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【連続テレビ小説】あぐり (50)「先生の醜聞」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

真知子(吉野紗香)が投げつけた弁当を拾うあぐり田中美里)を不憫に思う妻五郎(刈谷俊介)に、東京で夢が見つかって幸せだから心配するな、と話すあぐり。その夜、燐太郎(野村宏伸)がエイスケ(野村萬斎)の書いた小説が載った雑誌を持って来る。自分のせいでみんなを傷つけてるんじゃないかと落ち込むあぐりを元気づける燐太郎。チェリー(名取裕子)と、世津子(草笛光子)の店に行ったあぐりは、そこでエイスケに会い…。

泣いてる妻五郎の続き。

あぐり「私ね今とっても幸せなんよ。だから心配せんといて…」

妻五郎「あんな小娘に弁当投げつけられてそのどこが幸せなんでえ!」

裏口から帰っていく妻五郎に語り掛けるあぐり

「私、日本一の美容師になりたいと思ってる。これからの女性はどんどん洋髪になるんよ。じゃからいっぱい勉強するつもり。東京に出て自分の夢を見つけられて本当によかった。その夢のためなら私どんな苦労でもできるんよ。分かってくれるよな?」

頷きかける妻五郎だが…「分からん…俺にはな~んも分からん…。お嬢様も奥様もボンも…みんな分からん。これじゃあ御大がかわいそうじゃ」と帰って行った。

 

夜、千代子を練習台に内弟子たちがウェーブの練習。ボーっとしているあぐりに「ゴリラとなんかあったの?」。隣の春子さんも内弟子たちも当たり前に言ってる”ゴリラ”は某掲示板で指摘されてたけど、当時の日本ではそれほどメジャーな存在ではなかったらしい。分かりやすさを重視したんだね。

www.tokyo-zoo.net

「あんたお願いやからああいうの呼ばないでよね。夢見が悪くなるわよ」と散々な言われようだったが、その時、チェリー邸に燐太郎が訪ねてきた。燐太郎に初めて会った真知子がポーっとしてる。そうか、昨日から今日にかけてのゴリラ押しは今日のこの燐太郎との対比か!?

 

エイスケの書いた小説を持って来た燐太郎に内弟子たちも「昼間のゴリラとは大違い」を分かりやすく浮足立つ。「上がっていただいたら…?」とも言ってたけど、結局裏庭で話した。吉行エイスケの”暗闇の街”というタイトルは検索したけど見つけられなかった。それっぽい小説を再現したんだろうか?

 

暗闇の街    エイスケ

 その頃よい酒場をさがしていた私は寂れきった酒場の扉を押し開けたらば一人の老婆が佇んで私を見ている。その老婆は見るなりにっと笑ったかと思うと彼女には歯がないのだった。

 薄暗いランプの光の中で老婆を凝視するウチ、突然私は夢と現の区別さえつかなひ状態に落ちていった。あのプラトニックな戦慄がよみがえり、私を恍惚とさせた。

 去年の四月美しい下宿の娘さんの顔を見るとおかしくなったので障子に、、、、したのが悪業のおしまひで白足袋の悪事につれられて、の警察のご厄介だ、そこでいかにプラトニックな恋を・・・・・・・

 

↑いろんな作品をぐちゃぐちゃに混ぜた? 文章中の”・・・”はそのままなので意味がつながってない。旧仮名遣いもしてたりしてなかったりで。まあ本当の吉行エイスケさんの作品も読みづらい作品ではある(^-^;

 

エイスケの小説を読んだことがないというあぐりに、エイスケの書いた作品の「あかねさん」があぐりの事だと教えてくれた。妻五郎のことを話すと「今まで自分が仕えてた人が再会したら惨めに見えたら僕だって泣くよ」と言い、健太郎のことも「いつか分かってもらえる時が来るよ」。

 

こんなにあぐりに優しい描写があって、当時、エイスケにハマらない層のためのイケメン要員だったのかな? しかし私は燐太郎さんの印象はエイスケの友達以上のものはなかった。たいがいドラマや漫画で当て馬と呼ばれる方にハマるタイプなんですけどね。

 

あぐり「何だか自分の夢を叶えるためにみんなを傷つけてるような気がして」

燐太郎「それは考え過ぎだな。みんな君を応援してるんだ。頑張れ! 落ち込んでるなんて君らしくないぞ!」

 

覗き見していた面々がなだれ込む。度々あぐりが夢を語る描写があるのが90年代っぽいなと思いました。そういえば、80年代作品にはあまり”夢”という言葉すら出てきてないような? 「澪つくし」のかをるさんはよく夢見てたけど、それとは違う。

 

翌朝、お弁当を作っているあぐりに真知子が弁当の催促をしてきた。真知子が卵焼きを好きなことを知っているあぐり「最後にね大好きなものを食べる人はロマンチストなんじゃって。真知子ちゃんはロマンチストなんですね?」「バカみたい」と応じた真知子だったが、燐太郎のことを聞きたそうにしていた。

 

「今日はこちらに戻らずにそのまま帰るんでよろしくね」とあぐりを連れて店を出たチェリー山岡。カフェ・セ・ラ・ヴィで沢田と密会していた。

 

ツイッターで喫茶店はここしかないのか?と言ってる人を見かけるけど、世津子が以前、あぐりが世津子と顔見知りだから、あぐりを息抜きさせてやろうとこの店に来てると言ってたのになあ。

 

カウンターに座りながらチェリーと沢田が気になるあぐりに世津子がどら焼きを出した。そして小説は好きか聞いてきた。「エイスケさんの小説は読まないけど、長堀俊介先生の小説なんかもう大好きです」と答えた。「長堀俊介ねぇ…」とつぶやく世津子。

 

そこにエイスケ来店。チェリーと沢田を見て即座に「ふ~ん。あぐりも大変だねえ、先生のランデブーまでつきあわされるんじゃ」と言い、否定するあぐりに「あれがお仕事ねえ…」。さすがエイスケさん、男女のことには鋭いな。

 

燐太郎があぐりの元に来たという話にも「それも何か怪しいなあ」。しかし、「いっつもどこほっつき歩いてるんですか?」と責められそうになると燐太郎の話に切り替えた。エイスケはあぐりが自分の小説を読んだと知ると喜んでどの辺が面白いか聞いてきた。あぐりが面白いと言ったのは、1ページの1行目。家に帰ったら読むというあぐりに「いいよ別に…」と、ちょっと拗ねてるエイスケさんがかわいいです。

 

チェリー山岡にエイスケを紹介するあぐり

あぐり「夫のエイスケさんです」

エイスケ「こんばんは。僕が『夫のエイスケさん』です」

 

「こういう時は『夫のエイスケです』って言うもんでしょ?」とチェリーが言い、世津子も「あなたも『妻がいつもお世話になってます』とか何とか言うもんでしょ、こういう場合は」と指摘してくれた。こうやってドラマ内で教えてくれる人がいるからいいよね。

 

チェリーのはからいで二人で映画を観に行くことになった。映画を観るシーンというと「ゲゲゲの女房」でもあったなー。エイスケにカフェで何してたか問い詰めるあぐりだが、はぐらかされる。エイスケさんが映画の登場人物を”荒又彦十郎”って言ってたけど検索したけど出てこない。↓ツイッターで見たらどうやらこの作品らしい。

ja.wikipedia.org

戦前の作品でありながら全編残っている貴重な作品…が大正14年11月公開。惜しい! 昨日が5月くらいだったはず。阪妻…息子である田村亮さんが出てるからその縁かな?

 

夫も子供もいる師匠のチェリー山岡。後援者だという沢田とは一体どういう関係なのだろうか…。あぐりにとってまた一つ心配のタネが増えていたのでした。

 

当時からあぐりとエイスケのかけあいが面白くて好きだったことを思い出します。今もなんだかあの距離感が好きです。

 

 

ゲゲゲの女房」では茂と布美枝の長女・藍子として登場した実際の水木しげるさんの長女・尚子さんのツイート。今でも話題に出してくれてイイハナシダナー。優しい貴司おじちゃん好きでした。