。

純子「ちょっと! プライベートなことなのでお話しする必要…」

井村「え? プライベート?」

 

その数日後でした。

 

徳永医院前を藪下が掃き掃除している。そこに駆け込む北野。「おはようございます」

藪下「あ、おはようございます」

 

週刊誌の誌面

 

流行作家

花岡町子の利己的傲慢

先輩作家との確執

 

確かに売れっ子である。

れ入る。がしかし、最近は

昔からのつきあいで恩義あ

の発起人に名前を連ねておい

で大幅に遅刻した、二人不仲

ている。

 

文字が見切れている。

 

「花岡町子の

 篤田川賞を受賞し

に医師で大阪市の北

永医院を開業している

健次郎氏と結婚する。し

し、周囲を賑わしたよう

この結婚は、当初マスコミに

は伝えられず、先達の先輩

作家・池内氏の×作発表の

場にて、ある意味強引に発

表された。

 それで話題になったのが

結婚して同居せずに別居を

続けていたということ

 

読めたところだけ。

 

応接間

町子「何!? これ!」

北野「これですよ。『昔からのつきあいで恩義ある先輩作家のパーティーの発起人に名前を連ねておいて子供の誕生日会で大幅に遅刻した。2人の不仲は文壇にも知れ渡ってる』って書いてます」

町子「ようこんなデタラメ書けるもんやね」

北野「あの時のこともあります」

町子「うん?」

 

北野「『都合の悪い取材に応じず、テレビカメラにどなりつけ、取材を拒否』って…」

町子「いや、それ、急いでたからなんですよ」

北野「そうですよね」

町子「うん。よう…」表紙を見る。

 

町子「この週刊誌…。ああ! ひょっとしてあの記者!」

北野「え? ご存じなんですか?」

町子「取材断ったんですよ。純子さんも『やめといた方がいい』て言わはったのでね」

北野「じゃあ、この『秘書に聞くと遅刻はプライベートな理由』っていうのも、もちろんデタラメですよね。矢木沢さんに聞いた話じゃないですよね」

町子「当たり前ですよ!」

北野「卑劣なやり方だ」

町子、ため息。

 

純子「失礼します!」

町子「あ、はい。見ました、見ました。今、北野さん持ってきてくれはったから。『ようこんな、ええ加減なことが書けたもんやな』て、今、言うてたとこなんですよ」

 

茶の間

健次郎「こんなもん向こうが勝手に事実ねじ曲げとんねやから、純子さんのせいやないて…」

純子「何ておわびしていいのか…」

町子「純子さんのせいやありません」

純子「でも、先生のイメージが…」

 

健次郎「いや、こんな悪意のあるうそ誰も信じませんて」

町子「そう」

純子「あの時、私が本当のことを話してればよかったんです。私の父のことでって…」

町子「ねえ、純子さん、それを言うたとしても、あることないこと面白そうに書くんです、こういう人たちというのは」

 

純子「雑誌社に電話して訂正と謝罪記事、求めます」

町子「やめときましょ。向こうの思うつぼですから」

純子「でもこのままほっとくわけにはいきません」

町子「もういいんです」

純子「私の落ち度ですから…」

町子「純子さん…」

 

ミニ予告

井村「まあまあ、今後ともどうぞよろしく」明日も出るのか!

 

純子さん、追い詰められてるな~。あなたのせいじゃないと周囲の人が言ってくれてもやっぱり責任感じちゃうよね。