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【ネタバレ】別れて生きる時も 第二十四章「信頼の絆」その一

TBS 1978年2月6日

 

あらすじ

井波(中野誠也)と結婚して半年、美智(松原智恵子)は初めて知る幸せをかみしめた。 新聞社の嘱託となった夫を助けるため美智も印刷会社で働いた。二人は愛と尊敬、信頼で固く結ばれ、しつこい小野木(伊藤孝雄)のいやがらせにも揺るがなかった。やがて二人の間に女の子が生まれ麻子と名づけた。昭和十六年十二月の開戦以来、男たちは次々と戦場に送られていた。

愛の花

愛の花

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2024.9.19 BS松竹東急録画。あ、これまたすごいネタバレあらすじ。

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原作:田宮虎彦(角川文庫)

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塩崎美智:松原智恵子…字幕黄色

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松本:織本順吉

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吉岡俊子:姫ゆり子

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井波惣之助:外野村晋

井波満江:露草千草

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管理人:近松敏夫

永井正

ナレーター:渡辺富美子

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井波謙吾:中野誠也

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音楽:土田啓四郎

主題歌:島倉千代子

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脚本:中井多津夫

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監督:八木美津雄

 

前回の振り返り

美智「私は前科者(もん)の娘なんです。それだけじゃありません。あの小野木という男と一緒に暮らしたことがあるような女なんです」

井波「何もかも…何もかも承知のうえで言ってるんです。僕と結婚してください」

振り返りここまで

 

<美智はついに井波の求婚を受け入れた>

 

美智の部屋

松本「そうか。いや、そりゃよかった。私はね、こうなることを心待ちにしていたんだよ。井波さんに君のことを洗いざらい話したのも井波さんだったら分かってくれるだろうと思ったし、それで心変わりするようだったら、もともと縁がない人だと思わなきゃいかんと思ってね」

美智「でも、あの人、私に同情して…」

松本「違うね。あの人はね、そんな感傷的な人じゃない。思想問題で逮捕されて、今でも警察からマークされてるんだ。そんな人がね、人並みに結婚を決意したのは、よっぽど君に惚れたからだよ」

 

美智「いえ…こんな私ですもの。そうは思えなくて」

松本「いや、男にとってね、主義主張ってものは、そう簡単に変わるもんじゃない。それを貫くために彼は今まで独身を通してきたんだ。いや、うちの工場でもね、彼に好意を寄せる女はいっぱいいた。しかし、彼は一度もその誘惑に負けなかった。その彼を君は動かしたんだ。自信を持ちなさい」

美智「心配なんです。私は幸せですけど、あの人を幸せにできるかどうか」

 

美智のほうでも幸せにできるかどうかって考えるって素敵。

 

松本「いや、君が幸せなら彼だって幸せなんだよ。いや、彼だけじゃない。私もね、これでホッとした。嫁に行きそびれた娘をやっと片づけたような気がしてね」

美智「ほんとにいいんですね?」

松本「もちろん」

美智「社長にそう言っていただいて安心しました」

松本「これでね、小野木のことも心配ないだろう。君が井波さんと一緒になれば、あの男も観念するだろうからね」

 

井波が吉岡家を訪れた。

俊子「あら、いらっしゃい」

井波「お邪魔します」

俊子「井波さん、よく決心してくれたわね。塩崎さんったらね、泣きながら話してくれたのよ。よほどうれしかったんだわ。ありがとう」

井波「いや、お礼を言いたいのは僕のほうですよ。奥さんのおかげでやっとプロポーズの決心がついたんですから」

俊子「アハッ。お世辞でもうれしいわ。さあ、どうぞ」

井波「はあ」

 

このドラマ、戦中感がしないのは”マーク”とか”プロポーズ”とか普通に言うからじゃないか!? それと、松本社長的には井波が警察からマークされてるのは別にいいのか?

 

俊子「塩崎さん! 花婿さんのお出ましよ!」

 

美智の部屋に井波が上がってきた。

美智「いけない人ね。社長をお待たせして」←奥さんっぽい!

井波「どうも申し訳ありませんでした」

松本「いやいや、とんでもない。さあさあ、どうぞ」

井波「はあ」

 

松本「いやね、井波さんの気持ちは分かってるんですよ。まず、父親代わりの私と美智さんに二人っきりでゆっくり話をさしてやりたい。そういう配慮を…そうでしょ?」

井波「弱っちゃったな」

美智「そうだったんですか」

松本「ねっ、井波さんはね、こういう優しい人なんだ。君は計り知れないほど」

井波「困りますよ」

笑う松本社長と井波。

松本「どうだ? 分かったかね?」

美智「はい」

 

井波「結婚、賛成してくださいますか?」

松本「井波さん、お願いします。どうかこの人を幸せにしてやってください」

井波「はい」

松本「で、郷里のご両親は?」

井波「もちろん手紙しました。勘当された身ですから、勝手にしろとだけ言ってきました。反対じゃないんですから賛成ですよ」

松本「なるほどね。さてと…そうと決まったら、次の段取りは?」

井波「ええ、ともかく美智さんを郷里に連れて帰って両親に引き合わせたいと思っています。勘当した手前、向こうからは意地張って来てくれないでしょうけど、内心では会いたがってるに違いありませんから。この人を見れば喜んでくれると思います」

 

<やがて、美智はささやかな結婚式を挙げて井波の妻となり、さらに数日後、井波と共に彼の故郷へ向かった。この旅行が文字どおり2人の新婚旅行となった>

 

結局、前回港にいた井波は今にも実家に帰る感じに見えてたけど、その場では帰らないで手紙を書いたってことかな。

 

湖畔?で2ショット写真を撮影してもらう井波夫婦。バックに流れるのは主題歌の2番。手漕ぎボートに乗る2人。1人でオールを漕ぐ井波にハンカチを手渡し、やがて美智も隣に座って片方のオールで漕ぎ始める。

 

彌生屋旅館

 

井波のアパートは第二やよい荘だし、”弥生”が好きだね。

 

部屋でくつろぐ井波。美智はアイロンがけ。

井波「もういいかげんにしたらいい。どうせしわくちゃになっちゃうんだから」

美智「いいえ。きちんとしとかないと、ご両親にダメな奥さんだって思われるでしょ?」

井波「手にマメが出来てるんだろ? あんなにボートを漕いだんだから」

美智「このマメ、一生取っとけないかしら。今日の思い出のために」

井波「僕はマメはないけど、一生忘れないよ」

美智「意地悪」

井波「フフフフッ。回り道だったけど、ここへ寄ってよかったね」

美智「ええ」

 

井波「どうしたの?」

美智「私たち、結婚したのね?」

井波「ハッ…今更、何を言ってるんだよ」

美智「夢じゃないかしら」

井波「ほっぺたつねってみたら?」

自分の頬をつねる美智。

井波「フフッ、どうだった?」

 

美智「やっぱり夢よ。すぐ覚めてしまいそうで怖い」

井波「夢が覚めないように僕が枕元についててあげる」美智の手を握る。

美智「ねえ」

井波「うん?」

美智「お義父(とう)さんとお義母(かあ)さん、私の素性をご存じないんでしょ? なんだかだましてるみたいで…」

井波「君は精いっぱい生きてきたんだ。今の君が全てだよ。僕は誇りを持って君を紹介するよ」

 

<翌日、2人は井波の故郷の村に着いた>

 

井波惣之助の表札と瓦葺の大きな家

井波「これが僕のうちだ」

美智「怖いわ」

井波「さあ」

 

しかし、玄関が妙にしょぼい…。見える水色のトタン板の離れ?も。井波さんの実家が宮城県と聞いてひそかに期待してたけど、家並みとかも全然宮城感がなかったなあ。

 

井波「母さん、ただいま! さあ、美智。入っておいで」

美智が玄関に入り、井波が戸を閉め、もう一度呼びかけた。「母さん!」

満江「謙吾…」

井波「ただいま」

美智が頭を下げる。

井波「女房の美智です」

美智「はじめてお目にかかります。美智でございます」

 

満江「まあ…謙吾。あんた、電報を見なかったの?」

井波「電報って、なんの電報?」

満江「昨日、着いたはずだけど…」

井波「おととい出てきたんですよ。途中、寄り道したかったもんですから」

満江「そう…実はね知子(ともこ)に縁談があってね、その縁談がまとまって…」

井波「へえ~、知子が結婚? そりゃよかった。まあ、ともかく上がろう」

満江「あっ、待って。すまんけど、あんたはちょっとここで待っとってください。謙吾」

井波「じゃあ、ちょっと待って」美智を一人残して部屋に入った。

 

満江「いろいろ不都合なことがあってね。帰るのを先に延ばすように電報打ったんじゃけど…」

井波「不都合って、どうして?」

満江「どうしてって…自分の心に聞いてみなさい。お父さん、カンカンに起こりなさって、今、会ったら大変だから」

井波「女房を勝手に決めたことを怒ってんだろ? 会えばきっと気に入りますよ。だから連れてきたんじゃないですか。親父どこ?」

満江「あんたって人は…」

 

ハット、スーツで帰ってきた惣之助。「ただいま」

玄関で美智と鉢合わせ。

惣之助「あんた…」

美智「美智でございます」

無視して靴を脱ぎだす惣之助。

 

満江「おかえんなさい」

井波「しばらくでした。妻の美智です」

惣之助「2人とも帰れ」

井波「お父さん…」

満江「待って。私から話すから、ここで待っとって。お願いだから。ねっ?」

惣之助と部屋に入り、木戸を閉じた満江。

 

両親がなまってないのも違和感。あ、お母さんは時々方言っぽくしゃべるけど、東北っぽくない。”~じゃけど”とか”待っとって”とか言わない。って、調べたら父役の外野村(とのむら)晋さんは山形出身なのか。「おしん」にも出演してたそうで、山形パートかと思ったら、伊勢の有力者…スーパーにするとき反対してた人たちの一人か? もうちょっとなまってくれても、なんて。

 

部屋

満江「お父さん、せっかく来たんですから上がってもらうだけは…」

惣之助「いかんよ。帰しなさい」

満江「あなた…」

惣之助「寺下さんの手前もあるし…電報、打たなかったのか?」

満江「行き違いだったらしいんです。とにかく来てしまったんですから」

 

惣之助「やっとのことで知子の縁談がまとまったんだぞ。国賊の妹なんか嫁にもらえるかというのが向こう様の親戚中の考えだったんだ。それを社長がとりなしてくれて、謙吾とは縁を切ってある。関わりは持たない。そういう約束でまとまった縁談なんだからな」

満江「私だって泊めてやるつもりはありませんよ。万一、知子の縁談にひびが入ったら大変ですから。でも、例のイヤな手紙のこともあるし、縁を切ったといっても息子は息子なんですから」

惣之助「勘当してるからには親も子もないよ。わしの息子だったら、あんな女を嫁にするはずはないだろ? 追い返せ」

 

玄関の土間で待たされる井波と美智。家の中ももうちょっと「岸壁の母」の小宮家くらい立派であってほしかったよ。雑然としてんだもん。

 

美智「やっぱり私、帰ったほうが…」

井波「いや、待てよ。何かあったらしいな。行ってみるよ」

 

井波が木戸を開けようとしたと同時に満江が戸を開けた。

井波「一体何があったんです?」

満江「あなたも上がってください」

頭を下げる美智。

 

満江「こちらへ」

 

客間へ通された井波と美智。出された座布団の上に座る井波と座らない美智。

満江「悪いことが2つ重なってね」

井波「悪いことって?」

満江「今まで、お父さん、あんたのためにどんなつらい思いをしてきたか。何度も警察に調べられて…知子の縁談が壊れたことも一度や二度じゃなかった。その知子の縁談がやっとまとまってね。絶対にあんたのことで迷惑はかけないという約束でね」

井波「分かりました。迷惑なら、すぐ帰ります。でも、ひと言ぐらい美智に優しい言葉をかけてくれたっていいじゃありませんか」

満江「それがね…」

 

井波「親父はどうしても会いたくないっていうんですか? 母さん、母さんだけは喜んでくれるよね? ねっ? 母さん」

下を向くばかりの満江。

井波「僕が甘すぎたようだ。こんな遠い所まで連れてきたっていうのに」

後ろで首を横に振る美智。

井波「(美智のほうを向いて)帰ろう」

 

満江「待って。私たちを恨むのは筋違いじゃないの?」懐から封筒を出す。「これ、昨日届いたの」

井波「小野木から」

満江「これを読むと、あなたは小野木さんという人の奥さんだったというじゃありませんか。それをあんたが横から…」

井波「母さん。それは違う、違いますよ」

 

満江「美智さんでしたね。どうなの? 小野木さんの奥さんではなかったんですか?」

井波「妻なんかじゃない。籍なんか入ってなかったんだから」

満江「この人に聞いたんです」

美智「一緒に暮らしたことがあります」

満江「期間はどのくらい?」

美智「半年近くです」

満江「そう」

 

井波「でもね、母さん…」

満江「お父さんはね、この手紙を読んで、どんなにショックを受けられたか、私だって目の前が真っ暗になりましたよ。人様の奥さんを横取りするなんて」

井波「母さん…」

満江「謙吾。この小野木っていう人はね、親の力で手を切らせて、この人を返してほしい、でないとただでは済まさぬ、ここへ乗り込んできて近所中、触れ回って歩いてやる、そう言ってきてるの」

 

井波「そんな…この手紙はデタラメもいいとこですよ。母さん、僕なんかよか、こんな卑劣な男の言うことを信じるんですか? そりゃ、かって美智がこの男と関わり合ったことは認めますよ。しかし、はっきりと別れて、一人、京都から東京へ出てきたんです。そして、僕と知り合って結婚したんですよ」

満江「じゃあ、この人の父親という人に前科があるということはどうなの? 7年も刑務所にいたそうね」

井波「ああ、事実だよ。しかし、そんなことは美智の人格とは全然関係ないことでしょ? 確かに美智は小野木のような悪いヤツにだまされて、ひどい目にも遭った。しかし、そんなひどい目に遭っても、いつも一生懸命生きてきたんだ。だから僕は好きになったんですよ。母さん、美智はね、母さんの息子が選んだ嫁ですよ。母さんだけは分かってくれる。いつもそう信じてたんですよ。ねえ、分かってくれるね? 母さん」

 

戸が開き、惣之助が入ってきた。「もういい、帰れ」

 

美智「ご心配かけて申し訳ありませんでした。どうかお元気で」手をついて頭を下げる。

涙をこらえる満江。

 

井波「妹には黙っててください。余計な心配をするといけないから」立ち上がり、美智も後に続く。

 

井波「じゃあ」

美智「失礼いたしました」

惣之助「(美智に)こんなヤツとは不幸にならないうちに別れたほうがいいよ」

 

そもそも”井波”という苗字も東北では、なじみがない。そりゃ、小野木にすぐ実家をつきとめられるよ。小野寺とか佐藤だったら…ねえ。

 

家を出た二人は橋まで来て、井波は低い欄干に腰掛け、美智は隣にひざまずき、井波の手に自分の手を添える。「来てよかったわ。お義父さんもお義母さんも陰でどんなに謙吾さんを愛してらっしゃるか、よく分かったんですもの。お二人ともいい方」

井波「僕には君がいる。それだけで十分だよ」

美智「私だってよ」

井波「さて、奥さん、これからどうしましょう?」

美智「帰りましょう、我が家へ」

井波「ああ、ハハッ」立ち上がって、美智の手をつないで歩きだす。

 

橋の欄干に”熊野橋”って書いてあるのかな。

 

<井波と美智が東京に戻ってから、およそ半月後、松本がやっとのことで小野木のアパートを突き止めた>

 

松本がアパートに入ると共同の流しを掃除している管理人の男性に声をかけられた。「なんですか? 私、管理人ですけど」

松本「こちらに小野木っていう人がいるって聞いてきたんですが…」

管理人「あっ、小野木さんならこちらの3番目の部屋ですよ」

松本「今、いますか?」

管理人「さあ、どうでしょうか」

松本「お勤めですか?」

管理人「あなた、お知り合いなんでしょ? こっちが聞きたいくらいなんですよ。どこに勤めてんですか?」

松本「いや…」

管理人「知らないんですか?」

松本「ええ」

管理人「でも、知り合いなんでしょ?」

松本「ええ、ちょっと、人の用でね」

管理人「変な人ですよ。どこに勤めているのか、いつ出かけて、いつ帰ってくるのかさっぱり分からんのだから。不愛想で気味が悪くて…」

松本「ちょっと行ってみます」

管理人「どうぞ」

 

管理人役の近松敏夫さんは「ほんとうに」にも出演してた。

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もう一人名前のあった永井正さんは謎。2人を写真撮影してたカメラマン?

 

廊下を歩き、ドアをノックした松本。(つづく)

 

なんて気になる終わり方。オープニング見てたら、今回、小野木が出てこないことは知ってたけど、この前みたいに不意打ちに声の出演もあるからね。

 

週が変わったから、時間も経過してると思ったらそうでもなかったし、割と井波さんってポジティブで楽観的な人だと分かった。そういう意味でも美智と合うかも。

 

それにしても、時間経過は謎。小野木と美智の同居生活は半年近く。家を飛び出して旅館にいたのが10日余り。東亞印刷の前で倒れたのが、上京して1か月くらい。今は昭和15年の年末くらいってことでいいのかな。

 

来週金曜日から朝は「太陽の涙」と「スクール☆ウォーズ」が始まる! なんでこう重なるかなあ。「スクール☆ウォーズ」はリアルタイム以来、再放送も見たかもしれないけど、それでも数十年ぶりに見ます。楽しみ。