徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】 あしたからの恋 #14

TBS 1970年7月21日

 

あらすじ

直也(大出俊)から罵声を浴び頭にきた和枝(尾崎奈々)は北海道に行ってしまう。福松(進藤英太郎)の心配をよそに、常子(山岡久乃)は「気が強いのもいいけれど、娘はやっぱり情に流されるところもなければ」と涼しい顔。

2023.12.5 BS松竹東急録画。

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谷口福松:進藤英太郎…和菓子屋「菊久月(きくづき)」主人。

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野口勉:あおい輝彦…直也の弟。20歳。

野口直也:大出俊…内科医。28歳。(字幕緑)

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谷口桃子岡崎友紀…福松の次女。高校を卒業し浪人。

井沢正三:小坂一也…「菊久月」の職人。30歳。

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谷口修一:林隆三…福松の長男。25歳。(字幕水色)

中川トシ子:磯村みどり…修一の幼なじみ。26歳。

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石井キク:市川寿美礼…野口家に25年、住み込みの家政婦。

中川ます:山田桂子…トシ子の母。

山本:青野平義…世話好きのご隠居さん。

*

谷口常子:山岡久乃…福松の妻。

 

汗だくで作業台を拭いている福松。その手拭いで顔を拭いた!? その手拭いは腰にぶら下げて、また作業再開したから別の布だと思いたい。

 

常子と桃子が作業場に来た。「ちょっと外へ出ると軽く1000円なくなっちゃうものね」と桃子にお小遣いを渡す常子。

桃子「そうなのよ。おちおち泳いでもいられやしない」

福松「握り飯を持ったのか?」

桃子「やあよ。握り飯なんて」

常子「あら。海で食べたらおいしいのよ。はい、2000円」

桃子「サンキュー。いってきます」

常子「勉さんによろしく。いってらっしゃい」

 

福松「勉さんと行くのか?」

常子「安心ですよ。あの子なら」

福松「勉さんに休まれたら修一の店、困るだろ」

常子「夏は暇なのよ。クーラー入れててもやっぱりね」

 

何となく今の感覚だと夏でもラーメン屋は盛況なイメージがある。普通に夏でもラーメンは食べる気がする。それにしてもこのドラマ上、まだ福松と勉は顔を合わせてないんだな。亀次郎と敬四郎の再会はいつになるか!?

 

遊んでばかりの桃子を心配する福松。予備校には通っているが、桃子は並才コース。秀才コースと並才コースがあるらしい。

常子「秀才コースに入るわけにもいかないだろうけど自分で並才だって見極めんのもかわいそう」

福松「やめちまえ、そんな学校」

常子「桃子だって考えてるでしょ」

 

常子は福松に修一の店まで行ってきていいか聞く。

福松「ラーメン屋は暇なんだろ? 手伝うならこっちをやんなさい」

常子「イヤ、お休みなんだもん」

 

久月が休みということは月曜日。

 

福松「もう休んでるから暑くってしょうがないんだ、もう」

常子「店を閉めてると風が通らないわね」

福松「だからまず仕事場を清潔にしとかなきゃ」

常子「そうよ、そうよ。清潔第一よ」

福松「お前さんは口で言うばっかりでちっとも手伝ってくれないくせに」

常子「だってお休みの日はぼんやりしてたいんだもん。ああ、なんかいいことないかな」

福松「そうそういいことありませんよ」

 

常子「和枝、今頃どこ歩いてるかしらね」

福松「お前さんに似て放浪性があるんだろ。北海道まで行っちまって」

常子「パーッと飛び出すとこなんか似てませんよ。私なんか出るまで大変なんだもん」

福松「奥さんにパッパ出られちゃたまらんよ」

常子「せめて息子の店ぐらいいいわよね。ねっ? いってまいりま~す」

 

福松「おい、お昼だよ。2人で茶漬けでも食おうよ」

常子「塩鮭かなんか買ってきますよ」

福松「フン、塩鮭なんか食いたくありませんよ」

 

どさん子

引き菓子のアップ。ピンクの下地に赤い文字で寿と書かれた羊羹と白い練り切りと黄緑の練り切り。

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↑色合い的に近いのはこれ。下の二つが配置が逆。福松が作ったのはこういうふうに全部ピンクじゃなくて黒い羊羹の上に薄いピンクのプレートが乗った感じ(語彙力(;^_^A)。ピンクが松、黄緑が竹、白が梅のイメージか。

 

修一「寿の夏か。向付(むこうづけ)と右前盛(みぎまえもり)は出来がいいな。」

正三「立派ですよ。品があるよ」

修一「うん。欲を言えば左前盛が平凡だな」

正三「旦那が言うにはね、引き菓子は相撲で言えば横綱の格なんだから、あくまでも伝統を守って品格を第一にすべきだってね」

修一「うん。そうだと思うよ、だけどさ。そん中に時代の色彩と味を加えなきゃダメだな」

正三「旦那、腕はいいけど時代のほうはどうかな」

 

常子「あっついこと」と店に入ってきた。「あら、正三さん、持ってきてくれたの?」

正三「ええ。一折りごまかすのに奥さん、苦労しましたよね」

常子「ねえ? 箱におさめる前に修一が顔見せないんだもん」

修一「こっちだって店開けてんだから」

正三「旦那もあれで気にしてましたよ。どうだ、どうだって」

常子「疲れちゃって、あれからなんにもする気がしやしない」

正三「旦那、寝込んじゃったんですか?」

常子「とんでもない。仕事場を磨きに磨いちゃって」

正三「不死身だね、あの人は」

修一「フッ、心がけがいいんだよ」

 

常子「私は見てるだけ」

修一「母さんはそれでいいんだよ」

正三「得ですね、奥さんは」

常子「そうなの」

正三「旦那、今頃、ブツブツ言ってますよ。1人で働いてんのがイヤなんだ。奥さんが見てないとつまんないんだから」

修一「始末が悪いな」

 

福松は手伝ってほしいと言いつつ、そばにいてほしいって感じ。橋田ドラマの忙しすぎる嫁を見てきたせいか、常子さんの自由人ぶりがすごい。「ほんとうに」の大姑くらいの立ち位置に見える。

 

常子はこれから塩鮭を買って帰ってお茶漬けを食べる、ぬかみそのナスとキュウリがちょうど食べ頃なのと話すと、正三は腹が減ってきたと言う。朝はトーストと紅茶という結構おしゃれな独身貴族。

 

正三「だけど夏はお茶漬けがいいな。さっぱりと」

修一「ラーメン食いなよ。スタミナつくぞ」

常子「そうよ。バターと焼き豚たっぷり入れてもらって」

正三「暇だと思って商売っ気出しちゃって。ひどいよ、奥さんまで」

 

常子は正三をお茶漬けを食べようと誘い、正三も行くことにした。修一も行くと言うが、店が無人になるので正三と代わり合えばいいと常子が提案。正三に店番をしてもらい、客が来たら電話をする。正三が先に行くって言ったのに、修一が先なの!?

 

谷口家茶の間

塩鮭、ナスとキュウリの漬物が並ぶ食卓。塩、塩、塩だね~。福松がお茶漬けをかきこむ。汗をぬぐいながらお茶漬けを食べる修一。「あっついなあ。扇風機ぐらいじゃダメだ。店と茶の間だけでもクーラー入れたら?」

常子「そうよね」

福松「夏は暑いもんだ。汗を流すから体にいいんですよ」

修一「お客だって冷房の効いた店ならゆっくり買い物できんのに」

常子「ホッとするわよねえ」

福松「お客が店にいる時間は10分か15分だ。扇風機でたくさんです」

修一「着物で一日店番してるほうはたまんないや。母さん参っちゃうぞ」

常子「ええ、そのうちきっと参っちゃうわ」

福松「フン、すぐその気になって。お前さんはこらえ性がなさすぎますよ」

常子「だってほんとに暑いんだもん」と机に顔を乗せる。

 

「おやじ太鼓」でも基本的にいつも和服だった愛子さんも夏場だけはワンピースが多かった。着物って涼しげに見えるから、冬のほうがしんどそうに見えるけど、夏のほうがしんどいのね。

 

福松「よし、あおいでやる。早く食べちまいなさい」←ほんとにあおいでる。

修一「いくらあおいだってダメさ。空気そのものが暑いんだから」

常子「でも、気は心よ。ごちそうさま」

福松「ほんとに世話の焼ける人だ。おかげでこっちはおちおち飯も食っちゃいられない」

修一「だから冷房ぐらい入れりゃいいんだよ。ごちそうさま」勢いよく立ち上がる。

常子「正ちゃんに代わってやって」

修一「うん」

 

裏口から路地に出てタバコを吸う修一。マッチをポイ捨て。

 

どさん子

店のカウンターで新聞を読んでいる正三。店を訪れたのはトシ子だった。「あら…外、暑くて」と店に入ってきた。

正三「クーラー強くしようか」

トシ子「いいわ。このくらいで。正三さん、店番なの?」

正三「いや、修ちゃんね、菊久月へ昼飯食べに行ってるんだよ」

トシ子「お店、暇なのね」

 

ちょっと気まずい空気。

 

正三「夏は売り上げが半分だと言ってたから」

トシ子「うちもダメだわ」←文房具屋は夏休みだからかな?

正三「菓子のほうは日もちが悪くって」

 

気まずい…。

 

正三「呼びますか、修ちゃん」

トシ子「いいわ。正三さん」

正三「だって修ちゃんがいなくっちゃ…」

トシ子「あれから初めてね」

正三「うん」

トシ子「ご迷惑かけました」

 

正三「そんな…しかたないことぐらい分かってますよ。俺が勝手に好きになって、そりゃガックリはしてるけどトシちゃんのせいじゃないんだから」

トシ子「世間の人が聞いたら、いい気になってる女だって思うでしょうね。若くもないのに」

正三「世間が聞いたらこっちが笑われるよ。思い上がるな、身の程を知れって」

トシ子「自分でもどうにもならないのよ。正三さんのこと承知してるくせに」

正三「いや、いいですよ。これが当たり前だ」立ち上がってカウンターに入り、コップに水を注ぐ。

 

修一「なんだ、来てたのか」

正三「遅いから、今、電話しようと思ったんだ」

修一「そう。うちの横の路地ね、風が吹き抜けて涼しいよ。なんか用?」

トシ子「商売っ気がないのね」

修一「この暑いのにわざわざラーメン食いに来たのか。いつものやつ?」

トシ子「ええ」

「それじゃ、俺」と正三は店を出て行こうとした。

 

修一「一緒に作ろうか?」

正三「奥さんのお茶漬けのほうがいいよ」と出ていった。

 

トシ子「やっぱりこだわりは消えないわ」

修一「惚れて惚れ抜いてバッサリ斬られた。こだわるなと言っても無理だ」

トシ子「どこでもいいからお嫁に行っちゃおうかな」

修一「バカ。いいかげんなこと言うな」

 

トシ子「だって見合いするのよ。とにかく一度会ってみろって仲に立つ人がうるさいの」

修一「断んだろ?」

トシ子「多分ね」

修一「ふ~ん。いい男なら断る必要もないよな」

トシ子「そうね。そのうちなんとかなるでしょ」

修一「ああ」

 

谷口家茶の間

しかめっ面で茶漬けをかきこむ正三。

福松「せっかくトシちゃんと2人っきりになったんだ。そういうときにドーンとぶつかるんですよ」

常子「話はしたんでしょ?」

正三「しましたよ。暑いとか売れるとか売れないとか」

福松「なんだ。それが惚れた女に言うことか。ああ、じれったい」

常子「純情なのよ、ねえ?」

 

正三「30で純情なんて薄気味悪い。ああ、やだやだ。大体、旦那も奥さんもボンクラなんですよ。トシちゃんが惚れてんのは修ちゃんなんだから。そのぐらいのことは親なら分かりそうなもんでしょ。トメ子だってそう思ってんのに」

常子「でも修一はただのお友達だって言い張るんだもの。そう思うしかないでしょう?」

福松「そうだよ。そうでなかったらトシちゃんだって自分の妹に修一を薦めるはずがないだろう」

正三「人間じゃないね、あの2人は」

福松「バカなこと言うな!」

正三「こっちはもうイライラしちゃうよ」

 

常子「もう一度聞いてみようかしら」

正三「修ちゃんがトシちゃんと一緒になるんだったら、俺はこの店辞めさせてもらいますよ」

ハッと顔を見合わせる福松と常子。

正三「おめでとうございます、だなんてニコニコして働いちゃいられないからね」

福松「そりゃまあそうだろう」

 

正三「奥さん、お代わり」

常子「あっ、はいはい」

 

どさん子

修一が客にお冷やを出し、トシ子はカウンター内で花瓶に花を活けている。

修一「もったいないよ。うちに持って帰ればいいのに」

トシ子「たまにはサービスします」

 

電話が鳴り、修一が出ると、ますからだった。

トシ子「ここにいるのどうして分かったのかしら」電話機を持ってあげる修一、優しい。

 

ますは今から縁談のことでおキクさんのとこに行ってくるからとにかく早く帰ってきてちょうだいとトシ子に伝えて受話器を置いた。「修ちゃんとこでなんしとっとだろうね。まっすぐ帰ってくればいいとに」

 

中川家の裏口から常子が顔を出した。「お暑うございます」

ますが着物を取り出しているのを見て、出かけるのだと察する常子。トシ子に聞きたいことがあると訪ねて来たのだが、ますから修一の店にいたと聞き、トシ子の話をしようとするとトシ子が帰ってきた。「あら、おば様。どうぞお上がりください」

 

ますは常子に一緒に行かない?と誘う。常子も一度、野口さんにはご挨拶に伺いたいと思っていたと出かけることにした。常子も着替えると言ってたけど、普段着の着物とよそ行きの着物の違いが分からない。

 

常子「修一の店、暇で困ってたでしょ?」

トシ子「商店街がお休みだから余計いけないんですって。いっそお休みを一緒の日にしようかって言ってました」

常子「あら、そう。それもいいわね」

 

どうでもいいけど文房具屋さんこそ平日は開けといたほうがよくない?

 

和服の常子とますが連れ立って歩いている。

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会社帰りの正弘にキクが声をかけて歩いてた道と同じ。ロケ地はどこかな?

 

常子「主人と私のことをボンクラだって言うんですよ。お宅のトシちゃんが惚れてるのはうちの修一だって。親ならそのくらいのこと分かりそうなもんだって、もうプンプンしちゃって」

ます「正三さんがそんなことを?」

常子「どう思います? 奥さん」

ます「うん…トシ子と修ちゃんとは学校友達だっていつも言うし好きだとしても1つ年上だから弟の世話焼くみたいなもんだわ」←トシ子は修一が早生まれと言ってたから学年は一緒だよね?? それでも1つ年上っていうのかな。

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常子「そうでしょ? お互いにもうサバサバしちゃって、とても結婚だとかなんか考えられないって、フフフッ」

ます「トシ子、お見合いすることに決めたんですよ。近いうちに」

常子「あら、そうでしたか。それじゃやっぱり別にどうってことないんですね」

ます「でも、もしトシ子が修ちゃんを好きだとしたらアヤ子がねえ…」

常子「ああ…」

ます「きょうだいで同じ人を好きじゃ親の立つ瀬がありゃしない。困りますよ、こればっかりは」

常子「うちは正三さんが辞めるって言うんですよ。今、正三さんに辞められたら、それこそ商売のほうが…」

ます「お互いにやっかいなことになって独り者(もん)はこういう苦労を知らないからね」

常子「おキクさんが羨ましいくらいですよねえ」

 

⚟キク「おますさ~ん」と走って迎えに来た。

 

ます「気楽な顔しちゃって」

常子「なにも今更結婚しなくったって幸せそうじゃありませんか」

 

キク「私、じっとしてられないから迎えに来ちゃった」←かわいい!

 

常子「奥さんに誘っていただいたもんで、あの…お邪魔することになって」

キク「いいんですよ。昼間はどうせ1人でボサッとしてるんだから」

ます「目が光ってるわよ、あなた」

キク「あら、そう?」

ます「うん、ギラギラしちゃって」

キク「まあ、イヤだ。アハハッ、照れちゃうわ」

ちょっとあきれ顔な常子。

 

野口家

白黒の集合写真を見るキク。

常子「涼しくていいお部屋ですね」

キク「北向きでしょう。夏ぐらいしか取り柄がないんですよ」

 

ます「でもね、おキクさん、あなたここにいれば一生、静かに平和に暮らせるわよ」

常子「後妻さんは苦労が多いでしょうね」

ます「そりゃもう。先妻の子供は大きいし、お金にはうるさいしね」

キク「何言ってんのよ。電話でさんざんいい話だって言っといて」

ます「そりゃ、あんときはそんな気がしたっだもん」

常子「自分の子供でもなかなか思うようにいきませんからねえ」

ます「何を考えてんだかさっぱり分かりゃしない。親はまごまごするだけで頭痛いわ」

キク「そりゃ親がバカだからよ。しっかりしなさいよ、商売人のくせに」

 

商売をするようなわけにはいかない、うちとお宅が隣り合ってるのがいけないのかしら、子供たちが仲よく付き合いすぎた、年頃がちょうどいいなどとますと常子が話しているがキクには何の事か分からない。こっちの話はどうなったのかと語気を荒げる。

 

ますが紹介したいのは集合写真前列の一番端にいる左側のちょっと頭のハゲかかった小太りのやぼったい男性。農協の団体旅行に行ったときのもので眼鏡なしでは顔の判別がつかないくらい個々の姿が小さく映っている写真でキクは虫眼鏡を取り出して見る。ますは八百屋の旦那に写真を借りたので、話を進めるなら千葉だから別の写真を送ってもいいと言っていた。

 

おキクさんが虫眼鏡で見てるの右端の男性じゃない!? 楽隠居で茶飲み友達が欲しいと言うますの話にキクは反応する。「楽隠居?」

ます「どうする? 会ってみる?」

キク「楽隠居の茶飲み友達。ゾッとしたわ。こんなものしまってちょうだいよ。こうやって男がワーッと並んでるけど、ろくなもんいやしないわ」

 

常子「難しいもんですよね。中年になってからの結婚は」

ます「結婚は若いうちですよ。なんだかよく分かんないけど夢中になっちゃって」

常子「冷静に相手を見るようになっては踏み切れませんものね」

ます「今からじゃ、あなた、タダで病人の看護に行くようなもんよ」←ほんとほんと。

キク「どうせタダならうちの旦那様のお世話するわよ。もう、やあねえ」

常子「直也さんのお父様、いい人らしいですね」

キク「ええ、そりゃ穏やかで優しくて魅力はあるし、あんまりお金はありませんけどね」

 

ます「あなた、そばでいい人を見すぎてるから、今更、お嫁の口探してもダメよ。それより、お葬式の月賦。あれに入っときなはいよ」

キク「お葬式の月賦?」

常子「まあ、そんなのあるんですか?」

ます「ええ。これはもう絶対得なんだから」

常子「まあ」

ます「月々600円払い込むだけで安心して死ねますよ」

常子「そりゃまあそうですけどね。アッハハ、悪いわ、変な話になっちゃって」

キク「ほんとよ。今までフワーっといい気持ちでいたのに雲の間から落っこっちゃったみたい。やめますよ、もう結婚なんて」

 

谷口家茶の間

電話をしている福松。電話の相手は山本のご隠居さん。声だけでもちゃんとキャストクレジットに出てるのね。青木から修一のことは水に流してほしいと返事があり、これでさっぱりしたと福松はニコニコ。

 

しかし、今度は和枝に養子の話を持ってきた。相手は目黒の菓子屋の息子で大学は…と話しかけたところで、福松はもうたくさんだと言い、うちは当分、静かに暮らしたいと思ってると話す。お前さんとこはたまには波風の一つも立てなくちゃ頭がボケるとご隠居さんが言うものの、職人やら隣の娘やら入り交じって嵐だと返し、受話器を置いた。

 

福松「波風の一つも立てろ。ヘッ、強風注意報だよ、こっちは」

 

すぐに受話器をあげ、野口家に電話。電話に出たキクは常子が持参した上菓子のお礼を言い、常子と代わる。常子とますが食べてるのは五目寿司かな?

 

電話に出た常子はせっかくだからこちらのご主人にご挨拶してから帰ろうと思ってと話すが、福松は話があるから帰ってくるように言う。修一が断られたこと、和枝の養子の話をする。

 

福松「まあ、こうあとからあとから縁談を持ち込まれちゃ親は息もつけやしない」

常子「えっ? 息が苦しいんですか?」

福松「死にそうですよ。なんだ、1人でのんびりしちゃって」

常子は笑い、福松は早く帰ってくるように言って受話器を置いた。「ばあさんが集まって、何やってんだ」

 

桃子帰宅。常子が野口家に行っていると福松に聞くと、桃子も勉と一緒に行けばよかったと言う。

福松「もう帰ってきますよ。なんだ、第一、若い女の子が気軽に男のあとについていくもんじゃありませんよ」

桃子「フフッ、お父さんの若い頃とは違ってね、フランクなのよ。男も女も」

福松「油断大敵、火がぼうぼうだ」

桃子「相手の隙を見て蹴落とす世の中だもんね」

福松「まったくイヤな世の中だ」

 

桃子は勉がカナヅチだとバラす。世話が焼けて、夏の間モテないだろうと言う。

福松「カナヅチ? なんだ、水に入っただけで浮きそうな体つきをしてるじゃないか」←まあ、敬四郎ちゃんはね。でも勉さんはシュッとしてる。

 

桃子は絞り染めのミニスカート、勉は絞り染めのTシャツを着てる。

 

野口家

勉「ああ、さっぱりした。夏は泳ぐに限るね、キクさん」

キク「勉さん、泳げるようになったの?」

勉「ああ、格好いいよ。スイスイいっちゃって」

キク「泳ぐってより流れてたんでしょ?」

勉「なんだよ、人を軽蔑して。感じ悪いぞ」

キク「感じが悪いくらいでなきゃ、この世の中渡れませんよ。人がいいなんて言われてたら身ぐるみ剝がれちまうんだから」

 

勉「いやに荒れてんじゃないの。今朝、バラ色の人生みたいだったけど」

キク「青春は行きて再び戻らず。今からウロウロ探したって残り物に福なんかないんだから」←青春は~って格言っぽいけどそういう言葉は見つけられなかった。

 

勉は和枝がどこへ行ったか聞いてくれた?とキクに聞いた。北海道のどっかとそっけない。研究会の日が変わって早く帰ってきた直也も常子が来たと聞いて気にするが、ますと来たと聞くと特別な話じゃないんだねと行ってしまった。私のことなんか誰も気にしてくれないとすねるキク。

 

勉はキクの持っている1000万の土地のことを気にしていて、キクが土地を売って世界一周でもしようかしらという話に乗ってくる。

キク「ずうずうしい。だから末っ子は人はいいけど頭が悪いって言われんのよ」←そうなの?

 

谷口家がごちゃついてるという話から、和枝に養子の話があるとキクが言うと直也は気にする。どさん子のバイトがある勉が様子を見てくるというと、よそのうちのことに首突っ込むなと直也が言う。

キク「勉さんなら突っ込んでもいいでしょ。どうせ吹けば飛ぶような首なんだから」

勉「なんだ、バカ!」

 

谷口家茶の間

福松は新聞を読み、常子は和枝の写真を見ていた。(つづく)

 

朝ドラだと黄色字幕の主人公が出ない回ってないんだろうけど、このドラマでは有りなんだね。和枝は最後に写真だけ。