1988年7月10日 TBS
あらすじ
カメラマンのかほる(賀来千香子)の夫・祐次(小西博之)は、初恋の人など思い出の人を捜す仕事を始めた。ある日、ヤクザ風の黒田と名乗る男(泉谷しげる)が、かほるという女性を捜してほしいといってきた。なんと、よくよく話を聞くと祐次の妻かほるのことらしい。彼女に写真を渡したいということだったが…。
80年代の終わり、ギリギリ昭和。でも最近は70年代のドラマを見続けたせいか、だいぶ新しく感じる。子供のいない夫婦で共稼ぎ、家事分担してるという生活スタイルのせいもあるかな。
祐次はメモリー商会という初恋の人を捜す仕事をしていたが、家出人捜索の依頼が来たり、あまり思うようにいってない。妻のかほるはカメラマン。祐次の友人であり同僚は専業主婦の妻と子供を抱えていて、ここの給料だけでは厳しいと求人雑誌を眺めていた。
黒田という男が訪ねて来て、“高橋かほる”という26歳の女性を3日で捜してほしいと言って来た。かほるとは祐次の妻のことだった。泉谷しげるさんは今より尖った感じで本物の怖い人に見える。
家に帰って来ると、かほるが旅支度をしていた。夕食は自分のお金でお寿司をとって食べたという。東京の出版社から誘われたというかほるは一緒に東京に行こうと誘うが、祐次は俺の仕事はどうするんだ!とケンカになり、かほるはそのまま取材旅行に出かけた。
翌日、黒田はまた訪ねて来るが、祐次はまだ見つかっていないとごまかした。かほるに写真を渡したいと言っている黒田のことを友人に話すと、当時16歳のかほるがヌード写真を取られ、それをネタに強請られるんじゃ?と話し合った。
3日後には関西に行くという黒田にかほるは十勝に旅行に行っていて、すれ違いになると話すと、泊まっているホテルに行くといい、ホテルの名前は家族しか知らない→家族に会わせろ!と、押し切られるように祐次は黒田と共に十勝に向かった。
ホテルのロビーで祐次とかほるは再会。黒田もかほるもお互いの顔は知らない様子。改めて会い、話を聞くとペンパル募集で文通していたという。かほるは十数人と文通していて覚えていないと言っていたが、話しているうちに思い出した。
祐次が何度か会おうと誘ったが、いつもかほるの体の調子が悪いと言って断られていた。黒田は関西にいて、久々に北海道に帰って来たから会おうと思っていた。
黒田は渡したい写真があると言っていたのに渡さずに帰って行った。ホテルの部屋に戻ると、かほるはなぜあんな人に会わせたのかと怒り、またケンカになった。
ホテルから出ると、黒田はバスを待ってまだいた。かほるの体調を気遣う黒田。かほるのことを“かわいそうな中学生の女の子”と言っていたことが気になった祐次だが、黒田は、かほるが書いた手紙と渡すはずだった写真を捨てて歩いて行ってしまった。
捨てた手紙には、かほるは心臓が悪くベッドから出られない、手紙が途絶えたら死んだと思って下さいと綴られていた。黒田は紙袋いっぱいに木の写真をたくさん入れていた。素人写真ね、と冷たく言うかほるだったが、当時は悲劇のヒロインぶっていい加減なことばかり書いていたと話した。普通の子でそのままでいたら誰も関心を向けてくれないのでは?と思っていたせいだった。
黒田は自分の母親が亡くなるまでの2年間、コンクリートの壁しか見えない病室にいたのを哀れに思い、木の写真をたくさん撮っていたと思われる。
賀来千香子さんはとびきり美人だから“普通の子”に違和感。黒田の手紙もまた女にモテるとか友達がいっぱいいるとか中学生女子でもわかる嘘ばかり書いていた。黒田は当時25歳。人間は寂しい、人間だけじゃなく犬も猫もオケラもアメンボもみんな寂しいと祐次はかほるを励ました。
かほるに改めて東京行きのことを聞くと、「祐ちゃんの会社が潰れたら行こう」と笑いかけた。(終)
おお、エンドロールがある。それだけでも新しい。かほるがギャーギャーうるさくて、ちょっと前のドラマならすかさずビンタされてるところだなと思ってしまった。祐次はかなり優しい人だけど、そのくらい昔のドラマは殴られるシーンが多かった。
思春期の女の子の残酷さを描いているけど、25歳の友達もいなそうな男性に会おうと言われ、いくら純粋な気持ちであっても、恐怖を感じる女性の気持ちもわかって欲しい。