徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (20)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

はる(藤田弓子)の兄夫婦は磯野家の到着を待ち詫びていた。一方その頃、磯野家は途中下車を繰り返し、ようやく東京へと辿り着いた…と思いきや、そのまま牛尾夫人の兄・大造(河原崎長一郎)に導かれるまま日暮里へ。はるの兄・岩村(小泉博)が用意してくれていた麻布の家か、手違いで大造が手配した上野の借家に住むか、決断を迫られるマリ子(熊谷真実)たち。大造の母・ウメ(鈴木光枝)もすっかり磯野家を気に入って…。

自宅から透一郎に電話をする花江。

花江「あっ、あなたですの!? 私、私です! あ~、はい、大事な会議中でいらっしゃることは存じておりますわ。でもまだ着かないんですのよ! ええ、もちろんはるさんたちですわ。また得意の途中下車…。はあ…そうですわね。そういうこともありますわね」

 

澪つくし」のときは上品な関西弁の奥様。「あぐり」や「マー姉ちゃん」でもまた上品な山の手言葉の奥様。むかーし昔80年代の大映ドラマを見たときは庶民的なお母さんの役だったなー…wikiで作品一覧を見ると「乳姉妹」かな。

 

まさにそのとおり。磯野一家は目下途中下車の真っ最中でした。

 

マリ子「あの、ここから麻布という所は遠いとですか?」

大造「いや、九州よりは近いけどね。ここは日暮里といって上野のすぐそばなんだ」

 

ウメ「お嬢ちゃん方の住むうちはね上野桜木町っていってね静かなそりゃあいい所なんだから」

大造「こっから電車で1つ戻った鶯谷ってとこから歩いて7分。その次の上野からだと…そうさなお嬢ちゃんたちの足だったら20分くらいの所かな」

美術館や動物園、西郷隆盛銅像…子供たちの興味は上野に向いている。はるは荷物が麻布の家に届いているというと、若い衆に運ばせると大造は言う。ウメも加津子からの手紙を読んでいるうちに、自分の孫が上京してくるような気になったと説得にかかる。

 

ウメ「それがあんた…これでさよならだなんて…そりゃあんまり酷ってもんでしょ? 年寄り泣かせてあんたたちこの先ろくなことがなかったらどうすんですよ」

昨日は娘の佐々木愛さん(「おしん」の初ちゃん)にあんまり似てないと思ったけど、初ちゃんも結構チャキチャキの江戸弁だったし、鼻の高いところが似てるかも。ついにウメは泣き出す。

 

信仰あついはるが、ウメばあさんのこの嘆きを見捨てられるわけがなく、はるは大造と共に落ち着き先変更の報告に行ったことは言うまでもありませんでした。

 

花江「急にそんなことおっしゃっても主人が何と申しますか…」

大造は電話をかけるように言い、その間に荷物を運ぶと言った。

はる「お電話拝借できれば兄には私からちゃんと話をつけますですから」

 

そして気が変わらないうちにとマリ子たちは上野桜木町なる借家へ案内されておりました。

 

マリ子たちにお茶を出したさよにウメは「じいさんばあさんに話してんじゃないんだからね、お茶っていったらお菓子。ねっ? まだまだ皆さんお子さんなんだから」。

 

じゃあちょっと買ってきますと明るく言って出ていったさよに聞こえるように「本当に気が利かない嫁だよ!」というウメ。「純ちゃんの応援歌」の牛山家のおばあちゃんは”うめ”。「マー姉ちゃん」は”ウメ”ね。人の名前かぶるよねえ。

 

マリ子「聞こえますよ、そんなおっきい声で言ったら」

ウメ「おっきい声で言わないと聞こえないでしょ?」

ギョッとするマリ子やマチ子。

 

うちの大造が頼りないとこぼすウメに東京駅ではとても頼りになったと話すマリ子とマチ子。美術館も近いし、麻布より上野の方がいいと話すマリ子に「ああ~なんていい子たちなんだろう」とウメがお寿司をとってくれた。

 

ウメ「この辺はね、いいところさんのご別宅なんかあるんだからおいしい店がたくさんあるんだよ」。さよにはお茶が薄いと文句を言いつつ、マリ子たちに寿司をすすめる。江戸前のピリッとわさびのきいた寿司を食べたマリ子は思わず鼻をつまんだ。

 

ききましたよ。確かにお江戸のお寿司はカウンターパンチのごとくききました。

 

遅れてはると大造が新居に入った。いずれおふくろの隠居所に思いましてね、と、ウメが独り暮らしするの? 

 

ウメ「能書きは後にして早く上がっていただきなよ」

大造「分かってるよ、いちいちうるせえな!」

さよが丁寧に頭を下げてはるに挨拶し、はるも返す。

ウメ「挨拶は後だって言っただろ?」

びっくりしたはるの顔。

大造「いえいえ! あの…女房に言ったんですからね」

ウメ「当たり前ですよ、ええ! で荷物は持って来たんだろ?」

大造「もちろんだよ。おい、どんどん運び込んでくれ」

ウメ「庭だよ! しっかり庭へ運んでそれから荷をほどいて…」

大造「ああ分かってるって! 早く向こう行っちまいな」

ウメ「ほら奥さん、あれなんですからね。人がせっかくいい知恵授けてやってんのに、もう…。年は取りたくないもんですよね」

江戸弁の応酬はおっかないね、地方者からすると。

 

はる「そんなふうにお考えになってはいけませんわ。お年寄りは宝物ということなんですから」

ウメ「宝物?」

はる「ええ。宝物というのは1年や2年で出来た試しがございません。だからこそ大切にしなくてはいけないんだと私、いつでも娘たちにそう言い聞かせておりますの」

ウメ「まあ…あんたってぇ人はなんて優しいことの言える人なんでしょう。やっぱり加津子から言ってきたとおりのご一家でしたよ。これからどうぞ仲よくしてくださいまし」と土下座した。…こういうの土下座っていうかあ!?

 

ウメははるにもお寿司をすすめ、マリ子たちと食べ始めた。荷物を運んでいる人のひとりが三宅裕司さんかな。名前は連日出てるけどセリフはないし、まともに顔も映らない。

 

万事はめでたくと思ったのですが…

 

透一郎「何のために私がお前たちを東京へ呼んだと思ってるのかね?」

はる「はい」

透一郎「たった一人の兄なんだよ、私は。その私がいるのに一体どうしてこちらさんに迷惑をおかけせにゃならんのかね」

大造も同席し、はるをかばう。

 

大造「いや、だったらですね、そこを曲げて『うん』と言ってくださいませんか? これはおふくろのためにも私からのお願いなんです。いけすかねえだけが取り柄のばあさんですが、まあそれはお嬢さんたちを迎えての喜びようったら、私もね妙な具合に親孝行ができちまったあんばいなんですよ」

はるも兄に頼らず自分たちだけでなんとか暮らしていこうと思っていると言った。

透一郎「我々の両親はどうやら男でも女でも独立の精神を植え付けすぎたきらいがあるね」と了承し、大造にも頭を下げた。

 

ということで新居決定のひともんちゃくは収まり、なみなみならぬ覚悟の持ち主たちは東京第一夜を上野桜木町のこの家で迎えることになりました。

 

マチ子、ヨウ子はもう眠り、はるとマリ子が後片付けをしていた。ウメはお茶碗やお箸、卵も用意してくれていた。「何と言ってもお年寄りは国の宝なんだから」というはる。視聴者層を意識しての言葉かなあなんて思ってしまう。

 

お父様の遺影に「お休み」を言うマリ子。家の電気が消されて明日へ続く。

 

ウメみたいな物言いは今は反発する人多いかな。はたで見てたら面白いけどね。

 

【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (22)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

あくる朝、薬を飲んで回復した正太夫笑福亭鶴瓶)が、看病して眠ってしまった純子(山口智子)に抱きつくと、たまたま居合わせたジョージ北川(細川俊之)が止める。純子が帰って就職の件を陽一郎(川津祐介)に報告すると、陽一郎は稲本専務に辞退の電報を打つようにと頼む。純子は納得がいかず、興園寺家で速水(髙嶋政宏)にどう思うかと聞くが、速水は陽一郎の気持ちもわかる、と答える。速水が日本を去ると聞くと純子は…。

20軒以上も探してようやくキニーネを探した純子は正太夫に薬を渡した。

 

どうもえらいことになりました。大阪で正太夫マラリアの発作に襲われたのであります。

 

薬を飲んだ正太夫は布団に横になった。朝になり、壁際で座ったまま寝ている純子に「ごめんやで」と近付いた。気付いた純子が大きな声を出し、それでも「純ちゃんごめん」と抱きついて離れない。いやー!! 

 

そこに現れたのは「また君か。こんなところで何をしている」。「チッチッチッ…」と指を左右に振りながらジョージ北川登場!

 

太夫「何で僕だけこんな目に遭わなあかんねんな、もう」って、はぁー!? 

 

おかみさんが朝飯(フリガナは”あさはん”)を作ると言い、純子は持参の米を渡した。ぬひさんのところに行かなかったね、そういえば。

 

北川にも正太夫が家出をしたことを話す。

太夫「『男子志を立てて郷関を出ず』ちゅう話や。それから、あの、ほれ『何やら何やら死すとも帰らず』いうて。せやさかい帰れませんねや」

fukushima-net.com

男児たるもの、志を立てて、故郷を出たからには、 学問が、成就すること無ければ、二度とは帰らず。

kotobank.jp

これか。

 

北川「しかし一旗揚げるといったって大変だよ」

太夫「分かってますがな」

 

純子は、これからすぐにでも帰るといい、正太夫は母に心配しないよう言ってくれと伝言を頼んだ。

純子「ほんまのこと言うてもええ? うちうそつくの嫌やから」

太夫「そらもちろん言うてもええよ」

北川「純子ちゃんに抱きついたこともいいわけ?」

太夫「そいはあかんねら」

純子「嫌やわ」

失礼だけど、こういうとこ男性脚本家だなーと思ってしまう。あんな照れたように「嫌やわ」なんて言ったら、正太夫ますますつけ上がる。抱きつかれて普通に接し続けるのも無理なレベル。

 

北川は「ちょっと待ってて」と席を立った。北川が何でここにいるんだろ?という正太夫に、純子はおかみさんとも顔見知りで何日もいるようだと話した。正太夫とあんな顔近づけて話したくもないわ!

 

「これ、興園寺の奥様に差し上げてくれないかな?」と純子に小さな箱を渡した北川。正太夫はしばらく僕が面倒を見ると言ってくれた。

 

小野家。あきはコーリャンおかゆを作った。

peachredrum.hateblo.jp

英一郎も戦地で食べていたというコーリャン

 

この辺では口に合わないと捨てられるものをもらってくる。実がはじけるまで炊いたら結構食べられるとあきは言う。家族で満州にいたんだから、コーリャンもよく食べていたのかな。砂糖をちょっと入れたらうまいという陽一郎。しかし砂糖は貴重品。

 

雄太のお母さんの尋ね人はいつ放送になるのだろう?と昭があきに尋ねた。もう手紙は東京に届いてるはず、雄太のお母さんは引き揚げてるのか?などと小野家の面々が会話しても雄太は無言。

 

純子が帰ってきて、正太夫と駆け落ちしたと噂を立てられたと聞かされ、一笑に付した。稲本専務におわびをしたか聞いてきた陽一郎に「就職、お父ちゃんの体がようなるまで待ってくれはるて」と嬉しそうに報告した純子。

 

陽一郎「ん? お断りしたんやないのか?」

純子「何人も就職を頼みに来てはる人がいてはるのや。それ見てたら今ここでお断りしたら当分あかんのやないか思て。それでお願いしてみたの。なんとか2か月待ってくださいて。初めはほかに希望してはる人もようけおるさかい無理や言うてはったの。せやけど、うち、一生懸命お願いしたら『分かりました。なんとかしましょう』言うてくれはって。そやから大丈夫。安心して体を治したらええんや」

 

ニコニコしながら話す純子にニコニコ聞いていた陽一郎は笑顔のままうつむき、純子から稲本からの手紙を受け取り、正座し直して読んだ。厳しい表情になった陽一郎。

 

陽一郎「僕は今度の話をお断りするのに失礼のないようにと純子に大阪まで行ってもろたんや」

純子「それはそやけど…」

陽一郎「出社を2か月先まで待ってほしいと、お前の方から頼んだんやな?」

純子「うん、そうや」

陽一郎「お父さんがいつそういうことを言うてくれと頼んだ? 余計なことをしてもろたら困るんや」

純子「何で? 何で困るの? うちのしたことがあかんかった言うの?」

陽一郎「ああ。就職を希望してる人は大勢おるんや」

純子「それは稲本さんも言うてはった…」

陽一郎「そやろ? それをお断りして僕のためにポストを空けておくためには、稲本さん随分無理をせないかんはずや。下手をすると稲本さんの責任問題にもなりかねん。それに僕は情実は嫌いなんや」

dictionary.goo.ne.jp

純子「でもせっかくええて言ってくれはったんやから…」

陽一郎「あかん! そういうことは絶対にあかん!」

 

あきに稲本宛の電報の文面を伝えた。

「ご配慮に感謝すれどもご厚意を受くるは心苦し。就職の件、固く、ご辞退申し上げます」。

 

納得のいかない純子。

陽一郎「世の中、そういうもんなんや」

純子は部屋を出ていき、洗い物のコップを拭いた。

あき「純子。お父ちゃんもあんたの気持ちはよう分かってはんねやさかい」

純子「何でやの。稲本さんがええと言わはんのやからそれでええやないの。それをわざわざお断りの電報やなんて。こちこちや」

あき「そんなこと言いな」

純子「そやないの。ぶきっちょにも程があるわ」

あき「そうや。お父ちゃんのそういうところが好きなんや、お母ちゃんは」

 

純子は興園寺家に正太夫のことを話しに行った。陽一郎は縁側で膝を抱えてぼんやり。陽一郎だってそりゃ待ってくれた方がいいに決まってると思ってるよねえ。

 

つやは北川から香水をもらって喜ぶ。純子がいなくなり、小さくたたまれた手紙を読んだ。

 

月は沈みぬ。されど月は又昇る。

日々その身をやせ細めながら、青白き

輝きにてあの人を照らすために。

 

つや「あの人を照らすために…」とつぶやいて手紙を口に当て、懐にしまった。

 

興園寺家で薪割りをしている秀平の手伝いをする純子は陽一郎のことを話した。「お父ちゃんのしたことはただの瘦せ我慢や」という純子に「だからいいんじゃないの? 僕は痩せ我慢好きだなあ」と薪を割った。

 

純子が北川に会い、秀平がこの村にいると話すと「会いたいね」と言ったと言うと、秀平は「もう恐らくあの人に会うことはないと思うよ」と返した。日系二世だから許可された日数しか日本にいられないと言う。ずっと日本にいると思っていた純子。

 

秀平の思いがけない言葉が純子の胸に小さな波紋を起こしたようです。

 

お父ちゃん…真面目過ぎる。手紙を読むのに姿勢を正したり、声を荒げることなく純子を諭したり…金八先生で3年A組の担任の上林先生も真面目な堅物先生だったけど、嫌な先生ではなかったな。

 

マラリアにはキニーネとか、コーリャンおかゆとか宿屋に持参の米を渡すとか戦後といっても知らないことがいっぱい。”情実”というのも知らない言葉だった。

 

朝ドラももう戦前から戦後を描くのに無理があり過ぎるんじゃないかと思ってしまう。実体験で書ける人はもういないし、現代感覚で批判する人はいるし…。そうかといって高度成長期やバブルの時代を描くのもまた難しいんだろうかね。

【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (21)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

純子(山口智子)が正太夫笑福亭鶴瓶)と駆け落ちした、と吹聴されてあき(伊藤榮子)はもも(藤山直美)に抗議するが、興園寺家では正太夫が純子の後を追いかけていったのではないか、という疑惑が生じる。純子は稲本専務(森下鉄朗)の帰りを会社で6時間待ち、父の体調が回復するまで2か月待ってくれ、と直接頼む。稲本は最初は断るが、純子の態度を意気に感じて、承諾する。正太夫は勝手に純子を外で待ち、体調を崩して…。

金太郎「ほんまに駆け落ちなんや!」

あき「お母ちゃんが見いはったんやて?」

太夫と純子が手に手を取って駆け落ちしたと言い張る金太郎。あきは純子は家の用事で大阪に出かけたんだと言っても、金太郎は母の言葉を信じている。

 

昭「駆け落ちって何や?」

あき「子供はそんなこと知らんかってよろしい!」

陽一郎は純子が帰ってきたらすぐに分かると言うが、陽一郎の見舞いに来ていた久助は狭い村だからいっぺん妙な噂が立ったら打ち消すのが大変だと言う。

 

あきは金太郎によそで言い触らしたら困るというが、本当の事だと言って聞かない。あきは牛山家に行くと言い、久助もついていくと言うが、陽一郎はほっとけと相手にしない。

 

あき「いいえ。こういうことははっきりさせとかんと。嫁入り前の娘におかしなうわさでも立てられたらかないませんやろ」。秀平は帰ると言い、あきと久助は牛山家に向かった。

 

静尾のいる村役場で話す牛山うめ。かきは近所の奥さん方に「純子はあっけらかんと笑っていた」と少々話が大きくなり、あきはももに抗議するのだが「はいはい。分かりました」と返すが、なんていうか本当に反省してる感じじゃない。

 

もも「お母さんがそれほど言わはるんでしたら私の見間違いですやろ。えらいお騒がせしておおきにすんませんでした」。ももの母・きんもあきたちに頭を下げてくれ、あきが念を押すとももは「はいはい、よう分かりました。えらいすんませんでした」。頭は下げるんだけど微妙だな~。

 

興園寺家でも噂は伝わり、つやは純子は大阪に用事があったけど、正太夫と示し合わせてということもあるのか…と考えたが、清彦は「お兄ちゃんが勝手に純子ちゃんの後を追いかけていったちゅう可能性あるかも分からんよ」と、さすが大正解! 久助が駆け込んできて、正太夫の置き手紙を読んだ。つやと清彦に大きなことをやってみろと言う久助の言葉を真に受けたのだと言った。

 

東和生命前に座り込んで夏ミカンを食べる正太夫。純子が受付で待っていると、稲本専務は帰りは3時を回るかもしれないと言われ、このまま待たせてもらうと座って待つことにした。東和生命には就職させてほしいと言いに来るものがひっきりなしに来ていて純子は不安そうな表情を浮かべる。

 

小野家では、陽一郎があきに薬を飲ませてもらっていた。今夜は阿倍野に泊めてもらうことになっている純子。ぬいさん(字幕は”ぬひ”)が大阪に来た時はいつでも請け負ってくれた。知り合いかな? お店が繁盛している人らしい。

 

午後5時前、ようやく稲本専務との面会。陽一郎の手紙を読む稲本は「小野さんみたいな人に来てほしかったんやけど」と惜しんでくれたが、手紙の内容には納得してくれた。

 

しかし、純子はお願いがあると言って「父の就職、2か月待っていただけないでしょうか?」と直談判。「私の一存で申し上げてるんです。それを直接お願いしたくて今まで待たしていただきました。ほかにも就職を希望してはる方はようけいてはると思います。でももし専務さんのお力でなんとかなるんでしたらこの父の手紙はなかったことに…」

 

う~むというような稲本の表情。

純子「最初は父の手紙だけ渡して帰ろうかとも思ったんですけど…。でも本当は父もとても残念がってるんです」

稲本はそれはそんな簡単にはいかない、稲本以外にも重役は何人もいてみんな就職を頼まれている、それを陽一郎だけ待ってもらうわけにはいかないと言った。

 

分かりましたと頭を下げた純子は顔を上げると涙をそっとぬぐって、笑顔で「すいませんでした」と帰ろうとした。その健気さに打たれたのか、稲本が「何とかしてみましょ」と2か月後でいいから大阪に来てほしいと言ってくれた。お礼を何度も言って泣き出す純子。

 

純子が東和生命を出ると、正太夫が震えて膝を抱えていた。6時間も待ったと抗議する正太夫にここでさいならと言ったはずだと言う純子。正太夫は震えて座り込み、南方でやられたマラリア持ちだと言い、少し歩きだしたがまた座り込んだ。

 

薬屋でキニーネを買ってきてと頼んだ。「キニーネを飲んだらうそみたいに治るさか」。正太夫は目の前の旅館?で待っていると言うので、純子が薬を買いに走った。布団で震える正太夫。純子は歩き回ったが品薄だと言われたり見つけられなかった。

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マラリアって再発するんだね。

 

ももさんというか牛山家は食えない一家だねえ。悪い人でもないけど、いい人でもないような。

 

純子はずっと待たされて疲れただろうに、正太夫に嫌な顔一つせずなんて聖人すぎる。