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【ネタバレ】雁の寺

1962年 日本

 

あらすじ

雁の襖絵で名高く“雁の寺”と呼ばれる京都の孤峯庵の住職・慈海は、愛人の里子と情事に耽っていた。しかし、里子は口べらしのために寺に預けられた小坊主・慈念の生い立ちに同情し、慈念とも関係を持ってしまう。

2023.6.24 BS松竹東急録画。

 

桐原里子:若尾文子…字幕黄色。

北見慈海:三島雅夫…字幕緑。

堀之内慈念:高見國一…字幕水色。

 

白黒映画だけど、オープニングの絵はカラーなんだな。三島雅夫さんは関西弁で坊主で「3人家族」や「二人の世界」の頃よりぽっちゃり。そしてエロ坊主! 修行中の慈念に厳しくあたる。

 

里子は旦那(夫ではなさそう。妾?)が死んで、狐峯庵の住職・慈海の寺で暮らし始めた。里子の実家は貧しくて居場所はなく、常に誰かの愛人状態なのかな。母も里子が実家にいるより誰か世話してくれる人いないの?という感じ。

 

慈念の授業料が6円50銭とかいってる世界でダブルベッドを購入し、寺に運んでもらい、配達員が帰らないうちに里子をベッドに引き入れる慈海。戦中?にダブルベッドなんてものがあったのか。 

 

慈海は「里子はわしの仏じゃ。愛根(あいこん)じゃ」と里子を抱きしめる。三島雅夫さんの口から“アイコン”と聞くのは不思議だね。違う意味だけど。

 

ある朝、慈念は寝坊してしまい慈海から厳しく叱られる。

 

本山出頭の日。住職たちが集まる。友人?の源光寺と話をする慈海は本山出頭を怠りがちな原因が里子であると噂になっていると聞かされて焦る。源光寺もまた還俗(げんぞく)してでも籍を入れたい彼女がいる。関西弁の中に時々、東京弁が混じりにしゃべる源光寺の「ちゃってる」という言い方が気に入らない慈海。

 

源光寺が売店で「エアーシップ」と言うので何かと思えばタバコの銘柄なのね。カメラが趣味の源光寺は里子の写真を撮り、「女人方丈」と題し「アサヒカメラ」に出す。

 

慈海不在の寺で掃除している慈念にお菓子を分ける里子。

 

帰ってきた慈海は源光寺の奥さんから里子へのお土産にと一粒いくらでブドウの姉(あね)さんだという「バスケット」の入っている箱を差し出した。中身はマスカットで里子に笑われる。里子は慈念にもおすそ分けしようとするが慈海に止められる。

 

慈海は、慈念が寝坊しないように腕を縄で縛り、時間になったら引っ張るという。夜中、腕が引っ張られ、起きて部屋の外から慈海に声をかけると追い払われた。里子の足が縄に絡んだせいだった。

 

慈念の通う中学校の先生・宇田竺道(木村功)が寺を訪ねた。学校をサボりがちな慈念は教練が嫌で死にたくなるのだと言う。慈海は高い月謝を払っていると厳しく叱り、先生は作務のひとつだと思ってやりなさいとアドバイス

 

慈念を寺に紹介した木田黙堂(西村晃)が訪ねてきた。慈念は黙堂に慈海や里子にお父ちゃんお母ちゃんのことは言わんといてくれと口止めした。

 

しかし、黙堂は里子に聞かれて慈念の生い立ちを話す。若狭の阿弥陀堂で捨てられて捨吉と名付けられた。母親は白痴の乞食女ってすごいこと言うなあ。子供が5人いる大工の家に預けられたが、頭のいい捨吉は養母のおかん(菅井きん)に育った乞食谷のことは言うなと黙堂の寺に送り出された。菅井きんさん若いなあ。

 

ある夜、夜中に起きた里子は慈念がかわいそうだと抱きつく。慈念の腕が揺れ、慈海が起き、里子がいないことに気付いたが、里子が戻り事なきを得た。

 

成長した慈念は一人で檀家の家に行くようになった。久間家に行った時、平吉の兄が3日も意識不明で寝ていて、もし亡くなったら葬礼をして欲しいと和尚に伝えてくれと言われたが、慈念は和尚は修行に出たと答えた。

 

その夜、慈海は帰ってこなかった。

 

平吉が兄が死んだので通夜に寺を使わせて欲しいとお願いしにきた。慈海不在で源光寺を訪ね、助っ人をお願いした慈念。

 

通夜の夜、本堂で寝てしまった平吉は夜通し読経していた慈念に起こされて何人か雑魚寝している部屋で寝かされた。一人本堂に残り、読経を続ける慈念は手袋をして外へ。布団で寝ていた里子は物音がしたので起きて、慈海が帰ってきたのではないかと慈念に尋ねるが、慈念は返事をしない。

 

棺を運ぶ段階になり、慈念は昨日と担ぎ手を変えるよう指示した。昨日来れなかった親戚の男が一目顔が見たいと言うのだが、時間がないと慈念が断る。男たちは棺が重いと騒ぎながらもなんとか墓へ運ぶ。土葬だったのね。

 

和尚たちの集まりで源光寺が慈念から慈海が旅に出て修行したいと前々から聞かされていたと話した。官長は警察には届けない。本山出頭も怠るような者はほっとけと言う。

 

無住になった寺に宇田が留守坊主として寺にやってきた。慈念は人を殺すことは悪いことですか?と聞く。

 

慈念は答えを聞いて寺を出ることにし、慈海が亡くなり、お払い箱になった里子は後を追う。そこで慈念がしたことを察した。

 

寺に戻った里子は襖に描かれた母子雁のところに穴が開いていることに気づいた。

 

次の場面、総天然色になり、バスでやって来た多くの外国人観光客が観光地化された狐峯庵を見学している。目玉は修復された母子雁(ははこがん)だった。(終)

 

カラーになったときに売店で突っ伏して寝ていたのは年老いた里子なのかなあなんてちょっと思った。慈海の行く末もハッキリとした描写はないけど、きっとそうなのだろうと思わせる感じが割と好き。


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