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【ネタバレ】チャップリンの独裁者

1940年 アメリ

 

あらすじ

第一次大戦末期、仮想国トメニアのユダヤ人一兵卒チャーリーは、トメニア軍の将校シュルツの命を救い、命からがら帰国するが、受けた傷が原因で記憶を失い入院する。それから数年後のトメニアは独裁者ヒンケルの天下でユダヤ人掃討の真っ最中。そんなとき退院したチャーリーは政変があったことも知らず元の床屋の職へ戻る。チャーリーはヒンケル総統にうりふたつで、ひょんなことから替え玉を演じさせられることとなる…。

wikiによれば、この作品がチャップリン初のトーキー映画だそうです。

 

第一次世界大戦末期 1918年 大掛かりな戦争シーンから。チャップリンはトメニア国の兵士として戦っていた。ケガをした味方の兵士シュルツを助け、小型飛行機に乗って飛び立った。逆さになりながら操縦を続けたが、燃料もなくなり墜落。どちらも助かり、将軍に書類を届けた。

 

兵士はユダヤ人の理髪師だが、長い間記憶をなくしていた。これがいつものチャップリンスタイルの山高帽にステッキ姿だった。

 

この20年の間にトメニア国では政変が起こり、アデノイド・ヒンケル(チャップリン二役)が独裁者として君臨していた。ドイツ語っぽく聞こえる発音で演説するヒンケル。国民の不満をユダヤ人に向けるのですと側近にアドバイスされた。

 

ゲットーというユダヤ人街。優秀なアーリア人と歌う突撃隊が八百屋の店頭に並んだトマトやイモを強奪し、歯向かってきたハンナという女性にだったら返してやるとトマトを思い切り投げつけた。

 

理髪師はすっかり寂れた自分の店に戻って来た。中から出てきた大量の子猫。20年も記憶を失っているとは思わず、高圧的な突撃隊にも事情を知らないせいもあり、毅然と立ち向かった。しかし、大勢の突撃隊に囲まれて街灯に吊るされそうになったが、かつて助けたシュルツ司令官が助けてくれた。

 

分刻みのスケジュールをこなすヒンケル。お金がなくなり、ユダヤ人から融資を受けるまで、ユダヤ人迫害をやめることにした。

 

理髪師の店に来ていたハンナは理髪師にきれいにカットしてもらう。ハンナの顔が「モダン・タイムス」のヒロインに似てるなー、こういう顔が好きなのかな?と思ったら同じ人だった。 

peachredrum.hateblo.jp

 イライラしているヒンケルは、秘書に当たり散らしていた。不満分子は全員殺せと周りの人間に指示していた。一人にするようにいい、地球儀のバルーンで遊ぶ。しかしバルーンは一瞬で破けた。

 

理髪師はラジオから流れる音楽に合わせて客の髭を剃る。嫌がらせをされなくなり、ユダヤ人の権利を返してくれるのでは、と期待するゲットーの人々。

 

ユダヤ人から借金を断られたヒンケルはゲットーを襲撃すると言い、反対したシュルツ司令官を逮捕した。

 

理髪師は正装してハンナとデートに出かけた。ゲットーの人々にラジオ放送で語ったヒンケル。直後、突撃隊が襲撃にやって来た。シュルツ司令官の命令に忠実な部下が「ここは襲うな」という言葉で一旦引いたが、シュルツ司令官が反逆罪で逮捕されたことが分かると、一転、シュルツと友達の理髪師を捕まえろ!となった。

 

街に火がつけられたが、なんとか助かり、その後、地下で作戦会議が開かれることになった。官邸を爆破するため、誰かが犠牲にならなければならない。焼き菓子の中にコインが入っていた者が当たり(ハズレ!?)。ハンナはあえて全員にコインを入れ、官邸を爆破して大勢の人を殺すことをやめさせようとした。

 

シュルツ司令官が隠れていることがバレれば強制収容所に送られる。理髪師も尋問される。突撃隊が家探しを始めたので、二人を屋根に隠した。屋上から屋根伝いに逃げたが、突撃隊に捕まり、理髪師は強制収容所へ。ハンナたちはオストリッチに逃れた。オストリッチから手紙を出したハンナ。それを読む理髪師。

 

オストリッチ侵攻を決めたヒンケル。しかし、バクテリア国のナポロニに先を越された。ナポロニから電話があり、オストリッチ侵攻を話し合いたいと言われ、ナポロニへの宣戦布告は取り下げた。

 

ナポロニがトメニア国に到着し、図々しい感じのナポロニと小心者?で途中から声が小さくなり、側近にしゃべらせるヒンケル。官邸内を案内する。

 

ヒンケルとナポロニが国境問題を話し合う。お互い侵攻しないということになるが署名が先か引き揚げが先かで激しいケンカになってしまった。側近の助言もあり、ヒンケルが先に署名することになった。

 

強制収容所では囚人二人が脱走した。シュルツと軍服を着た理髪師。ヒンケルはオストリッチ国境付近で一人狩りをしていたら誤って川に落ち、突撃隊に捕まった。

 

シュルツと一緒にいた理髪師はヒンケルに間違えられ、戦車を先導する車に乗った。ゲットーやオストリッチにも突撃隊がやって来て襲撃された。

 

理髪師はヒンケルに間違えられたまま演説の場へ。シュルツから演説を促された理髪師は、皇帝にはなりたくないと今までのヒンケルとは真逆のことを言い出した。機械が発達して人情がなくなった。この時代がそうなら今はもっとだね。

 

絶望に打ちひしがれたハンナはラジオから聞こえる演説を聞いて希望を感じた。(終)

 

まだアメリカが第二次世界大戦に無縁だった1940年に公開。日本では1960年公開だそうだけど、当時を知っている人たちはどんな感想を持ったのかな。ひねくれた人間だから理髪師渾身の演説もでも無理だと思ってしまいました。