1967年 日本
あらすじ
愛媛県・奥道後温泉近くの小さな駅に勤務する職員を中心に巻き起こされる、笑いと涙の物語。赤字ローカル線の団体客獲得に助役試験等々、頭痛のタネ満載の日常を、渥美清ほか、絢爛たる喜劇人勢揃いで描く。
愛媛県奥道後温泉近くの伊予和田駅に勤務する山川彦一は、30歳の独身で母親のお杉とふたり暮らし。過去3回助役試験を受けるもまだ旅客係のまま。そんなある日、彦一は汽車に乗って来た迷子の面倒を見ることに。
2024.8.23 BS松竹東急録画したものがHDDから消え、2025.1.7に再録画。東映列車シリーズの二作目。
タイトル左下に富士フィルム
山川雑貨店から彦一が制服姿で出てきて自転車で走り出す。
製作:大川博
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企画:秋田亨
加茂秀男
脚本:舟橋和郎
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音楽:木下忠司
自転車で走りながらセーラ服姿の女性2人に見惚れる彦一がちょっと気持ち悪い。
挿入歌:コロムビアレコード
駅弁小唄
作詞:大倉宏之
作曲:和田香苗
編曲:川村利夫
唄:東ひかり
協力:奥道後国際観光
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協力:日本国有鉄道
国鉄四国支社
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山川彦一:渥美清…字幕黄色
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中村部長:小沢昭一
日高友造:笠智衆
日高邦子:城野ゆき
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東:東けんじ
宮城:宮城けんじ
お杉:ミヤコ蝶々
絹代:楠トシエ
木村:三遊亭歌奴
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太宰淳一:大辻伺郎
倉持駅長:市村俊幸
了賢:河野秋武
小百合の再婚相手:南広
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関口:上田吉二郎
柳助役:沢彰謙
柴田:佐藤晟也
新婚の夫:小林稔侍
すみ江:津路清子
新婚の妻:清水みつえ
武智豊子
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中学生:南幸伸
志村敬一:原直人
専務車掌:木村修
試験官B:秋山敏
菅野直行
三和清一郎
宇和島駅長:仲塚康介
田川恒夫
次の客:山田甲一
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谷本小代子
大竹真理子
後の客:竹村清女
岩本好恵
中川久子
田沼瑠美子
三重子:鈴木三重子(ローヤル)
歌手:東ひかり(コロムビア)
伊予和田駅
志村小百合:佐久間良子…字幕水色
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監督:瀬川昌治
倉持駅長の挨拶
タキャクキ?…うまく言えずにポスターを指さす。
多客期旅客サービス
重点事項
一、迅速、適切、丁寧なる
案内誘導
一、各人の適正なる配置
一、各人の適切なる
用語の使用
一、団体客誘致の
促進、徹底
駅長
重点項目を言うてみ、と言われた彦一だったが、しどろもどろ。
駅に列車が到着し、改札に立つ彦一は大勢通過する学生の切符をチェック。車掌から子供が一人で乗っていたと預けられた。子供は5歳。志村敬一と名前は言うが、住所ははっきりとせず、お城のあるところと答えた。
松山駅まで敬一を連れて行った彦一だったが、駅員の太宰から捜索願は出てないと言われ、また助役試験受けるんだってねと言われた。今度で4回目。
駅に一六タルトの看板が出てる。
彦一は敬一と樽うどんを食べる。初めて見た。敬一から母が学校の先生、父がいないと聞き、お城といえば宇和島があったな、と彦一がつぶやくと、僕の家は宇和島と答えた。
宇和島駅の駅員に敬一を引き渡し、敬一を迎えに来た美しい母・小百合に見惚れてしまった彦一。小百合に案内されて自宅へ。小百合は母・すみ江と暮らしている。
小百合は彦一が8年も働いているなら助役さんかなにか?と聞かれるが、敬一に助役試験に落ちていることをバラされる。
山川家
母親のお杉と暮らしている彦一。ミヤコ蝶々さんは、この4年後に森田健作さんの母親役やってるから、この作品のほうが老けて見えるな。お杉から嫁をもらわんかと言われるが逃げた。
お杉は八五郎に電話をかけた。八五郎は由利徹さん。こっちも「たんとんとん」だ。
彦一が八五郎の理髪店にポスターを貼ってもらいにいくと、頭を刈ってやろうと、無理やり頭をセットされた。
万松(まんしょう)寺に寄ってみろと誘導され、彦一は寺へ。
万松寺
彦一は和尚の了賢から日高友造と娘の邦子を紹介された。お杉と八五郎も寺に来て、了賢の妻の絹代から彦一の様子を聞く。友造は国鉄の駅長ではなく、ロープウェーの駅長だとお杉に教える八五郎。
友造は国鉄42年勤め、助役試験8回も落ちたと言い、彦一と盛り上がる。邦子も彦一に好感を持った!?
松山駅の太宰が旅館に来ていた社長に団体旅行の売り込みをしていた。
彦一は、お座敷に乗り込めず、むしゃくしゃして近くの飲み屋で芋の煮っ転がしを食べようとしていたが、銭湯帰りの友造と偶然会い、自宅に案内され、友造は気を利かせてまた出かけた。2人きりにされ、おでんをごちそうになる彦一。部屋を見て友造が表彰状を4枚ももらっていることに感心する。
邦子は、お料理をもっと勉強しなくちゃと言うが、彦一は何のことか分かってない。子供が何人ほしいか邦子に聞かれて、9人と答え、そんなに産めません!と邦子に言われてもピンと来ず、急用ができたと帰った。しらばっくれてるだけ?
家に帰り、宇和島の志村という人から小包が届いてるとお杉に言われ、彦一は喜ぶ。小百合から一度ゆっくり遊びに来ませんか?と手紙に書かれていて、しみじみと幸せに浸る。小百合に心奪われて邦子に関心ないってこと? 邦子も美人だから分かりづらい。
駅の売店で機関車のおもちゃと唐(から)饅頭を買って、合計500円。志村家に向かうと敬一に会った。敬一は怪獣ごっこをしようと誘い、彦一はカバゴジラになりきって敬一を追いかける。カバ…というよりゴリラっぽい。なりきっているところに帰ってきた小百合と再会した。
彦一は、もうすぐ助役試験だから教えてほしいと頼んだ。高校の社会のような内容と言い、志村家で勉強を教わることになった。わき見をして注意されてもニヤニヤ。
山川家
お杉は了賢から彦一が邦子に子供が9人欲しいと話していることを知り喜ぶ。
ご機嫌で帰ってきた彦一は
♪信じられずに 諦めた
恋がいくたび あったやら
とバーブ佐竹の「ネオン川」歌いながら帰ってきた。
今度はどげなことがあっても受かりますと試験道具を持ち帰ってきた彦一をいぶかしげな目で見るお杉。自室に戻った彦一は小百合と妄想会話を繰り広げる。
志村家
小百合と歴史の勉強を続ける彦一。
小百合と歩く彦一。小百合を先生と呼ぶ彦一に先生と呼ばれるのは嫌いだと言うので、小百合さんと呼んだ。小百合は4年前に夫を交通事故で亡くした。2人が歩いているところを男子生徒たちがからかい、彦一が追いかけ、肥溜め?に落ちた。
山川家
デートに出かけると言う彦一に5000円を握らせるお杉。
奥道後遊園地へ志村親子と出かけた彦一。鹿に餌をやったり、フラミンゴショーを見たり。フラミンゴが白いことに驚いた。満員のロープウェーで手が触れ合う彦一は思い切って手を握るが、小百合が汗を拭いてくれて、後ろに立つおばあさんの手を握っていることに気付いた。
ネオン川を歌いながら、温泉を泳ぐ彦一。隣に女性たちの温泉があり、敬一がお母さんがいるよと覗いていた。ちょっとしたサービスシーン? 上半身裸の女性もチラッと映ってる。ボカシなし。目をそらした彦一だったが、敬一が近くのワニの檻の戸を開けた。本物のワニに無茶させるのは見たくないので、いかにもな作り物なのでこういうのは面白い。
昭和四十二年度 松山地区助役試験
第一次 筆記試験会場
筆記試験を受ける彦一は頭を抱える。
学校へ走っていった彦一は第一次試験に受かったことを小百合に報告。小百合は中学校の教師かな。
山川家
お杉もひとり涙を拭く。父の遺影は渥美清さんの老けメイク。帰ってきた彦一は、お膳のお酒をお杉に勧めた。彦一は嫁にしたい人がいるが、子供がいると言うと、すぐにでも祝言をあげなくてはとお杉は驚く。
八五郎、了賢、友造と邦子もお祝いに訪れ、お杉は邦子が一升瓶を2本持っていることに重い物を持たないで!と注意し、みんなの前で彦一と邦子の間に子供が出来てると発表。彦一はお杉を止め、小百合という未亡人を想ってると言い、宇和島に出かけて行った。
志村家
小百合は出張で不在。彦一は家から持ってきた一升瓶を置いて、志村家を後にした。しかし、みかんの木の下でぐったりしていた敬一を見つけた彦一は医師を呼んだ。
彦一は翌日、二次試験が控えていたが、試験は何度でも受けられる、しかし、坊やの命は一つだと必死に看病した。小百合の母もいるんだけどね。
朝6時。敬一は元気を取り戻し、彦一は試験会場に向かった。しかし、列車に間に合わなかった。
昭和四十二年度
松山地区助役試験
一、私語はしないこと。
一、意見は明瞭簡潔
にすること
黒板に書かれた字がめちゃくちゃきれい! ああいう字好きだわ~!
なんとか試験会場についた彦一。3分遅刻したが、席に着いた。四国鉄道の赤字をいかに克服すべきかを一次試験合格者が一堂に集まり意見を言い合う。当てられた彦一は、しどろもどろで試験官たちに突っ込まれて、脳内小百合に励まされながらも倒れてしまった。
伊予和田駅
駅長に支所から連絡があり、彦一の不合格が伝えられ、トイレで泣く。
居酒屋
友造に励まされる彦一。太宰が制服のまま来店してきた。太宰は助役試験に合格し、おごってやろうと言うので、断った。今度は友造のことを国鉄に40何年もいて助役試験に受からなかったんだってなとバカにし始めたので、彦一が店から出した。
太宰を友造の自宅に連れて行き、友造がもらった表彰状を見せた。人命救助、事故防止…お前は一度で助役試験に受かったかもしれないが、友造の足元にも及ばないひよっこだと説教すると、太宰は手をついて友造に謝った。飲み直そうと家を出る友造と太宰。
友造のために説教する彦一を見ていた邦子は山川さんの団体旅行に行く、絶対、山川さんと結婚すると決意する。
団体旅行には友造と邦子、小百合も敬一と参加した。彦一が参加者の胸にバッジをつける。セ、セクハラ…。小百合の胸にバッジをつけようとしている彦一を見て、邦子はムッとする。
「南国土佐を後にして」の歌に乗せて観光地巡り。
彦一は制服姿のまま、客の不満を聞く。漫才ね。
夜、彦一の隣で眠る敬一の様子を見に来た小百合から海を見に行こうと誘われ、外に出た。小百合は試験に落ちたのは敬一のために夜明かししたせいだとお礼とおわびを言いたいと団体旅行に参加したと言い、敬一の父親になってほしいと抱きつかれた…ん? このパターンは!? 海に落ちた彦一は同僚に起こされ、おねしょを指摘されたが、おねしょしたのは敬一だった。夢落ちは前作もあった。
「駅弁小唄」を歌いながら弁当を配る車掌さん。弁当の数が合わないと同僚から文句を言われる彦一。了賢から妻の調子が悪いと言われ、徳島へ到着し、鉄道弘済会へ運んだ。
阿波踊りを見物。踊りは夜まで続く。
夜、寝ている彦一と敬一。また小百合に海に誘われる彦一。金泉閣のネオンを背に海へ。彦一は団体旅行は彦一への義理立てだと指摘した。小百合は近く東京で再婚すると話した。再婚相手は亡くなった夫の友人。もう少し早く出会っていたら…彦一さんが好きでしたと告白され、海へ落ちた彦一。海から上がり、小百合に告白。しかし、最終的には幸せになりなさいと祝福した。
夜、まだ踊ってる。あれ? 八五郎や友造も踊ってる。彦一も列に加わり踊り始めた。小百合が坊やがいなくなったと彦一に言うので手分けして捜し始めた。でっかい「オロナミンC」の看板が目につく。
汽笛の音に気付き、線路の上を敬一が歩いているのに気付いた。なんとか敬一を助け出した彦一は倒れてしまった。
伊予和田駅
翌年、5回目の助役試験で合格した彦一は大阪の講習会に参加するため、伊予和田を2か月離れることになった。邦子との間にキミヒコ、キミコという赤ちゃんも生まれ(赤ちゃん役もこなす渥美清さん)、邦子や友造、お杉も送り出す。
フェリーで大阪に向かう彦一は別のフェリーに乗った小百合と敬一、再婚相手と手を振り合った。(終)
小百合にフラれたけど、ちゃっかり若い邦子と結婚してる彦一。昔の観光地を見るのも面白い。