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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(124)「春のあらし」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)と健次郎(國村隼)は、純子(いしだあゆみ)の様子がおかしいことに気づく。ピリピリしてちょっと神経がたっているかと思えば、ボンヤリして仕事を忘れたり。町子の原稿をひったくりに取られたことを気にし、また、父親の病気が心配なこともあって、疲れているようであった。そんなとき、作家・町子の担当代理の編集者、北野吾郎(RIKIYA)が純子を映画に誘う。2人は洋画の話で盛り上がるのだが…。

仕事部屋

原稿を書いている町子。ふと手が止まり、純子の様子を思い出す。

peachredrum.hateblo.jp

回想

純子「門前払い? 無礼? どちらがですか!? いえ、結構です!」

回想ここまで

 

このところ、ピリピリしている純子のことが心配になっている町子です。そして…

 

診察室

晴子「ごめん、ちょっと医学書取らせて」

健次郎「うん」

 

晴子が本棚から探したのは「臨床医の婦人科学」という本。健次郎も晴子の様子を何となく見ている。

 

晴子「ありがと」

 

晴子もまた純子を心配していました。

 

診察室

患者は井村!

健次郎「下痢は、まあ、一時的なもんでしょう」

井村「そうですか」

健次郎「ええ」

井村「あ…いえいえ」

 

健次郎「一応、薬出しときますから。これ」

鯛子「はい」

井村「ありがとうございました」

健次郎「どうも」

出ていきがてらキョロキョロする井村。

 

徳永医院を出ると、もらった薬を丸めて捨てる。おい! まだ徳永医院を見ていると隆が通りかかった。

井村「あ~、ボク! ボク、ここの子?」

隆「はい」

井村「お母さん、いらっしゃる?」

 

隆「お母さん…? 町子おばちゃんのことですか?」

井村「え? 何? 花岡町子さんのこと『おばちゃん』て呼ばされてんの?」

隆「…」

井村「ふ~ん…。ふ~ん」

そのまま去って行った井村を不思議そうに見つめる隆。

 

茶の間

電話の前にいる純子。健次郎が部屋に入ってくる。

純子「あ~、大先生、もう終わりですか?」

健次郎「うん」

純子「お疲れさまでございました」

健次郎「お疲れさまでした」

 

純子「あの、今、父から電話がありまして、大阪に来て病院の検査の手続きが終わったあと、ご挨拶に立ち寄りたいって言ってました。日曜日ですけど、よろしいでしょうか?」

健次郎「あ、そう。来はるんやね。ほな、一緒にごはんでも食べたいな」

純子「あっ! 日曜日は確か…」

健次郎「うん?」

 

純子「亜紀ちゃんのお誕生日ですよね?」

健次郎「ああ。あっ、そうや」

純子「あっ! そうだ…。町子先生、夕方から池内先生の出版記念パーティーがあるんですよ。お忙しいですよね?」

健次郎「いやいや、かまへんよ、そんなもん。いつでも来てもろて」

笑顔になる純子。

 

そして、その夜

 

茶の間

健次郎「あの、そういうたら純子さん、最近何かおかしなことないか?」

町子「え?」

健次郎「何となくぼんやりしてて」

町子「ああ、そうなんです」

健次郎「うん…。ちょっと気になってな」

 

町子「ひったくりに遭うたん、まだ気にしてはんのかな…。けどあの、大丈夫やと思います」

健次郎「うん。まあ、それやったらええねけど」

町子「はい、どうぞ」酒を注ぐ。

健次郎「ありがとう」

 

町子たちの知らないところで不穏な気配が徳永家に近寄っていました。

 

暗くなっても嗅ぎまわっている井村。

 

朝、玄関

清志「行ってきます」

町子「行ってらっしゃい」

登「行ってきます」

町子「登君、ボタン留めてちょうだい」

由利子「行ってきます」

町子「気ぃ付けてね!」

 

入れ違いに純子が出勤してくる。「行ってらっしゃい! あっ、おはようございます」

町子「おはようさんです。純子さん、私、今の間にね、髪、染めに行ってきますわ」

純子「あっ、明日ですもんね、池内先生のパーティー

町子「それから、北野さんが来られる前に必要な資料そろえといてくださいね。お願いします」

純子「はい」

 

徳永医院前をうろうろする井村…じゃなく尚之。ネット上で井村と尚之が似てるというのをちらほら見かけて私だけじゃなかったとホッとした。映画は好きだけど、時々、洋画でも金髪の若い女性が複数出てたりするのに、一人の女の人だと思ってずっと見てたり、顔覚えは元々悪いです。

 

尚之の後ろ姿しか見えない鯛子は不審人物かといぶかしげ。「ああ! おはよう!」

尚之「お…おはよう!」

鯛子「まだ痛むの?」

尚之「いや、その…お昼休み何時から?」

鯛子「え?」

尚之「よ…よかったら昼ごはん一緒にどう?」

笑顔になる鯛子。

 

その日の午後です。

 

ボーッと応接間の椅子に座っている純子。

町子「純子…あっ、何やここやったんですか」

純子「あ…お帰りなさいませ」慌てて立ち上がる。

町子「ねえ、どうです? きれいに染まってます?」

純子「はい、きれいです」

 

町子「打ち合わせの資料、そろってますね?」

純子「資料…?」

町子「え?」

純子「申し訳ありません。今、持ってきます」

 

部屋を出ていった純子を追いかけるように廊下に出た町子。そこに健次郎が通りかかる。

健次郎「浮かん顔してどないしたんや?」

町子「やっぱり健次郎さんが言うとおり、純子さん、ちょっとおかしい」

健次郎「え?」

 

応接間

町子「あ~、そうか。その資料は国会図書館で閲覧せんと無理やということなんですね」

北野「はい。持ち出しができないので複写してお送りするよう手配しました。それと飛鳥の取材日程なんですが、来月のですね…」

町子「はい。あ、ちょ…ちょっと待ってくださいね」

北野「はい」

 

町子「純子さん、来月の予定表」

純子、ボーっとしたまま。

町子「純子さん」

純子「はい…」

町子「来月の予定表」

純子「あっ、今、お持ちします」部屋を出ていく。

 

北野「何だか矢木沢さん、お疲れのようですけど…」

町子「え…。あ…ちょっとすいません」

 

仕事部屋

予定表を持って立ち上がった純子。「ああ…先生」

町子「純子さん。あの、今日はもうよろしいですから、おうち帰って休んでください。明日、お父さん来はるんでしょ?」

純子「でも…まだ、夕方、編集の方がお見えになって打ち合わせがありますから」

町子「私一人で大丈夫ですから。何かしんどそうやもん。おうち帰って休んでください」

 

純子「先生…私の手伝いでは、ご安心にならないんでしょうか?」

町子「え!?」

純子「私が至らないからです。申し訳ございません」

仕事部屋を出ていく純子と残された町子は複雑な顔。う~ん、純子さん、どうしちゃったんだろう。しかし、あのひったくり…怖いよね。

 

みゆき館前を歩く純子。

 

上映映画は「月夜のマンハッタン」

メアリー・マックレーン

グレゴリー・マックィーン

監督ジェームズ・ワイラー

 

それっぽい架空映画かな。

 

純子が映画のポスターを見ていると、肩をトントンされた。

純子「あ…北野さん」

北野「打ち合わせ終わって商店街ブラブラしてたんですよ。矢木沢さん、今、お帰りですか?」

純子「ええ」

北野「僕ね、これ見ようと思ってたんです。よかったらご一緒しませんか?」

純子「は?」後についていく。

 

みゆき館

純子「面白かった~!」

佐和子「ありがとうございました」

純子「あ~!」

 

ロビーのベンチに座る。

北野「よかったですね。うん。そう、僕ね、この女優さん大好きなんですよ」

純子「あっ、私も!」

北野「こういうふうに強がってる女の人って好きなんですよね」

純子「えっ、そうなんですか?」

 

北野「『ティファニー』の時のヘップバーンだって猫を捨てる時、『タフなんだからネズミだらけの町でも生きていきなさい』っていう、あれ、自分のことなんですよね。うん。弱いところ隠してるから、けなげで手を差し伸べたくなるんですかね。うん」

純子「そうでしょうか? 弱くてけなげなのは男性の方じゃございません? 女性はもともと強いんだって、私、そう思います」

北野「そんなことないですよ」

純子「ございます」

北野「矢木沢さんだって弱いところお持ちでしょう? 隠しててもポロッと出る。そういう時、あるでしょう。見ていれば分かります。時々は正直にならないと。ずっと無理なさることはないですよ」

 

純子「それじゃ…」

北野「え?」

純子「失礼いたします」

北野「あの…」

 

俊平「あっ、矢木沢さん!」

純子「あ…」会釈して帰っていく。

後を追うように映画館を出る北野。

 

俊平「どないしたんや?」

佐和子「さあ…」

俊平「珍しいな。矢木沢さんが男性と映画見るなんて。デートやろか?」

佐和子「ちゃうわ」

 

鯛子と尚之がみゆき館へ。尚之は赤いジャンパーだけど、このぐらい服装が違った方が分かりやすい。あえてなんだろうか。

俊平「あ~」

佐和子「いらっしゃ~い」

鯛子「こんにちは」

佐和子「はい」

鯛子「ありがとう。ちょっと待って。はい」尚之のジャンパーを整え、手をつないで入っていく。

 

俊平「あ~あ。こっちもかいな。ええな、みんな幸せそうで」

佐和子「うん」

俊平「アホくさいわ」

 

夜、茶の間

健次郎「たまにワインもええな」

町子「編集の北野さんが持ってきてくれはったの」

健次郎「ふ~ん。純子さん大丈夫かな?」

町子「うん…。やっぱり体調悪いんかな…」

 

晴子「ただいま」

町子「お帰りなさい」

健次郎「お帰り。ごはんは?」

晴子「食べてきた。お風呂入るわ」

 

町子「純子さんね、疲れてるんやったら、お休みを取ってくれはってもええなて、私、思ってるのよ」

健次郎「うん。そやな」

町子「うん」

 

晴子「純子さんのこと? 体調崩してはるみたい?」

健次郎「何でや?」

晴子「うん…。ううん、別に」

 

日曜日。今日は亜紀の誕生日です。

 

台所

「お誕生日おめでとう亜紀ちゃん」とメッセージが書かれた大きなイチゴの生クリームケーキ。生クリームっぽく見えるけど、この時代は、まだバタークリームが主流な気がする。

町子「うわ~、おいしそう!」

 

純子「おはようございます!」

町子「おはようさん! えらい、純子さん早いですね」

純子「あの、父が参りました」

町子「ほんまに?」

 

久米夫「はじめてお目にかかります。矢木沢久米夫です。あの、いつも娘がお世話になっております」

 

いしだあゆみさんの父親役が米倉斉加年さんってすごく納得のキャスティング。だけど、親子ほどの年齢差ではない。

 

いしだあゆみ 1948年3月生まれ

米倉斉加年 1934年7月生まれ

 

健次郎「いえ、あの、こちらこそ」

町子「初めまして」

健次郎「あの、お体の具合どうですか? 飛行機の中で気分が悪くなったりしませんでしたか?」

久米夫「はっ、大丈夫です。お心遣い痛み入ります。いや、もう検査など必要なかとです。はい。ハハハハ」

 

純子「お父さん! 無理言って大先生に病院紹介していただいたのよ」

久米夫「いや、そうでした。いや、いやいやいや、どうもこれは失礼。どうもご迷惑おかけいたしました」

健次郎「あ…いやいや。僕も自分の検査となったら、やっぱり尻込みしてしまいますから」

 

久米夫「しかし、この娘がこんな立派な小説家の先生のお宅で書生ばしておるなんて」

純子「書生じゃなくて秘書」

久米夫「おっ、そうか。あの~、この、わがままな娘が秘書としてちゃんと務まっておるんでしょうか?」

町子「はい。いっつも助けていただいております」

健次郎「ええ。あの、純子さんなしでは徳永家は回りません」

久米夫「はあ…」

嬉しそうな純子の顔。

 

町子「あの…本来ならば一緒にお食事をと申し上げたいところなんですけど、あいにく今日、一番下の娘の誕生日で何かバタバタ、バタバタしてましてね…。それからそれ終わりましたら、私も仕事で出かけなあかんもんですので、本当に申し訳ございませんです」

久米夫「どうもありがとうございます。ばって、私も先約がありまして」

純子「あの、友人とホテルで約束してるらしくて…」

 

町子「そしたら、病院の検査が無事終わりましたら、その時にね」

健次郎「あの、是非いらしてくださいね」

久米夫「ありがとうございます」

笑顔の純子。

 

台所

ちらしずしを作っている町子。「よいしょ」

 

まだ外にいる井村。しつこい!

 

台所

錦糸卵の入っていた皿が落ちて割れた。

町子「あ~あ…」割れた皿を片づける。

 

ミニ予告

「花岡町子先生ですね」

 

今週はずっとこんな感じなのね~。