徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】雄呂血(弁士:澤登翠)

1925年 日本

 

あらすじ

久利富平三郎(阪東妻三郎)は、家老の倅との喧嘩がもとで漢学塾を破門になり、密かに思いを寄せていた塾の一人娘・奈美江(環歌子)からも誤解されたまま絶交を言い渡される。奈美江を思う気持ちを断ち切れぬまま、浪々の身となり、いつしか無頼漢(ならずもの)と呼ばれ、追われる身になってしまう。逃げた彼をかくまった顔役(中村吉松)は町の人からも慕われる立派な親分だが実は大悪人である。誰よりも善良でありながら世の中に受け容れられない自分と引き比べてあまりの矛盾に怒りを感じる。そこへ昔の思い人・奈美江が旅の途中で病気になった夫(春路謙作)と共に連れられてくる。奈美江に悪親分の魔の手が伸びると、とうとう平三郎の怒りも爆発。親分達に加え自分を追っていた町方までもがやってきての大立ち回りへと展開する。

2021.12.29 時代劇専門チャンネル録画。

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あぐりとエイスケさんも見ていた映画。

 

おお、横書きの文字が右から!

 

昔のチャップリンの映画みたいだけど、この映画は活弁の人がしゃべってくれてるから分かりやすい。しかし、チャップリンの映画はそこまで説明がなくても分かりやすかった。

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時は享保の頃、ある大名の城下町。

 

平三郎は漢学者・松澄永山の娘・奈美江に熱烈に恋していた。ある日、永山の誕生日祝に行った。この時代に誕生日パーティーしてたのか。

 

塾生一人一人が永山の前に行き、祝辞を述べ、盃を賜って席に戻る。永山は宴席を退き、塾生たちが残って無礼講の酒宴が始まった。平三郎は仲間たちと楽しく飲んでいたが、浪岡真八郎という家老の倅の周りには人が集まってこず、浪岡は平三郎に横柄な態度で接してきたので、近寄らなかった。

 

しかし、浪岡から寄ってきて、酒を無理やり飲ませようとするので断ると、浪岡から酒を浴びせられた。ケンカになり、戻ってきた永山に事情を説明する平三郎だったが、周りの塾生は家老の倅である浪岡に有利な証言をしたため、平三郎だけが一方的に悪いとされ、奈美江にまで誤解され、30日の閉門を言い渡された。

 

ある日の午後、平三郎が歩いていると3人組の若侍の会話が耳に入った。永山塾の奈美江は既に処女(むすめ)ではない。奈美江が去年の夏、御殿の方へ上がっていた時に奈美江の方から殿様を誘惑した。それだけでなく、永山は好色な殿様に奈美江を献上し、あわよくば主家を横領しようと企んでいる。

 

聞いていた平三郎は我慢が出来ず、3人に殴りかかり、一緒に永山先生のところに謝りに行こうと言うが、3人は刀を抜いたので、平三郎も大刀を抜き、真昼の決闘になったが、若侍たちは逃げてしまい、同僚たちがなんとか平三郎を止めた。

 

しかし、若侍たちの讒訴(ざんそ=事実を曲げて言いつける)により、永山から破門され、奈美江からも絶交された。

 

「俺には少しも悪いことはないのだがなあ」…平三郎も反撃してるしなあ。

 

奈美江からの誤解を解きたく、永山邸に忍び込む平三郎。えっ! 家の中ではなく庭先か〜。しかし、奈美江にすがりつくようなところを永山に見られてしまい、ますます永山を怒らせた。

 

門弟を斬り捨てたかったが、奈美恵の手前、我慢をし、主君からもクビを言い渡され、漂白の旅に出た。

 

1年後、浪人していた平三郎はボロボロの格好になっても悪事を働くこともなく生活にも困っていた。チョンマゲの髪の毛が伸びた状態って、あんな感じか。

 

とある料亭の2階で芸者を追いかけていた侍の汁物が平三郎にかかり、怒りに任せて料亭に乗り込んだ。番頭はお金を渡そうとしたが、強請りと思われたことにますます腹を立て、暴れるので、料亭の人に役人を呼ばれた。

 

役人に捕まってしまった平三郎。強請りで2ヶ月、牢に入ることになった。理不尽な世の中、俺は悪事をしてないのに…平三郎、そう思い続ける限り、立ち直れない。

 

牢で知り合ったスリの二十日鼠の幸吉と偶然、町で出会い、幸吉の用心棒になった平三郎。小料理屋・吉野川に通う。平三郎はいまや無頼漢(ならずもの)と恐れられるようになっていた。奈美江に似ている小料理屋のお千代にほの字の平三郎。似てる設定らしいが似てるように見えない。奈美江はほっそり、お千代はふっくら。

 

また店で騒動に巻き込まれ、役人に捕まる平三郎。数日で出てこれたものの町人や子供たちにまで怖がられるようになってしまった。

 

「世間の奴らが勝手に無頼漢にしているのだ」

 

通りかかったお千代に自分は善良な人間だと弁解し、お千代が好きだからこの町から去らないのだと言うが、思い切り拒絶された…のに本当の気持ちが知りたいとは!?

 

平三郎に恩を売りたい幸吉はお千代を誘拐し、平三郎に差し出した。お千代は閉じ込められた部屋で泣いていた。「行け、平三郎」という悪鬼の声がし、千代を追い詰める。千代は部屋の隅で泣いて哀願した。平三郎の顔がアップになった時、綺麗な目が田村正和さんに似ていたな。千代に憐憫の情が湧き、襲うのはやめた。

 

幸吉の家を役人が取り囲み、平三郎は千代だけは逃そうとした。千代は逃したが、幸吉と平三郎はまたしても牢獄行き。千代恋しさに6ヶ月後、破獄し、吉野川へ向かう。

 

しかし、千代は丸髷姿の新妻になっていた。嘆き悲しみ、その場を去った平三郎。あたりには平三郎を捕らえようとする役人に囲まれ、今、近寄ると皆殺しにしてしまうかもしれないと平三郎は言うが、役人は聞くはずもなく、逃げてある塀の中に入った。

 

顔役の赤城の治郎三の用心棒になった平三郎。ある夜、治郎三は女をさらって襲っていた。町の人に善良な親分と思われていた治郎三は、度々こうして女をさらって襲っていた。

 

ある日、病気の侍夫婦の世話を治郎三がすることになった。妻は平三郎の初恋の人・奈美江だった。病気の夫を寝かせ、奈美江に酌をさせ、襲い掛かる治郎三。声が聞こえたが、奈美江とは知らずに仕方ねえなあという反応の平三郎。

 

病人の夫が抵抗するが、殺されそうになる。平三郎は無視するつもりだったが、治郎三を止めようとする。しかし、聞き入れてもらえず、ついに平三郎は治郎三に刃を向けた。奈美江夫婦を逃したものの、役人に囲まれる平三郎。

 

斬って斬って斬りまくる。役人たちに縄で捕われそうになっても刀で切る。我に返った平三郎は周りを見渡すとおびただしい死体の山。平三郎は捕らえられ、町人たちは喜んだが、奈美江夫婦だけは平三郎を拝み伏した。(終)

 

平三郎は自分では善良でどういうわけか理不尽な目に遭うと思っているけど、そうかあ!?と思ってしまう。大正時代の民衆からは共感を得たというけど、うーん。