1967年4月16日 TBS
あらすじ
1965年の北海道大学山岳部の雪山での遭難事件をモチーフに冬山に散ったひとりの若者の姿を描く。就職も決まり所属する山岳部でリーダ―として最後の春山登山に挑んだ青年(三上真一郎)だったが、露営中に大規模な雪崩に遭遇。事故の報を聞き、麓の小屋に駆け付けた父親(大坂志郎)は、そこにある一人の女性(岩本多代)がいることに気づく。
一人の心やさしい若者の
雪山の忍耐強い行動
それを知ったときの
感動から
この架空の物語りは
うまれた
白黒作品。シンヤは就職も決まり、大学生活最後の登山に向かおうとしていた。シンヤが近況を書いた手紙を読んでいる両親と妹。実家は東京、大学は北海道。
しかし、そんな家族団らんのとき、電話がかかってきてシンヤが参加しているパーティーが雪崩に遭ったという知らせを受けた。
山小屋に待機する家族。シンヤの父親は先輩のスダからシンヤが親しくしていたという札幌の喫茶店で働くヤマギシアツコを紹介されたが、シンヤは家族には何も話していなかった。
スダが失恋を理由に山に登りたいというアツコをシンヤに紹介したのがきっかけだった。父親を亡くし、根室の旅館で女中として働く母、札幌で下宿しながら喫茶店で働くアツコ。大学卒業後はいいお嫁さんを、と思っていた父親はあまりいい顔をしない。
父親にアツコが身の上話をする。岩本多代さん美しいなぁ〜。貧乏でカツカツで誰かにすがり付きたく、妻子ある男と付き合っていたとか。山に登る1週間前、シンヤにプロポーズされたとか。
シンヤ「ねえ接吻してもいいかい?」
アツコ「1週間待ってね」
父親に赤裸々に話しすぎじゃありません? 遭難3日目。
雪山を進むシンヤの父親と後を追うアツコ。「私たち、結婚の約束をしたんです」追い討ちかけるな。
天候が悪く、家族は一旦山小屋から引き上げるようスダに言われた。
雪の中、シンヤが手紙を書いていた。
「お母さんお父さんごめんなさい。一足先に行かしてもらうだけです。きっと何かに生れ変ってくるはずです。僕はそのとき、お母さんお父さんを見守っているはずです。」
雪崩に巻き込まれ、少しずつ周りの雪を掘っていた。
シンヤの父親はシンヤの下宿先に滞在したが、天候が良くならず、捜索隊も動けなかった。「生きていればかたわでもいい」父親はそういうがどうにもならない。
シンヤはほとんど身動きの取れない雪の中、家族のことを思い出していた。4日目、とうとう遺体が見つかった。シンヤの下宿先に来ていたアツコはシンヤのもとに行きたいと泣き崩れた。父は部屋にあったレコードをかけた。アツコの好きなメンデルスゾーンだった。
来年定年を迎える父。この時代なら55歳が定年だろうか。息子を亡くした悲しさをアツコに語る。
地図の裏にビッシリ書かれた遺書を手渡されたアツコは一人歩いて行った。
陽気に歌いながら歩くパーティーのメンバーを呼び止めて、「くれぐれも注意してくださいね」というシンヤの父は、うなだれて歩いた。(終)
“この番組の制作にあたり「沢田義一・雪の遺書」から御家族の御理解によりその遺書を使用させていただきました。
謹んで故沢田義一氏の御冥福をお祈り申し上げます。” というテロップが出ました。
アツコという恋人は本当にいたんだろうか? 実際の家族を思うと、こうして感動物語として描いていいんだろうかと思ってしまう。
ドラマの中では亡くなってすぐ発見されたように描かれていたけど、3月に春山登山して、パーティーが見つかったのは6月だそうです。