1968年 日本
あらすじ
舞台を東京から、雪の新潟、いで湯とスキーの上越湯沢、新幹線で伊勢の初詣と移しつつ、初恋の女性との再会と、その弟捜しも絡めた、てんやわんやの泣き笑いストーリー。「列車」シリーズらしい情感を漂わせる。
東京-新潟間の上越線急行列車の車掌・上田新作は、妻幸江、娘毬子と平凡ながらも幸せな毎日を送っていた。ある日、先輩専務車掌・野々宮太平との勤務中、列車で幼馴染みの初恋の君である坂本美和子と再会する。
2024.8.24 BS松竹東急録画したものがHDDから消えて2025.1.3に再録画。列車シリーズ三作目。
東海道新幹線が走る。
タイトルの左下に”富士フィルム”
製作:大川博
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企画:秋田亨
加茂秀男
脚本:舟橋和郎
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音楽:河辺公一
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挿入歌
ミノルフォンレコード
新潟ブルース
作詞:稲葉爽秋
作曲:遠藤実
唄:トシ伊藤とザ・プレイズメン
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上田新作:渥美清…字幕黄色
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上田夏雄:川崎敬三
細川房子:城野ゆき
野々宮富子:楠トシエ
野々宮太平:西村晃
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画家の青年:財津一郎
印刷屋:左卜全
柳沢真一(松竹)
上田吉二郎
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娘:青山ミチ
三和子(ぽん太) :若水ヤエ子
春子:園佳也子
紅千登世
ザ・ハッタリーズ
坂本研吉:小松政夫
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英子:小林裕子
佐々木梨里
大森不二香
小磯マリ
娘:清水みつえ
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植田灯孝
須賀良
佐藤汎彦
木村修
桂真美
大和田恵美子
平賀あさ子
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年増の芸者:伊藤慶子
中川久子
織田英子
三和清一郎
鎌田賢
ゴーゴー喫茶のバンド:ピンキー・チックス
クラブのバンド:トシ伊藤とザ・プレイズメン(ミノルフォン)
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坂本美和子:佐久間良子
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監督:瀬川昌治
混み合うスキー客たちの間に入り、切符をチェックする新作。満員電車並みの混み率で何時間も移動するってのは大変だなあ。
スキー板を抱えた客が降りていく。
すっかり空いた列車の中で坂本美和子を見かけた新作は金町小学校の4級上のダボハゼの新ちゃんと自己紹介する。小学生で4つ上ってものすごく年上に感じる。あら、今回は佐久間良子さんの字幕は色付きじゃないのか。
新潟駅で降りた美和子。
新作は同僚の野々宮からいいところはないかと聞かれ、クラブ・カトレアへ。トシ伊藤とザ・プレイズメンが歌う「新潟ブルース」は美川憲一さんの歌う「新潟ブルース」とは別の曲。
新作と野々宮の席についた春子はおせじにもかわいいと言えない女性で野々宮のテンションも下がる。春子もまた依然、新作と一緒に来た新作の弟目当てでがっかり。店で美和子が芸者姿で酔っ払いに絡まれているのを見て、新作が助けに入った。
店に残された野々宮は、2年前に東北線で助けた青森で芸者をしていたぽん太という芸者に再会した。
美和子の部屋に行った新作は子供のころを回想する。回想シーンも渥美清さんと佐久間良子さんが子供になりきって演じているのが面白い。酔っ払って寝ていた美和子が起き、暖房をつけようとしたが、コンセントがショートし、停電した。ウロウロして美和子に抱きついてしまう新作。
美和子はろうそくに火をつけ、芸者だということを言わないでほしいと口止めした。震災で両親と兄を亡くし、美和子と弟の研吉だけが助かった。
年代的に1964年6月16日に新潟で起こった地震のことだろうか?
研吉は東京の印刷屋に就職したものの今は行方不明。新作は非番の日に捜すと約束した。
東京駅
東海道新幹線を降りた上田夏雄。トシ子という女性からネクタイをもらった。
そのまま兄の家に行った夏雄は新作の妻・幸江にネクタイを1000円で売り付け、ついでにご飯もごちそうになった。美男子という設定らしいがキモチワルイな。それに、新作に妻子がいたのかい!
野々宮家
今度は西村晃さんの奥さんが楠トシエさん。新作のことを弟はいい男だと噂し、でもあんな兄貴にも新潟にいい女がいるらしいと言う。
印刷所
社長に研吉のことを聞きに行った新作。同じ会社に集団就職した細川房子が悪いのは女で英子というトルコ娘のところに行っているという。
英子に会いに行った新作が、英子は下着姿の半裸状態。お風呂には入りませんと言い、いくらかお金を渡し、英子から研吉は絵描きの卵になったという情報を聞き出した。
アトリエ
前衛芸術?というのか全裸女性にボディペイントをしたり、全裸女性が体に絵の具を塗りつけ紙の上を転がったり…新作も絵描きに乗せられ、紙の上を転がったり破いたり…しかし、画家の青年から研吉が前衛音楽家になったと聞かされた。
前衛音楽家のアトリエに行く。皿を割って「ワオ!」と叫んだり、よく分からない世界。
上田家
腹を空かせて帰った新作だが、夏雄に食べられて夕食なし。娘の毬子にもらった給食の残りのパンをもらって食べた。
幸江は野々宮の妻・富子に会い、ご主人のこと知ってる?とささやかれる。
上田家
幸江に新潟の芸者について問い詰められた新作は出かけた。
東京の街はヒッピーとかそんな時代か若者が地べたに寝っ転がったり、かなりフリーダム。「おやじ太鼓」の時代か。
ゴーゴー喫茶
アレンジしたソーラン節で踊る若者たち。新作は研吉の写真を持って聞き込みをし、舞台の上で踊る研吉を見つけた。
ラーメン屋
研吉は長髪、ヒゲで日給500円で印刷屋の職工なんてやってられるかと愚痴をこぼした。研吉のようなのをフーテンというのか。寅さんとは違うスタイルだね。
遊園地
なぜかコーヒーカップに乗って話し合う新作と研吉。やりたいことをやってる、カネは女の子から調達するという研吉にそれはいかんと説教する新作だったが、閉園時間まで乗り続けても研吉には響かず、新作はフラフラ。
ロッカールーム
着替えている夏雄のもとに幸江が来て新潟行きの急行に乗って、新作の素行を調べてくれないかと頼んだ。
新潟行きの急行
新作が車掌の列車に乗った夏雄。新作は火鉢を使う客に火気厳禁と注意するが、客から熱々の芋を手渡され、熱がり、客たちに笑われていた。
駅に到着し、でかでか映し出される東映ホテル。
夏雄はスキー客たちに誘われ、スキーに行くが、滑れない。
神社で美和子と再会した新作は研吉が見つかった、新宿の食堂でボーイをしていると話し、もっと話したがったが、お座敷を抜け出した美和子はすぐに帰っていった。
パチンコ屋
入った、入ってないと言い合う新作とパチンコ台の裏にいる女の子。どういう仕組みなんだか分からない。夏雄と顔を合わせたが、夏雄は平然と湯沢にスキーに来たと話す。夏雄と台を代わり、夏雄がニッコリ笑顔で入ってないよと女の子に言うと、玉が出た。
幸江に頼まれたんだろと言われて、あっさり認める新作。夏雄に2000円を渡そうとするが、夏雄は幸江さんから3000円もらったと言うと、新作はさらに上乗せして2500円渡した。夏雄がいくらいい男でも金にセコい男描写が無理!
神社で新作が美和子に会えたらという前提で一人芝居しているのを夏雄に見られた。
夏雄は芸者置屋を訪ね、美和子がいないか聞いた。置屋にいたのは三和子。野々宮の浮気相手?のぽん太が今では三和子という名前でやっている。夏雄は週刊誌記者と名乗って新潟美人の特集をしたいと言って写真を数枚撮って、幸江に見せた。夏雄はババア芸者で義姉さんのほうがよっぽどいいという。
この映画、ルッキズム全開だな!
ゴーゴー喫茶
今回はグループサウンズ的な歌を歌ってる。歌ってるピンキー・チックスは女性グループサウンズバンド。新作がまた来ていることに気付いた若い客がサツじゃないかと勘違いし、フーテンカクテルといってコショウやらなにやら入れた酒を飲ませた。スリク飲む?と薬を勧めた。スリクを飲んだらおセクもさせてあげるよ、だって。
フーテンカクテルもスリクも平気な新作は研吉と2人きりにしてほしいと頼んだ。研吉は新作の言うことを聞こうとせず、研吉をビンタしてしまい、とうとう殴ってしまったと後悔した新作だが、だんだんろれつが回らなくなってきた。
店の客に笑われている新作を見た研吉はタクシーに乗せて家に帰そうとしたが、新作はタクシーを降り、走り回った。
社宅
とうとう上田さんが頭に来ちゃったという富子。野々宮は夢中で台所の換気扇掃除をしていたが上田家に行った。野々宮さん、マメだね。
呂律の回らない新作を悪い病気をもらってきたと思う幸江だったが、新作は翌日には普通に起き上がって新聞を見ていた。昨日の長髪ズラをかぶり、再び出かけた新作。
道端に座り込んでいる研吉に話しかけた新作。研吉は新作に殴られて、父親を思い出し、フーテンを廃業しようと思ってると話した。
今度は夏雄がフーテンになりそう!?
上田家
新作は研吉を連れて行き、親友と紹介し、幸江に風呂を沸かすように言う。幸江は毬子にこっそり精神科の医者を呼んでくるよう頼んだ。医師に芸者遊びをして悪い病気を移されたと話す幸江。医者は麻痺狂だという。風呂から上がった新作は医師を学校の先生と勘違いしているので、毬子が頭の先生だと教えた。新作は僕のことキチガイだと思ってんだねと笑う。
研吉が仲間がハイミナールという薬を飲ませて、ラリったんだと事情を説明した。
幸江は正気なら事情を説明して!と三和子の写真を見せた。ぽん太の写真なので野々宮が焦る。今度は野々宮が富子に責められる。
もみ合ううち、皿が割れ、前衛音楽家の影響で「アオ!」と叫ぶ新作。シッチャカメッチャカ。医師は突発性痴呆症だと診断。変な格好した夏雄も乱入し、美和子も来た。夏雄も薬を飲まされてラリってたのね。美和子と夏雄は同級生。
研吉は髪も切り、ヒゲもそって駅の売店に雑誌を運ぶ仕事を真面目にしている。
クリスマス
レストランで再会した研吉と房子。どちらも新作と6時に来てと言われていた。ウェイトレスから新作の「お二人でクリスマスイブをお祝いください」というメッセージが届けられた。
上田家
幸江が夏雄から初詣列車の切符を受け取った。16時30分出発で伊勢に22時過ぎに到着予定。幸江は新作のことを見直したと感心してたけど、夏雄との距離感が気になる。新作が勤務中だからって一緒にクリスマスを過ごすんだね。
勤務を終えた新作が野々宮と宿舎へ向かう。偶然、美和子が立っていたのが見えて、新作が途中下車した。
美和子からグラスを渡され、美和子が新作に迫る…またこのパターンか? 目を覚ますとタクシーの中で野々宮たちに呆れられた。
宿舎に美和子が来ていて、新作と2人きりにされた。
結局、外に出た新作と美和子。「上田さんが大好き。まるで私のおじさんみたいで。これからもお友達でいてください」とおしるこに誘われた。ガッカリしてるけどさあ、妻子持ちってこと忘れてない!?
初詣列車
研吉と房子、新作と幸江の写真を撮る毬子。車掌の夏雄が入ってくると、新作は、あのお客さん気分が悪そう、などと指示を出した。
22時過ぎ。伊勢市駅に到着した新作たち。NETのアナウンサーからそこのアベックさんと声をかけられ、研吉と房子がインタビューを受けた。結婚しようと思ってますと言う研吉に私たちが仲人しますと出張る新作。研吉は房ちゃんと同じくらい姉さんが好きなので姉さんのためにも一生懸命働きますと話す。テレビを見ていた美和子がほほ笑ましく見守る。
初の日の出が出て終わり。
夏雄と美和子で何かあるかと思ったら同級生ってことで終わりか。このシリーズ、毎回ライトに既婚者が浮気するって話だったね。カラッとしてるからいいとして、美人な奥さんいるのによ~と思わなくもない。2作目はちょっと違うけど。2作目の邦子が今作の房子なんだよね。
楠トシエさんは「夢千代日記」で美声を聞いて以来、どの作品を見ても歌わないかな~って思っちゃう。
東映で3作作られた列車シリーズだが、のちに松竹でフランキー堺主演の「喜劇大安旅行」が作られた。主演やヒロインは替わってしまったけど、監督、脚本も同じ。音楽も木下忠司さんに戻ってる。
列車シリーズはいかにも松竹っぽい映画だなと思ったのは、以前、この映画を先に見ていたせいかもしれない。