TBS 1973年4月17日
あらすじ
北(藤岡弘)と意気投合した桂(松坂慶子)は、秩父山巡りに出かける。一方、思い橋から身を投げ、彩子(淡島千景)に助けられた幸子(望月真理子)。生きることに絶望している幸子に、彩子は自分の過去の話を聞かせる。
2024.2.13 BS松竹東急録画。
ナレーション「織物の町、秩父の鉱泉旅館・二上は2人の娘を抱えた男勝りの女主人が立派に切り盛りしていた。たまたま思い橋から身投げを図った女性を助けた彩子(さいこ)は自分の過去と同じ身の上であることを知り、親身になって介抱した。一方、えたいの知れぬ謎の男も100万円という大金を持っていたことを知った二上の一同も少しは安心して、それぞれの心を開くのだったが…」
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中西良男:仲雅美…鶴吉の息子。
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二上多美:上村香子…彩子の長女。字幕黄色。
大須賀伸(しん):荒谷公之…織庄の一人息子。
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山下幸子:望月真理子…思い橋で身投げした女子学生。
静子:相生千恵子…「二上」の仲居。
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山下:浅野進治郎…幸子の父。
竹ちゃん:大橋澄子…「二上」の仲居。
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流由果
高橋三津子
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やっぱり彩子の読みは”さいこ”なんだ。
朝もやのかかる思い橋
どこからか鶏の鳴き声が聞こえる。
厨房では鶴吉、彩子、多美が朝食の準備をしていた。鶴吉は多美に良男を起こすように頼む。桂は多美の部屋で寝たが、ソファから二度も落っこちた。
多美「桂、いびきかくのよ」
彩子「あら、鼻が悪いのかしら」
眠い目をこすりながら厨房に来た良男。奥には鶴吉の他にも料理人がいるんだね。ノンクレジット。桂もパジャマ姿で起きてきたが、北に貸した桂の部屋にジーパンを置いてきて焦っていた。「起きるなよ」とつぶやきながら、そっと部屋に入る桂。
良男が今日は日曜日で市場が休みだと言うと、良男以外は全員日曜日と思っていなかったので、みんなで大笑い。桂も会社に出勤するつもりで起きてきて、二上を手伝うように彩子に言われた。
桂「は~あ、最低の日」
若い女性たちの集団が帰っていき、彩子や静子が見送る。今回のキャストの女性2人はこの人たちかな~? それ以外当てはまりそうな人がいない。
ここの旅館の仲居の静子たちは和服を着てることもあるけど、大体が洋服に前掛けをあてただけのスタイル。wikiには仲居じゃなく女中とある。
あ、今見たら初回を見たとき”義夫”だったのに”良男”に直してある。
北が元のせせらぎの間に戻った。「(部屋のにおいを嗅ぎ)うん? いいぞ、いいぞ」
桂「何が?」
北「まだ女子大生のにおいが残ってる」
桂「不潔ね。北さんって案外不良なのね」
北「鼻が利くんだからしょうがないじゃないか」
桂「女子学生ってどんなにおい? 私も元短大生だけど、どう? におう?」
北「OBはダメさ。もうにおわないよ」
桂「失礼しちゃう」
キモイ会話だな~。
彩子は多美に北へ皮をむいたりんご?を持っていくように言う。多美は桂が北と親しそうにしていることを気にするが、彩子は桂ちゃん案外しっかりしてるからと気にしていない。彩子は多美に北をどう思うか聞く。
多美「私は嫌い。厚かましい人」
こたつの上に並べられたマッチの山? ナニコレ。
せせらぎの間
桂は北に秩父案内を買って出る。そこへ多美が入ってきた。桂は多美に一緒に秩父案内へ行こうと誘うが、彩子が病院へ行くので断る。北は彩子がどこか悪いのか聞くが、桂は思い橋から飛び込んだ人を見舞いに行くのだと言う。ペラペラと幸子の事情を話そうとした桂を止める多美。
すぐに出かけようと玄関へ出た桂は良男に運転を頼むが、北と一緒と知ると、女将さんに用事を頼まれてるからと断ると、桂はすぐ伸ちゃんに頼むと行ってしまった。
彩子がお土産売り場にいた北に出かけるのか聞く。桂が伸に運転を頼むと知り、一緒に病院まで乗せてもらうと言う。桂は北に札所巡りをしようと提案する。
彩子は厨房にいた鶴吉に病院へ行ってくると報告。鶴吉は今の二上には一人でも余計者を抱え込むような余裕はないことを忘れないようにとくぎを刺す。
伸が車で待っていた。これも日産車だろうなあ。多分、日産スカイラインバンかな。
彩子、桂が乗り込み、北まで乗り込むので伸は困惑。二上の入り口では良男が笑顔で手を振っているので、伸は「何やってんだ、バカ野郎」とムッとする。
良男も伸もかっこいいんだけど分類すると同じタイプのイケメンなんだよな。「たんとんとん」の健一と竜作くらいタイプが違うイケメンがいいのにな~。北がいるけどさ。
後部座席の乗った彩子は隣に座る北にこたつの上のマッチ棒の山について聞く。北は退屈まぎれに女中さんたちの客室との往復を数えてみた。朝だけで1人平均21回で相当な重労働で、人手不足の折から合理化の手を考えないことには女中さんたちは長続きしないのではないかと言った。
彩子が人手に一番苦労していると話すと、せめて朝だけでも食堂に来てもらうとか搬送機を付けるとかそのぐらいの手を打たないことには…とさりげなく提案。桂も北の提案に同意。伸は機嫌が悪い。あ、運転のときは眼鏡かける派なのね。
病室に発破音が響く。幸子は音のするほうをじっと見つめる。彩子は「おばさんと歩いてみない?」と提案。幸子のために洋服も用意してきた。
彩子「幸子さんはあの思い橋の上で生まれ変わったのよ。だから、何もかも新しくしなければね」
幸子「私、救急車で運ばれてきたから…」
彩子「靴でしょ? 河原に落ちてたわ。同じ文数(もんすう)だから合うはずよ。みんな安物(やすもん)だけど我慢してね」
靴をじっと見つめる幸子。
彩子「本当に生きていく勇気が出てきたら、もう一度思い切って、あの思い橋の上に立ってみるのよ。今までの自分がきっと小さく見えるわ」
竹林を歩く北と桂。「お母さんは私が3つのときにあの思い橋で身投げしようとしたの。深い事情は知らないけど、そのとき、父に助けられてうちの女中さんになったのね。私のお母さんになったのは私が幼稚園に入る年だったわ。そのときで24ぐらいだったんじゃないかしら」
北「ふ~ん、どうりできょうだいみたいに若いと思った」
桂「でしょ? そのお父さんにも早死にされるし気の毒な人よね」
多美と桂はどっちも彩子の娘じゃないのね。多美さん、桂ちゃん呼びだもんね。
北「お姉さんもどっか憂いの漂った人だね」
桂「ふ~ん。北さんって千里眼ね。でも、今のうちだけよ。あの憂いは」
北「失恋?」
桂「さあ、どうでしょう。姉ちゃんは私と違っておとなしいから」
北「ほら、あそこにも気の毒な人が1人いるよ」
笑い合う2人。
伸は車の運転席で大あくび。
二上のロビー
テレビを見ている静子。かぎ編みしている多美。漫画雑誌を読んでいるもう一人の仲居。静子はタバコを吸いながら「お嬢さんもご一緒にいらっしゃればよかったのに」。多美は今更、秩父の中で見る所なんてないと言うが、田代さんとこの前へ行って唾でも引っ掛けてきてやればいいんですよって、静子! 多美がノーリアクションなのを見て、もうひとりの仲居を竹ちゃんと呼び、掃除に行った。
一人ロビーに残った多美は機織り機の向こうにいる青年を思い出していた。おお! 「兄弟」の信吾だよ~。島津元さん。セリフがなかったせいかキャストクレジットに名前もなかったけど。
静子が掃除機を持って廊下を歩いていると、良男が中庭で本を見ながら空手の稽古をしていたが、静子に見られてやめてしまう。鶴吉は水撒きをしながら、思い橋の上で止まったタクシーを見ていた。タクシーから降りて来たのは彩子と幸子。
鶴吉「あ~あ、やっぱり拾ってきちまった。しょうがねえなあ、まったくなあ」
思い橋
彩子は思い切って橋の上からのぞいてみるよう幸子に言う。「分かったでしょ? 幸子さん。生きてるってことが。生きてるのよ、このとおり。生きるのよ、幸子さん。きっといいことがあるわ。ねっ?」
うなずく幸子。
二上に戻ってきた彩子。幸子を連れてきた彩子に鶴吉はムッ。多美が幸子を出迎えた。彩子は鶴吉に事情を話す。れっきとした女子学生でしっかりしたうちの子だと言うが、鶴吉が今、これ以上の苦労の種をしょい込んで一番苦しむのは彩子だと指摘する。「何度だまされたら目が覚めるんだい」
彩子「今までの子とは違うわよ。あの目を見れば分かるじゃないの」
鶴吉「あいにくあっしは板前でね、魚の目の色が分かっても人間の目の色は分からねえんでね」
彩子「意地悪」
ロビーにいた多美は幸子を何も心配いらないと励まし、通りかかった良男に幸子の相手をするように言う。
多美「今日から手伝っていただくことになりそうよ」
幸子「山下幸子と申します」立ち上がって頭を下げた。
良男「山下…あっ、いや、中西良男です」
お茶を入れに行った多美。幸子の隣に座った良男は幸子を見て「モナ・リザ。日本のモナ・リザ」とポーっとなる。普段から彩子や多美、桂という美人に囲まれてるのに、幸子の美貌に参るとは。
北が見ているのは札所4番・高谷山 金昌寺の子育て観音。
石に寄りかかってふてくされている伸の背中を桂がたたく。「ねえ、どう思う?」
伸「何が?」
桂「姉さんによ。姉さんと北さん」
伸「えっ? どうしてそれを先に言わないんだよ」
桂「ねえ、似合いだと思わない?」
伸「おお似合いだよ。絶対だよ」ニコニコ
桂「伸ちゃんもそう思う?」
伸「思うとも」
桂「私も」
戻って北にあからさまに愛想のよくなる伸。さっきまでは腹が痛かったと言い訳する。
二上に帰ってきた桂。脚が長くてジーパンが似合うね。多美が北や伸をねぎらい、伸にお風呂に入って行くように言う。
帳場
そっぽを向いてる鶴吉と彩子の様子に桂は「変な人たち」。
厨房
良男が歌う。
♪少しは私に愛を下さい
小椋佳「少しは私に愛を下さい」1971年10月1日発売のシングル「春の雨はやさしいはずなのに」のカップリング曲。wikiには1974年9月21日発売のシングルとあったけど、ドラマは1973年だしと思って調べ直した。カップリング曲だったのをA面にしたってことかな?
「あしたからの恋」並に毎回誰か歌うドラマなのかもね。
厨房に来た桂に「何張り切ってんの?」と言われた良男は「モナ・リザ。モナ・リザだよ」と言い、桂はわけが分からない。
良男「日本のモナ・リザ。子育て観音」
レコードの「G線上のアリア」を聴いている幸子。多美の部屋? 多美も一緒になって聴きながら紅茶を飲んでいる。
せせらぎの間
浴衣で寝転んでいた北は起き上がり「あした帰るか」。
帳場
こたつにあたってテレビを見ている彩子、多美、幸子。
夜、幸子の父が訪ねてきた。
彩子「お父さん?」
幸子「会いたくないんです」
彩子「あなた方の結婚を許してくれなかったお父さんね?」
幸子「母を私から奪った人です」
応対した静子が幸子を呼びに来たが、彩子が会い、あした警察立ち合いでお話し合いいたしましょうと提案した。
山下「あんた方の魂胆は分かっている。親切ごかしに幸子を引き取って女中代わりに使おうっていうんでしょう」
彩子「なんですって? もう一度おっしゃってください」
山下「ああ。言えっていうなら何度でも言いますよ」
彩子「よくもそんな…」
鶴吉と良男がムカムカしながら見守っていた。彩子は幸子の引き渡しを拒否し、鶴吉も参戦。顔貸してもらおうかと連れ出そうとする。「親切ごかしに引き取って女中代わりにこき使うだと? よくもそんなことが言えたもんだな。この鶴吉がついてて、皿洗い一つさせるもんじゃねえやい。人情ってものはそういうもんだ」
山下の胸ぐらをつかんだ鶴吉を少し前から話を聞いていた北が止める。「暴力を振るったら振るったほうの負けだよ」
北は山下に出ていくように言うが、家探ししてでも連れて帰ると大声で幸子の名前を呼び始めたので、北が力づくで追い出した。山下が出ていった後、申し訳ありませんと泣き出す幸子。
風呂に入っていた北。誰かが風呂に入る音がする。「多美さん? それとも桂ちゃん? フフッ。多美さんですね」
良男「すいません、僕です」の声に湯船で盛大にずっこける北。(つづく)
美男美女で笑いどころも少ないと思っていたら、ちょっとずつ笑いのシーンも入れるようになった。彩子は自分みたいな自殺未遂者を旅館に連れて来ては逃げられてを繰り返していたのかな?
初回に鶴吉が彩子に「まだ話していないのか?」みたいに言っていたのは彩子が自殺未遂をしたことだと思ってたけど、桂は身投げのことも実母じゃないことも知っていたし、まだ何か秘密があるのかな?