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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (55)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

マリ子(熊谷真実)は夜通し、菊池寛の作品を読み漁る。身体を気遣うヨウ子(早川里美)や、家事を代わるマチ子(田中裕子)たち磯野家の協力体制が整う。そんな中、トミ子の結婚式の写真が届き、磯野家の結婚話になるが、今一つピンと来ない娘たち。一方、塚田(日下武史)から菊池作品の感想を聞かれたマリ子は、男性本位な道徳に抗う女性の姿に感銘を受けたと答えると、塚田は今から菊池邸に挨拶に行くと言い…。

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鬼の編集者・塚田から菊池寛の小説を読める限り読んでこいという宿題にマリ子は文字どおり死に物狂いで突進していたのです。

 

マリ子は鉢巻きをして小説を読んでいて、隣の部屋で寝ていたヨウ子がふと目を覚まして時計を見ると深夜2時過ぎ。

 

朝になって机に突っ伏して寝ていたマリ子に毛布がかけられていた。はるとマチ子は庭掃除。マチ子の話によれば4時に目が覚めた時にも小説を読んでいた。どうして菊池寛ばかり読まされるのか? 職業婦人ってことになるというマチ子。読ませた以上は論文か何か書けというに決まっている。しかし、はるもマチ子もマリ子は綴り方があまり得意ではないという。

 

はる「あの子には絵を描く方が向いているんでしょうね」

マチ子「だったらどうしてお母様はその筆を折らせるようなことをなさったの?」

はる「それは神の試練です」

マチ子「また始まった」

はる「またとはどういうこと?」

マチ子「お母様、都合が悪くなるとすぐ神様のとこへ逃げ込んでおしまいになるでしょ?」

はる「だって神はいつでも私たちと一緒にいてくださるのよ」

マチ子「随分えこひいきの神様だこと」

はる「えっ?」

マチ子「お母様のそばだと神様も随分居心地がいいと思いますよ」

はる「マチ子」

 

マチ子ははっきり言うから好きだな。一番まともなこと言ってるのに、結局こういう家族だとマチ子が異端ということになってしまう。

 

マリ子が起きてきて、はるやマチ子に挨拶した。それにしてもスタジオ内でたき火してるからものすごく煙が立ってる。結局、マリ子はヨウ子が起こすなと言っていたのもあり、お昼近くまで寝ていた。

 

下谷区上野桜木町から引っ越してきた磯野さんですね?」と郵便配達員がマリ子宛ての速達を届けに来た。マチ子はトミ子からの手紙…もしかして写真ではマリ子とはるの前で開封。はるが真っ先に見ようとしたのを取り上げてマリ子に渡した。それはトミ子の結婚写真だった。

マチ子「きれいだ~」

マリ子「本当にきれい」

 

できることなら一目この目でじかに見たかったマリ子でした。

 

マチ子「残念でしょう、マー姉ちゃん。婚礼に出席できなくて」

マリ子「いつか行かれなかった訳は分かってもらえると思うもん」

はる「そうですとも。それにあなたの時は来てもらえばいいわけだから」

 

しかし、結婚ということにイマイチピンと来てないマリ子とマチ子。やっぱりこのお母さんだからこそお金がなくなったから家のために結婚しなさいとはならなかったわけで…それがよかったのか悪かったのか分からないけど、「あぐり」みたいに若いうちにお金持ちの家に嫁ぐというのも一つの手だったんだろうから。

 

実際の話、あぐりが相手に恵まれたのかどうかは疑問ですが(^-^;ドラマとしては面白かった。しかし、もっと悲惨な目に遭った人も大勢いると思えば、即結婚にならなかったのはよかったよね? このお母さまだからこそよね?

 

マリ子は急いで出かける準備をする。マチ子はマリ子の腕時計の時間を合わせ、はるがトミ子の手紙の下書きを書く…えっ、それはいいの!?

マリ子「わあ! これで我が家もようやく協力態勢ばっちりね! ありがとうございます!」

 

ということで出かけた陽談社で鬼の塚田は何を言おうと待ち構えていたのでしょうか。

 

給仕のカツオっぽい少年に声をかけ、3時前に塚田を待つマリ子。

 

マリ子「あの、先日は大変失礼いたしました」

塚田「別に失礼なんか君、しなかったじゃないか」

マリ子「はあ?」

塚田「まあ、いいから座りたまえ」

マリ子「はい、失礼しま…磯野マリ子座ります」

 

塚田に感想を聞かれたマリ子は初期のものは別として「真珠夫人」以降の「第二の接吻」など涙が止まらなくて困ったと塚田に感想を言った。女の人の心情がよく分かる。泣いた所とは違うが、「真珠夫人」の中に「男性は女性をもてあそんでよいもの。女性は男性をもてあそんでは悪いもの。そういった間違った男性本位の道徳に私は一身を賭しても反抗したいと思っていますの。今の世の中は国家までが国家の法律までがそういった男性本位の道徳に助けているんでございますもの」。そんな会話がとても強烈的な印象だった。

塚田「ほう、すると君はそういう言葉に共鳴するタイプのお嬢さんか」

マリ子「いえ、共鳴も何もうちには男性がおりませんから、そういった間違った考え方を押しつけられた生活はしていません。だけど、そうですね…。なんて頭がいい人なんだろうってこういう女性もいるんだなってもうびっくり仰天っていう感じです」

塚田「まあ、あの人は小説による啓もうってことを常に実行しようとしてる人だからな」

マリ子「そうなんですか」

塚田「まあ君がそういう受け取り方をするっていうのもあの人にとっちゃねらいどおりなんだろうな」

マリ子「はあ」

塚田「じゃあね、その点を強調するつもりだから君もそのつもりで申し上げたらいい」

マリ子「はい。えっ、あの誰にですか?」

 

これから菊池寛に会いに行くと言われてマリ子はびっくり。「女性倶楽部」の新年号から菊池寛の新連載が始まり、その挿絵をマリ子が担当する。塚田にとってもかなりな冒険だったが、マリ子が持っていった挿絵のサンプルや他の物を持って菊池先生に相談するとマリ子と積極的に組むことを承知した。これから挨拶に行くと言うと、一旦家に帰り、着物を着替え、髪の毛もなんとかしなくちゃ…と言いだすマリ子。

 

塚田「バカ! 子供みたいなこと言うんじゃないよ!」

マリ子「だってあんまり急なんですもの! 意地悪!」 

 

のんき者のマリ子が慌てるほどに当時の菊池寛氏はまさに文壇の大御所でその名は全国に鳴り響いていたのです。

 

朝男の家にマリ子から電話があったと朝男とタマが駆け込んできた。さすが商売やってる家だから電話を引いていたのね。マリ子は半泣きでオロオロして「もう連れていかれちゃう」と言っていた。電話の後ろでは男が車が来てると言っていた。はるは「大丈夫ですよ。うちにはお金が全然ございませんので」と慌てない。しかし、突然大きな声を出す。

 

はる「猫がお魚…タイくわえて、ほら、あっち!」と言って、朝男もタマも慌てて帰っていった。サザエさんネタがちらほら入るのね。

 

さまざまな混乱を引き起こしてマリ子は今、芥川、直木の両賞を設立した大作家・菊池寛の屋敷へ鬼の塚田に拉致されていたのです。

 

おぉ~! 今日はまだ菊池寛が登場せずか。事前番組で誰かは知ってるけど~。ワクワクする展開だし、マリ子のリアクションがいちいち面白い。