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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (27)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

ソーダ水をかけてしまったことを信彦(森田順平)に謝るマリ子(熊谷真実)。マリ子が帰った後、信彦と茜(島本須美)は別れ話を始める。マリ子のような素直で素朴な女性が信彦にはお似合いだと茜が言い放つ。一方、マリ子が家に帰ると三郷(山口崇)がミシンと蓄音機を届けにきていた。早く画塾のアトリエに行きたいマリ子は、早速ブルーズを縫い始める。マチ子(田中裕子)も、密かに三郷にお願いしていたものを入手して…。

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茶店で向かい合って座るマリ子と茜。

茜「おバカさんね、あなたそんなことで悩んでいらっしゃったの? 彼、つまり結城信彦は華族でも何でもなくてよ」

マリ子「まあ、そうじゃなかったんですか」

茜「がっかりなさって?」

マリ子「別にうちはそんな…」

茜「横浜の外人相手の洋食屋の息子。まあそれであんな格好も似合うんでしょうけど1枚や2枚駄目にしたってどうってことないわ。くよくよすることなくってよ」

マリ子「そうでしょうか?」

茜「そうよ。それにこういうお店だって妹さんのおっしゃるとおりよ。あんな画塾で息を詰めてデッサンばかりでしてるのが能じゃないわ。裸婦がお好きならどんどん2階へ行ってもいいのよ。いろんなものを見て体験してその吸収したものをぶつけていかなくてどうして自分の絵が描けるとお思い?」

マリ子「はい」

茜「こんな喫茶店ぐらいでビクビクしていたら絶対大物になれないわ。それは私が保証します」

マリ子「そうですか…」

茜「そうよ。ねえ今度銀座へご案内するわ。とっても楽しいところがたくさんあるのよ。信彦程度の男性なんか掃いて捨てるほど集まってくるし」

マリ子「でもあの…」

茜「えっ?」

マリ子「だったらどうして茜さんはあの画塾へ?」

茜「ああ、あれはカモフラージュ」

マリ子「カモフラージュ?」

茜「つまり何て言ったらいいのかな…。そう、煙幕」

マリ子「煙幕…」

茜「だっておとなしくうちにいてごらんなさい。親の決めた相手といやおうなしに結婚させられるのがオチじゃありませんか。私はそんなの絶対に嫌!」

マリ子「はあ」

茜「あなたももっと大胆におなりにあそばせ。無頼になるべきよ」

マリ子「無頼にですか?」

茜「そうよ。一度反旗を翻せば親なんてあとは簡単よ。初めは怒り狂っても馬耳東風。絵だけは捨てなければだんだん諦めるわ。死なれたら大変ですもんね」

マリ子「死ぬって一体!?」

茜「もちろん脅しよ。私はそうやって自分の自由を勝ち取ったの。これからの女性は耐えることだけが美徳ではなくなるのよ」

マリ子「うちは別に耐えてるとは思いませんけど…」

茜「駄目よ、そんな曖昧なことでは。自分は人とは違うんだってはっきり自覚しなさい」

マリ子「自覚ですか…」

茜「そりゃあね、世間では私みたいな女をとかく何やら言うでしょう。でもそれは覚悟の上だわ」

マリ子「覚悟?」

茜「そうよ。残念ながら自由はただでは手に入らないの。だから私はそれなりの代償を払っています。つまり世間の評判に対する覚悟。私はこれでも真剣よ。フフッ、まあ一度、私のアパートメントに遊びにいらっしゃいませな。あなたの世界が変わること請け合うわ」

 

こういうのを「煙に巻かれた」と申します。

 

言葉遣いが素敵だし、声も素敵だし、律子さん的な女性なんだろうね。喫茶店に信彦が入ってくる。

茜「ボンジュール、信彦」

信彦「やあ、こんにちは」

 

マリ子は先日のことを謝り、店から出た。信彦はマリ子が座っていた席に座り、一方的に別れを告げられた信彦が復縁を迫った。

信彦「僕は君の願う自由はすべて認める。だから…」

茜「認めていただかなくても私はもともと自由なのよ。そういう約束だったでしょ?」

信彦「ああ、そうだ。僕は君を失いたくない。愛しているんだよ。何度言ったら分かるんだ」

茜はマリ子みたいな素直で素朴でそれでいて何か持っているような女の子の方が似合うと言う。

茜「ああいう女の子の本当のよさが分からないようじゃ、あなたは絵描きとしても駄目だわね」

しかし信彦は茜に夢中。

信彦「君が大輪のばらならば彼女は素朴な野ばらだろうね」

 

そこにマリ子が戻って来た。

茜「聞いた? マリ子さん。信彦があなたをかわいい野ばらですって」

マリ子はソーダ水のお金をテーブルに置くと店を出たが、帰り道で「野ばら」を口ずさむほどご機嫌。信彦は”素朴な”と言ってるのに、茜は”かわいい”って言ってるもんね。

 

家に帰ると智正がミシンと蓄音機を届けてくれた。智正が持ってきてくれたレコードは「野ばら」で、マリ子とヨウ子が手を取って踊りだす。はるはあきれるが、智正は母と二人きりだとこんなに大きな声で笑うことはないと言った。

 

マチ子は学校帰りに智正に頼んだものを写真館に受け取りに来た。新聞紙に包まれたもので、トセははるが大きな買い物をしてくれたからお代はいらないと言ったが、マチ子は私の買い物だと言って払った。

 

マチ子が家に帰ると、さっそくマリ子がミシンを使ってブルーズを縫っていた。ミシンは女学校で使い方を習っていた。

マリ子「ブルーズが縫えたらこれからはもう物おじしないで2階に上がってどんどん油絵を思いっきりやるばい!」

マチ子「その意気その意気!」

マリ子「絵のためなら大胆かつ無頼になるべし!」

 

はるがマチ子の紙包みを見つけると、マチ子は学校の宿題だと言い、慌てて2階へ上がった。新聞紙に包まれていたのは「少年倶楽部」。「のらくろ伍長」を「お~我が恋人よ…」と言い、読み始めたところにマリ子が部屋に入ってきて一緒に読んだ。

 

大胆かつ無頼、そしてささやかに秘密を持ちながら娘たちは自分の夢を育てます。

 

いいナレーションだよねえ。

 

台所で片付けているマリ子にマチ子が「ご協力を感謝する」と近付き、「我が『のらくろ』は痛快だった」と感想を話した。

マチ子「夢中でブルーズを縫っている理由は早く画塾の2階へ行きたいからでっしょう?」

マリ子「もちろんそうよ」

マチ子「でしょう? 2階のアトリエにはロシア民謡がいることだしね」

大胆かつ無頼の天才に憧れもあるが、自分はお上りさんのコツコツ型だと話すマリ子。ロシア民謡が天才型なのか?という問いに、それは茜のことだという。

 

マチ子「分かんなくなっちゃうな~。マー姉ちゃんはどっちに恋してるの?」

マリ子「はしたない、やめなさいよ、恋なんて! 両方とも。両方とも目下うちの東京」

マチ子が憧れ続けているのは「のらくろ」イコール田川水泡先生。

 

オネスト神父が突然訪ねてきた。泥だらけで途中で火事に遭い、はるにあげるパンフレットを落としてしまったことをお詫びに来たのだった。焼け出された人を教会に連れて行ったと聞いたはるは、新しい下着と昔の洋服、毛布を持ってきてとマリ子、マチ子に指示を出す。そしてマリ子が作ったブルーズまで。オネスト神父怪しい奴だったりしないよなああ??

 

会話劇が面白いな~。