徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】愛情の決算

1956年 日本

 

あらすじ

楢崎雄吉(佐分利信)は戦争から復員後、死んだ戦友(内田良平)の妻・勝子(原節子)と結婚。勝子の連れ子と3人で一見平和に暮らしているように見える一家だが、妻には密かに思いを寄せる男性がいた…。敗戦後の東京を背景に、愛情の岐路に立つ女の悩み、人間の愚かさ、強さなどを辛口に描くドラマ。戦争未亡人から再婚、そして年下の男(三船敏郎)との恋に悩む人妻を原節子が演じる。

2023.12.13 日本映画専門チャンネル録画。白黒。

 

監督は佐分利信さん。原作は今日出海の「この十年」。

今日はCMなしで作品が見たいので日本映画専門チャンネルを録画したものを選びました。

 

楢崎雄吉役の佐分利信さんが字幕緑。息子の弘が16歳の誕生日を迎え、妻が不在だったので弘だけを呼んで食事をした。弘は終戦時、5歳。レストランで食事中、外を見ていた弘が母を見かけたと言うが、雄吉は深追いしなかった。家に帰っても妻は不在。雄吉が風呂を沸かそうとしたが、弘がやると言った。

 

突然、戦時中の回想。小林桂樹さん、三船敏郎さんは分かった。三船敏郎さんは字幕水色。

 

楢崎の妻・勝子(原節子)が帰宅。字幕黄色。勝子は女学生時代の友達と新宿で会ったと言うが、弘は銀座で喫茶店から出てくるところを見たと無邪気に話した。弘に部屋に行くように言い、勝子は楢崎にこの結婚は間違いだったと話す。

 

終戦後、バラックで弘と2人で暮らしていた勝子。夫は亡くなり、バラックから立ち退きを迫られていたがアテはない。勝子の元には昨日が夫の命日ということで戦友が何人か訪ねてきていた。その中に三船敏郎さん演じる大平俊太郎もいた。勝子の近所の女性は誰か誘惑して結婚すればと笑う。

 

戦友たちも誰か勝子と結婚すればといいと話し合う。女性が一人で生きていくのが大変でそういう話になっちゃうんだろうね。楢崎軍曹は初婚だが、35、6歳。雑誌社に勤めている。勝子の夫の田口は画家で情熱的な恋愛結婚だったと言うが、次の場面になるともう楢崎と勝子、弘が一緒に暮らしてる。弘はお父さんと呼べない。

 

弘の亡父が画家なので、子供の頃から弘も絵を描くのか好きという設定なんだね。

 

ある夜、戦友の吉野が訪ねてきて、和歌山の実家に帰ったものの土地を飛行場にするので立ち退きすることになってしまい、住ませて欲しいとお願いに来た。妻子も連れて一緒の暮らしが始まった。

 

楢崎は通勤途中、電車の急停車で足を怪我してしまい、家で苦しんでいる。勝子は赤ちゃんができたかもしれないが、この状況なら諦めた方がいいかしら?と相談する。

 

大平が楢崎の見舞いに来た。苦しむ楢崎に無理矢理にでも入院した方がいいと勝子にアドバイスした。吉野一家は吉野が担ぎ屋、妻も内職しているが1年も家にいる。

 

入院した楢崎を見舞った勝子。雑誌社からの手紙を渡すと解雇通告だった。大平と勝子で雑誌社に乗り込むと経営者が変わって半分近く解雇されたのだと言われた。勝子も働く決意をし、大平も協力を申し出る。勝子にとって大平は弟だと言う。学生服を着てるのに年下には見えない貫禄。

 

楢崎は入院生活が続き、勝子も劇場の売店で店員を始めた。大平も買い物に来て、弘の分のお菓子も買ってくれる。銀座に食事に誘い、帰りは満員電車で帰る。昔から満員電車で密着でドキドキってあるあるなんだね。

 

小林桂樹さん演じる武内廉平は仕事で成功し、戦友たちを旅館に集めた。大平はその後、新聞記者になり、警官だった木原は警察予備隊に入りたいと言うが楢崎は軍隊だと反対した。

 

武内の家に招かれた大平。大きな屋敷に住み、戦後、少年のような格好をした少女・朝子も引き取って育てていた。朝子は八千草薫さん!

 

大平の紹介で劇場の売店で働いていた勝子だったが、5年後、劇場の経営者の紹介で貴金属店「ミラノ」で働くことになった。貴金属店じゃ気楽に会えないなと笑う大平は勝子に告白し、勝子も同じ気持ちだと言う。

 

ミラノで働き始めた勝子。吉野の妻・カヨからは毎日キレイな格好ができて羨ましいですわあと嫌みを言われるが毎日満員電車で大変だと返した。ていうか、まだ吉野一家いるんだ!?

 

玄関で勝子のパンプスを磨く楢崎の姿を見かけた勝子は情けなくなり、出勤中、泣きながら歩く。まだ楢崎も療養中なのね。

 

泰西名画展へ行った勝子は大平に会うが避けてしまう。

 

街中では傷痍軍人が「異国の丘」を歌う。

異国の丘

異国の丘

  • 竹山逸郎 & 中村耕造
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

大平と勝子は密会を重ね、大平は楢崎に2人の仲を話す。僕たちという大平の言葉に怒る楢崎。

 

吉野はパチンコ屋を開いて繁盛させていた。勝子の劇場の退職金で風呂場を作り、ようやく3人の暮らしが始まった。楢崎は仕事も始めたから、勝子に仕事を辞めて家にいるように言う。

 

キレイな洋服姿で出かけていた勝子は和服で専業主婦になっていた。隣に住むキレイな女性は南美江さんか〜。

 

楢崎が趣味で飼い始めた小鳥を逃がす勝子。籠の鳥である勝子を表現してるんだろうけどやめてほしい。小鳥が外に出されたとて生きていけるはずがない。

 

武内が社長と話している。武内が楢崎に仕事を紹介したのね。社長から楢崎が仕事はあんまりできないと聞かされた武内は楢崎を戦争ぼけが治らないという。

 

武内は戦後、成功してもう36歳。そろそろ結婚したいと勝子に相談した。相手は朝子。21歳の女子大生。えー! 子供の頃から知ってる子に手を出すのはなしだよぉ〜。ショック。

 

勝子から話を聞いた朝子はイヤな気ではないらしい。勝子は「おじさん」でなく「武内さん」と呼んだらいいと言う。しかし、朝子は武内に片思いの相手がいると言う。

 

戦友たちの集まり。警察予備隊に入ろうとしていた木原は、いろんな仕事を経験しながら警官に戻り、大平も久しぶりに顔を見せた。東郷は窃盗で捕まった。隊の中では一番の若手だったが、妻もいないのに妻が病気だと言って金を取っていた。戦時中の一番の泥棒は木原と言う吉野と殴り合いのケンカになる。

 

ヨーロッパに転勤するかもしれないと勝子に話す大平。今夜は大平とのことを話すと勝子が言い、大平と腕を組んで歩いて帰った。ここが冒頭の弘の誕生日に繋がるのね。

 

もう一度生きがいが欲しくなったと言う勝子の告白。隣の部屋で聞いていた弘は5年前に目撃した勝子と大平の密会を思い出す。

 

何もなかったようにこれからも暮らそうと言う楢崎の言葉に勝子は怒り、弘を連れて出て行こうとするが弘が拒絶した。

 

風呂をたく楢崎にあんなお母さん引っ叩いてやればいいんだと責める弘にお母さんは勇気があったんだよと弘を優しく抱きしめた。

 

電車に乗っていた勝子は「田口さん、今どうしてらっしゃるの? 弘ちゃん大きくなったでしょうね」と女性に話しかけられ、あいまいに返事をして車両を移動した。(終)

 

面白かった。勝子はさすがに戻らないよねえ? 朝子が好きな人って誰だったんだろう?と検索したら武内と結婚したというあらすじが複数出てきて、え!? 結婚してないよねえ?

 

最後に勝子に話しかけたのはバラック時代に隣に住んでた派手な格好の女性(恐らく当時はパンパン)だったのね。

 

戦後10年、まだまだ生々しく戦争の傷跡が残る時代だな。戦争ぼけと言われた人もたくさんいたんだろうね。同じ隊にいる人といっても年齢もバラバラだったんだな〜と改めて思った。

 

佐分利信 1909/明治42年生まれ

原節子 1920/大正9年生まれ

三船敏郎 1920/大正9年生まれ

 

劇中では勝子の方が年上設定だけど実年齢は同じ年。三船敏郎さん、声も渋くてめちゃくちゃカッコいい〜。

 

小林桂樹 1923/大正12年生まれ

 

あ、この中では若いのか。でも終戦時26歳の役で実年齢より年上の役。三船さんの演じた大平は終戦時まだ若くて大学に復学したっぽい。

 

八千草薫 1931/昭和6年生まれ

 

思ったより年の差ない。でも、ないわ〜。年相応の男と結婚させたらできる男なのにな。

 

peachredrum.hateblo.jp

そうだ! 佐分利信さんと八千草薫さんは「阿修羅のごとく」では親子役だった。

 

peachredrum.hateblo.jp

ばんえい」では小林桂樹さんと八千草薫さんが夫婦役。中年なら違和感ないのよ。このドラマの小林桂樹さんの役は妻をアゴで使ってて、めちゃくちゃ腹立ったな。