TBS 1973年4月24日
あらすじ
北(藤岡弘)は、桂(松坂慶子)と東京で会う約束をして「二上」を去った。桂は、多美(上村香子)のことを聞かれると思っていた。しかし北から旅館の経営について問われ、近代的に合理化すべきだと言われる。
2024.2.14 BS松竹東急録画。
ナレーション「織物の町、秩父の鉱泉旅館・二上は男勝りの女主人が義理の仲とはいえ2人の娘と明るく切り盛りしていた。女将の温かい気持ちで二上に引き取られることになった幸子は日増しに元気を取り戻し、迎えにどなり込んできた父は二上の一同に追い返された。一方、北晴彦と姉の多美と…と思いついた桂はグッドアイデアと心の中で手を打ったのだが…」
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中西良男:仲雅美…鶴吉の息子。
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二上多美:上村香子…彩子の長女。字幕黄色。
大須賀伸(しん):荒谷公之…織庄の一人息子。
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山下幸子:望月真理子…自殺未遂後、「二上」で働きだす。
静子:相生千恵子…「二上」の仲居。
田代:島津元…多美の見合い相手。
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淡々とした男性ナレーションのグッドアイデアの発音が妙によくて笑った。ちょっと遊び始めてないか!?
初回からずっとメンバー固定でゲストが少ないのも結構珍しい。
庭でキャッチボールをする北と良男。「今度はノックといくか」とバットを持った北は良男の球に空振りしてしりもちをつく。良男は桂→幸子ねらいになったせいか北と友好的になったのかな?
床の拭き掃除をしている幸子。ここの旅館は和服じゃなくて洋服に前掛けスタイルだから、幸子のスカートが短すぎて、ちょっと心配。様子を見に来た彩子は次は窓ガラス拭きをするように言う。
丁寧に床掃除をする幸子を心配して声をかける鶴吉。
帳場にいた彩子と多美。北が不在のうちに部屋の掃除をしてしまおうと幸子を呼ぶ彩子。鶴吉が帳場に来て「そんなにこき使っていいもんかね」と言うが、彩子は早く仕事の手順を覚えてもらわなくちゃねと返す。
鶴吉「こんな鬼ばばあだとは知らなかったい」
彩子「かわいい子だと鶴さん、すぐ甘くなるんだから」
鶴吉「ああ、そうだとも。俺はあの子の親父の前で、この鶴吉がついてて皿洗い一つさせるんじゃないって、たんか切ったんだい」
彩子「そう。大層なこと言ってたわね」
鶴吉「彩(さい)さんがこんな人非人とは知らなかったからな。見損なったよ」
多美がせせらぎの間を掃除すると言うが、あんたが帳場を離れてどうすんのと彩子が止めた。幸子を呼んだ彩子はガラス掃除よりせせらぎの間を掃除するように言う。鶴吉は「掃除ったって適当でいいんだよ」と幸子に言った。
彩子「鶴さん、余計なこと言わないでちょうだい」
北がボールを飛ばしてガラスを割ってしまった。「今のは二塁打だな」
良男「いや、三塁打ですよ」
見に来た彩子に「強化ガラスじゃなかったんですか」と言う北。良男はすいませんって言ってるのに。
庭に下りてきた彩子に謝る北。彩子は良男に草むしりじゃなかったの?とチクリ。
せせらぎの間に掃除機を運んできた幸子は部屋から見える思い橋から目をそらす。
織庄事務室
田代「桂ちゃん、元気?」桂を覗き込むように明るく声をかけるが、そっぽを向く桂。
父親の使いで来たという田代に社長を呼びに行く伸。
田代「姉さん、どうしてる?」
桂「ええ、とっても元気ですよ」
田代「そう。一度話しに行かなきゃと思ってるんだけど」
桂「あら? またお話変わったんですか?」
田代「つまり、おわびにさ」
桂「お姉さん、かえって迷惑するんじゃないかしら。彼氏に悪いもの」
田代「彼氏?」
桂「ええ、お姉さんだって木石じゃないんですから」
伸が田代を呼びに来て、田代は奥へ。伸は桂が空手チョップを食らわせてるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。
桂「その手があったわね。いっちょやりゃよかった」
帳場
部屋の掃除を終えた幸子が戻ってきた。多美は休むように言い、幸子は学生なのになぜ秩父へ来たか聞いた。救ってくれるんじゃないかと思い、霊場回りをしに来たと言う幸子。相手は学生ではない。多美も最近失恋したと話し、「済んでしまったことをくよくよ考えてもしかたがないわ」と慰める。
多美「そんな人にはきっと天罰が当たるわよ。ねっ?」
織庄事務室
用事が済んだ田代は「たまには遊びに来いよ」と伸に声をかけ、「じゃ、姉さんによろしくね」と桂にも声をかけた。
桂「はい。どうも失礼いたしました」立ち上がり頭を下げた。
後ろ向いて出ていこうとする田代の背中に空手チョップ! 田代は叫び声をあげて倒れ、「どうなさいました?」と声をかける桂。田代は「この床滑るね」と出ていった。
島津元さんの出番はここまで。脚本家・畑嶺明として活動するのはこの2年後くらい。
CMは香山美子さんの薄焼いわし。こういうCMばっかりにしてよ~。すごい嫌いなCMがある。○カ! お前だよ!
北の見送りをする多美、彩子、幸子、良男。出ていこうとした北だったが、さっき割ったガラス代を取ったか聞く。「そんなもん頂戴したらバチが当たります」と彩子。
北「じゃ、あの…桂さんや鶴おじさんによろしく」
彩子「はい、鶴さん、今日はちょっと低気圧なもんでお見送りにも出なくて…桂ちゃん、帰ってきたらきっとがっかりするわね」
多美「ホント」
外まで見送りに出た彩子と多美。良男の運転するバスが出発する。
彩子「ホントに何しに泊まったんだろうねえ。さっぱり分からない」
思い橋を走っていくバスを見つめる多美。
帳場
ガラス修理代というメモと伝票、伊藤博文の千円札と聖徳太子の五千円札が置かれていた。もう1枚、お札がある?
彩子「伝票にお金まで添えてバカバカしい。一つお金が一つうちん中で回ってるだけじゃない」
北が置いてったってことだよね?
厨房
腹の虫がおさまらないと作業にかからない鶴吉。怒った彩子は私がやると幸子にも手伝わせる。
彩子「今日は板前さん、ストライキなんですって。私たちでやりましょう」
織庄事務室
桂が電話に出ると、北からだった。5時10分に駅前の喫茶店で待ち合わせ。
駅のホーム
北「そうなんだよ。旅館経営ってやつはもっと近代化させなきゃ。あれじゃコストが高くついて今に手を上げてしまうなあ」
桂「それをいくら言っても誰も分かってくれないのよ。北さんからもっと吹き込んでくださればよかったのに」
北「他人のうちのことだから、そう簡単には口は突っ込めないよ。それよりどうだい? 僕の知り合いのホテルがあるから、一度東京に見に来ては? 案内するよ」
桂「そうね。ちゃんとデータをもって攻めなきゃね」
発車ベルが鳴り、レッドアローに乗り込む北。「今度の日曜はどう?」
桂「う~ん、大丈夫かな?」なぜ鼻をつまむ?
北「何が?」
桂「だって行く先はホテルでしょ?」
北「ハハハッ。ジャリを相手にする趣味はないよ」
桂「まあ、ひどい。じゃ、おごってくれる?」
北「子供はアイスクリームでいいんだろ?」
桂「フン」
ドアが閉まり、ガラスに鼻を押しつける北。
桂「アハッ、さよなら!」
北は28~9歳の設定で、桂は元短大生だと言ってたから、二十歳そこそこくらい?
身長フェチなのでどうも立って歩いてたり並んでるところを見てしまう。藤岡弘さんは180cm、松坂慶子さんは162cmというけど、割と男性は大きめに女性は小さめにプロフィールに書いてるんじゃないかと思うくらい、身長差がないように見える。仲雅美さんも小柄な人と思ってたけど、思ったほど藤岡弘さんと身長差ないなと思った。プロフィールは170というのと168というのは見た。そのぐらいはあるだろうと思います。
帰ってきた桂を出迎えた多美。今日の料理は褒めちゃダメよと忠告する。
桂「おじさん、またやってんの?」
多美「そう、スト中」
厨房
彩子、多美、鶴吉、良男、幸子で食事。そこへ桂が入ってきた。
桂「あら、お魚のフライ? おいしそうね」
駅前で待っていた良男にどこ寄ってたんだよ?と聞かれた桂だが、どこだっていいでしょと答えない。幸子のごはんを気遣う良男。「このうちで遠慮してたら食いっぱぐれちゃうよ」
桂「そう。私なんかどんどん食べちゃう」
桂は今日の味は全然精彩がないと言う。そうだろうなあとニヤニヤする鶴吉。おつゆもどうしたの?と聞くと、幸子が申し訳ありませんと謝り、気まずい。良男はおつゆのおかわりをし、彩子も褒める。鶴吉は悔しそう。
帳場
やりすぎだと多美に注意される桂。「だって、幸子さんが作ったとは知らなかったんだもん」
彩子「桂ちゃん、まずい割にはよく食べたわね」
桂「だっておじさんのスト解除にはあれが一番効くんだもん。幸子さんに謝っとかなきゃ」
彩子「大丈夫。今、言っといた。本気にとったらかわいそうだもの」
多美「おいしかったわ。とっても」
ストの原因を聞いた桂だったが、彩子はもうやる気になってるから心配しなくていいという。北が帰ったことを桂に伝え、何しに1週間もいたのか疑問に思う多美に桂は姉ちゃんの縁談調べではないかと言う。興信所が100万円も持って歩く?と言う多美に100万円のことを知らない桂。彩子はせきばらいでごまかす。
レッドアロー号に乗っている北は何か考えてこむような表情。
厨房
野菜を切っている鶴吉。桂ちゃんにああまで言われちゃしょうがないと言う。一升瓶からコップにお酒を注いで飲み始めた彩子は鶴吉にもお酒を勧める。
彩子は幸子のことをひと事と思えず、今は何もかも忘れたい、考えないでいたい。無我夢中で働いている間に時間がたってくれるのが一番ありがたい。疲れ果ててぐっすり眠るのが何よりの薬だから、と心を鬼にしていたのに、鶴吉に分かってもらえなかった。彩子がここに来たときも、お父ちゃんは甘やかしてくれなかった。お尻に火が付いたように働かされたと話す。
幸子は慣れない仕事でつらいと思うが、つらい思いを乗り越えなきゃと涙ながらに語る彩子に鶴吉もつられて鼻をすする。陰で聞いていた幸子も涙を流すが、彩子はお風呂見てきてちょうだいと仕事を命じる。
帳場のこたつで聞いていた桂も涙が浮かび、新聞紙で顔を隠した。
レッドアロー号
伸と桂は東京へ向かう。1973年の西武池袋駅ってこんな感じなんだな~。「じゃあ4時半にまた」と別れる桂。なんで伸を連れてきた?
北と待ち合わせた東京プリンスホテルへ。
桂「お待ちどおさま」
北「来たな。カモがネギしょって」
桂「どっちがカモか、なんて言っちゃって」
北「ハハッ。おいおい、空手チョップはごめんだぜ」
桂「やあね。そんなに乱用はしませんってば」
北「ハハッ。それじゃ行こうか。ここのマネージャーが会ってくれることになってんだ」
桂「あら? アイスクリームは?」
北「ハハッ。子供は始末悪いな」
桂「フン」
松坂慶子さんは子役出身だからか?時々マンガっぽいリアクションをする。
レストラン
北「どうだい? 少人数でいかに合理的に大勢の客をさばいてるかこれで分かったろ?」
桂「うん」
北「これからのホテルはこれでいくしかないんだよ。君んとこだってね、土地は十分あるんだし、絶対近代方式に切り替えるべきなんだよ。経営の合理化、それで浮いた労働力をサービスに回すんだ。人件費の削減はそのまんまさっき言った方程式に従って収益につながる。どうしたんだ? 聞いてんのか?」
桂「北さん、どうして私たちのことにそんなに熱心になれるの?」
言い淀む北に、お目当ては姉ちゃんでしょ?と聞く桂。姉ちゃんのことをゆっくり話し合いたかったという桂は、北が帰ってから多美がぼんやりしちゃって変だと言う。「いつも正丸峠のほう眺めちゃってさ」
正丸峠のほうは東京のほう。妹として見ていられない桂は多美のことをどう思うか聞く。「ホントに好き? 結婚する気ある? ねえ、どうなの?」
北「ちょ…ちょっと待ってくれよ。そう、ポンポンポンポンと次から次へと言われたってね」
北の本心が聞きたいと言う桂に多美のことは嫌いじゃないが、まだ会って何日も経ってないと慌てる北。グイグイ多美を推す桂。「姉ちゃんって私と違っておとなしいし、内気だから外には出さないけど、内側にはすごい情熱をたたえてる人だと思うの。ねえ、そう思わない?」
帰りのレッドアロー号
今日は実に爽快だったとすっきりした表情の桂。東京プリンスホテルのスカイラウンジに行っていたと伸に話す。
一人だった伸はポルノ映画を観に行っていた。「まあ、俺は紳士だからね。お前さんが誰とスカイラウンジへ行ったかなんてのは聞かないよ」
帳場
彩子には学校のお友達に会うと言って東京に行っていた桂。北の話題になり、これまでの北を思い出しほほ笑む多美だった。(つづく)
ん? キャストクレジットに名前は出てたけど、静子休みじゃなかった? 最初のナレーションの所にはいたけど、それなら幸子の父だって出てたし。
天真爛漫な桂には北がお似合いな気がする。